概要・あらすじ
ジオン軍と連邦軍の、のちに1年戦争と呼ばれる大戦。その最終決戦の地ア・バオア・クーにおいて、ジオン軍エースパイロットの1人ジョニー・ライデンは、連邦軍のフルアーマーガンダムと交戦し、撃墜され未帰還。公式にはそう記されている。しかし本当は、撃墜されたのち空母へと帰還し、かつての愛機をカスタムチューンしたフルバレット ザクで再度出撃、フルアーマーガンダムを打ち倒して、彼は戦争に生き残っていたのである。だが、この戦いで機体を失い、宇宙を漂っていた彼は、敵である連邦軍の艦に回収されてしまう。
虜囚の身を良しとせず、連邦軍から逃亡したジョニーは、戦後、自らが加担した戦争が地球に残した爪痕を目の当たりにし、贖罪のため、ジョニー・デップと名前を偽って小さな村の復興に力を尽くしていた。そんな折、ジョニーはかつてジオン軍のエースパイロットであったシン・マツナガから、ジオンの亡霊、真・ジオン公国議会を止めるための戦いに参加することを要請される。時を同じくして村を襲ってきた野党が真・ジオン公国議会を名乗ったことから、ジョニーは、戦争が生み出した大きな歪みを正すべく、再び戦いの場に舞い戻ることを決意するのだった。
登場人物・キャラクター
ジョニー・ライデン (じょにーらいでん)
ジオン軍エースパイロットの青年。階級は少佐。高機動戦闘を得意とし、赤く塗装された機体に搭乗していたことから「真紅の稲妻」の異名を持つ。ジオン軍に入隊したのは、父親が勝手に志願届を出したせいで、実際は戦争が大嫌い。機体を赤く塗っているのも、戦場で目立って撃墜され、怪我を負って退役するのが目的と公言している。ただ、パイロットとして天才的な腕を持つうえ、そもそも手を抜くという思考がないこともあり、結果的に華々しい戦果を上げていくこととなる。 気さくで親しみやすい性格から、軍内部の一般兵士からも人気が高い。照れ屋で一途な面もあり、彼が戦う本当の理由は、出身地である宇宙コロニーのサイド3にいる、幼なじみのティキ・トゥーニアを守るためであった。
ティキ・トゥーニア (てぃきとぅーにあ)
ジョニー・ライデンの幼なじみで、彼の想い人でもある女性。ジオン公国が掲げる宇宙移民の独立という思想を固く信じており、1年戦争末期には自ら志願し、通信兵としてジオン軍に入隊。戦場でジョニーとの再会を果たすが、フルアーマーガンダムとの戦いにおいて離別。戦後は故郷のサイド3に戻っている。
シン・マツナガ (しんまつなが)
ジオン軍エースパイロットの壮年男性。階級は大尉。白く塗装された機体に搭乗し、「白狼」の名で呼ばれた。ジオン軍の指導者であるザビ家に忠誠を誓う堅物の軍人。1年戦争をザビ家の私欲のための戦争であると糾弾するジョニー・ライデンとは馬が合わないが、彼のパイロットとしての能力は認めている。戦後、再び戦乱の種をまき散らす動きを見せ始めたDr.Qを危険視し、真・ジオン公国議会を倒すための活動を開始する。
Dr.Q (どくたーきゅー)
1年戦争中、単機で戦況を覆すとされる超高性能モビルスーツの開発に携わっていた男性。このモビルスーツの開発が間に合っていればジオン軍の敗北はなかったと考えており、早々に終戦協定を受け入れた現ジオン共和国首脳部に対して強い憎しみを抱いている。その執念からパーフェクト・ザクを完成させ、真・ジオン公国議会を設立。 ジオン共和国を滅ぼし、ジオン公国の再興を目論む。
ジル
ジョニー・ライデンが「ジョニー・デップ」と名前を偽り、復興を手伝っていた村の少女。ジルの兄は連邦軍のパイロットで、ジョニーとの何回かの交戦の末、撃墜され命を落とした。だが彼は、命がけで戦うジョニーの姿に共感を覚え、かなわぬことと知りながら、互いに理解しあい、夢を語れる世界が到来することを望んでいた。そんな兄の想いを聞かされていたジルは、ジョニーの正体を知って一度は銃を向けるが、ジョニーの覚悟と想いを目の当たりにし、彼に兄からの言葉を伝える。
集団・組織
真・ジオン公国議会 (しんじおんこうこくぎかい)
Dr.Qが設立した組織で、真のジオン公国の建国を目的とする。その大義名分を掲げ、1年戦争の敗残兵を集めている。
その他キーワード
1年戦争 (いちねんせんそう)
宇宙移民の自治権を求め、ジオン公国が地球連邦に対して起こした独立戦争。宇宙移民に自治権を求めるという大義名分はあるが、ジオン軍を指揮するザビ家の私利私欲を満たすためだと見る向きもある。巨大人型兵器モビルスーツの導入により初期こそジオン軍が圧倒したが、連邦軍がモビルスーツ開発を進めるにつれて戦況は変化。結果的にジオン公国は敗れ、ジオン共和国として共和制を敷くこととなった。
高機動型ザクⅡ (こうきどうがたざくつー)
1年戦争初期の戦線を支えたモビルスーツであるザクⅠ、ザクⅡの改良モデルで、極端に高い機動性を有し、「その姿ザクにしてすでにザクにあらず」といわれた名機。ジェネレータ出力の問題からビーム兵器は搭載できない。赤く塗られたR-2型にはジョニー・ライデンが、白く塗られたR-1A型にはシン・マツナガが搭乗する。第1話、第3話に登場。
フルバレット ザク
ジオン軍の次期モビルスーツ開発計画の1つ、実弾による性能強化プランの到達点であり、高機動型ザクⅡR-2型の本当の姿。大量の実弾火器を搭載しながら、もともとの高い推力で機動性を補うというコンセプトのもと開発されている。また、隊長機を示す頭部のアンテナの代わりにヒート・ホークが配置されており、接近戦における切り札となる。 第1話に登場。
ランド・ザック (らんどざっく)
最初期のモビルスーツであるザクⅠを、農地開発用に改修した機体。掘削用の大型ドリルや、農耕用の大型スコップを装備しているが、機体性能自体は低く、基本的には戦闘用ではない。第2話に登場。
フルアーマーガンダム
実弾兵器がほぼ効かないとされる連邦軍のガンダムに増加装甲を施し、さらに防御力を強化した機体。専用のビーム兵器も搭載され、火力の向上も図られている。第2話に登場。
パーフェクト・ザク (ぱーふぇくとざく)
ジオン軍の次期モビルスーツ開発計画の1つ、単機で戦局を覆す超高性能モビルスーツというコンセプトをもとに、Dr.Qが開発した機体。ガンダムと同様、実弾の効かない堅牢な素材で構成され、機体の周囲に磁気誘導でビーム攪乱幕をまとっている。これにより、実弾、ビーム双方の攻撃を受けつけない。また、ザクの名を冠していながら、宇宙コロニーをも破壊する威力を持つビーム兵器を搭載。 攻防共に優れた、文字通りパーフェクトな機体である。第3話に登場。