異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

むらさきゆきやの小説『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』のコミカライズ作品。ゲーマーの青年の坂本拓真は異世界に召喚されるものの、人見知り過ぎてまともに人と話すことができず、ゲームのキャラクターである魔王ディアヴロになりきって異世界を冒険することとなった。なりきり魔王が異世界に嵐を巻き起こす姿を描く、異世界ファンタジー冒険譚。「水曜日のシリウス」で2015年6月24日から配信の作品。2018年7月、2021年4月にTVアニメ化。

正式名称
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
ふりがな
いせかいまおうとしょうかんしょうじょのどれいまじゅつ
原作者
むらさき ゆきや
漫画
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
レーベル
シリウスKC(講談社)
巻数
既刊24巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

召喚されてみれば

ゲーマーの青年の坂本拓真は、MMORPG「クロスレヴェリ」で最強のプレイヤー「ディアヴロ」として君臨していた。そんな拓真はある日、目を覚ますとディアヴロの姿で異世界に召喚されていた。自分を召喚したのは二人の少女、レム・ガレウシェラ・L・グリーンウッドで、彼女たちはそれぞれの理由で力を欲しており、偶然同じタイミングでディアヴロを召喚したのだ。二人の少女は拓真を取り合いになるものの、実は拓真は生来の人見知りで、女の子相手にどう接していいかわからないでいた。辛うじて魔王ディアヴロになりきることで二人と会話を始めるが、ディアヴロは二人の召喚獣を従わせる「隷従の魔術」を無意識のうちに跳ね返し、二人を奴隷にしてしまう。ディアヴロも二人の少女も、隷従の魔術の解呪方法がわからないため、一行はその魔術を解くまでのあいだ行動を共にすることとなる。ディアヴロはファルトラの街でレム、シェラと話し合いをするものの、レムは何か隠し事をしているのに気づく。重要な秘密が、そこにあると察したディアヴロはレムから秘密を強引に聞き出し、彼女の中に魔王クレブスクルムの魂が封じられていることを知る。レムはその秘密のせいで周囲の人から距離を取られがちだったが、ディアヴロはそんな彼女に魔王の魂を自分が打ち倒すと約束。初めての理解者を得たことで、レムはディアヴロに心を許し始めるのだった。

冒険者をやってみる

異世界にやって来たディアヴロは、ファルトラの有力者のセレスティーヌ・ボードレールと話す。しかし、その際の尊大な態度をセレスティーヌの取りまきであるガラクに見咎められる。ガラクに絡まれたディアヴロは、実力行使も辞さない様子のガラクに反撃し、撃退する。それと同時にディアヴロはゲームと同じく異世界でも自在に魔術をあやつれることを知り、この世界でのレベルを確認するために冒険者組合に赴く。組合でも誤解から冒険者のエミール・ビュシェルベルジェールに絡まれるというトラブルが起きるものの、無事に誤解を解いて和解する。そして組合でディアヴロはレベルを確認するも、レベルは測定不能だった。組合の長のシルヴィはそんなディアヴロを実力者と見抜き、彼に一つの依頼をする。ディアヴロは森のモンスター退治を受けるものの、同時にシルヴィから依頼に裏があるかもしれないと警告を受ける。その警告は当たっており、依頼は逆恨みしたガラクが出したもので、ディアヴロは待ち伏せしていたエルフの集団に襲われてしまう。実はシェラ・L・グリーンウッドはエルフの王女で、ディアヴロに奴隷にされたとエルフたちはガラクに吹き込まれていたのだ。ディアヴロはエルフたちを撃退して街に帰還。すべてはガラクの独断で行われたことで、事態を知ったセレスティーヌはガラクを魔術師協会から追放するとともに、ディアヴロたちに謝罪する。また、セレスティーヌは慰謝料を受け取らないディアヴロたちに一計を案じ、簡単かつ高額の依頼を出す。エルフとのいざこざ以降、急に距離を縮めたディアヴロとシェラを見て機嫌を悪くしたレム・ガレウはそっけなく、依頼は二人で片付けるように告げる。仕方なくディアヴロとシェラは二人で、依頼であるウルグ橋砦に差し入れのお使いに行くが、そこで彼らが砦の兵士から聞いたのは魔族の軍団が攻め入る知らせだった。

領主と会ってみる

レム・ガレウは街に残り、セレスティーヌ・ボードレールと話していたが、そこに再びガラクが現れる。自分勝手な思い込みで行動していたガラクは魔術師協会から追放されたことを逆恨みし、魔族グレゴールを街に招き入れる。レムたちは圧倒的な力を持つグレゴールを前に危機に陥るものの、そこにエミール・ビュシェルベルジェールが現れ、彼女たちを救う。一方、ディアヴロは魔族の大軍を前に、己の責務をまっとうしようとする砦の兵士たちの心意気に胸打たれ、彼らに力を貸すことを決める。魔族の実力者エデルガルトに苦戦するものの、彼女を倒し、魔族の大軍も極限魔術を使ってほとんどを戦闘不能にすることに成功する。そして、街が襲われている知らせを受け取ったディアヴロは即座に帰還。グレゴールを前に、満身創痍(そうい)となりつつも街と人々を守り切ったエミールを労いつつ、ディアヴロはその圧倒的な魔力でグレゴールを打ち倒す。難を逃れた一行であったが、そこにエルフの王国がシェラ・L・グリーンウッドを取り戻すため、領主に引き渡し要求が届いたという知らせが入る。下手をすれば人間とエルフのあいだで戦争になりかねない事態となったため、ディアヴロは情報収集のためにも、領主であるチェスター・レイ・ガルフォードと会うことを決める。しかしガルフォードは、エルフの要求にまじめに取り合う気がなく、ディアヴロに戦争回避の依頼を出すだけだった。国家騎士のアリシア・クリステラが力を貸してくれたものの、領主の力は借りられず、ディアヴロたちは自分たちの力だけでエルフの問題を解決することとなる。

戦争を回避してみる

ディアヴロのもとに、探していた隷従の魔術の解除方法が見つかった知らせが届き、ディアヴロたちはメディオスに教えを乞う。隷従の魔術は強固に練られており解呪は失敗するものの、ディアヴロはその副産物で魔力の流れを把握する術を身につける。ディアヴロたちはあらためてエルフとの問題に目を向けるが、そこにシェラ・L・グリーンウッドの兄であるキイラ・L・グリーンウッドが現れる。キイラは性格破綻者で、脅迫とも取れる言葉を一行に吐き、さらにはシェラを洗脳して強制的に連れ去ってしまう。シェラの態度の豹変に大きなショックを受けるディアヴロだったが、レム・ガレウの真っすぐな言葉を聞いて我に返り、シェラを救うため、キイラを倒すことを誓う。キイラは森にエルフの軍勢を率いてやって来たが、ディアヴロは軍勢を撃破し、助けたシェラから本当の言葉を聞き、あらためて絆を確かめ合う。そして、ディアヴロに完全敗北したキイラは錯乱して逃亡するが、そこにチェスター・レイ・ガルフォードが現れ、キイラの息の根を止めるのだった。

戦争してみる

チェスター・レイ・ガルフォードは、最初から勝手な行動をするエルフを許すつもりはなく、エルフが領土に軍勢を侵入させたことを口実に、逆にエルフの国であるグリーンウッド王国に侵攻を開始するつもりだったのだ。ディアヴロは、シェラ・L・グリーンウッドを捕虜として捕えようとするガルフォードに反抗する。英雄とまでいわれたガルフォードはこれまでにない強敵で、ディアヴロは苦戦するものの、辛うじて撃退することに成功。アリシア・クリステラも国家騎士としてガルフォードの横行に苦言を呈し、分が悪いと察したガルフォードは撤退を宣言する。国王に報告に向かうアリシアと別れ、ディアヴロたちは元の日常に帰還する。ガルフォードに不利な報告をしようとするアリシアに、ガルフォードの手勢が襲い掛かるが、彼らは瞬く間に殺される。そして、実は裏で魔族とつながっていたアリシアはエデルガルトに、レム・ガレウに魔王の魂が眠っていることを伝える。アリシアの国王への報告も魔族たちにとって都合のよいものに差し替えられ、ディアヴロたちに静かに魔の手が忍び寄るのだった。

封印を解いてみる

ディアヴロたちは森で探索をしていたところ、彼らのもとにエデルガルトが訪れる。エデルガルトは戦う気はなく、レム・ガレウの中に魔王の魂があることを確認すると、魔王の復活への協力を申し出る。レムから魔王の魂を取り除きたいディアヴロは利害の一致から協力を約束し、3日後の夜、星降の塔で再び合流して復活の儀式を行うことを決める。街に戻ったディアヴロは、王都から戻ってきたアリシア・クリステラと合流し、約束の日に星降の塔に向かう。ディアヴロはエデルガルトの力を借り、魔王クレブスクルムを復活させ、レムを魔王の魂から解放することに成功する。そして魔王との対決となるが、クレブスクルムは中途半端な復活の仕方をしたせいで少女の姿をしており、記憶の大半も失っていた。レムたちと接する姿は見たままの年頃の少女で、クレブスクルムはシェラ・L・グリーンウッドからもらったビスケットを気に入ったのもあり、戦意を消失。エデルガルトもクレブスクルムの意思を尊重して戦うことを止め、一行は街へ戻ることとなる。

レムの話

ディアヴロたちは、クレブスクルムの正体を隠しながらファルトラの街で共に暮らし始める。クレブスクルムはレム・ガレウに懐き、ふつうの子供のように穏やかに暮らしていた。ディアヴロたちもクレブスクルムと、このまま平穏に暮らしていけると思い始めた頃、アリシア・クリステラがクレブスクルムとレムを連れ去る事件が発生する。アリシアは魔王崇拝者で、魔族に人間族を滅ぼしてもらいたいと強く願う屈折した願いを抱えていた。魔王を完全な形で復活させたいと思っていたアリシアは一計を案じ、レムに悪魔崇拝者の濡れ衣を着せ、残酷な性格をした聖騎士サドラーに彼女を突き出す。レムはクレブスクルムの目の前でサドラーに拷問され、致命傷を負ってしまう。親しい者が目の前で傷つけられることにクレブスクルムは強い憎悪を覚え、魔王として真の覚醒を果たす。そして、正気を失ったクレブスクルムはサドラーを殺害し、思うままにその絶大な魔王の力を振りまき始めるのだった。

魔王と魔王

ディアヴロは、覚醒したクレブスクルムのもとに駆け付ける。ディアヴロはわずかながらいっしょに過ごした時間を振り返り、クレブスクルムを元の少女に戻すべく戦う。クレブスクルムはディアヴロですら苦戦する圧倒的な力を持ち、ディアヴロは危機に陥りながらも逆転の一手を打ち、クレブスクルムに大ダメージを与える。そこにシェラ・L・グリーンウッドに救われ、辛うじて一命を取り留めたレム・ガレウが合流し、クレブスクルムを説得して彼女の正気を取り戻すことに成功する。事態は一件落着と思われたが、クレブスクルムが魔王であることがシルヴィにバレてしまい、またしても一行は危機に陥ってしまう。街を守るためにクレブスクルムを殺すか、クレブスクルムを守るために街と敵対するか、重い選択をせまられるディアヴロだったが、苦悩の果てに第三の道を選択。クレブスクルムに奴隷の魔術をかけ、ディアヴロに管理されるという形を取ることで、場をおさめることに成功する。一方、エデルガルトアリシア・クリステラは魔王覚醒の計画失敗の責任を取らされ、ほかの魔族たちから制裁を受けていた。重傷を負ったエデルガルトを救うため、アリシアは殺されるのを覚悟でディアヴロたちに接触する。

新しい街へ行ってみる

アリシア・クリステラエデルガルトが助かったのを見届けると、裏切りの贖罪のために自ら命を絶とうとする。すんでのところでディアヴロは止めるが、アリシアは錯乱するばかり。ディアヴロはその場しのぎの言葉をアリシアに掛けてなんとか説得するが、その言葉は明後日の方向に解釈され、アリシアは魔王ディアヴロの忠臣という新たな生き方を選ぶのだった。こうしてディアヴロたちは平穏な日常に戻り、新たな日々を過ごすこととなる。そしてある日、ディアヴロは新たな魔術の使い方を思い付き、森で実験していたところ、不思議な光の柱を見つける。ディアヴロが柱に近づいてみると、そこで聖騎士ゲイバルトに襲われる少女、ルマキーナ・ウエスエリアと出会う。問答無用に襲い掛かるゲイバルトを撃退し、ルマキーナから事情を聞いたところ、ルマキーナは教会の最高位の神官「大主神官」で、教会の不正を正そうとしたために権力を奪われ、殺されかけていたのだ。ルマキーナは聖騎士の中でも信頼できるバドゥタの協力を得ようと考えており、そのためにも彼が派遣されている辺境都市「ジルコンタワー」を目指していた。ルマキーナから事情を聞いたディアヴロたちはその境遇に同情し、力を貸すことを約束する。

追いかけてみる

ディアヴロたち一行は、ルマキーナ・ウエスエリアと共に辺境都市「ジルコンタワー」に向かう。ディアヴロはそこで冒険者の少年ホルンと出会い、自分の作ったダンジョンが新たに発見された話を聞く。また、街には告死病と呼ばれる病が流行っており、教会は人々の治療に当たるものの、人手不足で手が回らずに人心は疲弊していた。そんな中、ジルコンタワーに巨大モンスターのサンドホエールが襲来。ディアヴロはこれを迎撃に当たるが、巨大なサンドホエールはディアヴロの魔術でも倒しきれなかった。しかし、そこに聖騎士長のバドゥタと領主のファニス・ラムニテスが援護に駆け付け、サンドホエールを撃退する。モンスターを倒すことに成功するものの、バドゥタとファニスは利害関係から対立しており、モンスターとの戦いで力を示したディアヴロは否応なくその関係に巻き込まれていく。バドゥタはルマキーナを快く迎え入れ、ディアヴロたちを歓待する。ルマキーナは告死病は呪いであることに気づき、その調査をバドゥタにお願いするが、そこでバドゥタは態度を豹変。実は告死病の元凶はバドゥタで、流行病を流行らせることで寄付金を集めるという自作自演の悪行を行っていたのだ。バドゥタはディアヴロと離れて行動していたルマキーナとレム・ガレウを捕え、彼女たちを使って新たな告死病を発生させることをもくろむ。

ダンジョンを攻略してみる

ルマキーナ・ウエスエリアレム・ガレウはさらわれたが、その一連の行動は偶然、ホルンに目撃されており、彼が機転をきかせ、とっさにディアヴロに知らせたことで、ディアヴロはルマキーナたちの危機に駆け付けることに成功する。歴戦の強者であるバドゥタは力はもちろん、知恵でもディアヴロを翻弄し、ディアヴロは敗北一歩手前まで追い詰められるものの、バドゥタの慢心を突いて逆転する。しかしバドゥタは、死の間際にルマキーナに告死病を打ち込み、彼女の余命を幾ばくもないものとする。ルマキーナは告死病を治癒する力を持つが、その力は自分自身に使うことはできない。そのため、ディアヴロは告死病を治癒する秘宝を求めて、ホルンが言っていたダンジョンを攻略することとなる。ダンジョンはディアヴロが坂本拓真として現実世界でゲームをプレイしていた頃に作ったもので、ダンジョン奥にある宝物庫には病を治すアイテムが眠っているのだ。しかしバドゥタの騒動に加え、街ではファニス・ラムニテス魔族に襲われる事件が起きていた。ディアヴロを怪しんだファニスに行く手を阻まれるものの、ディアヴロはそれを振り切ってダンジョンを目指す。そして順調にダンジョンを攻略していくディアヴロだったが、攻略に予想以上に手間取り、ルマキーナを追うゲイバルトに追い付かれてしまう。ルマキーナにゲイバルトの凶刃がせまるが、ホルンはとっさに彼女をかばい、ダンジョンに流れる水路にゲイバルトと共に落ちるのだった。

仲間を助けてみる

ディアヴロはダンジョンの水路に落ちたホルンを救うため、自らも激流の中に身を投じる。そしてホルンを救ったディアヴロは、実はホルンが女性だったことに気づく。ディアヴロはホルンの身の上を聞きつつ、仲間との合流を目指してダンジョン奥地を目指す。一方、ルマキーナ・ウエスエリアレム・ガレウシェラ・L・グリーンウッドの三人はゲイバルトと遭遇するが、そこにダンジョンの12階のボスモンスターである巨大なドラゴン「ラージブラックドラゴン」が襲来する。ゲイバルトもラージブラックドラゴンにあっさり倒され、レムたちは逃げに徹しようとするが、ルマキーナは傷ついた者を見捨てられず、ゲイバルトの手当てに向かってしまう。逃げることもできず絶体絶命の危機に陥る一行であったが、そこにディアヴロが合流し、ラージブラックドラゴンに攻撃をする。ディアヴロの圧倒的な力に分が悪いと感じたラージブラックドラゴンは逃亡を始めるものの、その瞬間、ダンジョン奥より現れた少女にラージブラックドラゴンは惨殺される。少女ロゼはディアヴロがゲーム時代に配置した存在で、ディアヴロの姿を確認後、その帰還を喜びつつ一行に加わる。ロゼの案内で宝物庫にたどり着いた一行は無事に告死病を治す「白牛像」を手に入れ、ルマキーナを救うことに成功する。しかし一息つく間もなく、ディアヴロたちはジルコンタワー魔族の大軍に襲われているのを知り、街を守るために急きょ帰還する。

武器を使ってみる

ファニス・ラムニテスたちは魔族の大軍に襲われて危機に陥っていたが、間一髪でディアヴロが駆け付け、ファニスを救う。ディアヴロは宝物庫から強力な武器とポーションを持ち出し、次々と魔族を打ち倒していく。魔族を率いていたバナクネスはディアヴロを超えるレベル160の猛者だったが、武器と戦術を使いこなすディアヴロはあっさりバナクネスを撃破し、魔族との戦いで人間族を勝利へと導く。ジルコンタワーに凱旋したディアヴロ一行はファニスからも報奨を与えられ、バドゥタがいなくなったことで教会と領主の対立も解消される。しかし、当初のルマキーナ・ウエスエリアの目的であったバドゥタの力を借りることは結局果たせないままだった。また、魔族の動きが活発なことから、クレブスクルムに次ぐ新たな魔王が復活したと察したルマキーナは、人心を安定させるためにも王都の教会に戻ることを決心する。しかし、依然として王都の教会は陰謀うずまく魔窟のままで、ルマキーナの身を案じたディアヴロたちは彼女に同行することを決める。

関連作品

小説

本作『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』は、むらさきゆきやの小説『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』を原作としている。原作小説版は講談社ラノベ文庫より刊行され、イラストは鶴崎貴大が担当している。小説版も本作と同じく、MMORPG「クロスレヴェリ」をプレイしていた青年の坂本拓真が、ゲームのキャラクターであるディアヴロの姿で異世界に召喚され、魔王として振る舞う内容となっている。美少女との絡みが多く、お色気描写が多いのが特徴。

TVアニメ

2018年7月から9月にかけて、本作『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』の原作である小説版『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』のTVアニメ版第1期『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』がBSフジ、TOKYO MXほかで、2021年4月から6月にかけてTVアニメ版第2期『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』がBS-TBSほかで、それぞれ放送された。TVアニメ版も本作と同じく、異世界に召喚された人見知りすぎる青年が、魔王ディアヴロになりきって異世界を冒険するファンタジー作品となっている。第1期、第2期ともに原作小説版以上にお色気描写に力を入れており、TVアニメ版を「ぷち魔王ver.」とし、一部配信サイトではお色気描写を強化した「マジ魔王ver.」が配信されている。キャストは、ディアヴロを水中雅章、シェラ・L・グリーンウッドを芹澤優、レム・ガレウを和氣あず未が演じている。

登場人物・キャラクター

ディアヴロ

MMORPG「クロスレヴェリ」をプレイしていた際に異世界に召喚された青年。本名は「坂本拓真」。現実世界では友人がおらず、引きこもり一歩手前の生活を送っている。ゲームでは混魔族の銀髪青年「ディアヴロ」を使用しており、異世界にもディアヴロの姿と力で召喚される。極度の人見知りで、人を前にすると何を話したらいいかわからなくなる、自他共に認める「コミュ障」。人前に出ると「あー」「うー」しかしゃべることができないが、魔王になりきって話す「魔王ロールプレイ」を行うことで辛うじて他者とコミュニケーションを取ることができる。しかし、尊大で不遜な態度で話しかけるため、トラブルを招き寄せることも多い。異世界では「異世界の魔王」を自称していることから、その存在を危険視される場合もある。魔術反射の能力を持つ指輪「魔王の指輪」を所持し、魔術に対しては絶対的なアドバンテージを持つ。しかしそのせいで召喚された直後、レム・ガレウとシェラ・L・グリーンウッドがかけた隷従の魔術を反射し、二人を奴隷にしてしまう。二人を奴隷から解放するために行動を共にするようになったが、旅をするうちに絆を育み、それぞれが抱える問題にも踏み込んでいく。ふだんは魔王ロールプレイをしているため、傲岸不遜な性格と思われがちだが、根は小心者の善人。そのため、悪人でもトドメを刺すことができなかったり、仲間を見捨てられなかったりと、他者からは甘いと思われている。レベル150の魔術師の上位職業「殲滅魔術師」で火や水、闇といった属性をあやつる「元素魔術」を極めており、多彩な魔術を使いこなす。ゲーム時代も友人がいなかったが、単独にもかかわらず敵なしといわれたほどの猛者。ただ単に魔術でゴリ押しするのではなく、魔王の指輪をはじめとした装備の特性を理解し、それで駆け引きを行うことで格上の勝負にも勝利している。また、サブクラスに「調合師」を持っており、傷を癒やしたり、魔力を回復するポーションを作り出したりすることができる。

シェラ・L・グリーンウッド (しぇらえるぐりーんうっど)

エルフの金髪美少女。細身のエルフが多い中では珍しく巨乳の持ち主。自由奔放な明るい性格で、召喚士を目指して修行をしている。星降の塔でレム・ガレウといっしょに召喚術を使った際に、ディアヴロを召喚する。レムと召喚獣の取り合いをしつつ隷従の魔術をかけるが、ディアヴロの力で魔術を反射され、隷従の首輪をはめることとなる。以降、隷従の首輪をはずすためにディアヴロ、レムと行動を共にしているが、シェラ・L・グリーンウッド自身は初めての仲間との旅を楽しんでおり、ディアヴロたちを家族同然の存在と思っている。エルフの王国「グリーンウッド王国」と同じ名前を持つが、本人いわく「たまたま」。自己紹介で誤魔化しもせずに名乗ったせいで周囲にはバレバレだが、その正体はグリーンウッド王国の王女で、キイラ・L・グリーンウッドの妹。血筋にとらわれず己の力を試してみたいと思い、グリーンウッド王国を家出同然に出奔。故郷では弓使いとして天才的な腕を持っていたが、あえて召喚士としての一歩を歩み始めた。召喚士としての腕前はかなり低いが、召喚術でも天才的なセンスを発揮し、魔術の感知を天然で行ったりしている。父親はシェラの意思を尊重して家出に干渉していないが、兄のキイラはシェラに執着しており、のちにキイラによって洗脳され、ディアヴロたちと離れ離れとなってしまう。しかしディアヴロたちに助けられ、彼らとあらためて行動を共にすることを決める。戦闘では弓を使うため、ディアヴロたちと行動を共にするうちに弓使いとしての腕前がどんどん上がっている。また、クレブスクルムに弓を強化してもらったおかげで、射貫いた相手を石化する能力も得ているが、召喚士としてではなく弓使いとして強くなっているのはかなり不本意と思っている。

レム・ガレウ

豹人族(ひょうじんぞく)の14歳の少女。黒髪ロングヘアで、黒毛の豹の耳と尻尾が生えている。背は低く、華奢な体型をしている。努力家で、強くなるためにひたむきにがんばっている。召喚士として活動しており、星降の塔でシェラ・L・グリーンウッドといっしょに召喚術を使った際に、ディアヴロを召喚する。シェラと召喚獣の取り合いをしつつ隷従の魔術をかけるが、ディアヴロの力で魔術を反射され、隷従の首輪をはめることとなる。以降、隷従の首輪をはずすためにディアヴロ、レムと行動を共にすることとなる。特別な立場にある人間で、セレスティーヌ・ボードレールからも何かと気に掛けられている。過酷な運命を課せられており、その災難に巻き込まないように周囲に隠しているが、実は魔王クレブスクルムの魂を先祖代々、その身に封印するのを役目としている。己の身の内側に封印し、死んで肉体が朽ち果てると魔王が復活するとされているため、運命を悲観して自死することもできず、セレスティーヌたちも最大限レム・ガレウの身の安全に気を使っている。己の宿命から解放されるため、魔王を倒せるくらい強くなることを目指している。ディアヴロに強引に魔王の秘密を吐かされるが、魔王を倒すと約束してくれたディアヴロを強く信頼し、彼なら魔王を倒せるかもしれないと強く期待している。そのため、ディアヴロがエデルガルトと取り引きし、魔王の復活を行う際もディアヴロを信頼して彼に身を委ね、無事に魔王の魂から解放される。クレブスクルムに対しては複雑な感情を抱いていたが、無邪気な姿を見て次第に自分と同じく「自由を奪われた者」として共感を抱くようになり、クレブスクルムの保護者のような存在となっていく。戦闘では多彩な召喚獣をあやつって戦う。ディアヴロのダンジョン攻略後は、ディアヴロから宝物庫のアイテムをもらい、召喚獣を大幅に強化する。

クレブスクルム

レム・ガレウの中に封じられていた魔王。銀髪をツインテールにした少女の姿をしている。人に近しい姿をしているが、側頭部から大きな角が二本生えている。「魂の魔王」と呼ばれる存在だが、中途半端な復活をしたことから記憶をほとんど失い、魔王としての使命も忘れ去っている。見た目どおり無邪気で明るい性格をしている。一人称は「マオー」で、語尾に「なのだ」を付けてしゃべる。復活直後はおぼろげに覚えていた「人間族を滅ぼす」という目的を掲げていたが、その理由を完全に忘れていたため、シェラ・L・グリーンウッドとレム・ガレウの説得を受け入れて矛をおさめる。また、シェラの持っていたビスケットを食べて、その味の虜になり「人を殺さない」ことを決める。ビスケットを食べるために町に住むことを決め、ディアヴロたちに付いていき、ファルトラで住み始める。レムたちに懐き、彼女たちからは愛称の「クルム」で呼ばれている。町で平和に暮らしていたが、魔王の完全覚醒をもくろむアリシア・クリステラに騙され、レムを目の前で拷問される姿を見せつけられる。人間族への憎悪で魔王として覚醒し、巨大な黒い甲冑のような姿となり、正気を失って暴れ回る。魔王としての力は破格で、強力な魔術を難なく防ぐほどの高い防御能力を持つ。レムの懸命な説得によって正気を取り戻すものの、その正体がシルヴィにバレて危険視されたため、ディアヴロによって奴隷魔術をかけられ、彼の所有物となって管理されることで町で暮らすのを認められる。単独でも強大な力を持つが、魔王としての力の真価は自分以外の存在の強化で、魔族や魔物、装備すら強化することができる。シェラが自分たちと別行動する際には彼女の持つ弓を強化し、その性能を大幅に上げている。

エデルガルト

人間に近しい姿をしている魔族の女性。褐色の肌を持ち、淡い金色の髪をツーサイドアップにセットしている。単語を変に区切る独特の口調でしゃべる。竜を駆る「竜騎士(ドラゴンライダー)」で、槍を武器に戦う。槍の腕前は魔族の中でも屈指で、ディアヴロの見立てではレベル80以上はあるとされる。魔王に忠誠を誓っており、魔族の中でもいかなる派閥にも属さず、ただ魔王の復活とその意思に従うのを信条としている。当初はほかの魔族たちと協力して人間族を襲い、ディアヴロと敵対していたが、レム・ガレウの中にクレブスクルムが存在することを知り、ディアヴロと接触を図る。レムの中から魔王の魂を取り除きたいと考えるディアヴロと利害が一致し、彼らと協力してクレブスクルムを復活させる。よくも悪くも魔王第一の人物で、クレブスクルムが人間族と敵対しないことを決めるとそれに従っている。魔王崇拝者のアリシア・クリステラとは内通しており、アリシアのことは人間族だが信頼している。アリシアが魔王覚醒の計画をした際にも協力し、結果が失敗してアリシアがほかの魔族から制裁されかけた際も彼女を助けている。魔族からの制裁で瀕死の重傷を負うが、アリシアにクレブスクルムのもとにまで運ばれて九死に一生を得る。その後は、クレブスクルムの意に反した行動を取ったことを謝罪し、あらためて彼女に忠誠を誓っている。その後はクレブスクルムと共にファルトラの街で暮らしており、メイの協力でメイクで魔族であることを隠し、メイドとして働いている。

ルマキーナ・ウエスエリア

教会の最高位の神官「大主神官」の位に就く少女。透き通るようなプラチナブロンドをセミロングに伸ばし、金色の瞳を持つ。浮世離れした美少女で、白の神官服を身にまとっている。敬虔(けいけん)深く、強力な神の奇跡をあやつることから、神の寵愛を受けた聖女として信徒たちから絶大な人気を誇る。神官が数時間がかりで治療する告死病も瞬く間に治療するほどの力を持ち、その身に宿る力はディアヴロですら及ばないほど強大。ただし神の奇跡は自分に使うことはできず、ルマキーナ・ウエスエリア自身の傷はかすり傷程度であっても治すことはできない。神の視点は自分たち人間には理解できないほど長大なものと考えており、自助努力すべきという考えを持っている。そのため、すべてを神頼みにして思考停止することには否定的。清廉潔白な人物で、教会の不正や聖騎士の横行を正そうとしたが、その姿勢が仇となって教会から暗殺されそうになる。ゲイバルトに襲われるが、たまたま近くにいたディアヴロに助けられる。危機的状況を助けられたことでディアヴロを神とカンちがいし、彼を慕うようになる。その後、ルマキーナの考えに同調したディアヴロたちと行動を共にするようになる。強力な能力を持つが、人の悪意には慣れておらず、告死病の正体に気づきながら、バドゥタの裏切りにはギリギリまで気づかないなど抜けたところがある。一方で、明らかな悪人でも見捨てられない慈愛の持ち主で、のちにゲイバルトがラージブラックドラゴンに殺されかけた際も戦いの場にとどまり、ゲイバルトを治療することで彼の改心をうながしている。

ロゼ

魔導機(マギマティック)メイドの女性。長く伸ばしたピンク色の髪を二つ結びにし、メイド服を身につけている。MMORPG「クロスレヴェリ」で、ディアヴロが自分のダンジョンの最下層に配置した家具。ゲームではただ掃除をするだけの存在だったが、ダンジョンが異世界に転移したのをきっかけに一つの存在として自我を確立する。ディアヴロがダンジョンに帰還したあとは、彼の意に付き従う。ディアヴロには忠実だが、ほかの者に対しては辛らつに接し、ディアヴロの意に反する者は実力行使で排除する。戦闘能力は極めて高く、戦の場では巨大な機械の腕を召喚し、腕に巨大な武装をして戦う。その破壊力は絶大で、レベル140のラージブラックドラゴンを瞬殺するほど。非常に好戦的なため、ディアヴロもたびたびロゼの暴走には頭を痛めている。ゲーム時代はダンジョンから動かすことができなかったが、ディアヴロの道具として使われることで認識を改め、ダンジョンの外でも行動を共にするようになる。ディアヴロか拠点の魔力を燃料に動いており、ガス欠になると動かなくなる。また、人間ではないため、見た目に反してかなり重量がある。

ホルン

グラスウォーカーの少年。少しくすんだ金髪を短く切りそろえ、ウサギの耳と尻尾が生えた姿をしている。語尾に「っす」を付けるしゃべり方をする。貧乏な身の上のため、冒険者を生業としている。鍵開けや罠の解除を得意とする「探索者(シーカー)」だが、直接的な戦闘能力はないため、質の悪い冒険者たちに脅されて分け前を減らされがちで、不遇な日々を耐えながら過ごしている。ディアヴロと出会い、見つけたダンジョンの話をしたところ、偶然にもそのダンジョンはディアヴロが作ったもので、異様にダンジョンの構造に詳しいディアヴロに興味を持つ。また、レム・ガレウがバドゥタの手下にさらわれるのを目撃し、それをディアヴロに伝えた。その後、一刻も早くダンジョンを攻略しなければならなくなったディアヴロと利害が一致し、道先案内人を買って出る。実は女性で、グラスウォーカーは子供っぽいために実年齢がわかりづらいが、ホルンは12歳と見た目どおりの年齢。両親が急に行方不明となり、幼い二人の妹を守るため、偶然拾われた冒険者に弟子入りする。しかし、師匠と慕っていた冒険者とは一年前に死別。その後、妹たちは辛うじて商家に使用人として拾われたため、ホルン自身は自活するために冒険者となり、現在に至る。ふだんは男のフリをしているために「オレ」の一人称を使うが、素の一人称は「ウチ」。ディアヴロのダンジョンで、ゲイバルトに襲われたルマキーナ・ウエスエリアを助けるため、ゲイバルトと共に濁流激しい水路に飛び込む。その際にディアヴロに助けられ、女であることがバレる。その後はディアヴロに装備をもらい、女性らしい格好をするようになる。ダンジョン攻略後は、なし崩し的に魔族との戦争に巻き込まれ、ディアヴロたちの活躍によって殊勲者の一人に数えられる。しかし、ほかのメンバーに比べて活躍していないのを気にして、報奨金と装備を置いて一人姿を消そうとするが、ディアヴロに呼び止められ、彼らと行動を共にすることを決める。

アリシア・クリステラ

リフェリア王国で国家騎士の任に就く女性。暗めの赤い髪をストレートロングに伸ばし、眼鏡を掛けている。人当りよく、礼儀正しい才媛で、初対面の人ともすぐに打ち解けるため、ディアヴロからは自分と正反対の高い「コミュ力」を持っていると思われている。実はその生まじめすぎる性格から、人間族の汚さに嫌気が差しており、魔族に人間族を滅ぼしてもらいたいと考えている魔王崇拝者。エデルガルトと内通し、人間族の中にいる魔王クレブスクルムが封じられた器を探していた。ディアヴロと行動を共にするようになり、たまたまレム・ガレウが最良の器であると気づき、エデルガルトに報告。その後もディアヴロたちの味方を装いつつ、魔王の復活と覚醒のために暗躍した。クレブスクルムの覚醒のためにレムをサドラーに引き渡したりと暗躍を繰り返し、クレブスクルムの覚醒を成し遂げるが、ディアヴロによって完全覚醒は阻止される。失敗の責任を取らされ、ほかの魔族たちになぶり殺しにされかけるが、エデルガルトに助けられる。その後は自分の代わりに重傷を負ったエデルガルトを助けるため、半ば自暴自棄になってディアヴロの前に姿を現し、彼女の治療を願っている。ディアヴロが制裁しなかったため、自死するつもりだったが、ディアヴロの説得によって考え直し、彼の配下となる。ただし、ディアヴロの言葉を明後日の方向に解釈したため、ディアヴロが国家転覆を願っていると考えており、国家騎士としてリフェリア王国に潜入し、スパイ活動を始めている。また事業にも積極的で、かなりの資産を築いている。

エミール・ビュシェルベルジェール

冒険者協会(ギルド)に所属する剣士の男性。金髪を短く切りそろえ、派手な鎧を身にまとった伊達男。公衆の面前で「すべての女性の守護者」と自称するほどの女好き。女性の味方であることを信条とし、困っている女性を見るとすぐに手を差し伸べて助けるが、行き過ぎた行動も多いためにトラブルを起こすこともしばしば。レベル50で、協会に所属する冒険者の中でも屈指の実力を誇る。ディアヴロと初めて会った際、シェラ・L・グリーンウッドとレム・ガレウを無理やり奴隷にしていると思い込んで、彼に襲い掛かる。よくも悪くも生まじめな性格で、誤解が解けたあとはディアヴロに謝罪し、一方的にディアヴロを親友と認定している。女性が見ている前では決して倒れないと誓いを立てており、グレゴールに町が襲撃された際も、体を張ってレムや冒険者たちを守り続け、満身創痍(そうい)になりながらもディアヴロが来るまでの時間を稼ぎ、町の人々を救っている。

セレスティーヌ・ボードレール

ファルトラの魔術師協会の長を務める女性。青い髪を長く伸ばした妙齢の美女で、温和で落ち着いた性格をしている。ファルトラの街に魔族の侵入を阻む結界を張っており、街の守りの要ともいうべき人物。結界を張るためには街の中にずっといる必要があり、行動を制限されているが、使命感が強く、己の責務をまっとうしようとしている。また、魔術に関しては天才的な腕前を持ち、レム・ガレウの中に不穏な魔力を感じ、彼女の中に魔王が封じられていることを知っている。レムのことを心の底から心配しており、過酷な運命に翻弄されるレムを何かと気遣い、実の妹のように思っている。

シルヴィ

ファルトラの冒険者協会(ギルド)の会長を務める女性。種族はグラスウォーカー。小柄な桃色の髪をした少女の体に、ウサギの耳と尻尾が生えた姿をしている。布地の少ない煽情的な衣装を身にまとっている。一人称は「ボク」。種族的な特徴から見た目はかなり幼いが、実年齢はかなり高齢らしく、30年前の魔族との戦いにも参加している。拘束や沈黙など状態異常を使いこなす魔術師だが、それらの得意技を封じられてもさまざまな技を隠し持つ実力者。ふだんはおおらかで、魔族であろうと害がなければ受け入れる度量の深さを持つ。しかし裏切りを決して許さず、街に害があると判断したら不退転の覚悟で敵と戦う。クレブスクルムの覚醒の際にはチェスター・レイ・ガルフォードと交渉して市民の避難誘導を行い、ディアヴロたちを間接的に援護した。クレブスクルムが魔王であることに気づき、彼女の処分を行おうとするが、ディアヴロのむちゃくちゃな説得に根負けして、クレブスクルムに奴隷魔術をかけることを引き換えに見逃している。

メイ

ファルトラの宿屋「安心亭」の看板娘(アイドル)。種族は豹人族(ひょうじんぞく)で、茶髪をツーサイドアップにし、豹の耳と尻尾が生えている。メイド服とヘッドドレスを身につけ、明るく人当りのいい笑顔で接客する。やたらとハイテンションな口調で、語尾に「にゃ」を付けるしゃべり方をする。アイドルであることを自任し、愛嬌を振りまきながら客の要望も可能な限り受け入れるが、客の振る舞いが度を過ぎると笑顔が消え、底冷えするような形相で怒り出す。迷惑客に対してはいっさい容赦しないため、ディアヴロたちも部屋で騒ぎ過ぎては怒られている。ただし、宿屋の経営はかなり厳しいらしく、金勘定にはシビアで、賄賂を払えば大抵の問題は見て見ぬフリをしてくれる。グレゴールの襲撃で宿屋は壊れてしまうが、実は宿屋はチェーン展開しており、それ以降は二号店「安心亭 夕暮れ店」に客を移して働いている。ディアヴロが連れてきたクレブスクルムとエデルガルトが魔族であることを知るが、エデルガルトから大粒の宝石をもらってあっさり客として受け入れた。また、クレブスクルムとエデルガルトの正体がバレないように、積極的に二人の変装にも力を貸している。

ボリス

ウルグ橋砦で警備兵として働く青年。ディアヴロを初めて見た時から怪しんでいたが、知り合いのレム・ガレウとシェラ・L・グリーンウッドから話を聞き、ディアヴロのことを怪しみつつも信用した。ディアヴロが砦にお使いで再び訪れた時も、同僚たちに怪しまれたディアヴロを取りなしている。生まじめな性格で、魔族の大軍が目の前にせまり、死を目前にしても街を守るために戦い抜く覚悟を決めている。ディアヴロたちにも逃げるように警告するなど、自分のことより他人のことを優先する警備員の鑑のような人物。その心意気がディアヴロの心を動かし、ディアヴロはボリスたちを守るために魔族と戦う覚悟を決めた。

メディオス

ファルトラの奴隷屋「親愛なる旅人館」の主を務める女性。長い髪をひとまとめにした妙齢の美女で、露出度の高いドレスを身にまとっている。奴隷の売り買いを生業とするが、かなり良心的に商いを行っている。奴隷たちをきちんと管理し、大事にされる客に売るのを信条としている。奴隷という職業に思うところがないわけではないが、貧富の差がある以上割り切って仕事をしている。セレスティーヌ・ボードレールとは同じ師に魔術を習った姉妹弟子の関係で、セレスティーヌの紹介でやって来たディアヴロに奴隷魔術と魔力の流れを感知する方法を教えた。魔力の流れを感知する方法に関しては、セレスティーヌよりも3日早く覚えたのが自慢だったが、自分は12年掛けて血のにじむような思いをして覚えたにもかかわらず、ディアヴロはわずかな手ほどきで覚えてショックを受けている。

チェスター・レイ・ガルフォード

辺境都市「ファルトラ」の領主を務める男性。黒い髪とヒゲを整えた壮年の軍人で、高貴な者の証である白い軍服を身にまとっている。猛禽のような鋭い雰囲気を漂わせた古強者で、30年前の魔族との戦いを生き抜いた英雄でもある。合理的な性格で、領地の安寧のためならあらゆるものを利用する柔軟な思考と、犠牲をためらわない冷徹な判断力を持つ。キイラ・L・グリーンウッドからシェラ・L・グリーンウッドの身柄引き渡しを求められた際には、ディアヴロにエルフとの戦争の回避を依頼するだけでまともに取り合わなかった。実は初めから不穏な動きをするキイラを始末し、彼が取った行動を口実にグリーンウッド王国に侵攻を開始するつもりだった。ディアヴロたちを利用してキイラを始末し、シェラを捕虜に取ろうとするが、ディアヴロに邪魔をされる。レベル100を超える剣士としての力を持ちつつ、軍を指揮して戦う集団戦法のエキスパート。ディアヴロを苦戦させるが、彼がゲーム時代に編み出した戦法に敗れ去る。戦闘不能となるがディアヴロがトドメを刺さなかったため、見逃される形で撤退する。以降ディアヴロのことは危険視しつつも、実力は認めており、クレブスクルムが覚醒した際には市民の避難誘導を部下に指示し、間接的にディアヴロを援護している。

ファニス・ラムニテス

辺境都市「ジルコンタワー」の領主を務める女性。長く伸ばした赤い髪をシニヨンにまとめ、独特の色香を漂わせている。傲慢な性格で、一人称は「余」と領主にもかかわらず王様きどりの言動が目立つ。宗教家を詐欺師と同一視しており、国の決まりで教会は無税となっているにもかかわらず、国王の命令に背いて教会にも税を課し、バドゥタと対立している。国王の目の届かない地方都市で横暴に振る舞っているように見えて、治安の悪いジルコンタワーを守るために奔走し、魔族との戦いでは先陣切って戦っている。またバドゥタによれば、告死病の正体にもカンづき始めた様子で、教会を怪しんでいた。レベル100相当の「魔銃使い(マギガンナー)」で、飛翔魔法の宿ったマント「深紅の翼」を持ち、その戦闘能力は高い。ディアヴロたちのことを当初は怪しんでいたが、バナクネスに敗北しかかったところを助けられてからは一転して彼らを認め、領主として殊勲賞を与えている。ルマキーナ・ウエスエリアとも和解し、告死病を治療するルマキーナのために教会の制限を取り払っている。バナクネスとの戦いで魔王の軍勢には勝てないことを悟り、ディアヴロたちが街を離れるのに合わせて領民の避難を開始している。

ガラク

ファルトラの魔術師協会に所属する召喚士の男性。非常に傲慢な性格をしている。セレスティーヌ・ボードレールの取りまきの一人で、セレスティーヌを尊敬しているが、視野が狭く基本的に人の話を聞かない。相手の事情をおもんぱかることができず、亜人への差別意識も強いため、素行の悪いチンピラのような言動が目立つ。ディアヴロの魔王ロールプレイとはある意味相性最悪で、彼の言動に腹を立てて、街中でディアヴロに召喚獣をけしかける。しかし返り討ちに遭い、ディアヴロへの逆恨みから魔術師協会の名を使って冒険者協会に偽の依頼を出し、エルフを騙して彼を殺そうとした。度重なる不祥事と、協会の名を使ったことをセレスティーヌに咎められ、罷免される。セレスティーヌからは心を入れ替えることを期待されていたが、ガラクは自分の罪を認めず、周囲のすべてを逆恨みし、魔族のグレゴールと契約する。街には魔族の入れない結界が張り巡らされていたが、魔族からもらったナイフを己に突き刺し、自分の体を依り代に魔族へと変貌させることでグレゴールを街に招き入れることに成功する。

グレゴール

魔族の一人。トカゲの頭に大柄な体型で、トカゲ人間のような姿をしている。ふだんはファルトラの西にある人食いの森に暮らしており、ファルトラの街には結界に阻まれて入ることができなかった。しかし、街に恨みを持つガラクを唆し、己の力が宿ったナイフを彼に与える。ガラクがナイフで自死をしたことで、ガラクの肉体に憑依し、それを変貌させることで街中に侵入を果たす。結界を破壊するためにセレスティーヌ・ボードレールを殺そうとするが、レム・ガレウとエミール・ビュシェルベルジェールに阻まれる。残酷な性格で、人間族が絶望する姿を見るのが大好き。人食いの森で一番といわれる魔術師だが、人間が絶望する姿を見るためだけにあえて拳を使って戦い、得意げになった人間を魔術で蹂躙するのを何よりも好む。グレゴール自身の前に立ちふさがったエミールをいたぶるが、エミールに時間を稼がれて目的を果たせないまま、ディアヴロの到着を許してしまう。闇属性の元素魔術を得意とするが、魔術反射を持つディアヴロにはいっさい通用せず、逆にディアヴロの使った闇の元素魔術を見て圧倒的な力の差を思い知らされる。最期は命乞いをするものの聞き入れられず、闇の元素魔術「ナラク」で暗黒空間に吸い込まれて消滅した。

キイラ・L・グリーンウッド (きいらえるぐりーんうっど)

エルフの王国「グリーンウッド王国」の王子で、シェラ・L・グリーンウッドの兄。金髪の優男で容姿は整っているが、人を見下す傲慢な性格で、冷たい目をしている。一国の王子にもかかわらず柄が悪く、つねにケンカ腰でチンピラのような品のない行動が多い。幼い頃に優秀な兄を事故で亡くし、周囲から何かと優秀だった兄と比較されるため、現在は歪んだ性格へと変貌している。非常に自己中心的な考えの持ち主で、シェラを自分の所有物と公言し、家出した彼女を連れ戻すことを画策している。ファルトラの街でシェラを見つけた際には、シェラの引き渡しを求め、断るならば開戦も辞さぬとチェスター・レイ・ガルフォードに通達した。ファルトラの街にエルフの軍勢を潜入させ、ディアヴロたちを脅迫してシェラの引き渡しを再三要求した。しかしそれが効果がないとみると、人を洗脳する秘宝「糸人形の笛」でシェラの精神をあやつり、ディアヴロたちとの絆を引き裂き、彼女の身柄をさらう。シェラを助けに来たディアヴロに軍勢を撃退され、最後の手段で召喚獣「フォースヒュドラ」を呼ぶが、強力過ぎる召喚獣を制御することもできずにディアヴロに敗れ去る。最後はシェラの思いを汲んだディアヴロに見逃されるが、逃げている最中にガルフォードに首をはねられて死亡した。

オウロウ

魔族の一人。筋骨隆々とした体に、フクロウの頭と羽根を持つ。数いる魔族の中でも古株で、強い力を持ちながら慎重な性格をしている。過激派の魔族に対し、穏健派の魔族のトップに立ち、人間族にも攻撃を仕掛けることはない。ただ、平和主義者というわけではなく、ほかの魔族と変わらず人間族を敵視しており、魔王復活まで戦力を温存すべきと考えているだけで、魔王が復活したあかつきには人間族を滅ぼすつもりでいる。クレブスクルムの復活を察し、そのもとにはせ参じるが、クレブスクルムが予想以上に人間族に肩入れしているため、彼女を殺して新たな魔王を誕生させることをもくろむ。魔法と格闘戦を使いこなす強者で、見た目に似合わず機敏な動きをする。また己の力を過信せず、部下を使って不意打ちをしたり、不利を悟ると逃げに徹したりするなど、戦上手な一面を持つ。クレブスクルムを殺そうとしてディアヴロと戦うものの敗北し、そのまま逃亡した。

サドラー

教会に所属する聖騎士の一人で、人のよさそうな顔立ちの青年。しかし本性は残虐なサディストで、亜人への差別意識が強く、自分が怪しいと思った人物を悪魔崇拝者として拷問している。神に仕える聖騎士でありながら、裕福な家に生まれて恵まれた才能を持つ自分こそが神だと考える、非常に傲慢な性格をしている。己の使う無詠唱の魔術を「奇跡」、拷問を「救済」と平然と言い放ち、他者を傷つけることに微塵も罪悪感を感じない精神異常者。その異常性をアリシア・クリステラに利用され、レム・ガレウを魔族崇拝者と吹き込まれて拷問し、アリシアのもくろみどおりクレブスクルムを覚醒させる。元素魔術をあやつる魔術師だが、完全覚醒したクレブスクルムにはいっさい通用せず、そのまま死亡する。魔王の前にあっても神である自分が死ぬはずがないと思っており、死が目前となってようやく自分が神でないことに気づき、そのまま絶望して息絶えた。

バドゥタ

教会の聖騎士たちを束ねる「聖騎士長」の地位に就く高齢の男性。白いヒゲを蓄えており、チェスター・レイ・ガルフォードと同じく魔族との大戦を経験している古強者。厳格な性格をしており、聖騎士の模範として尊敬を集めている。現在はジルコンタワーの教会を預かる身となっているため、教会の中枢である枢教院と王都の聖騎士たちの不正には気づいていない。ルマキーナ・ウエスエリアからも信頼される人物として、教会の不正を正すべく、力を貸すように頼まれる。高潔な騎士の鑑とされていたが、実は堕落しきっており、教会を私物化して寄付金を集めて私腹を肥やしていた。ジルコンタワーの領主であるファニス・ラムニテスと対立しており、思うように寄付金が集まらないため、告死病を流行らせ、それを神の奇跡で治療するという自作自演の悪事まで行っていた。ルマキーナが予想以上に優秀で、告死病の発生源が特定されそうになったため、ルマキーナとレム・ガレウをさらうものの、彼女たちを追いかけてきたディアヴロと戦うこととなる。レベル130以上の槍使いで、自分に有利な場所に相手を誘い込む老獪(ろうかい)さを持つが、ディアヴロの予想外の奇策に反撃されて敗北する。最期はディアヴロたちへの意趣返しにルマキーナに告死病を植え付け、崩れ去る瓦礫の中に消え去った。

ゲイバルト

教会に所属する聖騎士の一人。ロングヘアの化粧をした男性で、女言葉で話すオカマ。聖職者でありながら金に執着する欲深い性格をしている。強力な召喚獣をいくつもあやつる召喚士で、切り札として強力な火の精霊「イフリート」を隠し持っている。枢教院からルマキーナ・ウエスエリアの暗殺を請け負っており、王都から逃げ出したルマキーナを執拗に追跡する。湖東の森でルマキーナの護衛の聖騎士を倒し、ルマキーナを追い詰めるが、嗜虐(しぎゃく)心からいたぶって殺そうとしたのが仇となり、たまたま近くにいたディアヴロに邪魔をされて暗殺を失敗する。土の中を移動する巨大なイモムシの召喚獣「トラップワーム」を愛用しており、ディアヴロに撃退された際もトラップワームの腹に入り、土中に潜ることで急場をしのぎ、ディアヴロから逃げることに成功する。ジルコンタワーにまでルマキーナを追跡し、ディアヴロのダンジョンで再び遭遇する。ルマキーナを殺そうとするが、ダンジョンの12階のボスモンスター「ラージブラックドラゴン」と遭遇し、瀕死の重傷を負ってしまう。死を待つばかりの体だったが、殺そうとしたルマキーナの献身によって生き残る。信仰心の欠片もなく、自分でも金のために外道な行いをしてきたと自覚があるが、ルマキーナの純粋な信仰を見たことでわずかながら心動かされている。

バナクネス

魔王から大将軍の地位を与えられた魔族の青年。黒のタキシードを着こなす美青年で、背中から黒い翼を生やしている。復活した魔王から力を授かっているため、レベル160を超える力を持つ。ジルコンタワーを攻め落とす命令を受けており、巨大モンスターのサンドホエールを街にけしかけたりしている。強い女性が大好きで、魔族の女性を集めてハーレムを築いている。また、ファニス・ラムニテスのことを気に入り、彼女を屈服させてハーレムに入れようとしている。魔族の大軍を率いてジルコンタワーに襲撃した。肉体能力に特化した拳闘士で、本気を出すとタキシードを破って筋骨隆々とした姿となり、肉弾戦で戦う。圧倒的な力と数でファニスたちをいたぶるが、女性とイチャイチャしている姿がディアヴロを嫉妬に狂わせ、トネールアンペラールを使ったコスト度外視の魔術を食らって敗北し、その後トドメを刺されて死亡した。ディアヴロによれば、力だけなら確かにレベル160を超えているが装備が悪く、己の力を過信するあまり、装備品の力を軽視していたのが敗因となった。

場所

ファルトラ

リフェリア王国の辺境にある都市。MMORPG「クロスレヴェリ」にも存在した都市で、基本的な街の情報はゲームの設定と同じ。王国最西端にある温暖な気候と川の恵みを受ける美しい街で、この街より西は「魔王領」と呼ばれる魔族たちの領域になっているのもあり、王国の対魔族の最前線となっている。ほかの街を守るための防衛拠点としても重要な役割を担っており、この街が陥落すれば王国の半分は機能不全になるといわれている。このため、街の西側には「ウルグ橋砦」と呼ばれる砦を建造したり、セレスティーヌ・ボードレールが街に魔族の侵入を防ぐ結界を張ったりと、防衛に非常に力を入れている。

ジルコンタワー

リフェリア王国の辺境にある都市。30年前まで魔族たちが暮らしていた「旧魔王領」で、砂漠の中心のオアシスに魔族たちが建造した塔が建立されている。MMORPG「クロスレヴェリ」にも存在した都市で、基本的な街の情報はゲームの設定と同じ。一時期ディアヴロが活動拠点としていたこともあり、この街の近くにはディアヴロが作ったダンジョンが存在している。砂漠であるために移動の手段は専ら砂上船で、砂上船を使って交易や移動を行っている。またファルトラと違い、魔族の侵入を防ぐ結界が存在しないため、街の防衛能力はファルトラに比べて低い。

その他キーワード

魔王の指輪 (まおうのゆびわ)

ディアヴロの装備の一つ。指輪型のアイテムで、身につけるとあらゆる魔術を反射する効果がある。ディアヴロがゲーム時代、魔術反射能力を持つ脳の魔王「エンケバロウス」を倒して手に入れたもので、非常にレアなアイテムとなっている。異世界でもエンケバロウスが魔術反射能力を持っていたことは伝承で伝わっているため、伝承を知る者はディアヴロとエンケバロウスの関係を疑っている。魔術に対して絶対的なアドバンテージを持つ強力なアイテムだが、反射する魔術を選べないのが唯一にして最大の欠点。味方の魔術も反射するため、回復や支援の魔術もディアヴロには効果がない。この効果は自分の魔術にも適応されるため、ゲーム時代は必須だった飛翔魔術ですら、ディアヴロは自分にかけることができない。そのため、ディアヴロはポーションやほかの装備を利用することで、この弱点を補っている。

漆黒の虚 (しっこくのうろ)

ディアヴロの装備の一つ。漆黒のローブで、身体ステータスの上昇と物理ダメージを減少する効果がある。ふつうの衣服のようにしか見えないが、その特殊能力から下手な鎧より防御力があり、エルフの射手による矢ですら貫くことができない。ディアヴロのダンジョン攻略中に、ホルンが危機に陥った際に燃やしたために消失する。

暗雲の帳 (あんこくのとばり)

ディアヴロの装備の一つ。真っ黒なマントで、状態異常の防止と、致命傷を受けた際に本来ならばHPが0になるところで、HPが1だけ残るという効果がある。HPが1の際に攻撃を受けるとそのまま死亡してしまうが、HPに余裕がある状態ならばどんな攻撃でも一度だけ耐えられるため、バドゥタとの戦いではあえて致命傷を受けて相手の油断を誘い、カウンターを食らわせるという使い方をした。ディアヴロは本来は魔王ロールプレイの一環で、HPが0になった際に「魔王は死なん」と言うつもりで装備していたが、ゲーム時代は結局できずじまいだった。ディアヴロのダンジョン攻略中に、ホルンが危機に陥った際に燃やしたために消失する。

歪んだ王冠 (ゆがんだおうかん)

ディアヴロの装備の一つ。ねじれた羊の角のような形をした王冠で、HPを自動で回復する効果がある。ディアヴロは魔王ロールプレイの一環で、悪魔っぽい見た目を気に入って使っているが、異世界の人間はアクセサリーと気づいておらず、本当に角が生えていると思っている。

天魔の杖 (てんまのつえ)

ディアヴロの装備の一つ。大きなクリスタルがはめ込まれた黒い杖で、魔力を大幅に上昇させ、魔術の詠唱を短縮する効果がある。ディアヴロのダンジョン攻略中、ホルンがダンジョンの水路に落ちて危機に陥った際に、ディアヴロが濁流の中で手放したため、そのまま行方不明となる。

試製大戦鎌 (しせいおおいくさがま)

ディアヴロの装備の一つ。全長2メートルほどのいびつで禍々しいデザインをした大鎌で、見た目に反して攻撃力はほとんどない。ファルトラの鍛冶屋で働く見習いが作った失敗作で、作った本人も悪趣味と認めるデザインながらも、ディアヴロはそのデザインを「魔王っぽい」と気に入って購入した。ディアヴロの魔術があまりに強力すぎるため、弱い人間を相手にする際の威嚇兼手加減が主な用途。性能は中途半端に切れ味があって逆に危ないということで、鎌というより棍棒のような鈍器として使われている。

ギガンテスメイル

ディアヴロの装備の一つ。黒い金属製の鎧で、身体ステータスの大幅な強化効果がある。その強化効果は非常に高く、レベル150の魔術師であるディアヴロが、レベル160の拳闘士であるバナクネスと互角に戦えるほど。ディアヴロのダンジョン攻略中に暗雲の帳と漆黒の虚を消失したため、ダンジョン攻略後、宝物庫から回収して使い始める。

虚空の舞踊 (こくうのぶよう)

ディアヴロの装備の一つ。金属製のブーツで、魔力を注ぎ込むことで飛翔魔術を発動させることができる。飛翔しているあいだは魔力をつねに消費し、込める魔力を増やせば飛翔するスピードをあげることができる。飛翔魔術はゲーム時代はメジャーな移動手段で、これを取得することが脱初心者の証ともいわれていた。しかし、ディアヴロの場合は魔王の指輪で魔術を無差別に反射して無効化するため、飛翔魔術を使っても効果がなく、飛翔するためには装備による恩恵を利用する必要がある。

トネールアンペラール

ディアヴロの装備の一つ。黒色の杖で、魔力を注ぎ込むことでいくつかの特殊能力を使うことができる。魔力を注ぎ込むと光の刃を生み出し、大剣のように使うことができる「トネールアンペラール・リベレ」という形態への変形が可能で、魔術師用の武器でありながら近接用の武器としても優秀なのが特徴。また、7倍の魔力を注ぎ込むことで魔術を七重に同時発動させることができるため、破壊力は抜群の武器となっている。一方で、燃費が恐ろしく悪くなるために通常使用は難しく、全力使用の際には魔力の回復が必須となっている。ディアヴロのダンジョン攻略中に天魔の杖を消失したため、ダンジョン攻略後、宝物庫から回収して使い始める。

隷従の首輪 (れいじゅうのくびわ)

召喚術の一種。召喚した対象を従わせるために行う「隷従の魔術」によって召喚獣が隷従した証のようなもので、この魔術によって召喚獣は主の言うことに絶対服従するようになる。レム・ガレウとシェラ・L・グリーンウッドの場合は、ディアヴロにかけようとするものの、ディアヴロの持つ魔王の指輪の魔術反射能力によって自らに隷従の魔術をかけてしまい、ディアヴロを主として自らの首に「隷従の首輪」をはめている。別々の毛糸が絡まるようにレムとシェラの隷従の魔術が入り乱れ、さらにディアヴロの強力な魔力で反射されて強固に魔術が結ばれたため、解呪は非常に困難となっている。隷従の魔術は基本的に召喚獣にしか使わないが、ほぼ似た魔術として人間用の「奴隷魔術」が存在し、こちらで契約した者の首には「奴隷の首輪」がつくこととなる。ディアヴロはのちにクレブスクルムの身を守るため、彼女に奴隷魔術によって奴隷の首輪をつけている。

魔族 (まぞく)

種族の一つ。魔王の眷属とされる存在で、魔族とひとくくりにされているが姿形はさまざま。人に近しい姿をしている者もいるが、人間族は神族の末裔であるため、起源から違うまったく別の種族とされている。神と神に連なる種族を敵視しており、基本的に種族全体が人間族打倒を目的として活動している。魔族は魔王の力によってその力を増大させることができるが、逆にいえば魔王が不在の際にはその戦力を大幅に弱体化されることとなる。そのため、魔王が不在の際には消耗を抑えるため、戦闘を避ける「穏健派」も少なからず存在する。

混魔族 (でぃーまん)

種族の一つ。人間族でありながらなんらかの形で魔族の血を引いた種族で、顔や体に奇妙な入れ墨のような痣があるのが特徴。他種族に比べて身体能力では劣るが、魔術適性が高く、特に魔力の高さは全種族中随一。また、その生まれから亜人の中でも殊更差別されることが多い種族で、亜人の一つとしてその存在は認められているが、魔族とまちがわれて攻撃されることもある。また魔族側からもその存在を忌み嫌われており、両種族から差別を受ける種族となっている。

告死病 (こくしびょう)

ジルコンタワーで流行っている病。太ももにバツ印の痣が浮かび上がり、その痣が九つになると必ず死ぬとされる病気で、治療法は神官による神の奇跡しかない。ただし、一般的な神官では痣を一つ消すのにも長い時間祈り続けなければならないため、ジルコンタワーでは神官の人手不足もあり、必然的に多大な寄付をする者の治療から優先されている。MMORPG「クロスレヴェリ」にも存在しており、ゲームでは魔族が振りまいていた呪いで、魔族の陰謀を阻止することで告死病を治癒する秘宝「白牛像」を手に入れることができた。異世界ではバドゥタが魔族より呪いのかけ方を教わり、告死病を使って自作自演の悪事を行っている。告死病は神聖な者が堕落した際に発生する「邪素」を生成することで、病の原液を作り出すことができ、バドゥタはこの原液を水源に混ぜて街の人々を苦しめている。

クロスレヴェリ

ディアヴロがプレイしていたMMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)。クロスレヴェリの世界には「エルフ」「豹人族(ひょうじんぞく)」「ドワーフ」「グラスウォーカー」「混魔族」「人間」の六つの種族が存在し、プレイヤーはこれらの一つを選んでキャラクターを作成することとなる。「人間」以外の種族は「亜人」と呼ばれて差別されているという設定がゲームにも存在する。プレイヤーの目的は世界を滅ぼす魔王の復活を阻止することだが、ディアヴロがゲームをしていた頃にゲームに実装されていた魔王は一部で、クレブスクルムなど実装されていない魔王もいた。娯楽作品であるため、政治と宗教には深く突っ込まないように作られており、神を信仰する教会は存在するが、ただ単に「教会」と表示されるだけで詳しい設定は曖昧なままとなっている。ゲーマーの青年である坂本拓真が、ディアヴロというキャラクターを使ってゲームをしていたところ、ディアヴロの姿で異世界に転移される。異世界はクロスレヴェリそっくりな世界であるが、ゲーム時代には曖昧だった設定は補完されているため、ディアヴロにも知らない存在や、設定が現実となったことで生まれる差異などが存在する。また、ゲーム時代はレベル150が限界だったが、異世界ではその限界を超えた存在もいるとディアヴロは予測している。

クレジット

原作

むらさき ゆきや

キャラクター原案

鶴崎 貴大

書誌情報

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 24巻 講談社〈シリウスKC〉

第1巻

(2016-02-02発行、 978-4063765960)

第2巻

(2016-06-02発行、 978-4063906370)

第3巻

(2016-09-30発行、 978-4063906578)

第4巻

(2017-03-09発行、 978-4063906875)

第5巻

(2017-08-09発行、 978-4063907230)

第6巻

(2018-02-02発行、 978-4065107959)

第7巻

(2018-07-09発行、 978-4065119815)

第8巻

(2018-12-06発行、 978-4065140758)

第9巻

(2019-05-09発行、 978-4065154007)

第10巻

(2019-10-09発行、 978-4065172179)

第11巻

(2020-04-09発行、 978-4065190845)

第12巻

(2020-10-09発行、 978-4065209042)

第13巻

(2021-03-09発行、 978-4065225066)

第14巻

(2021-06-09発行、 978-4065235935)

第15巻

(2021-09-09発行、 978-4065247754)

第16巻

(2022-01-07発行、 978-4065265642)

第17巻

(2022-04-07発行、 978-4065273906)

第18巻

(2022-07-07発行、 978-4065282540)

第19巻

(2022-11-09発行、 978-4065296738)

第20巻

(2023-03-09発行、 978-4065315002)

第21巻

(2023-08-08発行、 978-4065327173)

第22巻

(2023-12-07発行、 978-4065338247)

第23巻

(2024-04-09発行、 978-4065352113)

第24巻

(2024-08-07発行、 978-4065364420)

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