概要・あらすじ
夫と幼い息子を爆弾テロによって失ったマリーは、対テロリズム組織CATの一員となり、ディビジョンMを率いる指揮官の立場にまで登りつめ、仇敵である国際テロリストのグリフォンを追っている。女性だけで構成されたディビジョンMには、副官のヘルガ・ミッターマイヤーをはじめ、個性的な女戦士たちが揃い、互いの信頼と絆を描きつつ、それぞれが背負う過去なども描かれていく。
登場人物・キャラクター
マリー
対テロ専門集団CATの中のディビジョンMの指揮官。ウェーブのかかった長い黒髪が特徴の日本人女性で、左の乳房に薔薇のように見える傷跡があることから、「薔薇のマリー」の異名を持つ。基本的には部下思いの優しい女性だが、爆弾テロによって夫とひとり息子を亡くしており、テロリズムとそれを行う者に対する激しい憎しみを見せる。 任務中は指揮官として強いリーダーシップを発揮するが、オフのときなどは一般の女性と変わらない面も見せる。特に、ヘルガ・ミッターマイヤーとふたりでいるときは、亡き夫や子供の思い出話をするなど信頼し心を許しているからこその無防備な様子も見せている。美人でスタイルもよく、プライベートでファッションブランドショップに寄った際には、デザイナーからモデルのバイトに誘われるほど。
ヘルガ・ミッターマイヤー (へるがみったーまいやー)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの副官。東西に分かれていた頃のドイツの、社会主義国家だった東ドイツ出身で、非人間的とすら言えるほどの冷静沈着ぶりが特徴。常にサングラスをかけており、外見の冷たい印象通り、冷酷な判断を即座に下すことのできる有能な人物。「鉄の処女」は、マリーと同期生として過ごした訓練所時代につけられたあだ名。 チーム内では、ヘルガだけがマリーを名前で呼ぶことを許されており、ほかのメンバーは「隊長(コマンダー)」と呼ぶことになっている。18歳のまだ故国にいた頃に西側のスパイだった男性と恋をして、結婚の約束をしていたが目の前で殺害された。自身もスパイ容疑をかけられて亡命したが、その時に流産を経験している。
アイリーン・サンダース (あいりーんさんだーす)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。そばかす顔に半眼が印象的な小柄のじゃじゃ馬娘で、性格も言動も荒っぽく、ガムを噛みながら不敵な態度を取る。車やヘリなどの運転を担当することが多い。デライラ・カンクネンとは、ディビジョンMに移動する前にいた荒くれ者揃いのディビジョンQ時代からの付き合いで仲がよく、任務中もよくコンビで行動している。 ニンフォマニアの気があり、休暇時は男友達と過ごすことが多い。
デライラ・カンクネン (でらいらかんくねん)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。スウェーデン出身の24歳。オールバックにした髪形が特徴で、精悍な印象の女性。サングラスをかけていることが多い。「デラ」が愛称。ディビジョンQ時代からの付き合いがあるアイリーン・サンダースはケンカ仲間だが、本当は強がりで寂しがりやだとわかっていて、いつも心配している。 ディビジョンQ時代は狙撃手で分隊指揮官だった。強い酒を好み、読書好きでもある。元ファッションモデルであり、長身で完璧なスタイルの持ち主でもある。
鈴 龍姫 (りん りゅうひ)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。髪をふたつのお団子にまとめた姿が特徴の中国人女性。小柄で童顔、あまりものを知らないなど子供っぽいところがあり、チームの他のメンバーにかわいがられるマスコット的存在。任務遂行時以外はチャイナドレスを着用することが多く、料理が得意で、メンバーによく振る舞っている。 ディビジョンMには、マリーが指揮官になった時に訓練所上がりの新人として加入。CATに入る前に、香港の白九竜という闇組織で女性の殺し屋「刺姫」として育てられた過去がある。
ジェシカ・クレアキン (じぇしかくれあきん)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。体格のいい男性に見える大柄な女性。爆薬の専門家で、CATでトップクラスの処理技術者でもあるため、爆弾解体の任務にあたることが多い。マリーが副官だった時代からの古参メンバーのひとり。CATに入る前は、ソビエト連邦の陸軍に所属していた。
コリーン・アンダーソン (こりーんあんだーそん)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。前髪とボブカットのサイドを切り揃えた髪型が特徴。マリーが副官だった時代からの古参メンバーで、同じ立場のジェシカ・クレアキンとともに行動することが多い。
クーキー
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。ボブカットの女性で、通信や爆弾処理を担当することが多い。マリーやヘルガが通信する相手としてエピソードに登場することが多く、実際に姿を現す機会は少ない。
キム・ヴァスケス (きむゔぁすけす)
『砂の薔薇』の登場人物で、CATのディビジョンMの攻撃隊員。海兵隊の軍曹だったがCAT入りを志願し、ディビジョンMで研修を行ったあと正式メンバーとなった。同時に研修を行った4人の候補生の中でもっとも腕が立ったが、湾岸戦争で誤って子供を撃った過去があり、子供を人質に取られると判断力や行動スピードが減じる傾向があった。 また海兵隊の上官が恋人だったが、誤射事件の査問委員会で告発する立場だったことから、男性不審になっている。
エレノア・パーカー (えれのあぱーかー)
マリーが指揮官となったばかりの頃にいたディビジョンMメンバー。当時解隊されたディビジョンQから、アイリーン・サンダースとデライラ・カンクネンとともに異動してきた。実行部隊の高給目的で隊に在籍しており、特に活躍することはない。ディビジョンQでは「役立たず」としていじめの対象となり、手榴弾を「お守り」と称して首から下げ、いつでも処分できるようにしていた。
アーノルド
CATの男性部隊の中でも特に作戦成功率が高いエリート部隊ディビジョンAの隊長で、部下からは「隊長」あるいは「親分」と呼ばれている。頭頂部のハゲと豊かな口ひげ、サングラスが特徴。女好きで有名で、マリーのことを「うさぎちゃん」と呼んでおり、ディビジョンMメンバーほとんどがセクハラ被害に遭っている。
グリフォン
政治的なゴタゴタに好んで首を突っ込んでくる国際テロリスト。マリーの夫と息子を奪い、胸の傷を作った、シドニー空港における爆弾テロ事件の首謀者。
榊原 達郎 (さかきばら たつろう)
かつて国立T大病院の内臓外科部長だった医学博士。臓器移植の権威で、CATのディビジョンMが関わった臓器売買事件に関与していた。マリーの古い知り合いで高校時代の家庭教師。父の部下で兄の先輩、そして姉の婚約者でもあった。T大病院を去った後、百泉バイオ化学という会社を設立し、それを隠れ蓑に臓器売買を行っていた。
集団・組織
CAT (きゃっと)
『砂の薔薇』に登場する、対テロ専門組織。民間運営で国境に縛られないため、世界のどこであろうとも要請があれば出向くことができる。対テロ専門の傭兵組織ともいえる。マリーをはじめとする主要キャラクターたちは海外部のディビジョンMに所属。CAT内の女性部隊はディビジョンMのほかRとCの2隊があり、名称のアルファベットは指揮官の頭文字から取られている。