概要・あらすじ
宇宙世紀0079年、ジオン公国の独立のために軍人となったクルト・ブラットは、努力のかいもあって念願のモビルスーツパイロットとなる。そして戦闘が激化する地球のユーラシア中央部ハリコフ近郊に補充パイロットとして配属される。
登場人物・キャラクター
クルト・ブラット (くるとぶらっと)
人材募集の放送を見てジオン公国軍に志願した少年。階級は伍長。戦果を挙げた数々のエースパイロットのようにジオン公国に貢献したくてモビルスーツのパイロットを目指す。半年の厳しい訓練を経てパイロットとなった後は、地球のユーラシア中央部ハリコフ近郊に配属されるが、現地での搭乗機がすでに大破しており、配属した日に工兵大隊のザクタンクの操縦者に転属させられる。 塹壕掘りや道路補修などに従事し、パイロットの任務ではないことに不満をもらす。その後、味方の撤退戦に巻き込まれて部隊は壊滅し、ナランソロンゴ・ボルドバヤルに助けられるが、そのナランソロンゴもサランを守るための戦闘で生死不明となる。キャリフォルニア・ベースに入る時にある事情からクラウス・ベルトランの提案を受けてナランソロンゴの名前を詐称し、以降は事情を知らない人間からはナランソロンゴの二つ名「モンゴルの銀狼」で呼ばれる。
アレクセイ・ノビコフ (あれくせいのびこふ)
クルト・ブラットと同じく補充パイロットとして地球にやってきた男性軍人。階級は軍曹。現地での搭乗機大破により工兵大隊のザクタンクの操縦者に転属し、クルトと一緒にパイロットの任務とは思えない作業に従事する。クルトからは「先輩」と呼ばれている。
ハンス・ウェラー (はんすうぇらー)
クルト・ブラットが配属された基地に所属する勇猛果敢な軍人。階級は大尉。配属時に搭乗機が大破していたクルトとアレクセイ・ノビコフを、工兵大隊に転属させる。オデッサで敗戦し、バイコヌールの基地へ撤退している時にクルトたちと再会し、追撃してくる敵からクルトたちを守る。
オレグ・オルロフ (おれぐおるろふ)
工兵大隊に転属したクルト・ブラットとアレクセイ・ノビコフの上官。階級は曹長。オデッサからの撤退戦に巻き込まれて死亡したと思われていたが、キャリフォルニア・ベースでクルト、アレクセイと再会する。
ナランソロンゴ・ボルドバヤル (ならんそろんごぼるどばやる)
ジオン公国軍第22MS特務遊撃隊の隊長で、「モンゴルの銀狼」と呼ばれるエースパイロット。階級は大尉。両肩を銀色、肩以外を黒く塗った機体に搭乗する。素行はあまりよくなく、ジオン公国を指揮するザビ家を「アホ」呼ばわりする。しかし人を引きつけるカリスマ性があり、多くの人からは慕われている。サランをクルト・ブラットに託し、デービッド・タッカーとの戦闘で生死不明となる。
サラン
ジオン公国軍の軍人ではないが、ナランソロンゴ・ボルドバヤルの隊と行動を共にする少女。正体は中立国サイド6の宰相ランク・キプロードンの娘であるアストリッド・キプロードン。ジオン公国、地球連邦の両方に媚を売り、さらに自分を政治の道具にする父親を嫌ってボランティア団体に潜り込んで地球に降りるが、その後に始まった戦争で団体の仲間が散り散りになったところでナランソロンゴと出会う。 そして事情を知ったナランソロンゴの提案で「サラン」と偽名を名乗る。
レオ・ブラウアー (れおぶらうあー)
ジオン公国軍第7MS大隊所属ブラウアー隊の隊長。階級は少尉。ナランソロンゴ・ボルドバヤル用にカスタマイズされた陸専用高機動型ザク改を運ぶ。ナランソロンゴと一緒に戦えることに興奮するが、実際に合流できたのはクルト・ブラット、アレクセイ・ノビコフ、サランの3人のみ。ハンス・ウェラーの言葉に従ってバイコヌールの基地を目指すクルトに、自分たちとキャリフォルニア・ベースへ向かうことを提案する。
クラウス・ベルトラン (くらうすべるとらん)
ジオン公国軍第7MS大隊所属ブラウアー隊の一員。階級は曹長。ナランソロンゴ・ボルドバヤルとも資材の補給などで顔見知りの間柄。戦術や現状把握に長けており、隊の参謀役も務める。
アン・フリーベリ (あんふりーべり)
ジオン公国軍第7MS大隊所属ブラウアー隊の女性隊員。階級は二等兵。クルト・ブラットと同期でもある。サランがアストリッド・キプロードンだと知ると、アストリッドに関わる話、特に恋愛関連の話に興味を示す。
トルド・ボブロフ (とるどぼぶろふ)
ジオン公国軍第7MS大隊所属ブラウアー隊の一員。階級は軍曹。補給物資やモビルスーツを載せた輸送機を運転する。
デービッド・タッカー (でーびっどたっかー)
地球連邦軍のモビルスーツパイロットで、階級は中尉。投降の意志を示す敵を躊躇なく殺す残忍な性格をしており、強い相手との戦いを常に望んでいる。ナランソロンゴ・ボルドバヤルと互角に戦えるほどの腕を持つ。
アンドリュー・マロリー (あんどりゅーまろりー)
地球連邦軍情報部に所属する男性。階級は中佐。丁寧な口調で話すが、目的のためなら人質を取ったり、味方ごと敵を攻撃するなど行いは残虐。サランを捕まえる任務を受け、サランを守るナランソロンゴ・ボルドバヤル対策としてデービッド・タッカーをスカウトする。
タキ・ミヨシ (たきみよし)
キャリフォルニア・ベースに補充兵としてきた女性で、階級は上等兵。正体はサイド6特務機関所属の工作員。父親がランク・キプロードンの秘書をやっていたため、幼い頃のサランことアストリッド・キプロードンの世話役を勤めていた。サランを連れて地球連邦軍と合流するという密命を受ける。
陸専用高機動型ザク改
形式番号はMS-06GR。かつてアジアの長城戦線でナランソロンゴ・ボルドバヤルが搭乗し、地球連邦軍に多大なダメージを与えた。MS-06G型を基に極限まで改造され、その性能は従来のザクをはるかに凌駕すると言われている。その後、ヨーロッパ戦線の拡大によりレオ・ブラウアーの隊が運んできたがナランソロンゴが生死不明なため、クルト・ブラットが搭乗。 キャリフォルニア・ベース防衛戦で大きな戦果を挙げる。
その他キーワード
ザクタンク
形式番号はMS-06V。脚部を失ったり戦闘不能となったザクの上半身に、マゼラ・ベースを組み合わせた大型作業車両。おもに作戦終了後の施設占拠や建設作業で性能を発揮するが、重火器を積めば支援攻撃も行える。工兵大隊に転属となったクルト・ブラットとアレクセイ・ノビコフの搭乗機。戦闘を繰り返すたびに改修強化されるさまが少年が成長し続ける姿と重なり、さらに搭乗者も2人の少年のため、のちにクルトとアレクセイが乗ったザクタンクは「MS BOYS」の愛称で呼ばれることになる。
グフ・カスタム (ぐふかすたむ)
形式番号はMS-07B-3。ジオン公国軍のモビルスーツであるグフの改良機。ナランソロンゴ・ボルドバヤルが搭乗した機体はさらにカスタマイズされており、ヒート金剛棒やヒート・ロッドの電撃を利用したヒート・ナックルが装備されている。またカラーリングも全身黒で肩のみ銀という独自のものに変更されている。
蒼い死神 (あおいしにがみ)
地球連邦軍の試作モビルスーツで、全身を蒼く塗られている。単機で基地を壊滅させるなど圧倒的な戦い方をすることから、ジオン公国の兵士からは「蒼い死神」と呼称される。