神の恩寵によるスキル
物語の舞台となる「オードグズ」は剣と魔法のファンタジー世界で、スキル至上主義の世界でもある。この世界では神の恩寵によって、特殊な能力が使える「スキル」と、そのスキルの格を示す「星」が人々に与えられていた。スキルの種類と格の高さによってオードグズの人々の人生は左右されると言っても過言ではなく、ほとんどの人はスキルに見合った人生を送っている。中には複数スキルを授かる者もおり、多くのスキルを持つ者はそれだけ神に愛された存在だとされる反面、スキルも星も少ない者は神に見放された存在とされ、地域によっては忌み子扱いされることもある。
星なしのテイマー
主人公のアイビーは5歳の頃にスキルを授かるが、それは「星なし」のテイマーだった。テイマーは魔物を手懐ける力「テイム」を持つが、星なしには手懐けられる魔物がおらず、ほとんど意味がないスキルとなっている。さらに敬虔(けいけん)な父親はアイビーを忌み子と考えるようになり、家庭内でも冷遇されるようになる。唯一、占い師の老婆だけがアイビーを気にかけてくれていたが、優しくしてくれた老婆も不遇な死を遂げる。さらにその死が、アイビーが忌み子なせいだと噂されるようになり、身の危険を感じたアイビーは村を脱出する。行く当てのないアイビーだったが、生前の占い師の老婆の助言に従ってオトルワ町を目指して旅を始める。
最弱のアイビーとスライムの冒険譚
アイビーは旅を始めた頃に偶然、珍しいスライム「くずれスライム」を発見する。触れるだけで死ぬほど弱々しい、くずれスライムは通常のテイマーでは力が強過ぎてテイムできないが、アイビーは星なしであったため、偶然にもくずれスライムのテイムに成功する。そして最弱のくずれスライムに「ソラ」と名づけ、最弱同士の二人は狩りをしたりゴミ拾いをしたりして、その日暮らしの生活を送ることとなる。アイビーは星なしであるため、まともに仕事もできず、ゴミ捨て場から使えるものを探して旅を続けていた。アイビーはゴミ捨て場で見つけたものをソラに食べさせていたが、成長したソラは思いもよらない力を発揮する。
登場人物・キャラクター
アイビー
テイマーの少女。澄んだ水色の髪に金色の瞳を持つ。ラトミ村で両親や兄弟と健やかに暮らしていたが、5歳の頃、神よりスキルを授かる際に、「星なし」の「テイム」を授かってしまったことで人生が一変する。ふつうの人は少なくても星一つ以上のスキルを二つ授けられ、その適正によって人生はほぼ決められてしまう。星なしはその最低限の保障すらなく、神から見捨てられた存在ともいわれている。そのため敬虔(けいけん)な父親からは完全に見捨てられ、母親や兄弟たちからも存在を疎まれている。村の中で唯一、占い師の老婆が気にかけてくれ、生活や森での生き方を彼女から教えられる。しかし3年を経た頃、病気になった占い師に村長が薬を渡さなかったことで見殺しにされ、さらに星なしというだけでアイビーは泥棒の濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着せられてしまう。そして自分一人で生き抜くために占い師の遺言に従って、村を出て旅を始める。旅の道中、テイムの力を初めて使ってソラを仲間にする。
ソラ
アイビーがテイムした「くずれスライム」。見た目はボロボロなスライムで、体がもろいため強い風が吹いただけで死んでしまうこともある。発生頻度が非常に稀(まれ)なだけでなく、発生して1日生き残ることすら難しいことも相まって、レアモンスター中のレアモンスターと評される。強い魔力に触れればそれだけで死んでしまうため、通常のテイマーではテイムすることもできない。しかし、星なしのテイマーであったアイビーは、その力の弱さによりテイムに成功することとなった。珍しいうえに、誰も興味を示さなかったスライムであるため、生態には謎が多く、その特性はほとんど判明していない。アイビーのマジックバッグに入れられ大事に育てられることで、当初は今にもくずれそうな外見だったが、少しずつ成長してふつうのスライムっぽくなる。エサはポーションで、瓶ごと消化する。また、敵意や悪意に非常に敏感で、それらを感知すると震えてアイビーに知らせる。成長するうちに体は青く半透明となり、ポーションをエサにしていたためか、対象を包み込むことで治癒する能力を有するようになる。
クレジット
- 原作
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ほのぼのる500
- キャラクター原案
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なま
書誌情報
最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。@COMIC 6巻 TOブックス〈コロナ・コミックス〉
第1巻
(2020-07-15発行、 978-4866990194)
第4巻
(2022-11-15発行、 978-4866996356)
第5巻
(2023-06-15発行、 978-4866998626)
第6巻
(2024-02-15発行、 978-4867940747)