猫ヶ原

猫ヶ原

武井宏之が講談社へ移籍後、初の連載となった作品。猫たちが人のように生きる江戸時代風の日本を舞台に、飼い猫の証(あかし)である鈴を太刀にぶら下げながら、野良猫として一人旅を続ける侍、ノラ千代の生き様を描いたアクション時代劇。講談社「少年マガジンエッジ」創刊号である2015年10月号から2018年5月号にかけて連載された作品。2016年11月にコーエーテクモゲームスのスマートフォンゲーム『のぶニャがの野望』とコラボレーションしており、これを記念した特別読切が講談社「週刊少年マガジン」2016年20号に掲載された。

正式名称
猫ヶ原
ふりがな
ねこがはら
作者
ジャンル
バトル
 
動物擬人化
レーベル
マガジンエッジKC(講談社)
巻数
既刊5巻
関連商品
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擬人化された猫が主人公の時代劇

武井宏之の代表作『シャーマンキング』をはじめとする過去作品とは異なり、本作は獣人のように擬人化された猫を主人公にしている。人間の存在も明らかにされているが、登場人物の大半は服をまとった二足歩行する猫たちで、茶店で商売をしたり地主として年貢を取り立てるなど、まるで人間のような生活を送っている。猫たちにとって人間は神のような存在であり、作中では「ヒト様」と呼ばれている。人に飼われる飼い猫はその証として鈴を身につけており、野良猫からは自由と引き換えに贅沢(ぜいたく)に暮らす貴族のような特別な存在とされ、あこがれられている。また作中に登場する用語・人物名・地名が、「猫相書(にゃんそうがき)」や「近ミャ国(おうみゃのくに)」など、猫に関する言葉や実在の猫種をもじった、ユニークなネーミングになっているのも特徴。

孤高の剣士・ノラ千代が悪を斬る

ひとまず戦乱の終えた荒廃した日本で、さすらいの野良侍として放浪するノラ千代は、飼い猫だった証である家紋付きの鈴を付けているために、行く先々でケンカを売られている。侍らしい佇(たたず)まいの無頼漢で、どんな時でも野良の意地を忘れていないが、主人を守るため敵対するヒト様に飛びかかり嚙み殺したことから「神殺しのノラ千代」の異名を持ち、太刀で無双するほどの強さの裏に隠れた脆(もろ)さを見せることもある。そんなノラ千代は、悪と見なした相手や不埒)(ふらち)な輩(やから)は容赦なく斬り捨てる。人間が猫たちから神のように崇(あが)められている独特な世界観が、和風ファンタジーやバトルアクションを交えてスタイリッシュなタッチで描かれる。

ほかの猫たちに追われるノラ千代

綺麗事ばかりの美形剣士、農江獅子若や、マタタビで街を支配する極道のドラ息子、雨村ショー斗に目を付けられたノラ千代は、悪にも正義にも属さず己の信念に従って生き、危険を顧みず死に場所を探す一人旅を続けていた。一部の猫たちから極悪人扱いされるノラ千代は、行く先々で敵を作り、秘密捜査員「秘密同心」や忍者に似た暗殺組織「凄手衆」からも追われる身となる。特に秘密同心を率いる尻矢アビ平は、ノラ千代の子猫時代からの過去を知っている数少ない猫である。未(いま)だに赤武者の悪夢にうなされるノラ千代の秘密、彼の主人であった戦国武将の石鯛津成の人物像など、当初は謎に包まれていたノラ千代の過去がストーリーの進行と共に明らかになる。

登場人物・キャラクター

ノラ千代 (のらちよ)

野良侍として放浪している中年男性。和服をまとった白猫の姿をしており、右目には大きな十文字の傷跡がある。野良を名乗っているが、体に見合わない太刀(たち)を携え、飼い猫の証である鈴をぶら下げている。善と見なした者には優しく接するが、不埒と見なした相手は容赦なく斬り捨てる。口癖は「南無(にゃむ)」。かつての戦乱の世で有名な武将の人間、石鯛津成に飼われていたが、津成を襲った赤武者を嚙み殺して以来、津成の使っていた太刀「虎燵(こたつ)」を引き継ぎ、死に場所を探すための旅を続けている。赤武者の襲撃がトラウマとなり、寝るたびに悪夢を見ている。気配を消して米粒一つで野鳥を狩る術を身につけているため、野良生活を続けていても食べ物には困ったことはない。一部の猫からは極悪人として指名手配されているため、行く先々で秘密同心の尻矢アビ平をはじめとするさまざまな猫たちに追われている。

雨村 ショー斗 (あめむら しょーと)

とある町を仕切る極道猫、雨村利寛のドラ息子。アメリカンショートヘアに似た体毛を持つ猫の姿をしており、首に大きなけん玉をぶら下げている。ガラの悪い舎弟を引き連れ、父親の権威を振りかざして居丈高に振る舞う典型的な七光り。利寛の圧政のもと、猫たちにとっては危険道楽とされるマタタビを売りさばいている。そんな中、ノラ千代にケンカを売って返り討ちにされ、舎弟たちも斬り殺されたことから、ノラ千代を逆恨みして復讐(ふくしゅう)の機会を窺(うかが)っている。その後、ノラ千代を追う正義の美剣士、農江獅子若にそそのかされて暗殺を目論むが、ノラ千代との戦いの中で、彼の仇(かたき)が利寛の主人であるシャケ皮だと知る。武器として刀も使用するが、本来の武器は幼少期から使っていたけん玉で、糸の部分まで巧みにあやつる。

書誌情報

猫ヶ原 5巻 講談社〈マガジンエッジKC〉

第1巻

(2016-04-15発行、 978-4063910018)

第2巻

(2016-11-17発行、 978-4063910384)

第3巻

(2017-06-16発行、 978-4063910773)

第4巻

(2018-05-17発行、 978-4065113288)

第5巻

(2018-05-17発行、 978-4065113295)

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