杖と剣のウィストリア

杖と剣のウィストリア

青井聖の初連載作品で、小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の作者・大森藤ノが原作を担当している。舞台は天上からの侵略者によって空を奪われた魔法絶対至上主義の世界で、「本物の空」を取り戻すべく、魔法学院で最強の魔法使いたちの育成が行われていた。魔法学院でただ一人、魔法を使えない落ちこぼれのウィル・セルフォルトが、最強の魔法使いである「至高の五杖(マギア・ウェンデ)」になる夢をあきらめることなく魔法世界の常識を覆していく姿を描く、剣と魔法の冒険譚。魔法世界で唯一の「戦士」であるウィルが、その力と知恵を持って活躍する王道の展開が大きな魅力となっている。講談社「別冊少年マガジン」2021年1月号より連載の作品。

正式名称
杖と剣のウィストリア
ふりがな
つえとつるぎのうぃすとりあ
原作者
大森 藤ノ
作画
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊9巻
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空を奪われた世界

「天上の侵略者」と呼ばれる謎の存在によって空を奪われた世界が舞台となる。世界は闇に覆われ危機に陥っていたが、五人の魔法使いによって天上の侵略者は退けられることとなる。以降、彼らは「至高の五杖(マギア・ヴェンデ)」と呼ばれて英雄視されており、その名は最高位の魔法使いの称号として現代まで受け継がれてきた。至高の五杖によって侵略者は退けられたものの、依然として空は奪われたままで、人々は至高の五杖が魔法によって生み出す「偽りの空」の下で暮らしている。そのため太陽と月は存在せず、人々は侵略者から空を取り戻すため魔法使いの育成に力を入れ、新たな至高の五杖を輩出している。

魔法使いの世界に現れた戦士

主人公のウィル・セルフォルトは、幼なじみのエルファリア・アルヴィス・セルフォルトと共に、いつか「本物の空」で夕陽を見ることを夢見ていた。そんな中、エルファリアは成長していくにつれ生まれ持った才能を開花させ、驚異的なスピードで至高の五杖の座を手に入れる。一方、ウィルはまともに魔法も使えない無能者で、エルファリアとは住む世界が違いすぎ、二人は離れ離れとなってしまう。それでも夢をあきらめきれないウィルは、落ちこぼれと周囲に嘲笑され続けながらも魔法学院に通い続け、至高の五杖を目指している。その後、ウィルの偏執的とも言える愚直な努力は実を結び、いつしか生身で魔法使いと渡り合える「戦士」へと成長し、魔法絶対主義に偏った世界に風穴を開けていくのだった。

魔法使いの塔とダンジョン

「魔法使いの塔(メルキセデス・カウリス)」は至高の五杖が居を構える拠点であると共に、天上の侵略者たちへの前線基地でもあり、天を衝(つ)く巨大な塔となっている。魔法学院の生徒たちは自らの魔法を磨き、いつしかこの塔の上層に上り詰め、至高の五杖の称号を冠することを目指している。そのため魔法学院では、魔法使いの始祖が残したとされる巨大迷宮「ダンジョン」での実習をカリキュラムに組み込んでおり、魔法使いたちはダンジョンで魔物たちと戦い、己の腕を磨いている。原作者の大森藤ノは小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』を手がけているが、巨大なダンジョンと塔のある都市は本作独自の設定であるものの、小説の影響も色濃く残っている。また、本作では小説のキャラクターであるフィン・ディムナが登場し、小説を知っているとさらに楽しめる内容となっている。

登場人物・キャラクター

ウィル・セルフォルト

リガーデン魔法学院に通う少年。少し跳ねたくせ毛に眼鏡をかけている。頭脳明晰で筆記の成績は抜群ながら、魔法学院の中で唯一魔法を使うことができない。そのため、「筆記のみの優等生」と侮蔑を込められて評されている。しかし幼い頃に、幼なじみのエルファリア・アルヴィス・セルフォルトと交わした約束を今も忘れておらず、最強の魔法使いの称号である「至高の五杖(マギア・ウェンデ)」を辛抱強く目指している。実は魔法世界に現れた「異端児」で、魔法は使えないが、その身体能力と剣の腕前は並みの魔法使いの戦闘能力をはるかに超え、この世界に現れた唯一の「戦士」といわれている。そのため魔法の「実技」は赤点ながら、実戦の「実習」は非常に優秀な成績を収めている。戦士としての戦いぶりは魔法絶対至上主義に凝り固まった者たちには評価されていないが、ウィル・セルフォルトの愚直な行動は、次第にそんな者たちの価値観にも変化をもたらしていく。

エルファリア・アルヴィス・セルフォルト

魔法使いたちの頂点に立つ「至高の五杖(マギア・ウェンデ)」の一人で、ウィル・セルフォルトの幼なじみの少女。透き通るような空色の髪をストレートロングにしている。幼い頃から「本物の空」にあこがれており、「太陽」と「月」を見る夢を抱いている。ウィルとはいつか塔の頂でいっしょに夕日を見る約束を交わし、共に至高の五杖を目指すことを誓い合い、やがてその才能を開花させる。圧倒的な魔法の力を身につけ、史上最年少で至高の五杖の一角に収まり、「氷姫の杖」の異名で呼ばれるようになる。現在、世界は天上の侵略者によって空を奪われているため、その代わりとなる「偽りの空」と呼ばれる結界を維持する役目に就いている。その役目を果たしつつ、今もウィルとの約束を果たすため、自らの高みに上り詰めることを信じている。

クレジット

原作

書誌情報

杖と剣のウィストリア 9巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2021-04-09発行、 978-4065225196)

第2巻

(2021-08-06発行、 978-4065244746)

第3巻

(2021-12-09発行、 978-4065262757)

第4巻

(2022-04-08発行、 978-4065275207)

第5巻

(2022-09-09発行、 978-4065291436)

第6巻

(2023-01-06発行、 978-4065303351)

第7巻

(2023-06-08発行、 978-4065318744)

第8巻

(2023-10-06発行、 978-4065331453)

第9巻

(2024-02-08発行、 978-4065345481)

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