あらすじ
第1巻
小学4年生の漆原杵真は「脅圧性障害」という極度の潔癖症で、つねに両手に手袋をしていないと日常生活もままならない日々を送っていた。杵真は他人に触れることもできないため、生涯恋愛することはないだろうと考えていた。そんなある日、杵真はクラスメートの椎名翼と殴り合いのケンカになった挙句、ゴミ屋敷で有名な幸村の家に閉じ込められてしまう。翼には片思いの相手がいたが、彼は杵真に思いを寄せていたため、翼は杵真のことが妬ましくてたまらなかったのである。突如ゴミ溜めの中に放り込まれた杵真は気が動転するが、やがて不潔な場所にいることに耐えられなくなり、屋敷の掃除を開始。そして杵真は、屋敷の地下に少年が閉じ込められているのを発見する。杵真は拘束されているカンパニュラを助けるが、そこに幸村が帰宅。カンパニュラによれば、カンパニュラと幸村はもともと殺し屋と掃除屋の関係だったが、今は敵対しており、この事実を知ったからには杵真の命も危ないという。カンパニュラは今すぐ杵真に出ていくように命じるが、杵真はまだ掃除の途中であるとこれを拒否。カンパニュラはそんな杵真に呆れつつも、幸村を殺害して杵真を守るのだった。その姿に惹かれた杵真は、カンパニュラが殺した死体と現場の清掃を行う「掃除屋」になろうと決意する。
第2巻
漆原杵真は、カンパニュラと親しくなったことがきっかけで、カンパニュラの仲間の殺し屋であるヒマワリに目をつけられる。さらにヒマワリは素性を偽って漆原家に居候を始め、杵真はヒマワリと同じ部屋で暮らすことになる。そこで杵真は、ひとまず誤解を解くために自分とカンパニュラは交際しておらず、そもそも自分はカンパニュラの恋愛対象ではないと伝える。しかしヒマワリは聞き入れず、自分の所属する「花屋」の殺し屋が、いかに狂った環境で育てられたかを杵真に話し始めるのだった。これを聞いた杵真は、以前カンパニュラが「花屋」を裏切り、「中田」姓を名乗って疑似家族としていっしょに暮らしていた仲間全員を殺害したという過去を知る。そこで杵真は、カンパニュラに彼らの死体処理を手伝わせてほしいと提案。カンパニュラはこれを拒否するものの、杵真のカンパニュラについてもっと知りたいという真剣な思いに負け、いっしょに中田家へ向かうのだった。しかし家は、すでに「花屋」の刺客に包囲されていた。カンパニュラはこれを難なく倒して杵真を守り切るが、そこに殺したはずのカンパニュラの兄役だったデイジーが現れる。
登場人物・キャラクター
漆原 杵真 (うるしばら きねま)
とある小学校の4年1組に在籍する女子。前髪を目の上で切ってカールさせ、顎の高さまで伸ばした黒のボブヘアにしている。マイペースな性格で、つねに落ち着いている。周囲が認める美少女だが「脅圧性障害」という極度の潔癖症で、つねに両手に手袋をしていないと日常生活もままならない。さらに、他人に自分の体や自分の持ち物に触れられるのも耐えられないため、自分は生涯恋愛することはないだろうと考えていた。しかし、小学4年生のある日、椎名翼とその仲間たちからの嫌がらせで幸村の家に閉じ込められたのをきっかけに、カンパニュラと出会う。そして、カンパニュラが幸村を殺す姿を見たことで恋に落ち、彼が殺人を行うたびに、その死体と現場を清掃する「掃除屋」になることを決意する。自分の命よりも、その場を清潔にすることを優先しようと考える変わり者。カンパニュラと出会った際、すぐに幸村家から出るように命じたカンパニュラの言うことを聞かなかったのも、幸村家があまりにも不潔で、掃除を終えない限りは出られないと考えたためである。また、掃除の手を抜くことはできず、カンパニュラにその場をごまかすための動作として掃除を命じられた時も、真剣に掃除を行った。両親と自分の三人暮らし。誕生日は4月2日。
カンパニュラ
殺し屋の組織「花屋」の一員で、殺し屋の男子。のちに、漆原杵真の通う小学校の4年1組に「田中貫太」と名乗って在籍するようになる。その前に使っていた偽名は「中田勘九郎」で、周囲には「カン」と呼ばれていた。前髪を両目が完全に隠れるほど伸ばし、腰の高さまでの癖のある金髪ロングウエーブヘアにしている。釣り目で色白の中性的なイケメン。穏やかな性格で、同世代の少年よりも大人びている。「花屋」の方針で、生後間もない頃から「苗床(ポット)」と呼ばれる部屋に閉じ込められ、そこにやって来る母親役の女性と協力して、敵役として部屋に現れる人間たちを殺し続けながら育った。そして、3歳になった時に「苗床」から解放され、同じように育った組織の人間たちと、疑似家族として暮らすようになる。しかしある日、母親が裏切り者で家族を殺していることに気づき、残りの家族と協力して殺害。これによって「管理人(ガーデナー)」に殺し屋としての腕を認められた。だが、組織の重要機密を盗んだことで、残った疑似家族のメンバーも兄役のデイジー以外の全員を殺害し、追われる身となる。
ヒマワリ
殺し屋の組織「花屋」の一員で、殺し屋の女子。カンパニュラの友人でもある。のちに、漆原杵真の通う小学校の4年1組に「今野向日葵」と名乗って在籍するようになる。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした黒のストレートロングヘアを、頭の高い位置で結んでツインテールにしている。釣り目で色白の美少女。クールで気の強い性格ながら、片思い相手であるカンパニュラが絡むと冷静ではいられなくなってしまう。「花屋」の方針で、生後間もない頃から「苗床(ポット)」と呼ばれる部屋に閉じ込められ、そこにやって来る母親役の女性と協力して、敵役として部屋に現れる人間たちを殺し続けながら育った。そして、3歳になった時に「苗床」から解放され、同じように育った組織の人間たちと、疑似家族として暮らすようになる。しかしある日、母親が裏切り者で家族を殺していることに気づき、残りの家族と協力して殺害。これによって「管理人(ガーデナー)」に殺し屋としての腕を認められた。ある日、カンパニュラが「花屋」を裏切ったことを知り、その理由を知るために彼に会いに行く。そこで杵真の存在を知り、以来彼女をライバル視して殺害を企てるようになる。しかし険悪な関係というわけではなく、次第に親しくなっていく。
ダリア
殺し屋の組織「花屋」の一員で、殺し屋の女子。カンパニュラの許嫁でもある。のちに、漆原杵真の通う小学校の4年1組に「水村ダリア」と名乗って在籍するようになる。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばしたロングヘアを、一本の三つ編みにして眼鏡をかけている。背が高く、右目尻に縦に二つ並んだほくろがある。ある日、ヒマワリと同日に杵真のクラスに転校してくるが、ヒマワリはカンパニュラとダリアの関係を知らなかった。
椎名 翼 (しいな つばさ)
とある小学校の4年1組に在籍する女子。漆原杵真のクラスメートでもある。前髪を目の上で切って左寄りの位置で分け、胸の高さまで伸ばしたロングウエーブヘアにしている。気が強く攻撃的な性格の持ち主。クラスメートの男子に思いを寄せているが、自分ではなく杵真に思いを寄せているらしいことを察している。そのため杵真のことが気に入らず、ある日二人の取りまきを引き連れて杵真に嫌味を言うためにやって来る。しかし杵真に相手にされなかったどころか、汚物扱いされたことに激怒し、殴り合いのけんかになる。そこで杵真を懲らしめるため、三人がかりで杵真をゴミ屋敷で有名な幸村の家まで連れて行き、閉じ込めた。その後はしばらく家の外から杵真が苦しむ様子を眺めて楽しんでいたが、幸村が帰宅したことで状況は一変。特に何かをされた訳ではないが、直感的に幸村の危険性に気づいた。
幸村 (ゆきむら)
殺し屋の組織「花屋」の一員で、中年の男性。殺し屋が殺人を行うたびに、その死体と現場を清掃する「掃除屋」として働いている。掃除屋としての名前は「ゾウキン」。漆原杵真たちの通う小学校の近所に住んでいる。前髪を鼻の高さまで伸ばして真ん中で分け、撫で付けた癖のある短髪にしている。背が高く、歯には矯正器具を付けている。また極端な猫背で、背中が大きく曲がっている。屋敷をわざと汚してゴミ屋敷であると認識させることで、人を寄せつけないようにしていた。カンパニュラと組んで仕事をしていたが、ある日カンパニュラが「花屋」の重要なデータを盗み、裏切ったことから敵対関係になる。そこで自宅にカンパニュラを拘束するが、そこに偶然やって来た杵真によって拘束が解かれてしまう。そして、カンパニュラによって殺害され、死体は杵真によって溶解処理された。
デイジー
殺し屋の組織「花屋」の一員で、殺し屋の若い男性。一時期、カンパニュラやほかの殺し屋数名と「中野」姓を名乗って疑似家族を形成しており、当時はカンパニュラの兄役を務めていた。前髪を眉の上で切った、癖のある短めのウルフカットにしている。まつ毛が長く、唇の右下にほくろが一つある。カンパニュラに殺害されかけて顔を撃たれてからは、顔の左側に大きな傷跡ができた。明るく気さくな性格で、カンパニュラとは非常に仲がよく、本当の家族のような関係だった。しかし、カンパニュラが「花屋」を裏切った際にほかの家族と共に殺害されかける。だが、カンパニュラがデイジーを思うあまり心にスキができたことで、大ケガを負ったものの死なずに済んだ。その後、再び中野家に戻ってきたカンパニュラと殺し合うが、敗北して死亡。死体は漆原杵真によって溶解処理された。
クレジット
- 原作