孤独な女王と未来予知の少女
現在、リンフィリア国は国王が不在であり、長女のシュリエス女王陛下が国を治めている。気高く美しいながらも、周りに人を寄せ付けない孤独な女王陛下として知られるシュリエスだったが、ある日、人生に絶望して命を絶とうとしているリズを助ける。リズが未来予知のできる能力者だと知ったシュリエスは彼女を宮廷に迎え入れ、自分専属のメイドになるように命ずる。リズの能力が本物だと知ったシュリエスは、自分は行方不明になっている第一王子のブラッドであり、国の発展のためにリズに世継ぎを生んでほしいと頼む。こうしてリズは後継者争いや悪徳貴族の陰謀、他国の企てなどに巻き込まれていく。
聡明な魔女メイド×平和を願う心優しき王子
リズは、危険を察知したり、特定の相手の未来を視ることができる予知能力を持っている。優しく聡明な少女だが、過去の辛い経験から男性に対するトラウマを抱えている。しかし、国の平穏を願い、自らの命を捧げる覚悟を持つブラッドに心惹かれ、彼女は生まれて初めての恋に落ちる。一方、ブラッドは誠実な性格で、第一王子として国民のために尽くすことを心に誓っている。リズはそんなブラッドに忠誠を誓い、国の危機を救うために隣国に嫁いだり、五人の王子の陰謀に立ち向かったりと、果敢に行動を起こしていく。さまざまな困難を乗り越え、恋人同士として絆を深めていくリズとブラッドの姿が、本作の最大の見どころとなっている。
リンフィリア国の王子たちとリズの運命
リンフィリア国には、母親が異なる五人の王子が存在し、それぞれが国王の座を狙っている。彼らにとって、現在政治を担っているシュリエス女王陛下を嫁がせることは、自らが王となるための重要な手段となっている。さらに、王子たちは次期国王の座を巡るライバルでもある。兄弟でありながらその関係は最悪で、中には、シュリエスの専属メイドであるリズを巧みに利用しようとする者も現れる。そんな折、隣国のグラキエス王国が、シュリエスの代わりに特殊な力を持つリズを嫁に迎えたいと交渉を持ちかけてくる。もし交渉を断れば攻撃を仕掛けると脅しをかけ、事態は一層緊迫していく。さまざまな思惑が絡み合う中、リズは突如として滅亡した国の王女「メリウス」の記憶を思い出す。彼女の本来の名前はエリローズであり、その覚醒と共に封印されていた高度な魔力も取り戻す。リズはリンフィリア国の窮地を救うため、ブラッドと共にすべての黒幕である第三王妃キルケに挑むことになる。
登場人物・キャラクター
リズ・レヴィア
リンフィリア国に住む平民の少女。幼い頃に親族が金銭を渡し、貴族家に引き取られた過去を持つ。未来を予知する稀有(けう)な能力を持っているが、その力のために「すべての災いをあやつる魔女」として忌み嫌われ、孤独な日々を送ってきた。特に男性からの冷酷な仕打ちによって、心を固く閉ざしている。しかし、不幸な境遇に屈することなく、強い意志を持ち、困っている人を見過ごせない優しさも併せ持っている。
ブラッド
リンフィリア国の第一王子。次期国王が未定のあいだ、国の秩序と平和を守るために、7歳の頃から長女のシュリエス女王陛下に成り代わって生活している。そのため、ブラッド自身は宮廷では行方不明とされている。成り代わるために黒魔術を用いており、彼は自らの生命力を燃やすことで寿命を削っている。ブラッドはリズの予知能力を知り、国のために自らの子供を産んでほしいと望んでいる。リズに対しては、国のための政略結婚という目的だけでなく、彼女自身にも心惹かれている。リズ以外の人々には自分が第一王子ブラッドであることを明かしていないため、周囲からは「シュリエス女王陛下」と呼ばれている。
書誌情報
魔女メイドは女王の秘密を知っている。 5巻 講談社〈KCx〉
第1巻
(2023-04-28発行、978-4065313404)
第2巻
(2023-11-30発行、978-4065336717)
第3巻
(2024-05-30発行、978-4065355671)
第4巻
(2024-10-30発行、978-4065372401)
第5巻
(2025-04-30発行、978-4065392027)







