瞳・元気 KINGDOM

瞳・元気 KINGDOM

信頼していた男性から乱暴され、心に傷を負った少女・今井響の性愛と成長を描いたラブストーリー。香坂義王と出会い、彼の深い愛情を受けて心の傷を癒し、女性として強くなっていく響の姿が描かれている。平成5年「花とゆめPLANET」増刊9月1日号に『KINGDOM』というタイトルで読み切りが掲載、その後「花とゆめ」にて平成9年4号まで連載された作品。

正式名称
瞳・元気 KINGDOM
ふりがな
ひとみ げんき きんぐだむ
作者
ジャンル
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概要・あらすじ

両親を亡くし、親戚の世話になっていた今井響は、従兄の三村保に乱暴されたことが原因で男性恐怖症になってしまう。これを機に、響は親戚の家を出て一人暮らしを始めたが、住んでいたアパートが火事で焼失。途方に暮れている響に、生徒会のメンバーで学校一の有名人である香坂義王が、自分の家で一緒に暮らすことを提案する。

義王の愛に包まれて、響は少しずつ心の傷を癒し、再び男性を愛することができるようになっていく。

登場人物・キャラクター

今井 響 (いまい ひびき)

私立藤之宮学院高等部1年生で15歳の少女。もともとは明るくて笑顔が魅力的だったが、従兄に無理やり乱暴されたことに深く傷つき、男性恐怖症になってしまった。これがきっかけで、長かった髪をバッサリ切ってショートカットにした。肩も薄く小柄な体型だが胸は大きい。香坂義王からの熱烈なアプローチに対して当初は警戒していたが、少しずつ心を開いていく。

香坂 義王 (こうさか ぎおう)

私立藤之宮学院高等部1年生の少年で、生徒会で学年総代表を務めている。今井響のクラスメイト。自信家で少々強引なところがある。寂しい家庭環境のせいで愛を知らずに育ったが、響のために自らが強くなることを選んだため、彼女を守るためならどんなことでもする覚悟がある。

高林 都 (たかばやし みやこ)

私立藤之宮学院高等部1年生の少女で、生徒会で書記を務めている。今井響のクラスメイト。香坂義王とは母親同士が双子の姉妹のいとこ同士で、響と義王の仲を応援している。ストレートの長髪が特徴の美人。精神的に成熟し、落ち着いた性格。

中原 貴之 (なかはら たかゆき)

私立藤之宮学院高等部1年生の少年。生徒会で会計を務めている。今井響のクラスメイトで、香坂義王とは親友同誌の間柄。実家は剣道場を開いており、中原貴之自身も師範代を務める腕前を持つ。眼鏡をかけた冷静沈着な性格の少年だが、実は昔はとんでもない不良だった。

沢木 亜美 (さわき あみ)

私立藤之宮学院高等部2年生の少女で、生徒会の副会長を務めている。ウェーブのかかった髪型が周囲に与える印象の通りに、乙女チックでふんわりした笑顔が魅力的な楽天家。だが、実は意外と食えないしっかりした性格の持ち主で、彼女がこうと決めたら誰も逆らえない。

森 克己 (もり かつみ)

私立藤之宮学院高等部2年生の少年で、生徒会の会計を務めている。小柄で可愛い外見から、周囲から愛されている。絵やデザイン、パソコンの扱いが得意で、校内ではパソコン通信講座の講師も務める。ちなみにパソコンのキーボードを打つのはとても速いが、足は遅い。

諸山 修一郎 (もろやま しゅういちろう)

私立藤之宮学院高等部2年生の少年で、生徒会の会長を務めている。長い髪を脱色して大好きなバンド活動をしており、担当はギター。何かに夢中になると他のことを忘れてしまうところがあり、リーダーとしては少々頼りないが、そんなところも生徒会の仲間たちから愛されている。

鷲野 ひかる (わしの ひかる)

私立藤之宮学院高等部1年生の少女で、報道部の部長を務めている。報道のためなら手段を選ばない性格で、香坂義王と今井響が同棲していることを暴こうと嗅ぎまわっている。実は義王のことが好き。

高林 琴乃 (たかばやし ことの)

高林都の母親。香坂義王の母親の香坂綾乃とは双子の姉妹。レースやフリルが大好きな少女趣味できゃぴきゃぴしており、年より若く見える。夫が単身赴任中なので、都と2人で暮らしている。非常に家庭的な女性で料理が得意。

佐伯 和代 (さえき かずよ)

私立藤之宮学院高等部2年生の少女で、武井弘志の幼なじみ。優れた文才を持つ眼鏡っ娘で、ボーイズラブの小説を書いては同人誌に載せ世に送り出している。いつも尊大な態度をとっているが、実は弘志が好き。

武井 弘志 (たけい ひろし)

私立藤之宮学院高等部2年生の少年。生徒会で学年総代表を務めているほか、バレーボール部の部長でもある。佐伯和代とは幼なじみ。純朴で素直な性格をしており、同性ながら香坂義王に想いを寄せている。

苑田 大介 (そのだ だいすけ)

私立藤之宮学院高等部3年生の少年。風紀委員長を務めていたが、同じく3年生に進級した諸山修一郎と生徒会の新会長を巡って争う立場になった。優柔不断で他力本願なところがあり、想いを寄せている沢木亜美に振り向いてほしいと思っているが、自分からアクションを起こす行動力はない。

永瀬 透 (ながせ とおる)

今井響が2年生に進級した年に入学した、私立藤之宮学院高等部1年生の少年。入学後すぐに新入生代表を務め、入学の挨拶の言葉を読んだ。響が身を寄せていた親戚の家の隣に住んでおり、子供の頃は響と同じ小学校に通っていた。自分の意見をハッキリ口にする性格で、響のことが好きだと公言する。

田島 加奈江 (たじま かなえ)

まだ新人の女優。今井響の母親である今井邑子に憧れていた。かつて邑子が演じたことのある同じ役に抜擢されたものの、プレッシャーに耐えきれず、偶然出会った香坂義王に救いを求める。

今井 薫 (いまい かおる)

今井響の父親で、今井邑子の夫。ミュージカルや映画音楽の作曲家だったが、既に故人。幼い頃から「天才ピアニスト」と称されていたが、16歳の時に事故で指の神経を痛めてしまい、作曲家に転向した。17歳の時に5歳年上の邑子との間に響を授かり、親子3人で幸せに暮らしていたが、邑子とともに交通事故で他界した。

今井 邑子 (いまい ゆうこ)

今井響の母親で今井薫の妻。「和辻邑子」という芸名の大女優だったが、既に故人。華がある女優で、歌唱力、演技力に定評があった。夫である薫とは幼なじみの仲。楽しいことが好きな楽天家で、響のことをとても愛していたが、薫とともに交通事故で他界した。

香坂 皇貴 (こうさか こうき)

香坂義王の6歳の弟で、香坂毬乃の双子の兄。ちょっぴりドンくさいところもあるが、素直な優しい性格の持ち主。毬乃の暴走を基本的には放置しているが、怒ると怖い。兄である義王とアメリカで一緒に暮らしたいと願っている。

香坂 毬乃 (こうさか まりの)

香坂義王の6歳の妹で、香坂皇貴の双子の妹。気が強くキツイ性格で、義王のことが好きなあまり今井響を目の敵にする。口が達者で、年上の響もやりこめてしまうほど。実は細かいことにもよく気がつくしっかり者。

香坂 綾乃 (こうさか あやの)

香坂義王の母親で、香坂勝彦の妻。デザイナーとして働いている。19歳の頃、会社を経営している父親によって、勝彦と無理やり結婚させられ、反発して失踪を繰り返すようになった。跡取り息子であるを義王を産んだことで香坂綾乃は自由を手に入れたが、それは結果的に義王を自身の身代わりとして犠牲にすることとなった。

香坂 勝彦 (こうさか かつひこ)

香坂義王の父親で、香坂綾乃の夫。政略結婚で綾乃と結婚し、香坂の家に入った。奔放に生きる綾乃とは長年に渡り相容れなかったが、義王が野良犬に噛まれた事故のせいで綾乃が精神を病んだ際には、それをきっかけにもう一度夫婦としてやりなおすことを決意する。実は結婚する前から綾乃を心から愛していた。

義王の祖父 (ぎおうのそふ)

香坂綾乃の父親で、香坂義王の祖父。会社を経営しており、義王を後継ぎにするべく幼少期から英才教育を施し、自分の思い通りに育てようとした情のない男性。婿養子として香坂の家に入ったため、義王の曾祖父とは血の繋がりはない。

義王の曾祖父 (ぎおうのそうそふ)

香坂義王の曾祖父で、既に故人。会長職を退いた後、先立たれた妻の思い出の残る浦和の別宅で暮らしており、亡くなる時は義王にその家を譲った。陽気な性格で、義王のことを可愛がり、時おり呼び寄せては彼に釣りや麻雀などの遊びを教えたりと、心の支えになった人物。

桜井 (さくらい)

長年、香坂義王の住んでいた東京の屋敷で執事を務めていた初老の男性。仕事の域を越えて義王のことを心配し、愛情を注いでいた。義王にとっては血縁よりも近しい存在だったが、病を患い、還らぬ人となる。

椎名 沙織 (しいな さおり)

私立藤之宮学院中等部3年生の少女で、生徒会長を務めている。判断力に優れた有能なしっかり者だが、そのせいで誰にも頼ることができず、素直になれずにいる。極度の男嫌いだが、その一方で高林都に憧れており、彼女のことを独占したいと思っている。

羽村 美咲 (はむら みさき)

親に決められた香坂義王の婚約者で、今井響や義王と同い年。響と義王の仲を引き裂こうとして、色々と画策する。実は幼い頃から兄のように慕っていた佐々木真一と、12歳の時に肉体関係を持っている。その後は真一の人生を無理やり独占するため、彼の運転する車のハンドルを操作してわざと事故を起こし、この時に負った怪我を理由に自分の言いなりにしている。

佐々木 真一 (ささき しんいち)

羽村美咲の実家が経営する会社の顧問弁護士として雇われている青年。父親同士が幼なじみだったこともあり、美咲とは子供の頃から面識がある。1年前、美咲を車に乗せていた時に事故を起こしてしまい、彼女に一生傷跡が残るような大怪我をさせてしまったことに罪悪感を抱いている。

美奈子 (みなこ)

私立藤之宮学院に勤める女性養護教諭。さばさばとした豪快な性格で、包容力がある。ある日、酔っ払い同士で意気投合し、中原貴之と肉体関係を持つ。のちに彼が自分の勤務する学校の生徒であることを知るが、そのまま内緒で付き合い続けている。

小松 雄介 (こまつ ゆうすけ)

県立高校に通う高校生の少年で、中原貴之の不良時代の仲間。中途半端な関西弁でしゃべるお調子者で、剣道部に所属している。妹の小松愛を溺愛しており、成長記録をビデオに撮り溜めている。

小松 愛 (こまつ あい)

聖華夢学園に通う中学2年生の少女で、小松雄介の妹。ド近眼で、コンタクトや眼鏡を外すと人の顔すら判別できない。引っ込み思案で気が弱く、思ったことを上手く言葉にできずにいる。ある時、不良にからまれたところを中原貴之に助けてもらったが、その相手を香坂義王だと勘違いしている。

阿川 (あがわ)

今井邑子が生前に所属していた芸能事務所の女性社長。邑子の忘れ形見である今井響のことを大切に思っており、養女にしたいと申し出る。実は赤ちゃんを産めない体質で、邑子や響に対して異常なまでの執着心を見せる。

三村 保 (みむら たもつ)

今井響の従兄。両親亡きあと自分の家に身を寄せていた響を無理やり乱暴した。私立藤之宮学院の音楽の臨時講師として再び響の前に現れる。無理やりに自分と響との婚約を決めて、香坂義王と別れさせようと企む。

三村 時子 (みむら ときこ)

三村保の母親であり、今井響の伯母で、響の亡くなった父親、今井薫の姉。子供の頃から自分よりも薫の方が親に可愛がられていると思い込み、薫に対して異常なほどの敵意を抱いて育った。その歪みが、亡くなった今井邑子や響に対する憎しみになっている。

集団・組織

KINGDOM (きんぐだむ)

香坂義王、高林都、中原貴之らが所属する生徒会の俗称。私立藤之宮学院では校内活動の運営はすべて生徒会を中心に決められるため、優秀な人材が集められ、学内においては教師より強い賢慮を持つと言われている。

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