爆音列島

爆音列島

舞台は1980年代の東京。流されやすい性格の主人公・タカシは、周囲に影響される形で暴走族の集会に参加。最初は決して乗り気ではなかったが、すぐに集団で暴走する行為に魅入られ、自分のバイクを手に入れるなど、やがて青春のすべてをかけるようになっていく。自身も暴走族に所属していた作者・高橋ツトムの自伝的性格を持つ作品で、実在した暴走族をもじった暴走族が多数登場する。

正式名称
爆音列島
ふりがな
ばくおんれっとう
作者
ジャンル
バイク
 
自伝・伝記
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概要・あらすじ

1980年の東京。もともと中野で暮らしていたタカシは、素行不良を心配した両親が環境を変えようとして、品川の区立笠原第二中学に転校する。しかし素行不良での転校という事実から、周囲にタカシが不良少年であるという印象を与え、タカシも周囲に流されやすい性格だったため、すぐに不良少年として馴染んでいく。

あるとき品川を拠点とする暴走族・ZEROSの集会の見送りに参加することになったタカシは、なりゆきで先輩のバイクの後部シートに乗ることに。初めての暴走に恐怖を覚え、さらにZEROSの敵対チームから暴行を受けることになったタカシ。だが、暴走族に魅力を覚え、また集会に参加したという事実がタカシの不良としての格を上げるのだった。

こうしてZEROSの一員として本格的に活動をすることとなったタカシは、当初は日和った言動も目立ったが、暴走族同士の抗争や警察との対立、ヤクザ世界との接触、そして仲間の死を経験。また仲間の多くが夢や将来像を持っているにもかかわらず、未来への展望がないタカシは、すべてを暴走族の一員である現在にかけるようになっていく。

やがて道路交通法改正のため自分たちの世代では不可能になっていた1000台規模での暴走を夢見るようになり、その実現のために奔走しはじめる。

登場人物・キャラクター

主人公

もともとは中野区で暮らしていたが、喫煙などの素行不良があり、環境を変えようと考えた両親の判断で品川の笠原第二中学に転校する。しかし素行不良での転校という事実は、かえってタカシに不良というレッテルを与え... 関連ページ:タカシ

ミッツ

笠原第二中学に転入してきたタカシにマニヨンとともに話しかけ、親しい友人関係になる。父親は放任主義で、母親とは別居しているため、小宮家はタカシらの溜まり場に。兄はZEROSメンバーのシンヤ。人付き合いがよく、物語序盤におけるタカシの相棒的存在で、ともにさまざまな悪さを行う。 マニヨンの死後、シンナーに逃げ込みタカシと疎遠になっていった。物語終盤でサーファー風の出で立ちで再登場を果たす。当初はタカシとともに先輩・ゲラコが乗り捨てたHawkⅡを勝手に乗り回していた(のちに正式に譲り渡される)。高校進学後、シンヤからZ400FXを譲り受ける。

マニヨン

笠原第二中学に転入してきたタカシにミッツとともに話しかけ、親しい友人関係になった。体格が良く、顔付きも野性的であるため、周囲からはクロマニョン人に由来するマニヨンという仇名で呼ばれる。親しい友人からはゴリラ面と呼ばれることもあった。そうした外見ながらHONDA GORILLAを購入したり、「人間魚雷」と書かれた特攻服をシャツインして「人間魚」と読ませて周囲を当惑させたり、「うまい蕎麦屋がある」と言って連れて行った先が立ち食いそば屋だったりと、少々間が抜けている。 普段の集会ではタカシやミッツのバイクの後部シートに収まっていたが、あるとき友人からZ400FXを借り受けて参加した。 集会自体は滞りなく終了したが、翌朝、バイクを返しにいく途上で交通事故に遭い死亡。マニヨンの死が、タカシを暴走族としていっそう先鋭化させることとなる。

カズヤ

タカシと同年齢のZEROSの構成員で、長髪で端整な顔付きをしている。姉の明川冴子がZEROS総長・桑原の恋人だったため、中学時代にも先輩から目をかけられており、またバイクの運転技術に長けていたためケツ持ちを任されていた。普段はクールで暴走族同士の抗争などからは一歩身を引いているが、あとになって火炎瓶を持って駆けつけるなど狂気的な面も。 中学生のときに親類のところで肉体労働をしてCB400Fourを購入。その後、スピードを求めて500SSマッハⅢに買い替えた際、CB400Fourをタカシに16万円で譲り渡した。高校へは進学せずレーサーを志望。ZEROSの活動からも、次第にフェードアウトしてゆく。

綾瀬 (あやせ)

ZEROSの構成員でタカシとは同年齢ながら、不良としては非常に気合が入っている。タカシの年代のリーダー的存在で、のちに桑原からZEROSを継ぐ総長に指名された。当初はハンパな覚悟のタカシを見下すような言動があったが、敵対チーム・極楽との抗争で気合を見せたことや、ある集会の後でともに任意出頭することになったタカシが警察に対して引かなかったことで、互いに深く信頼するように。 仲間が他の暴走族に傷つけられると必ず報復行動を起こす。タカシに敵対チームの枠を超えた族族大集会を提案されると、自らの引退にあわせるかたちで協力を快諾。最初に説得に訪れた紅皇帝総長・唐沢旭が難色を示すと、土下座で唐沢の面子を立てるという漢気を見せた。 族族大集会では普段の敵対チームが参加してくれたことへの敬意を示すため、紅皇帝の特攻服をまとい、極楽の鉢巻を着用。その姿には極楽総長の安藤も感嘆の声を上げた。実家は綾瀬商会という運送屋を営んでおり、ZEROS現役時代は綾瀬自身も働き、タカシに仕事を斡旋したことも。 しかしZEROS引退が近づくと、桑原に続く形でヤクザになることになり、般若の刺青を彫り込む。

ボンド

タカシたちの後輩にあたるが、ボクシングや柔道の経験があり、喧嘩の腕前ではタカシらを凌ぐ実力者。中学時代、勝手にZEROSの看板を背負って他の暴走族を襲撃するが、その行為が総長綾瀬の逆鱗に触れてしまう。出入り禁止を言い渡されるが、不満を持ったボンドはタカシに絡み、喧嘩で圧倒。 その事実を黙っていることと引き換えに綾瀬にとりなしてもらい、ZEROSに正式加入。その後はタカシのことを先輩として常に立てるようになる。実家は葬儀店を営んでおり、家庭不和になったタカシを大木家で寝泊まりさせた。シンジが出演するライブハウスで出会った矢口久美子と恋人になるが、のちに久美子が妊娠すると堕胎を求めたため破局する。 その際、久美子から辛辣な言葉をかけられ、男としての自信を喪失。気合を入れなおすため、族族大集会が成功に終わって友好ムード漂うZEROSを最強の暴走族にするため、強権的な方向性に導こうとする。名字が大木というだけの理由で、綾瀬によりボンドという仇名がつけられた。

シンジ

ZEROS横浜支部に所属していたが、横浜ではZEROSの活動は盛んでなく開店休業状態だった。愛車はKH250。マニヨンたちの追悼集会を成功させようと奔走するタカシからアプローチを受け、ZEROS本部に出入りするようになる。筋を通す性格で、タカシの信頼を獲得。 タカシやボンドと一緒に行動することが多くなった。あるときの集会でヤクザとトラブルになり、後日シンジ一人が拉致されてしまう。そんな状況下でも仲間を売ることはなく、しかも解放されたのちにその事実すら口にすることはなかった義理堅い男。暴走族と同時にバンド活動もしており、最初はなかなか芽が出なかったが、のちに自身が歩むべき音楽の方向性が定まった。 それからはZEROSから足が遠のく。喧嘩ではカンフーを駆使し、ジーン・シモンズを意識した火吹きが得意技。

新美 康一 (にいみ こういち)

マニヨンと同じ高校に通っていた縁でZEROSに入隊した。愛車はGS。同性愛の気があり、カズヤやマニヨンに熱い視線を送る。ある集会明けの早朝、マニヨンとともにトラックとの交通事故に遭い死亡。

桜井 忠 (さくらい ただし)

ZEROSの構成員。タカシの同期で、ZEROS幹部を務める。地元は大井でタカシと普段からつるんでいるわけではないが、族族大集会への協力を求めるために極楽の集会にタカシが参加する際には同行するなど、付き合いは良い。裕福な家庭に育ち、自宅は豪邸。族族大集会後に逮捕されたのち保護観察となり鑑別所から出所したタカシがボンドと揉めると、タカシを快く自宅で寝泊まりさせた。 不良たちに対しても色眼鏡なしで応対する祖母がいる。作中で名字は櫻井と表記されることも。

磯貝 (いそがい)

ZEROSの構成員。タカシの同期で、ZEROS幹部を務める。粗暴な性格をしており喧嘩っ早く、抗争が勃発すると喜び勇んで首を突っ込む。一方、仲間思いの面もあり、族族大集会実現のため極楽の集会に参加することになったタカシに、同行を自分から申し出た。普段は同じ大井が地元の桜井とつるんでいることが多い。

マコ

ZEROSの構成員。中学時代からZEROSの集会に顔を出すが、比較的軽い気持ちで参加している。ぬるい発言をして、総長就任前の綾瀬にいびられたことも。同じ中学のカズヤと親しく、集会ではカズヤの後部シートに収まることが多い。

桑原 (くわはら)

中学生のタカシたちがZEROSに所属するようになったときの総長。カズヤの姉・明川冴子と付き合っている。数十人が待ち受けるところに一人で殴り込もうとしたり、日本刀を持った相手にもためらわず立ち向かったりなど、太い肝の持ち主。ZEROS引退後は暴力団のフロント企業・MK興業に入り、ヤクザになった。 その後もタカシに事務所の留守番を命じたり、ZEROSがヤクザとトラブルになったときに仲裁に入ったりなど、たびたび登場する。

石川 翔子 (いしかわ しょうこ)

タカシの笠原第二中学の同級生で、不良ではないがZEROSの集会の見学に来るなど暴走族に興味は持っていた。中学校時代にタカシと付き合うようになり、別々の高校に進学してからも関係はしばらく続く。しかし父親から不良のタカシとの交際を反対され、次第にぎくしゃくしてしまう。タカシがユーコと出会い、付き合うこととなり別れた。 ただしその後も、タカシにとって暴走族ではない普通の世界の象徴として、作中にいくたびか登場する。

ユーコ

明川冴子が切り盛りするパブ・カレンでホステスを務める。ZEROSと極楽の抗争の際、冴子の自宅でタカシと知り合い、のちに交際へと発展。タカシの初めての相手となった。中学時代の男性関係は激しく、複数回の堕胎経験があると噂されている。また、雑誌でヌードグラビアのバイトをした経験も。 のちにかつての恋人でヤクザになった菊澤コージが登場したことで、タカシとギクシャクしはじめる。さらにタカシの親友であるマニヨンと新美康一が事故死した際にすぐに連絡がつかなかったことが決定打となり、タカシとの関係に終止符が打たれた。

大山 しのぶ (おおやま しのぶ)

マニヨンの彼女。もともとはサーファーだったが、マニヨンと付き合うようになってからは暴走族の世界に近づく。マニヨンのGORILLAを借りて事故に遭い、心配した両親からマニヨンとの付き合いを禁じられるが、自宅を抜け出すなどしてマニヨンとの関係を保ち続けた。マニヨンが事故死したのちは、タカシたちZEROSメンバーとの交流は途絶える。 マニヨンにそっくりの猿顔。

矢口 久美子 (やぐち くみこ)

シンジのバンドが出演するライブハウスに来店していたことがきっかけで、タカシらZEROSメンバーと知り合う。暴走族に興味を持ち、ZEROSの溜まり場に顔を出すように。タカシに好意を寄せていたが、ボンドに告白され、これを受諾。しかしその後、ボンドの子供を身籠った際、堕胎するよう言われたことで、痛烈な言葉とともにボンドとの関係に終止符を打ち、一人で子供を産み育てることを決意した。 自身も母子家庭で育ち、パンクをこよなく愛する。

明川 冴子 (あけがわ さえこ)

カズヤの姉で、ZEROS総長・桑原の彼女。パブ・カレンを切り盛りしている。美貌の持ち主でありながら肝は座っており、ZEROSの敵対チーム・極楽総長・安藤に拉致されかけた際も、機転を利かせて逃げ出すことに成功した。またそのとき、自分を守ろうと勇気を振り絞って極楽に立ち向かったタカシを評価。 桑原がZEROSを引退し、ヤクザになったのちも付き合いは続き、のちに「姐さん」と呼ばれる存在に。

ジャイアン

ボンドの従兄弟。もともとは真面目な優等生だったが、好きな女に振り向いてもらうために不良になりたいと考え、ボンドに頼み込んで、タカシらと行動を共にするように。198cm102kgという巨漢のため、シンジによってジャイアンというアダ名をつけられた。ZEROSの集会に初めて参加した際、暴走族同士の抗争に巻き込まれ負傷。 結局ジャイアンの恋が実ることはなかった。その後、名古屋でスパルタ教育を行うヨットスクールに入れられ、人づてでボンドに助けを求める。父親は弁護士。

岩田 亮介 (いわた りょうすけ)

横浜の暴走族・CYCLONEのリーダーで、空手の腕前は達人級。自分の容姿を気にしており、それを隠すため常にショッカーの覆面を被り、地獄大使を名乗っていた。発言は「イーッ」のみで、命令は筆談で行うなど徹底している。ZEROSの集会時にCYCLONEがかち合ったことで、タカシらにその存在が認識された。 岩田の振る舞いに興味を持ったタカシが接近するが、岩田はこれを拒絶する。その晩、ひとりでバイクを走らせていたところ事故に遭い即死。岩田死亡の情報とともに、岩田の父親が自殺していて天涯孤独の身であったことがタカシらに伝えられる。

シンヤ

ミッツの実兄で、タカシらのZEROSの先輩にあたる。喧嘩相手を道路上でバックドロップするなど、凶暴な男として有名。自分自身は高校進学していないが、ミッツが高校に合格するとZ400FXを譲り渡すなど弟思いな一面も。タカシらがきっかけになって始まった敵対チーム・極楽との抗争の際、買ったばかりのケンメリを破壊された上、自身も病院送りにされる。 その後は第一線から退いて丸くなるが、その様子をタカシは批判的に見ていた。ZEROS引退後は浜松で就職。

ゲラコ

ZEROSの構成員で、タカシらの先輩にあたる。シンヤと親しく、行動をともにすることが多い。ZEROSの集会の見学に赴いたタカシを後部シートに乗せ、初めての暴走行為を経験させた。その後、家庭内暴力を振るったため少年院に入院。退院後、再びZEROSとして行動するが、タカシらがきっかけになって始まった敵対チーム・極楽との抗争の際、極楽総長の安藤に脅され、ZEROS総長・桑原の彼女である明川冴子の居場所を明かしてしまう。 その後、行方をくらました(ただしマニヨンの葬儀に参列する様子が描かれている)。ゲラコという名前は、ゲラコが「笑子」(えみこ)という女性の名前を「ゲラコ」と読んだことからついたアダ名で、本名は不明。

安藤 (あんどう)

足立区を本拠地にする暴走族・極楽の総長。軍歌を愛好し、「族狩り」を行う凶悪な極楽をまとめあげる。物語序盤、タカシの軽率な行動で、ZEROSと極楽が抗争になった際、自ら品川に乗り込んでマニヨンの拉致・暴行、シンヤへの暴行、冴子の拉致未遂などを行った。 綾瀬がZEROS総長となった時代には直接衝突することはなかったが、タカシが族族大集会の実現を夢想するようになった物語後半で再登場。タカシの熱い気持ちを受け入れ、族族大集会に協力するようになる。

唐沢 旭 (からさわ あきら)

世田谷区を本拠地にする暴走族・紅皇帝の総長。タカシが企画する族族大集会への参加を求められるが、当初は無理難題を押し付けることで拒否しようとする。しかしZEROS総長の綾瀬が土下座をしたことで、その漢気に打たれ協力を約束。以降は極楽総長・安藤の説得のため、タカシや綾瀬とともに極楽の本拠地である北千住に赴いた。

石黒 (いしぐろ)

暴走族・紅皇帝のメンバー。中学時代のタカシがゲラコのバイクの後部シートに乗って初めてZEROSの集会に参加した際、交通機動隊に追われたゲラコが隊列を離脱して逃げ込んだ公園に仲間数人とともにたむろしていた。ゲラコはタカシを見捨てて逃げたため、タカシがひとりで集団暴行を受けていたところ、暴行には加わっていなかった石黒が、タカシの顔面にマジックで落書き。 タカシに恐怖と屈辱を感じさせた。のちに代替わりしたZEROSと紅皇帝が抗争した際、ボンド、桜井、磯貝らと紅皇帝の地元・世田谷に乗り込んだタカシと再会する。

吉沢 新一 (よしざわ しんいち)

族族大集会終了後に逮捕されたタカシが、鑑別所の雑居房で同室となり出会う。それまで周囲にいた人間と違う冷めた目を持っていることに興味を抱いたタカシから、罪状などを問われる。自身では妻子持ちで、家族旅行に行くために詐欺・窃盗を行ったと主張するが、実は女性につきまとい相手にされなかったために背後から刺すという傷害を行っていた。 その事実を鑑別所職員がタカシに伝え、またタカシに伝えたことを同じ鑑別所職員が吉沢に知らせる。さらに鑑別所職員が、タカシが吉沢への侮辱的発言を言ったと嘘をついたため、静かな怒りに燃えた吉沢が、就寝後のタカシを襲撃。結果、雑居房から独房へと移されることになった。 しかし祖父が国会議員だったため、罪に問われることなく鑑別所から出所する。

タカシの母 (たかしのはは)

タカシの素行不良を心配して、中野から品川に引っ越しをするが、結局暴走族として活動するようになってしまったことに心を痛める。ただ、タカシが中学生のころは一定の理解を示し、タカシが私立恵比寿高校に合格した際には涙を流して喜んだ。しかし、高校に進学したタカシはいっそうZEROSに傾倒するようになり、諦めの色が漂うように。 一方、夫も帰宅しなくなり、警察に捜索願を提出。時を同じくして夫に多額の借金があることを知る。結局、離婚して品川から引っ越すことになるが、タカシが一緒にいくこと拒んだため、新丸子のアパートで一人暮らしをするように。

タカシの父 (たかしのちち)

風采の上がらないサラリーマン。妻とタカシとともに品川に引っ越してくる。タカシがZEROSに情熱を傾けるようになり、自宅に寄り付かなくなるのと時を同じくして、タカシの父も家に帰らなくなる。家族には内緒で会社をやめ、独立しようと計画していたが、直前になって仲間が二の足を踏んだため、ひとり多額の借金を背負うことになってしまっていた。 これを告白できずにいたため帰宅を避けていたが、のちに覚悟を決めて家に戻る。その後、妻との話し合いの結果、離婚を選択。タカシが幼いころは、タカシを野球選手にしたいと思いキャッチボールなどを仕込んだ。タカシが暴走族にのめり込んでいることに関しては、決して好もしく思ってはいないものの、一定の理解を示す。

本山 (もとやま)

出版社・金星出版で雑誌記者を務める女性。タカシが企画した族族大集会を記事にするため、タカシのほか、ZEROS総長の綾瀬、紅皇帝総長の唐沢旭、極楽総長の安藤を取材する。タカシらには調子を合わせながら、一方で警察に圧力をかけられ情報を流しもした。 族族大集会当日も現地取材を行うが、タカシに出演料として有り金をすべて巻き上げられる。

原島 (はらしま)

品川区大井に居を構えるヤクザ。舎弟の残尿(仇名。本名不明)とともに常にラーメンばかり食していることから、ラーメンブラザースと呼ばれている。ZEROS集会の騒音に激怒し、430セドリックで道路を逆走し、タカシがボンドとシンジで3人乗りしていたCB400Fourに正面衝突してきた。 しかし原島は泥酔しており記憶がなく、相手が突っ込んできたと思い、責任を取らそうと犯人を捜索、シンジを拉致する。シンジに性病をうつそうとしたのち、430セドリックの修理代として50万円を要求した。覚せい剤中毒者であり、同業者である近隣のヤクザの間でも何をするかわからない危険な男として有名。 ZEROS幹部から相談を受けた前代総長の桑原が仲裁に入ったことで、トラブルは収束した。

イベント・出来事

族族大集会 (ぞくぞくだいしゅうかい)

『爆音列島』で催されたイベント。タカシが主催した暴走族の大規模集会。その背景には、道路交通法の改正がある。物語が始まる1980年から2年遡る1978年に、道路交通法に暴走族対策として共同危険行為の禁止規定が設けられたため、タカシたちの先輩の時代に行われていたバイク1000台規模の集会は行われなくなっていた。 ZEROSの構成員、さらに幹部としてさまざまな経験をしたタカシは、暴走族としての本懐は抗争やありきたりの集会ではなく、対立構造の垣根を越えた集会にあると夢見るようになる。事故死したZEROSメンバーのマニヨンと新美康一の一周忌に合わせ、この大規模集会を族族大集会と命名したタカシは、ZEROSの敵対チームである紅皇帝や極楽の総長を説き伏せ、協力をとりつけることに成功。 この実現によってタカシは、自身の暴走族人生にひとつの区切りをつける。

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