スキルの強さが大きく影響する異世界
本作の舞台となる異世界は、スキルと呼ばれる特別な能力がその人間の強さを左右する世界観となっている。現代日本の高校生たちが勇者として召喚され、すべての者がスキルを授かることになる。そのスキルには大きな差があり、魔術や武術、身体強化や回復術といった強力なスキルを授かる者もいれば、中谷夕斗のようにまったく役に立たないスキルを授かる者もいる。また、この異世界では人間の敵と見なされている魔族は、優しく温厚な種族で人間に好意的に接する者も多い。そんな魔族を一方的に人食いの蛮族扱いし、王都「ルナーリア」を滅亡させたのが、神聖帝国「ヴァレンシア」だった。ヴァレンシアに大量虐殺された魔族たちの大半は悲惨な最期を遂げ、生き残った魔族たちは各地に逃れてひっそりと暮らしていた。
不遇スキルのため仲間から見殺しにされた主人公
クラスメートと共に異世界に勇者として召喚された高校生の夕斗は、ほかのクラスメートが強力なスキルを授かる中、近くの物体を手元に引き寄せるだけの不遇スキル「吸」を授かる。戦闘ではまったく役に立たない最弱スキルをバカにされた夕斗は、神聖帝国「ヴァレンシア」に仕える勇者となったクラスメートたちにないがしろにされ、ついには魔物との戦闘で重傷を負った際に見捨てられてしまう。絶望の中で絶命しかけた瞬間、夕斗はどこからか語りかけてくる謎の声に導かれ、「吸収」のスキルを覚醒させる。その声の主であるメリアに命を救われた夕斗は、彼女から強力なスキルを授かり、彼女の復讐の相手であるヴァレンシアと戦うことを誓う。王座に拘束されていたメリアは魔族の数少ない生き残りであり、かつて「ルナーリア」という王都を平和統治していた魔王の娘でもあった。
魔王の娘と共に神聖帝国「ヴァレンシア」への復讐を誓う
神聖帝国「ヴァレンシア」の数々の悪行を知った夕斗は、ヴァレンシアの勇者となったクラスメートに自らも裏切られたため、かつての仲間と敵対する覚悟を決め、メリアと共にヴァレンシアと戦うことを誓う。メリアに導かれて覚醒した夕斗の「吸収」は、文字どおり他者のスキルを奪い取り、自分のスキルにするという強力なものだった。夕斗がヴァレンシアに復讐を遂げて成り上がっていく様子やヴァレンシアとの激闘が、ダークファンタジーな世界観で展開される。また、かつてのクラスメートのスキル「鬼神」を吸収した夕斗が、メリアのさまざまなスキルも授かり、その強力なスキルを駆使して戦う姿も見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
中谷 夕斗 (なかたに ゆうと)
現代日本に住んでいたふつうの男子高校生。内気で控えめな性格をしている。クラスメートと共に、異世界の神聖帝国「ヴァレンシア」へ勇者として召喚される。異世界で授かったスキルは「吸」で、クラスのマドンナ的な存在の水無瀬奈月以外のクラスメートからは、最弱スキルと馬鹿にされている。瀕死の重傷を負って仲間に見捨てられ、死にかけていた際にメリアの声を聞き、他者のスキルを吸収できる強力なスキル「吸収」を覚醒させる。メリアから魔族たちの悲劇的な過去を知った中谷夕斗は、自分を見殺しにしたクラスメートよりも、命の恩人である彼女の言葉を信じてヴァレンシアへの復讐を誓う。そして、吸収を駆使してメリアの強力なスキル「魔力増強」「魔力変換」「黒葬」を手に入れ、壮絶な戦いを勝ち抜いていく。その後、夕斗とメリアは魔族の生き残りを捜すため、魔都「アーガナム」へと向かう。
メリア
王都「ルナーリア」に住んでいた魔族の少女で、魔王の娘。銀髪と赤い瞳が特徴で、青白い肌を持つ美少女。クラスメートから見殺しにされ、死にかけていた中谷夕斗に声をかけ、命を救った。かつて暮らしていたルナーリアは神聖帝国「ヴァレンシア」に侵略され、生き残った魔族も奴隷のように扱われて壮絶な最期を遂げたため、ヴァレンシアへの復讐と魔族の復興を誓っている。生き残ったメリアは封印の呪いをかけられた状態で、魔王城に拘束され続けていた。そんな中、夕斗が別世界から召喚された人間であることを知ったうえで助けを求め、自らのスキル「魔力増強」「魔力変換」「黒葬」を夕斗に授け、パートナーとして行動を共にするようになる。そして二人は魔族の生き残りを捜すため、魔都「アーガナム」へと向かう。のちにアーガナムで、幼なじみの竜人族・リィンと再会する。
クレジット
- 原作
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すかいふぁーむ
書誌情報
俺だけ不遇スキルの異世界召喚叛逆記~最弱スキル【吸収】が全てを飲み込むまで~ 7巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-01-19発行、 978-4088925707)
第2巻
(2023-04-18発行、 978-4088926582)
第3巻
(2023-07-19発行、 978-4088927701)
第4巻
(2023-10-19発行、 978-4088928760)
第5巻
(2024-01-18発行、 978-4088930961)
第6巻
(2024-04-18発行、 978-4088932262)
第7巻
(2024-07-18発行、 978-4088933238)