冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~

冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~

萩鵜アキの小説『冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~』のコミカライズ作品。ダンジョンが日常のものとなった日本で、地味で目立たない青年・空星晴輝は一念発起し、冒険家として成り上がっていく姿を描いたダンジョンアドベンチャー。

正式名称
冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~
ふりがな
ぼうけんかになろう すきるぼーどでだんじょんこうりゃく
原作者
萩鵜 アキ
作画
ジャンル
モンスター・異生物
 
アドベンチャー
レーベル
モンスターコミックス(双葉社)
巻数
既刊10巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

冒険家になろう!

5年前、世界に突如としてダンジョン魔物が現れ、世界は混迷の時代に突入する。日本も例外ではなく、それまで空想上の存在とされた魔物がスタンピードを引き起こしたことで文明は衰退していた。国はこの事態に対抗するため「冒険家」を職業として認め、その活動を奨励する。人々の生活はすっかり様変わりしたが、それでも人々は新たな生活に適応し、たくましく生きていた。そんな中、一人の青年・空星晴輝は新人冒険家として活動を始めていた。空星は生来の存在感のなさから、これまでの人生で目立ったことがいっさいなかったため、一念発起して会社を退職し、冒険家となったのだ。北海道在住の空星は、札幌最大のダンジョン「ちかほ」で冒険家として活動を始めるが、まともな利益を上げられない日々を過ごしていた。そんなある日、空星は実家に帰ったところ、実家の車庫にダンジョンが発生していることに気づく。空星はすぐさま自衛団に通報するが、自衛団が来る前にダンジョンの様子をうかがっていると、奇妙な石板を拾う。その石板は「スキルボード」と呼ばれる魔道具で、空星はその力と車庫ダンジョンを利用して己の力を大幅に成長させることに成功する。換金用の魔物の素材も集めたが、車庫ダンジョン周囲には店がないため、空星は装備の新調も兼ねてちかほにある夕月朱音の店に向かう。そこで素材を換金し、装備を新調する。朱音に半ば騙されて奇妙な仮面を買わされた空星だったが、その仮面を着けていると人に驚かれたことで、影の薄さを脱したと思っていた空星は、大いに喜ぶ。そして空星は、ちかほの攻略に精を出すが、その最中に少女がモンスターパレードに襲われている現場に遭遇する。しかも少女は不良冒険家に騙された挙句、おとりとして取り残されたため、それを知った空星は無謀ともいえる単騎突入を行う。空星はなんとか魔物を退け、助けた少女・黒崎火蓮と帰還する。火蓮は空星に感謝し、彼と交友を育もうとするが、そこに火蓮を見捨てた不良冒険家たちが現れ、口封じのために二人に襲い掛かる。

スタンピード

空星晴輝は突如、不良冒険家四釜たちに襲われて窮地に陥るが、そこに最強の冒険家と名高いマサツグが現れ、空星を助ける。邪魔をされた四釜たちは、自分たちの罪を空星に擦り付け、罪を逃れようとする。しかしマサツグは、四釜たちの行いを一部始終見ており、その反論を一蹴。マサツグは四釜たちを捕まえるが、空星たちに念のため報復を警戒するように忠告する。その忠告を受けた空星は、車庫ダンジョンにこもることを決意するが、火蓮から自分も付いていきたいと懇願される。火蓮は今回の出来事で強くなることを決意し、空星もその熱意に押され、彼女の同行を認める。二人で車庫ダンジョンを攻略し始めるが、ある日、彼らがダンジョンを出ると、今まで何もなかった自宅のとなりに素材の買取店ができているのに気づく。空星が店に入って目にしたのは、たそがれている夕月朱音の姿だった。朱音は問題行動を起こしたせいで左遷されていたのだ。性格に難はあるものの、仕事に対してはまじめに取り組む朱音の存在もあり、空星のダンジョン攻略はさらに熱を帯びていく。空星は順調にダンジョン攻略を進めていたが、ある日、彼ら冒険家のもとに日本中のダンジョンがスタンピードを引き起こしたとの知らせを受ける。日本中の冒険家が魔物と戦い始めるが、スタンピードが起きているのは空星の車庫ダンジョンも例外ではなく、僻地のダンジョンである車庫ダンジョンにいる冒険家は空星と火蓮のみだった。そんな中、空星は火蓮も戦いにはついてこれないと判断し、たった一人でダンジョンに突入してスタンピードの原因であるボスの討伐を行おうとする。

隠密

スタンピードに突っ込むことを決意した空星晴輝は、生まれて初めて自らの影の薄さを生かし、隠密行動を取ろうと考えていた。この判断は功を奏し、空星はほかの魔物に気づかれずボスの群れに近づくことに成功。だが、ボスの群れはよりにもよって狼型魔物の群れで、その鼻のよさからすぐに発見されてしまう。逃げることが不可能だと察した空星は、そのまま群れの戦闘に突入。新しく編み出した投てき戦法で優位に立つ空星だったが、そこに群れのボスであるワーウルフ(ボス)が現れる。空星は格上であるワーウルフ(ボス)に圧倒されるが、あきらめずに戦ったことで、どうにか勝利を収める。こうして空星は無事に帰還し、続々と各地の冒険家による勝利宣言を聞くが、唯一新宿は陥落したという衝撃の知らせを受ける。空星も黒崎火蓮も新宿のことを気にかけつつ、今の自分たちの実力では奪還作戦に参加することもできないと断念し、さらに成長すべくダンジョン攻略を続けることを決意する。そんな中、スキルボードで自らの成長を確かめた空星は、スタンピードでの隠密作戦のせいで勝手に「隠密」のスキルが成長し、自分の影がさらに薄くなったことを知る。

依頼

空星晴輝車庫ダンジョンを攻略していたが、車庫ダンジョンでは魔物を倒せば今では高価となった野菜が手に入るため、空星は意気揚々としていた。そんな中、空星は野菜をダンジョンの外で育てようと考える。空星はジャガイモを落とす植物型の魔物を外に連れ出すが、魔物たちは数日で枯れ果ててしまう。空星はその結果に消沈するが、たった一匹生き残っており、空星はその一匹を試行錯誤の末、なんとか助けることに成功する。すると魔物は様子が変わり、空星に懐き始めたため、空星は魔物に「レア」と名づけてかわいがるようになる。しかもレアは、スキルボードの影響を受けるために新たな仲間となり、いっしょにダンジョンを潜り始める。順調にダンジョン攻略をしていた空星たちであったが、そこに夕月朱音ちかほで行方不明となった友人・大井素の捜索を空星に依頼する。いつになく真剣な表情の朱音たちの言葉を受け、空星は依頼を引き受け、ちかほに潜る。またレアをスキルボードで強化したため、急に強くなったレアの説明をすべく、空星は黒崎火蓮にスキルボードの秘密を打ち明けるのだった。空星はこれまでバレない程度に強化してきたが、秘密を打ち明けたことで一気に火蓮を強化する。大幅に強くなった火蓮とレアによってダンジョンは攻略され、捜索も順調に進んでいき、空星たちは大ケガを負った大井素を見つける。依頼は無事に終わったと思われたが、そこにかつて因縁をつけてきた四釜たち不良冒険家が現れる。実は新宿奪還のため、マサツグは多忙となり、彼らに目が届かなくなっていたのだ。四釜たちはマサツグと空星に復讐するため、ちかほで暗躍しており、大井素が大ケガを負ったのも彼らの手によるものだった。彼らによる不意打ちで火蓮が負傷するものの、空星の反撃によって四釜たちは手傷を負い、火蓮と大井素はそのまま戦線を離脱。残った空星と四釜たちは戦い始めるが、そこにモンスターパレードが発生し、四釜たちは魔物の群れに食いつくされてしまう。空星も絶体絶命の危機に陥るが、先に逃げた大井素が応援を呼んだおかげで辛うじて脱出に成功する。

加護

依頼が終わったこともあり、空星晴輝黒崎火蓮車庫ダンジョンの攻略を再開していた。そして、順調に攻略を進めることで装備を新調した一行は、冒険家として大きく成長。さらに空星と火蓮は力を合わせて強敵を打ち倒すことで、「加護」と呼ばれる新たな力を手に入れるのだった。空星たちの活躍は方々でも注目されるようになり、空星のもとに新たな依頼が舞い込む。依頼主は北海道においてトップの冒険家・カゲミツで、ちかほに出現したモンスターパレード討伐のため、力を貸してほしいというものだった。カゲミツは空星とは正反対の人間ながら、素の部分が似ていることもあって、すっかり意気投合する。カゲミツに協力することを決める空星であったが、モンスターパレードのボスは強敵のリザードマン(ボス)で、カゲミツたちであっても苦戦はまぬがれない相手だった。そのため一行は少数精鋭で近づき、少しずつ群れの数を減らし、リザードマン(ボス)を倒すという作戦を立てる。空星は陽動がリザードマン(ボス)を引きつけているあいだに雑魚を倒す役目を請け負ったが、空星はカゲミツの予想以上の活躍を見せ、数日間で雑魚を大きく間引く。そして遂にリザードマン(ボス)討伐を決定した日、空星は残った雑魚相手に奮闘し、これを打ち破るが、雑魚を倒しきってもモンスターパレードは終わっていないことから、リザードマン(ボス)は生き残っていると察する。そして、現場に駆け付けた空星が目にしたのは疲弊した仲間たちと、リザードマン(ボス)の健在な姿だった。圧倒的な攻撃力と防御力を持つリザードマン(ボス)に、カゲミツたちは攻め手に欠けており、徐々に消耗が積み重なっていたのだ。空星も自分の力ではリザードマン(ボス)には歯が立たないと察し、一か八かスキルボードで加護を強化することで、「打倒神」の力を手にする。空星が打倒神の力で援護したおかげでリザードマン(ボス)は疲弊し、そのスキを突いてカゲミツはリザードマン(ボス)を打ち倒すのだった。しかし、打倒神こと「メジェド」の加護は空星の影が薄いという素質を大きく強化する力もあり、戦いが終わったあと、さらに存在感が希薄になった空星は一人大きく嘆きの声を上げる。

奪還

空星晴輝リザードマン(ボス)と戦っている頃、黒崎火蓮は一人、車庫ダンジョンを攻略していた。しかし、空星の急激な成長で徐々に差が開いており、自分でも見て見ぬフリをしていたパーティのいびつさを夕月朱音に指摘され、火蓮と朱音はそれがきっかけで大ゲンカになってしまう。二人はダンジョン攻略で対決することとなるが、その結果、火蓮は加護の力を成長させ、新たな力を身につけることとなる。そして帰ってきた空星は、成長した火蓮の姿を見て、自分も戦いの技術を身につけることを決意し、さまざまな試行錯誤を重ねることとなる。そして空星は、ダンジョンの魔物を相手に新技を試していたところ、風変わりな芋虫の魔物を発見して倒そうとするが、魔物はおとなしい性格で、レアはかわいがり始める。そのため、空星は魔物を新たな仲間として歓迎し、「エスタ」と名づけるのだった。エスタを育てながらダンジョン攻略を進める空星だったが、ある日、ほかの冒険家の痕跡を発見。自分たち以外の誰かが車庫ダンジョンに入っているのに気づくが、そこに現れたのはトップランカーの一人、時雨だった。時雨は奇妙な仮面冒険家・空星に興味を覚え、彼と手合わせを望む。空星はボコボコにされるものの、対人戦最強と名高き時雨に認められ、彼女の戦い方を観察することで己の技を向上させることに成功する。時雨とはそのまま笑顔で別れそうになったが、実は時雨は新宿陥落についてまったく知らず、空星の何げない言葉でそれを知って大きく慌てる。その後、時雨は連絡を取った仲間から半ば説教を受ける形でマサツグに合流。マサツグは情報を集めたことで、新宿のスタンピードは「鹿の魔物」が引き起こしていると確信し、この討伐のため「新宿奪還作戦」を遂に開始する。一方、新宿奪還作戦が始まった頃、空星は車庫ダンジョンの様子がおかしくなっていることに気づき、探索を始めていたが、そこで空星が目にしたのは見たこともない鹿の魔物の姿だった。

関連作品

小説

本作『冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~』は、萩鵜アキ原作の小説『冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~』を原作としている。原作小説版は萩鵜アキが「小説家になろう」に投稿した作品で、双葉社「Mノベルス」より刊行されている。イラストはTEDDYが担当している。

登場人物・キャラクター

空星 晴輝 (からぼし はるき)

新米冒険家の青年。年齢は27歳。取り立てて特徴がなく平凡な顔立ちをしており、異様なほど存在感がなく、影が薄いことを悩んでいる。会社に勤務していたが、存在感のなさから苦労の連続で、一念発起して冒険家となる。「冒険家になろう!」にも登録しており、ハンドルネームは「空気」でブログを連載している。ブログでは少しでも目立つため、顔文字を多用するやたらハイテンションな文章を書くが、空星晴輝自身の影の薄さを反映してかほとんどアクセス数は伸びていない。アクセス数は一桁レベルで、少なすぎて逆にすごいといわれている。冒険家としての活動も鳴かず飛ばずで、まったく目立たなかったが、ある日、実家に帰ったところ車庫にダンジョンが発生しているのを発見。入り口に落ちていた魔道具「スキルボード」を拾ったことで運命が大きく変わる。「成長加速」「模倣」のスキルを手に入れたことで成長が大幅にアップし、徐々に頭角を現していく。「隠密」のスキルに大きな適性を持つが、これ以上影が薄くなるのを嫌い、絶対に成長させないようにしている。しかし冒険中に、隠密のスキルが勝手に成長しており、最近では一部の特殊な探知スキルを持っている人間以外にはほとんど気づかれないようになっている。仲間の黒崎火蓮は魔力探知のスキルで判別できているが、その火蓮でもたまに見失っている。そのため、夕月朱音に売りつけられた無駄に目立つ「仮面」を気に入り、仮面を付けた際には辛うじて他人からも認識される。ただし、隠密スキルの上昇に伴って仮面以外が認識されないようになっており、最近は「宙に浮かぶ仮面」として怪奇現象扱いされている。冒険では短剣を使うが、短剣は手数の多さに反してリーチが短いため、戦闘で使う人間は少ない。逆にいえば非常に珍しがられるため、空星は目立つのを目的に短剣を使っている。攻撃力の低さがネックだったが、のちに「打倒神」の加護を受けたことで攻撃力が大幅にアップした。しかし打倒神の加護によって、さらに影が薄くなってしまっている。存在感のなさを除けばふだんはまともな良識人だが、根っこの部分は危険の先にまだ見ぬ景色を求める冒険家で、危険な状況になればなるほど生き生きとする異常性を持つ。

黒崎 火蓮 (くろさき かれん)

新米冒険家の少女。年齢は18歳。茶色の髪をミディアムにセットし、赤いリボンと桃色の服を身につけている。魔物の出現で両親を失い、生活も大きく激変したため、魔物を倒し、人々の生活を守るべく冒険家になることを志すようになる。武器は番磨製の棍棒を使うが、使いづらいうえに鈍器は素材を痛めるため、冒険家からダントツに不人気となっている。冒険家を始めて3か月となるが、上層のエンジョイ勢の存在を知り、冒険家の実態に失望する。真剣に冒険家活動をすべく、「冒険家になろう!」でレベルアップのための臨時パーティーを募集したところ、四釜たちが応募してくる。しかし、四釜たちが不良冒険家と知らなかったため、彼らに言葉巧みに騙されて、ちかほの4階まで進む。実は彼らは黒崎火蓮の体目当てで、人気のない場所に誘い込もうとするが、そこでモンスターパレードと遭遇。四釜が逃げるために火蓮をおとりにしたため、大量のモンスターに囲まれて絶体絶命となる。死にかけていたところを空星晴輝に助けられ、以降は彼と行動を共にするようになる。ひたむきな努力家で、自分が弱いことを自覚し、強くなることを目標としている。そのため、四釜たちの報復でちかほにいられなくなった際には、空星と共に車庫ダンジョンの攻略を手伝っている。実は現在確認されている冒険家の中では、唯一の「魔力」スキルの保持者。棍棒を使うのも、杖として使うのが最も適しているからで、火や雷を使った攻撃魔法を使える。ただし魔法を使える人間は現在、一般では未確認とされているため、バレれば冒険家活動も危うくなると思って秘密にしている。また、魔法を使えるのはダンジョン内部のみで、外では著しく威力が下がり、まともに使えない。のちに空星にスキルボードのことを打ち明けられ、スキルボードで魔力を大幅に伸ばし、加護を得たことで、ダンジョンの外でも魔法をある程度の威力で出せるようになった。

夕月 朱音 (ゆうづき あかね)

ちかほの武具販売店で支店長を務める女性で、一菱の社員。年齢は27歳。赤毛の髪をポニーテールにした美女で、抜群のプロモーションを誇る。強気で自信家な女王様気質で、仕事で結果を出して優秀な自分をアピールするのが大好き。感情が高ぶると「アッハハァーン」と独特な言葉を発する。素の言動はひどいが、仕事でミスをするのが嫌いなために仕事ぶりはまじめ。ちかほの武具店に勤めていた際には、空星晴輝に言葉巧みな営業セールで、大量の装備と仮面を売りつけ、大きな利益を出した。空星を一目見て、初心者丸出しながら急速に成長しているのを見抜き、彼が上客になると考え、大井素の素材買取店で勝手に便宜を図る。しかし、他人の店で好き勝手したために責任問題となり、車庫ダンジョン前の素材買取店に左遷される。僻地に飛ばされたため、店はプレハブ小屋、机を含めた備品は手作りという悪条件で、当初は現実逃避していた。空星との関係はケンカするほど仲がいいを地でいく関係で、店で売り買いするたびに、お互いに煽り合いをする。実は元冒険家でかなりのスゴ腕。店でふらちな行いをする冒険家を鉄拳制裁するため、一部では「戦う店員」の名で呼ばれている。黒崎火蓮の悩みを見抜き、あえて辛らつな言葉を掛けて、彼女と対決。その後、彼女や空星のダンジョン攻略に手を貸している。戦闘では「ジェットトンファー」を使って戦う。また人を見る目は確かで、夕月朱音に見いだされて有名冒険家に仲間入りした者もいるため、一部の冒険家からも師匠扱いされている。

レア

空星晴輝が仲間にした魔物。手のひらに乗るくらいの大きさの植物型の魔物で、花の部分に顔のような模様があり、葉や茎を意のままにあやつる。性別は一応女性らしく、女性っぽい言動でステータス上も性別は「女性」と表記されている。空星がジャガイモを育てようと、ダンジョンでジャガイモを落とす植物型の魔物を捕まえ、地上で育てようとしたが、結果は一株を残してすべて枯れ果ててしまう。レアはその残った最後の一株で、残った力で空星と意思疎通し、彼のかいがいしい世話で辛うじて息を吹き返す。また空星から石ジャガをもらったのをきっかけにテイムされ、彼の仲間となる。テイムのスキルを持つ空星とはある程度意思疎通が可能で、体の一部をくねくね動かして自分の意思を伝える。「レア」の名は空星が名づけたもので、名の由来はギリシャ神話で大地を司るとされる女神「レアー」。当初はなんの力もなかったが、スキルボードによって「投擲」のスキルを習得し、石ジャガを弾丸にして高速に打ち出せるようになった。その威力はかなり強力で、浅い層とはいえボスモンスターを一撃で倒すほど。のちに古代エジプトの神「地下守護者(プタハ)」の加護を受け、攻撃力が大幅に上昇し、熟練の冒険家ですら目を見張るほどの威力を見せるようになる。ふだんは空星の肩に乗って移動しているが、空星の影が薄いため、空星の仮面とレアの触手だけ周囲に認識され、触手の生えた宙に浮かぶ仮面として怪奇現象扱いされつつある。

エスタ

空星晴輝が仲間にした魔物。子犬くらいの大きさの芋虫型の魔物で、愛嬌のある顔立ちをしている。性別は男性。もともとは「死蝕虫」と呼ばれる凶悪な魔物で、体は小さく攻撃力はないものの、装備を壊すことに特化した能力を持ち、魔物の群れに死蝕虫が一匹いるだけで冒険家の死亡率が一気に上がるとされている。その体は非常に頑強で、素早いため、倒すのはかなり難しい。車庫ダンジョンで空星と遭遇し、彼に倒されかかるが、レアが気に入り、空星にテイムすることを勧めて仲間となる。死蝕虫の時はリアルな虫の外見をしていたが、テイムされたことで現在のかわいらしい外見となった。「エスタ」の名前も空星が名づけたもので、名前の由来はローマ神話で竈(かまど)を司るとされる神「ウェスター」。仲間となってからも防御能力に特化しているが、攻撃力は皆無。「辟邪神」の加護を受けている。

マサツグ

ランカー冒険家の一人で、涼しげな雰囲気を漂わせた青年。不動のランキング1位で、名実ともに「最強の冒険家」。数々の実績を持つため、いつしか「勇者」の通称で呼ばれており、男女問わず多くの人から慕われている。誰も嫉妬すら湧かないほどの完璧人間で、ランカー冒険家として模範的な行動を心がけている。「冒険家になろう!」には「マサツグ」名義で登録しているが、本名は「九重正次」。空星晴輝がこっそりスキルボードでステータスを確認したところ、「参考にならない」レベルの強さで、詳細不明の「武神」の加護を持っているとされる。模擬戦では時雨に負けたとされるが、それもあくまで時雨が対人特化であるためで、彼女からも対魔物戦ではマサツグが最強と太鼓判を押されている。強くなりたい、お金を稼ぎたいと、己の欲望を優先しがちな冒険家の中では珍しく、人々を守るという使命感に人一倍燃えており、率先して危険な魔物と戦う。日本最大級のダンジョン「新宿駅」をホームにして活動し、新宿駅の攻略最前線にいるが、時折、各地の魔物討伐のために遠征に出ることもある。北海道のちかほに遠征していたところ、空星晴輝が四釜に襲撃されているのを目撃し、空星を彼らの手から守った。不良冒険家の振る舞いに腹を立てており、四釜たちを自らの預かりにして場を治めた。魔物と戦う使命感が強いだけに強い仲間を欲し、空星を未知の強者と見込んで、興味を覚えている。新宿陥落以降は奪還のために動いており、ベーコンを救出し、彼の情報で作戦をまとめあげる。

ベーコン

ランカー冒険家の一人で、筋骨隆々とした大男。上半身裸で強面という厳つい見た目をしているが、気さくな性格でノリがいい。いつも筋肉を誇示する「筋肉キャラ」を演じており、冒険家からは「筋肉」「裸」「おっさん」と認識されている。愉快なキャラクターなために人気が高く、マサツグに並ぶ不動のランカーとして周知されている。また面倒見がよく、ヒマを見ては初心者講習を行っているが、講習はかなり人気があるらしく、毎回、多くの初心者が参加している。イロモノのような言動が多いが、ランカー冒険家らしくかなりの実力者でもあり、最難関の新宿駅ダンジョンで活動している。スタンピードが起きた際には、新宿で魔物たちと戦っていたが、鹿の魔物に敵わず、そのまま消息不明となる。その後、新宿陥落によって全国の冒険家は衝撃を受ける。長らく行方不明となっていたが、マサツグによって救出されて復帰。彼と共に冒険家たちを率いて新宿奪還作戦に参加する。

時雨 (しぐれ)

ランカー冒険家の一人で、艶のある黒い髪を長く伸ばした侍然とした女性剣士。物静かで浮世離れした雰囲気を漂わせているが、幼い頃より居合いを学んでおり、強くなることに関しては非常にストイック。剣の腕前はマサツグですら勝てない対人戦最強の冒険家だが、対魔物の戦闘ではマサツグに一歩譲ると評価されている。愛刀を携えているが、いつしか愛刀も「血桜」の通称で呼ばれるようになり、時雨自身もこの通称を気に入っている。強くなることには真摯に取り組んでいるが、実はそれ以外のことにはかなり無頓着で、性格も天然気味。よく武者修行のために遠征に出るが、携帯電話などの充電をしょっちゅう忘れることから基本的に連絡が取れない。日本中を震撼させた新宿陥落の際も、連絡が取れなかったうえに、本人もずっと携帯電話の充電をしなかったため、空星晴輝に新宿陥落を教えてもらうまでずっと知らずにいた。その後、連絡を取ったチームメートに説教され、新宿奪還作戦に参加を決める。刀を武器に戦う正統派剣士で、予備動作なしで高速移動する「縮地」と居合いの組み合わせによる戦闘を得意とする。冒険家の身体能力で強化された高速抜刀術は、相当な達人でも彼女の動きを目で追うのは不可能で、対人戦では無類の強さを発揮する。

カゲミツ

ランカー冒険家の一人で、精悍な雰囲気を漂わせた黒髪の青年戦士。パーティー「エアリアル」を率いる爽やかな好青年で、気さくな性格もあって仲間からも慕われている。ふだんは標準語で話すが、時折、北海道弁が出る。スキル「存在感」を持ち、その効果でただ立っているだけでも目立つという、影の薄い空星晴輝とは正反対の人物。性格のよさから、その存在感はカリスマの域にまで高められており、空星からはあらゆる意味でうらやましがられている。ただカゲミツ自身は、その存在感ゆえに昔から自分の意図に反して悪目立ちして苦労してきたため、カゲミツは隠れることが上手な「忍者」にあこがれている。空星とは方向性が真逆だが、同じく存在感に悩みを抱く同志として意気投合するが、マサツグの存在感のせいで空星がさらに影が薄くなるという被害をもたらしている。戦闘では鎧を身にまとい、両手剣で戦う。実は北海道出身ではないが、地元でも悪目立ちしすぎたため、北海道に引っ越してきた過去がある。北海道では目立たないようにしていたが、それでも悪目立ちして人が寄ってきたため、大きなストレスを抱えることとなる。そんな中、日本中で魔物のスタンピードが発生。人々が魔物に襲われる凄惨な現場に居合わせるが、自分の存在感が魔物を引き寄せることに気づき、人々を守るため、魔物を引き寄せて逃げ回った。嫌で嫌でしょうがなかった自分の存在感が人の役に立った初めての瞬間で、それがマサツグが冒険家を志す大きな動機となった。人々と仲間を守るために戦うのがマサツグの誇りとなり、危険なモンスターパレードが発生した際も、進んで戦いに臨んでいる。リザードマン(ボス)発生時は自分の手にあまると判断し、空星に応援を頼み、彼と連携攻撃をして打ち倒した。リザードマン退治で自分と仲間を救ってくれた空星には恩を感じており、鹿の魔物発生時には応援に駆け付けている。

ヨシ

エアリエルに所属する冒険家の男性。優しげな雰囲気を漂わせた青年で、弓を武器に戦う。リザードマン(ボス)との戦いでは空星晴輝と共におとりを引き受け、弓で獣人モンスター「ベロベロ」を集めて空星が倒すという連携を見せた。空星の急速な成長に戦慄しつつも、息を合わせて最後まで戦い抜く。

ヴァン

エアリエルに所属する冒険家の男性。筋肉質な体格の大男で、大剣を武器に戦う。かなりの努力家で、戦闘ではカゲミツとみごとな連携攻撃を見せる。空星晴輝の急速な成長を見て戦慄し、彼が味方でよかったと思わず本音をこぼした。

ベッキー

エアリエルに所属する冒険家の女性。明るめの茶色い髪をポニーテールにセットしている。快活な性格で、カゲミツによくツッコミを入れている。戦闘では索敵能力が高く、弓を武器に戦う。

ドラ猫 (どらねこ)

エアリエルに所属する冒険家の女性。黒髪をショートカットに整え、おとなしそうな雰囲気を漂わせている。戦闘では槍を武器に前衛として戦う。空星晴輝と会った際に、その異様な仮面の姿に怯えていた。リザードマン(ボス)ではヨシ、ベッキーと共にみごとな三人同時攻撃を見せるが、リザードマン(ボス)には通じずに大ダメージを負った。

大井素 (おおいそ)

ちかほの素材買取店で支店長を務める女性。テキパキと仕事をこなす。黒髪のボブヘアで、眼鏡をかけたクールビューティー。一菱の社員で、夕月朱音の先輩に当たるが、彼女から先輩扱いされることはなく、むしろ会うたびに煽り合いのケンカをしている。ただ朱音には辛らつな態度で接するが、それ以外の人とはまともに接する常識人。空星晴輝が素材買取を持ち込みした際に彼を担当するが、そこに偶然、朱音が居合わせ、かなり無理な便宜を勝手に図ってしまう。朱音の行った問題行為をしっかりと上に報告したため、これが朱音が左遷される原因となった。仕事への責任意識は強く、店の売り上げが低迷した際には、自ら素材調達のため、ちかほに潜っている。しかし、その売り上げ低迷は四釜による暗躍の結果で、素材採取中に四釜たちが魔物をけしかけたために重傷を負い、そのままちかほ8階で身動きが取れなくなってしまう。ふだんケンカばかりしているが、朱音とはお互いを認め合った友人同士でもあり、朱音も大井素が行方不明になった際には、空星に捜索依頼を出している。空星たちに救出されるが、その後、四釜たちの襲撃を受け、自分の苦境がすべて彼らの仕業であると知る。襲撃によって重傷を負った黒崎火蓮を助けて戦線を離脱し、応援を呼んで空星を助けた。空星たちに強く感謝しており、空星が四釜らの犠牲に胸を痛めるのを知った際には、空星を元気づけている。

木虎 (きとら)

空星晴輝の実家のとなりに住む高齢な男性。スタンピードで妻を亡くし、野菜と鶏を育てながら静かに一人暮らしをしている。空星とはご近所付き合いをしており、空星が車庫ダンジョンで手に入れた野菜を差し入れでよくもらっている。逆に卵を空星に渡しているが、木虎が育てた卵は絶品と評判。のちに空星からもらった魔物の肉のあまりで肥料作りを試してみるが、これが大成功し、農作物の品質が一気に上がった。また、空星はその肥料を木虎にもらってレアに試している。

四釜 (しかま)

不良冒険家三人組の一人で、リーダー格を務める男性戦士。鎧を着こみ、盾を使った戦いを得意とする。冒険家でにぎわうちかほで、ほかの冒険家を騙して食い物にしている。初心者の黒崎火蓮とは冒険家になろう!で知り合い、レベル上げを募集していた火蓮に声をかけ、ダンジョンの奥地に連れて行ってふらちな行動に及ぼうとしていた。しかし、その道中でモンスターパレードに遭遇したため、火蓮をおとりにして逃げ出す。性根の腐った連中で、火蓮が生き残っていると知ると、口封じのために彼女に襲い掛かる。悪人だが実力は本物で、仲間との連携攻撃はかなりのものだが、マサツグの乱入で襲撃は失敗。苦し紛れに火蓮たちがモンスターパレードを押し付けたと冤罪を訴えるものの、マサツグにあっさりウソを見抜かれ、彼に捕まる。その後は更生のためにマサツグのもとで働き、スタンピードが起きた際も、彼と共に魔物と戦っている。しかし、マサツグが新宿奪還作戦で彼らにかまっているヒマがなくなると、途端に本性を表し、マサツグと火蓮たちへの復讐に動き出す。マサツグの名声を落とすため、彼の名を騙ってちかほの周辺の店の悪評をばら撒き、大井素の素材買取店を窮地に追い込む。また、大井素が経営悪化を挽回するため、自ら素材採取に赴いた際には、魔物をけしかけて彼女に大ケガを負わせた。結果的にこれが空星晴輝への依頼につながったものの、大井素の件は特に計画性もなく、腹いせに行ったため、そのあまりに脈絡のない邪悪さから空星からも嫌悪の感情を抱かれている。空星たちの動向をチェックしており、彼らが大井素を助けに来ると知った際には待ち伏せして、彼らに襲い掛かる。火蓮を負傷させたものの、空星の隠密を見破ることができず、襲撃は失敗。その後、突如発生したモンスタパレードに飲み込まれる。悪人だが一応は仲間意識が強かったようで、仲間たちが次々死んでいく中、最後は錯乱して敵に突っ込んで死亡した。

ラルス

不良冒険家三人組の一人で、大きな剣を使う男性剣士。四釜やハリアと組んで悪行を行っており、三人の中では一番女性に見境がない。不純な目的で黒崎火蓮に近づくものの、モンスターパレードに遭遇したため、四釜の命に従って火蓮をおとりにした。その後も火蓮が生き残っていると知ると、口封じのために彼女に襲い掛かる。性悪だが実力は本物で、仲間との連携攻撃はかなりのもの。だが、マサツグの乱入で襲撃は失敗。苦し紛れに火蓮たちがモンスターパレードを押し付けたと冤罪を訴えるものの、マサツグにあっさりウソを見抜かれ、彼に捕まる。その後は更生のためにマサツグのもとで働き、スタンピードが起きた際も、彼と共に魔物と戦っている。しかしマサツグが新宿奪還作戦で、彼らにかまっているヒマがなくなると、途端に本性を表し、マサツグと火蓮たちへの復讐に動き出す。四釜たちと共に暗躍し、大井素の店で混乱を巻き起こす。その後、大井素を助けに来た空星晴輝たちを待ち伏せし、火蓮を負傷させたものの、空星の隠密を見破ることができずに襲撃は失敗。襲撃の最中、突如発生したモンスタパレードに飲み込まれる。悪人だが仲間意識は強く、ハリアが死にそうになった際には助けに向かったり、二人を逃がすために体を張って敵に切り込んだりしたが、最後は両手を失って、そのまま敵に食われた。

ハリア

不良冒険家三人組の一人で、身軽な恰好をした男性弓使い。四釜やラルスと組んで悪行を行っている。不純な目的で黒崎火蓮に近づくものの、モンスターパレードに遭遇したため、四釜の命に従って火蓮をおとりにした。その後も火蓮が生き残っていると知ると、口封じのために彼女に襲い掛かる。性悪だが実力は本物で、仲間との連携攻撃はかなりのもの。だが、マサツグの乱入で襲撃は失敗。苦し紛れに火蓮たちがモンスターパレードを押し付けたと冤罪を訴えるものの、マサツグにあっさりウソを見抜かれ、彼に捕まる。その後は更生のためにマサツグのもとで働き、スタンピードが起きた際も、彼と共に魔物と戦っている。しかしマサツグが新宿奪還作戦で、彼らにかまっているヒマがなくなると、途端に本性を表し、マサツグと火蓮たちへの復讐に動き出す。四釜たちと共に暗躍しており、大井素の店で混乱を巻き起こす。その後、大井素を助けに来た空星晴輝たちを待ち伏せし、火蓮を負傷させたものの、空星の隠密を見破ることができずに襲撃は失敗。襲撃の最中、突如発生したモンスターパレードに飲み込まれる。弓矢で応戦していたが、ゴブリンに矢を奪われ、無抵抗になったところをシルバーウルフに食われて死亡した。

ワーウルフ(ボス)

車庫ダンジョンのスタンピードを引き起こしていたボスモンスター。種族はシルバーウルフの稀少種で、二足歩行の狼のような姿をしている。多数の魔物を引き連れ、地上を目指していたが、空星晴輝と遭遇して戦う。取り巻きにシルバーウルフを引き連れており、狼特有の嗅覚の鋭さから、不意打ちなどには滅法強い。ワーウルフ自体は、ダンジョン中層のモンスターで個体によって個性があるため、強さはまちまちだが、ワーウルフ(ボス)は速さに優れ、格闘戦を得意とする。空星にとって格上の強敵で、空星は発見後に嗅覚の鋭さと素早さから逃げることも不可能だと察して戦う。魔物でありながら人間臭い部分があり、言葉こそ発せないものの空星との戦いを楽しみ、空星とは視線と戦いぶりだけで意思疎通して意気投合した。空星は当初はワーウルフ(ボス)の動きについていけなかったが、「模倣」のスキルによってワーウルフ(ボス)の動きを見抜き、徐々に差を埋めていく。そして最後は空星が激闘を制し、ワーウルフ(ボス)を下した。お互いに命懸けの戦いを楽しんでおり、最後は空星に満足げな笑みを浮かべて息を引き取った。

リザードマン(ボス)

ちかほの10階でモンスターパレードを引き起こしていたボスモンスター。種族はリザードマンの稀少種で、武装した二足歩行のトカゲのような姿をしている。10階に姿を現したが、リザードマンは本来、30階層相当の魔物。札幌のトップランカーでも最高攻略階層は20階層台であるうえに、出現時期が丁度、新宿奪還作戦の準備期間だったため、腕利きがほとんど留守で、なかなか倒されず放置されることとなってしまう。数百にも及ぶ多数のアリクイの獣人モンスター「ベロベロ」を取り巻きにして、モンスターパレードを引き起こしていた。空星晴輝たちおとりチームがベロベロを引き離し、カゲミツたちランカーチームがリザードマン(ボス)を倒す作戦を立てるが、おとりチームがベロベロを全滅させたにもかかわらず、ほぼ単騎でランカーチームを圧倒する。堅牢な防御力でカゲミツたちの攻撃を無効化するが、空星が打倒神の加護で弱点を見抜いたことで、ダメージを受けるようになり、空星とカゲミツの連携によって倒された。倒されたあとは、鱗のスーツをドロップし、空星が装備することとなる。

鹿の魔物(ボス) (しかのまもの)

新宿駅でスタンピードを引き起こしたボスモンスター。正式名称、種族名ともに不明。新宿駅ダンジョンに現れる魔物の稀少種らしいが、能力は独自のもので謎が多い。ベーコンは当初はスタンピードに善戦していたが、鹿の魔物の攻撃によってあっという間に戦闘不能となり、敗北した。ベーコンは死にはしなかったが、急に身動きが取れなくなったと語っており、非常に凶悪な能力を持つ。マサツグはベーコンを救出したあと、鹿の魔物の情報を得て、新宿奪還作戦を決行した。しかし、鹿の魔物はすでに新宿駅から姿を消しており、なんらかの方法で車庫ダンジョンに姿を現す。空星晴輝が遭遇し、その行動を見張っていたが、ほかの魔物を殺してレベリングするなど、明らかにほかの魔物にはない不気味さを持つ。

集団・組織

一菱 (いちびし)

冒険家向けの装備を作っている企業。業界ではNo.1のシェアを誇る大企業で、ダンジョンで採集された魔物の素材買取や魔道具の鑑定といった冒険家向けの支援事業も行っている。冒険家向けの装備としては、主にハイエンドモデルの「壹」、ミドルモデルの「壱」、エントリーモデルの「一」と三つのモデルを用意している。「一」は比較的安価に買うことができるが、「壱」以上のモデルは高価であるため、入手難易度は高い。

番磨 (ばんま)

冒険家向けの装備を作っている企業。番磨製の武器は価格帯は手頃ながらコストパフォーマンスに優れるが、癖があって扱いづらいことで有名。ふつうの武器も作っているが、「ジェットエンジン」と「トンファー」を組み合わせた「ジェットエンジンのブレードが付いた攻守一体型トンファー」など、キワモノ武器も作り出しているため、扱いづらいもののコアなファンが多い。

場所

ちかほ

札幌にある北海道最大級のダンジョン。正式名称の「地下歩行空間」を略した「ちかほ」が通称として定着している。大きなダンジョンだけあって、ちかほ周辺には施設も充実しており、一菱グループの素材買取店や武具販売店が営業している。実力派の冒険家が多く集まっているが、一方でそんな有名冒険家を目当てとしたミーハーな追っかけや、ダンジョンをアトラクション代わりに利用する一般人に毛が生えたレベルのにわか冒険家も多く集まっている。

車庫ダンジョン (しゃこだんじょん)

空星晴輝の自宅の車庫にできたダンジョン。へんぴな田舎にできたダンジョンであるため、空星たち以外に攻略する者がおらず、ほぼ独占状態。また、できたばかりであるために素材買取店すらなかったが、のちに左遷された夕月朱音がやって来たことでダンジョンの横に素材買取店が開店する。

その他キーワード

ダンジョン

5年前、全世界に突如現れた迷宮。出現後、スタンピードを引き起こし、世界中を破壊し、人類の文明を一気に衰退させた。日本も辛うじて文明の面影を死守しているが、インフラは破壊尽くされ、物価もかなり高騰している。原油価格は1リットルが1万円、電気代や通信代も高騰し、野菜も庶民の手に入らない値段となっている。ダンジョンは大きな災厄を人類にもたらしたが、同時にダンジョンに潜れば特殊能力に目覚めたり、特殊な効果を持つ魔道具をもたらしたりと、恩恵も人々に与えている。そのため「冒険家」と呼ばれる職業が生まれ、人々はダンジョンの存在にも適応し始めている。ダンジョンは現在も出現し続けているが、出現場所は完全にランダムで、家の庭先に現れることもある。ダンジョンは放置しておくとスタンピードを引き起こす可能性があるため、個人での管理は非常に危険。そのため、ダンジョンの所有権は国にあると法律改正され、未発見のダンジョンを見つけた際には報告が義務づけられている。また、遊び感覚でダンジョンに入って大ケガを負う被害が続出したため、基本的に冒険家の資格を持つ者以外がダンジョンに入るのは禁止されている。ダンジョンは危険だが、入り口を塞ぐと別の場所に出現し直すため、ダンジョンの完全封鎖は不可能。ダンジョンが移動し、入り口が見つからずにスタンピードを引き起こした場合は被害が拡大するため、入り口を塞ぐのは禁止されている。ダンジョンが現れるメカニズムや完全に塞ぐ方法は不明で、今もその方法は研究されている。ダンジョンには「ゲート」と呼ばれるエレベーター状の移動方法があり、これを使えば使用者の最深到達階まで行くことができる。ただし、別のダンジョンには適応されず、新たに攻略する必要がある。また、ゲートは帰還に使うことも可能。

魔物 (まもの)

ダンジョンから現れる生物。小さな虫が巨大化していたり、空想上の存在だったりと、その姿はさまざま。「モンスター」とも表記される。人類を敵視しており、なんらかの条件が重なると「スタンピード」を引き起こし、ダンジョンの外を闊歩して破壊活動を行う。かつてのスタンピードは世界中で魔物があふれ、人々は死に絶え、街は破壊し尽くされた。国の中には国土のほとんどを魔物に奪われた国もあり、生き残った国はこれに対抗するため、さまざまな試みをしている。冒険家もその仕組みの一つで、現代の日本では冒険家は魔物に対抗する存在として憧憬の目を集めている。ダンジョンの各階層には「ボスモンスター」と呼ばれる特殊な個体が存在する。ボスモンスターは強い分、特殊なアイテムをドロップする可能性がある。また、モンスターパレードやスタンピードもボスモンスターが中核となって引き起こしており、ボスモンスターを倒せば鎮静化することができる。魔物はさまざまな種類が存在するが、同じ種類の魔物の中にも時折「稀少種」と呼ばれる存在が生まれる。稀少種は突然変異のようなもので、シルバーウルフの中にワーウルフが誕生するなど、同系統の上位の種族となる。生まれる確率は非常に低いが、下手なボスモンスターより強くなっている。モンスタパレードやスタンピードでは、稀少種がボスモンスターになることもあり、その場合、さらに危険となる。魔物は人類に敵対しているが、例外的に「テイム」のスキルで手懐けたモンスターは人に友好的。

魔道具 (まどうぐ)

ダンジョン内の宝箱や魔物からごくまれに手に入れることができるアイテム。種類はさまざまだが、たくさんの荷物が入るマジックバッグや、入れた物を増殖させる魔法のツボなど「人知を超えた効果」をもたらす。ただし効果が必ずしもいいものとは限らず、中には使った者に被害をもたらす呪いのアイテムのようなものも存在する。そのため、魔道具を鑑定する専属の鑑定人も存在する。一菱の系列店では教育を受けた店員が鑑定する「簡易鑑定」と、本部の専属の鑑定人が鑑定する「詳細鑑定」というサービスを提供している。詳細鑑定は多くの情報を得られるが、その分、コストと時間が多く掛かる。また、魔道具だからと必ずしもいいものとは限らず、中にはゴミ同然のようなものもある。

スキルボード

空星晴輝が車庫ダンジョンで見つけた魔道具。薄い石板状の魔道具で、使うと所有者とパーティーメンバーのステータスを可視化して表示することができる。ステータスは「生命力」「筋力」「敏捷力」が、ゲームのステータスのように数値化されており、その下に所有者の持つ「スキル」が表示される。所有スキルは所有者の特性が大きく反映されており、一人一人違う。また、所有者の経験や成長によって新たなスキルを習得する場合もある。スキルボードは「スキルポイント」を使って、ステータスやスキルにポイントを割り振ることができる。自分の意思を成長に反映できるため、スキルボードをうまく使えば想像以上の速さで成長できる。スキルポイントはレベルアップやモンスター討伐では増えることはなく、「自分のダンジョン最高到達階」によって増える。

スタンピード

ダンジョンから魔物があふれ出す現象。魔物は人を殺して街を破壊するため、災害のように恐れられている。しかし、スタンピードが起こる原因も未だ判明しておらず、国は冒険家の制度を整備することで、スタンピードに備えている。現在判明しているスタンピードの終息方法は、「スタンピードで現れる魔物をすべて倒す」か「スタピードを率いるボスモンスターを倒す」のどちらかだが、ボスモンスターを倒すためには大量の魔物を突っ切ってボスモンスターにたどり着く必要があり、至難の業。だが、もう一つのすべての魔物を倒す方法も、下手をすれば数万にも及ぶ魔物を延々倒す必要があるため、街に被害が出るのは不可避で、非常に困難となっている。

モンスターパレード

ダンジョンで魔物が大量に集まる現象。原因はさまざまで、冒険家が魔物から逃げているうちに魔物が集まったり、稀少種が魔物を集めて増えていったりして発生する。現在の冒険家は一撃の重さとリーチを重要視し、大剣や槍を使う者が多いため、手数に欠け、多数の魔物を相手にするのは向かない。そのためモンスターパレードに遭遇した場合、ほとんどの冒険家は撤退を選択する。ただし、モンスターパレードを放置しておくと、スタンピードにつながる危険もあるため、上位の冒険家によってたまに間引きが行われる。

冒険家 (ぼうけんか)

日本が魔物対策に新たに発行した国家資格。主な仕事はダンジョンの探索と魔物の退治で、スタンピードで荒廃した世界では重要な仕事として注目が集まっている。資格取得の最低年齢は18歳。ダンジョンに入るためには冒険家の資格を取得する必要があり、無断でダンジョンに侵入した場合は不法侵入として捕まる場合がある。冒険家の存在は「冒険家になろう!」で一般化しているため、一般人にも広く知られており、一部ではアイドルのように有名冒険家の追っかけも存在する。また冒険家が一般化したため、アトラクション代わりにダンジョンに潜り、遊び感覚で魔物と戦っている者も多い。そのため、ほとんどの冒険家はダンジョンの浅層で活動しているだけで、中層以降に潜り、冒険家一本で生計を立てている者は全冒険家の一割にも満たない。冒険家は国家資格であるため、スタンピードが起きた際には招集され、自衛隊や自衛団(ダンジョン対策係)と協力して魔物と戦わなければならない。冒険家はダンジョンに潜るにつれて成長し、中には特殊な「スキル」を持つ者もいるため、対魔物戦では自衛隊以上の戦力となる。一方で、常人離れした力を持つ冒険家は「人間兵器」とも呼ばれ、素行の悪い冒険家の被害は大きなものとなる。そのため、上位の冒険家ほど模範的な振る舞いが求められる。不良冒険家を専門に捕らえる「特殊警察」と呼ばれる者たちも存在する。

冒険家になろう! (ぼうけんかになろう)

冒険家御用達の専用ウェブサイト。冒険家のサポートをするサイトで、ブログやチャット機能を備えているほか、サイトを見たことを素材買取店に申告すれば5%の買取価格アップというサービスがある。冒険家の活動をポイントに換算し、ランク付けしており、ランキング上位に入った冒険家は「ランカー冒険家」と呼ばれて人気を集めている。ランカー冒険家はさまざまな企業とのスポンサー契約が舞い込むようになり、装備が無償で提供されたり、資金が援助されたりと、大きなメリットが存在する。また現在のインフラが壊滅した社会では数少ない情報交換場所としても機能しており、冒険家はこのサイトでダンジョンの攻略情報を交換したり、スタンピードの際には協力を呼びかけ合ったりしている。しかしほとんどの冒険家は、浅層以上の階層にしか到達できていないため、中層以降の情報は数少ない。

加護 (かご)

神の加護。詳細は不明だが、冒険家がダンジョンの10階以降に到着すると得られる。得られる加護は冒険家によって違い、最低レベルではスキルボード上でも「???」と表記され、なんの神の加護か判別不能。スキルを上げることで名前が解放され、神の名前が判別可能となる。加護はその者の素質を大幅に強化する力があり、加護の力を上げることで新たなスキルを覚える場合もある。

仮面 (かめん)

空星晴輝が身につけている仮面で、正式名称は不明。のっぺりとした外見に、目と口の部分に穴が開いただけの非常にシンプルなデザイン。一応、魔道具の一種で、付けていても違和感がなく、視界もはっきり見えるという効果があるが、それ以外は何も特殊能力はなく、長らくちかほの武具販売店で売れ残り続けていた。仮面は不気味な見た目であるため、店ではほとんど呪いのアイテム扱いされており、不良在庫として空星に500円で売られた。装着すると奇抜な見た目で人目を引くため、影の薄い空星にとっては非常にありがたいアイテムで、すぐに彼のお気に入りとなる。ただ、空星の隠密スキルの上昇に伴って、仮面以外が人の目に映らなくなっている。

石ジャガ (いしじゃが)

空星晴輝が車庫ダンジョンで手に入れた石。植物型のボスモンスターが落としたアイテムで、見た目はジャガイモそっくり。空星は魔道具の類いではないかと期待したが、夕月朱音の簡易鑑定の結果はただの石。さらにいっしょに出たツボに入れて持って帰ったが、実はツボの方が魔道具で、「入れたものを一種類だけ増殖させる」効果を持つ魔法のツボだったため、石ジャガをひたすら量産する羽目になった。ツボは金塊だろうが水だろうが、入れたものを増殖する効果を持つため、本来であれば非常に高価だったが、石ジャガのせいでゴミとなってしまう。そのため、長らく倉庫の肥やしとなっていたが、空星がレアを育て始めた際に、石ジャガにはダンジョンの力が宿っており、魔物の生育に力を発揮することが判明する。また、レアが投擲のスキルを習得したため、石ジャガを弾丸にし、ツボを利用することで弾丸を無尽蔵に補給できるようにした。

打倒神 (めじぇど)

空星晴輝が授かった加護。スキルボードでの初期名は「布者」で、スキルボードで成長させることで「打倒神」の名に変わった。その正体は布をかぶって姿を隠し、敵対者を次々打ち倒す「メジェド」で、敵の弱点を見抜き、姿を隠す力を加護として与える。空星が加護の力の一つ「弱点看破」を発動させた際には、敵の弱点が光って見え、その部分を攻撃すると固い装甲をものともせず簡単にダメージを与えられる。また、その力を応用すれば大きなものも簡単に切り裂くことができ、空星はナイフで、丸太のような胴体の魔物を一刀両断している。一方で加護は「隠密」の力も強化するらしく、空星はただでさえ薄かった影が、加護発動以降は加速度的に薄くなり、歴戦の戦士にすら気づかれなくなりつつある。

新宿陥落 (しんじゅくかんらく)

日本最大級のダンジョン「新宿駅ダンジョン」で起きた事件。日本全国でスタンピードが一斉に起きるものの、全国の冒険家がスタンピードに対応したため、辛うじて各地のスタンピードを鎮めることに成功する。しかし、新宿駅ダンジョンに突如現れた鹿の魔物によって冒険家の戦線は崩壊。そのままスタンピードによって魔物は増え続け、新宿は陥落した。人々は命からがら新宿から脱出し、新宿奪還のために準備を始めている。

シルバーウルフ

狼型の魔物。嗅覚に優れ、素早いうえに、群れで行動するために必ず三体以上で現れる。そのためかなり危険な魔物で、冒険家であっても油断すれば成す術なく殺されてしまう。同じシルバーウルフでもダンジョンの深い層に出る方が強いが、その分素材の品質も上がる。また、ちかほの8階ではゴブリンといっしょに徘徊しており、その姿からゴブリンは「飼い主」と呼ばれる。手先が器用なゴブリンは冒険家の武器を盗んだり、壊したりするため、素早いシルバーウルフとの連携は非常に危険。

クレジット

原作

萩鵜 アキ

キャラクター原案

TEDDY

書誌情報

冒険家になろう!~スキルボードでダンジョン攻略~ 10巻 双葉社〈モンスターコミックス〉

第7巻

(2022-09-15発行、 978-4575414929)

第8巻

(2023-03-15発行、 978-4575416107)

第9巻

(2023-10-13発行、 978-4575417500)

第10巻

(2024-04-15発行、 978-4575418637)

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