謎めいた遺言書から始まる物語
金原(遠山)マリ、浜口(更科)サヨ、サトエという50代の女性三人は、同級生のヒロミが孤独死したという連絡を弁護士から受ける。自らが所有する「白蓮荘」の居室で亡くなったヒロミは、三人に遺言書を残していた。それは、「白蓮荘101号室に住む笠原ショウをせめて大学卒業まで住まわせる」という条件でアパートを相続してほしいという内容だった。ヒロミは確かに女子高時代のクラスメイトだが、親しかった記憶はなく、三人は彼女の顔も思い出せない。「なぜ自分たちが選ばれたのか?」「ヒロミと大学生の笠原との関係は?」謎めいた出来事をきっかけに、久しぶりに集まった三人組は、それぞれの人生を見つめることになる。
50代女性たちの「しんどい現実」
本作の主人公である三人の女性は、皇后雅子さまと同い年の1963年生まれである。専業主婦のマリは、ほんとうは料理も掃除も洗濯も好きではない。また、ちゃんと働いたことがないから周囲から見下されているというコンプレックスを抱いている。サヨは、夫と離婚調停中だがなかなか折り合いがつかず、自分の身を守らなければならない面倒事にうんざりしていた。独身キャリアウーマンであるサトエは、「結婚して子どもを産まなければ一人前ではない」という母や周囲の偏見にさらされている。本作は、同級生が孤独死したことで、改めて自分たちの年齢を自覚した三人が抱える「しんどい現実」を描いていく。
登場人物・キャラクター
金原 マリ (かねはら まり)
50代の専業主婦。40年前は、白露女子大学付属高校2年3組に所属しており、同級生のサヨ、サトエとは仲良しだった。旧姓は「遠山」。真面目な性格で好きな食べ物はピザまん。早くに結婚して、娘、息子、夫と暮らしている。本当は家事全般が好きではないが、家族の世話に明け暮れる生活を送る。「靴下の場所」など、家族全員が何でも自分に聞くことにフラストレーションをためている。
浜口 サヨ (はまぐち さよ)
50代の女性。40年前は、白露女子大学付属高校2年3組に所属しており、同級生のマリ、サトエとは仲良しだった。旧姓は「更科」。ヨーグルトにはブルーベリージャム派。こじんまりしたおしゃれな器の店を経営している。離婚調停中で、説得のために探偵を雇って寄越す夫にうんざりしている。
原田 サトエ (はらだ さとえ)
50代の独身キャリアウーマン。会社での役職は部長。40年前は、白露女子大学付属高校2年3組に所属しており、同級生のマリ、サヨとは仲良しだった。ミックスナッツはマカダミアが入っていないのを選ぶタイプ。「働いて、結婚して、子どもを産んで、笑顔を振りまく」ということが自分には無理だと思い、一番得意なこととして仕事を選んだ。結婚をしていないことで、介護施設にいる母に一人前扱いされないことに不満を抱いている。







