概要
小学校からの下校途中で変わった石を拾った五年生の上原康一。石を持ち帰って洗面所で水洗いしているうちに、表面の化石が水を吸って河童の姿になった。人語を話し、殺さないでくれと哀願する河童の子にクゥと名付けた康一は、家族の了解のもと、自宅で飼う事にする。
登場人物・キャラクター
クゥ
江戸時代に地割れの中に飲み込まれ、化石状態のまま300年の時を経て現代に蘇えった河童の子供。本当の名前が思い出せなくなり、助けてもらった上原康一からつけられたクゥという名で通している。父親から人間は怖い生き物だと教え込まれていたが、康一とその家族たちと過ごす中で、人間への考え方を改めて行く。 きゅうりや生魚が好物で、動物とはテレパシーのようなもので会話が出来る。
上原 康一 (うえはら こういち)
小学五年生の男の子。下校途中に川原で拾った石の中から河童の子供が蘇えり、家族に頼み込んで家で保護する事を決める。河童が「クゥ~」と鳴いていた事からクゥと名付けた。同級生の虐められっ子、菊池紗代子には淡白な接し方だったが、自分自身がクラスで疎外される立場になってからは同じ境遇の紗代子とも親しくなって行く。
上原 友佳里 (うえはら ゆかり)
上原康一の母親。康一が拾ってきた河童のクゥを気味悪がり、飼う事に反対していたが、根負けして家で面倒を見る事にする。江戸時代から現代に来たためにカルチャーギャップでおかしな事をするクゥを微笑ましく感じて次第に受け入れて行くようになる。
上原 保雄 (うえはら やすお)
上原康一の父親で平凡なサラリーマン。東久留米市に一件家を持っている。化石状態から水にふやけて河童の姿に戻ったクゥを見て、世間の好奇の目に晒されないようにクゥの存在は秘密にしようと提案する、良心的で優しい所がある。 家では妻の上原友佳里に頭が上がらない。
菊池 紗代子 (きくち さよこ)
小学五年生の少女で上原康一の同級生。内向的で口数が少なく、クラスでは虐められていた。あまり感情を表に出さないように努めているが、物語の後半から学校で孤立するようになった康一]を気遣う優しい心を持っている。
クゥの父 (くぅのちち)
自分たち河童が住む沼を干拓しないで欲しいと、夜道で武士に懇願するが、狼狽した武士に殺されてしまう。その時に斬り落された片腕はミイラになって現代まで残っており、思いがけない形でクゥが見つける事になる。
座敷童子 (ざしきわらし)
上原康一とクゥが、河童探しの旅で訪れた遠野の民宿に住んでいる少女の妖怪。河童を見かけた事は無いかと問うクゥに、ここ百年は見ていないと話す。
上原 瞳 (うえはら ひとみ)
上原康一の妹。幼稚園児で性格は生意気。康一とは些細な事で喧嘩ばかりしている。クゥが家に来た頃は、家族からチヤホヤされるのを快く思っていなかったが、やがて打ち解けるようになる。
オッサン
上原康一に飼われている雑種の犬。前の飼い主からは虐待を受けていて、そこから逃げ出して野良犬になっていたのを上原家に拾われた。クゥとはテレパシーのようなもので会話をし、意思の疎通が図れる。