概要・あらすじ
一年戦争末期、地球上でジオン軍に勝利した地球連邦軍は、戦力を宇宙に集めるために地球連邦軍第2連合艦隊を発進させる。特殊な任務を受けた地球連邦軍第16独立戦隊は、第2連合艦隊より先に出発し、月に針路を取る。そしてジオン軍の月面基地「グラナダ」の偵察部隊を発見すると、フォルド・ロムフェローのガンダム5号機とルース・カッセルのガンダム4号機などを発進させて、先制攻撃を仕掛ける。
第16独立戦隊の初陣を勝利で飾り、第16独立戦隊の性能・戦術の優秀さを確認するが、いくつかの問題点も発覚。第16独立戦隊は、敵勢力圏内で問題点に対応しながら任務を続けていく。
登場人物・キャラクター
フォルド・ロムフェロー (ふぉるどろむふぇろー)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する男性軍人。階級は中尉。ガンダム5号機のパイロットを務める。モビルスーツの操作技術は非常に高いが、テストパイロット上がりで実戦経験がないため、戦闘をゲーム感覚で捉えている一面がある。また無鉄砲な行動をすることが多く、思慮も浅い。ルース・カッセルやミユ・タキザワなどから忠告されるが、まともに受け取っていない。 のちに仲間との死別をきっかけに、戦争と死について考えるようになり、人間的に大きく成長する。
ルース・カッセル (るーすかっせる)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する男性軍人。階級は中尉。ガンダム4号機のパイロットを務める。元戦闘機乗りのエースパイロットで戦闘経験が豊富。戦闘ではフォルド・ロムフェローとコンビを組んでいるが、無鉄砲なフォルドのフォローをすること多い。今でこそ落ち着いた性格をしているが、昔はフォルドと同じく無鉄砲で周囲の声を聞かなかった。 しかし戦闘中に孤立して現実的な死を感じてからは、仲間との連携を重視するようになる。
ミユ・タキザワ (みゆたきざわ)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する女性軍人。階級は軍曹。もともとは地球連邦軍オーガスタ基地でのガンダム4号機とガンダム5号機の開発メンバーの1人だった。2機が実戦配備された時に、第16独立戦隊に配属。2機の専任オペレーターのほかに、戦場や戦況を伝えるナビゲーターも務めている。フォルド・ロムフェローやルース・カッセルとは、2人がオーガスタ基地でガンダムのテストパイロットをしている時からの知り合い。 そのためプライベートでは、階級が上の2人ともフランクな口調で会話する。性格は真面目で、少し融通の利かない面がある。
キルスティン・ロンバート (きるすてぃんろんばーと)
地球連邦軍第16独立戦隊を指揮する男性軍人。階級は中佐。第16独立戦隊の旗艦であるサラブレッドの艦長でもある。冷静沈着な性格をしており、指揮能力が高い。一年戦争開戦時には軍から退役していたが、軍人であった息子を戦争で亡くしたことから、第16独立戦隊の編成にともない復帰を志願。特例として認められ、経験豊富なベテランとして第16独立戦隊の指揮を任せられる。
アニー・ブレビッグ (あにーぶれびっぐ)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する女性軍人。階級は上等兵。ガンダム4号機とガンダム5号機の整備を担当するメカニック。地上では前線部隊にいたが、第16独立戦隊が宇宙に発進する時に、第16独立戦隊に配属変更される。モビルスーツの整備技術が非常に高く、パイロットへの心配を忘れない優しい女性。
ウェスリー・ナバーロ (うぇすりーなばーろ)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する男性軍人。キャノン隊のリーダーで、「C01」とペイントされたガンキャノンに搭乗。フォルド・ロムフェローの無神経な言葉にも大人な対応ができる、冷静な性格をしている。
ダリル・ボイド (だりるぼいど)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する男性軍人。キャノン隊の1人。「C02」とペイントされたガンキャノンに搭乗。無口で温厚な性格。周りの状況に振り回されず、マイペースに任務を遂行する。
カーク・ウォルバーグ (かーくうぉるばーぐ)
地球連邦軍第16独立戦隊に所属する男性軍人。キャノン隊の1人。キャノン隊のなかでは一番若い。「C03」とペイントされたガンキャノンに搭乗。仲間への配慮が足りないフォルド・ロムフェローの言葉に、舌打ちして不満を見せる。
マレット・サンギーヌ (まれっとさんぎーぬ)
ジオン軍グラナダ基地所属の男性軍人。階級は大尉。グラナダ基地で開発されたモビルスーツのテストパイロットで構成される「マレット特戦隊」の隊長。搭乗機はアクトザク。パイロットとしての腕は非常に高く、リリア・フローベル、ユイマン・カーライル、ギュスター・パイパーからの信頼は厚い。強い攻撃衝動を持ち、狙った獲物は逃がさないという執拗な性格で、強い敵との戦闘に喜びを感じる。
リリア・フローベル (りりあふろーべる)
ジオン軍グラナダ基地所属の女性軍人。18歳という若さながらパイロットとしての腕が高く、グラナダ基地で開発されたモビルスーツのテストパイロットで構成される「マレット特戦隊」の一員となる。マレット・サンギーヌに全幅の信頼を寄せる。搭乗機はリック・ドムⅡ。
ユイマン・カーライル (ゆいまんかーらいる)
ジオン軍グラナダ基地所属の男性軍人。グラナダ基地で開発されたモビルスーツのテストパイロットで構成される「マレット特戦隊」の1人。マレット・サンギーヌが通っていた士官学校の教官を務めていたが、再びパイロットとして召集され、「マレット特戦隊内」での調整役を担う。搭乗機はリック・ドムⅡ。
ギュスター・パイパー (ぎゅすたーぱいぱー)
ジオン軍グラナダ基地所属の男性軍人。グラナダ基地で開発されたモビルスーツのテストパイロットで構成される「マレット特戦隊」の1人。「マレット特戦隊」のなかでは一番俗物的な性格をしている。搭乗機はリック・ドムⅡ。
ノルド・ランゲル (のるどらんげる)
ジオン軍グラナダ方面艦隊の司令官を務める男性軍人。階級は少将。優れた戦術論の持ち主で、地球連邦軍第16独立戦隊を追いつめる。また良識派の軍人でもあり、ジオン側の拠点であるア・バオア・クーが陥落した知らせを受けて、すぐに停戦の申し出を行う。
ダルシア・バハロ (だるしあばはろ)
ジオン国の首相を務める男性。一年戦争の終戦協定を調印するためにグラナダへ向かう。この調印によって地球連邦軍、ジオン軍両方の人間を救えるものだと信じている。
トレイシー・ラムーア (とれいしーらむーあ)
月面都市「フォン・ブラウン」にある軍事企業「アナハイム」に務める初老の女性。戦闘を楽しんでいた頃のルース・カッセルを知っており、一目でフォルド・ロムフェローの無鉄砲さを見抜く。
集団・組織
第16独立戦隊
地球連邦軍が新しく編成した特殊部隊。サラブレッドを旗艦に2隻のサラミスで構成されており、旗艦の名前から「サラブレッド隊」とも呼ばれる。高機動のガンダム4号機、ガンダム5号機、3機のガンキャノンのほか多数のパブリクを搭載。艦隊全体が索敵攪乱などの各種潜行装備を持っており、機動力と潜行行動が最大の特徴。そのため敵に自分たちの情報を与えずに部隊を各個撃破することができる。 地球連邦軍主力艦隊を後方から狙う敵を、さらに後方から敵に察知されずに接近して撃破する、という任務を受けている。
その他キーワード
ガンダム4号機 (がんだむよんごうき)
「ガンダム」の名が付くモビルスーツの4号機。地球連邦軍が一年戦争時に開発した。パイロットはルース・カッセル。宇宙での運用に限定することにより機体ポテンシャルをより先鋭化しており、2号機や3号機で得られたデータや技術も導入されている。また各部にスラスターが付いているため、機動力が高い。さらに、コア・ブロック・システムを廃止してできたスペースに、冷却機能を強化したパーツを組み込んだため、メインジェネレーターの出力を強化。 そのため、大口径武器「メガ・ビーム・ランチャー」が使えるようになった。しかし、メガ・ビーム・ランチャーは出力が安定せず、冷却機能やメインジェネレーター出力の向上など、実験機的な一面も含んでいる。
ガンダム5号機 (がんだむごごうき)
「ガンダム」の名が付くモビルスーツの5号機。地球連邦軍が一年戦争時に開発した。パイロットはフォルド・ロムフェロー。実験機的の要素を含んだガンダム4号機と違い、実験機的要素を抑えたため、安定した性能をしている。また、ガンダム4号機と同じ部隊での運用を前提にしており、ガンダム4号機が大口径武器「メガ・ビーム・ランチャー」のチャージ時間を稼ぐため、大量の実体弾を撃てるジャイアント・ガトリングを装備している。
ガンキャノン
地球連邦軍のV作戦で開発された中距離支援用モビルスーツ。重装甲、重火力を持ち、近距離での戦闘には向かないが、火力と機動力のバランスに優れている。第16独立戦隊にも3機配備され、ウェスリー・ナバーロ、ダリル・ボイド、カーク・ウォルバーグが搭乗。
サラブレッド
第16独立戦隊の旗艦となるWB級準同型強襲揚陸艦。レーザー攪乱幕を発射する弾頭によりジャミングフィールドを形成してレーザー通信を遮断でき、また、短時間でミノフスキー粒子を広範囲に散布する機能も持つ。隠密性を高めるために、宇宙空間で目立ちにくい塗装が施されている。
アクトザク
「ペズン計画」と呼ばれる極秘開発計画で誕生したモビルスーツ。パイロットはマレット・サンギーヌ。各部関節にマグネット・コーティングが施され、高い運動性と機動性を誇る。またビーム兵器も使用可能となり、カタログスペック上ではガンダム5号機を上回る。しかしそのスペックにパイロットがついていけないため、リミッターが設けられている。
リック・ドムⅡ (りっくどむつゔぁい)
ジオン軍が運用する量産型のモビルスーツ。マレット特戦隊のリリア・フローベル、ユイマン・カーライル、ギュスター・パイパーが搭乗。チーム内での連携を重視したため、3人の機体は装備が異なる。リリア機は、ジャイアント・バスを2本装備する代わりにヒート・サーベルを排除、長距離からの支援を目的としている。ユイマン機は、ジャイアント・バス1本とヒート・サーベルというオーソドックスな装備で、中・近距離での戦闘を行う。 ギュスター機は、ヒート・サーベルと銃身が短くて取り回しやすいマシンガンを装備し、近距離での戦闘に特化している。