この世とあの世をつなぐシャーマン
本作『シャーマンキング0』は、集英社「週刊少年ジャンプ」で連載された『シャーマンキング』の前日譚に当たる作品で、シャーマンキングのメインキャラクターだった麻倉葉やハオ、道蓮、ホロホロたちの、シャーマンファイトに挑む前の姿が描かれている。本作に登場する「シャーマン」はこの世とあの世をつなぐ者で、幽霊や精霊たちをパートナーとして、その力を借り受けることができる。『シャーマンキング』の前日譚ということもあり、登場人物たちが初めて自分の力に向き合った瞬間や悩みをはじめ、パートナーである霊たちへの秘められた思いが綴られている。
それぞれの過去が明らかになる
本作のエピソードはそれぞれ独立したオムニバス形式で、本編最後で活躍した五人の戦士をはじめ、意外なキャラクターに焦点を当てた話も存在する。なお、五人の戦士の中で唯一チョコラブ・マクダネルだけは、人気投票でダントツ最下位だったことに加え、本編で散々過去を掘り下げたためにこれ以上掘り下げる余地がないという理由で省かれている。また、各エピソードのタイトルは「ニュー・シマネ・パラダイス」「たんす WITH WOLVES」「摩多川アンダーザブリッジ」など、映画のタイトルをもじったものとなっている。
シャーマンキングファン必見
本作は『シャーマンキング』の前日譚にあたるのと同時に、続編である『シャーマンキングFLOWERS』につながる部分も多く、「シャーマンキング」シリーズファンなら随所に散りばめられたテイストに思わずニヤリとさせられる構成となっている。また同時に武井宏之の過去作であり、『シャーマンキング』とも深い関わりのある『仏ゾーン』の登場人物が登場するエピソードもあり、武井宏之ファンなら必見の内容となっている。
登場人物・キャラクター
麻倉 葉 (あさくら よう)
霊の力を行使する「シャーマン」の男子小学生。数年後のゆるい雰囲気はかけらもなく、「みんながキライ」と公言し、好きな歌手であるBOBの曲を聞きながら一人で過ごすことが多い。日本のシャーマン一族の名門「麻倉家」の跡取り息子だが、自分の力を持て余し気味で、シャーマンファイトに参加することにも否定的。一人になれる場所を探しているうちに、駅のホームのベンチに座っている地縛霊のおねえさんと出会い、彼女と語らう中で流行に流されることへの愚かさや、友達について考えるようになる。おねえさんの最期を見送るため、彼女の思い人である島根のジョーをイタコに口寄せしてもらい、憑依合体させて盛大なコンサートを開いた。この出来事をきっかけに孤立していた学校でも居場所を見つけ、物事を前向きに考えるようになった。
ベンチのおねえさん
地縛霊の少女。本名は不明で、長く伸ばした髪をおさげにしている。享年は16歳。50年以上前から出雲大社前駅のホームのベンチに座り、戦争に行った恋人の帰りをずっと待ち続けている。人には無害な霊だが、地縛霊は悪霊化する可能性が高いため、シャーマンに見つかるとすぐに除霊されてしまう。そのため、麻倉葉はベンチのおねえさんのことを周囲に秘密にしている。可憐な容姿ながら芯は非常に強く、アメリカのカントリー曲が好きだった思い人・島根のジョーの影響で陽気なアメリカ音楽が好きになった。しかしアメリカとの戦争が始まってからは音楽をはじめ、アメリカの文化まで否定する空気が蔓延し、その熱狂に浮かされる民衆を間近で見てきた。この経験から流行に流され、思考を放棄する愚かさを知り、葉が思い悩んでいることにも共感を示した。そんな中、自分の存在が人間にバレて除霊されることになったが、除霊直前に葉がおねえさんの思い人である島根のジョーの霊を連れてきてコンサートを開いたことで、笑顔で成仏した。
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