概要・あらすじ
新選組が探索用に使っている「女になる秘薬」を、近藤勇が面白がって幹部たちの鰻丼の山椒に混入。自分も含めて胸が女体化してしまうまでは想定内だったが、薬の用量を間違えていたため、何ヶ月経っても女体化が解けない。それどころか、ホルモンバランスの崩れから、土方歳三は感情の起伏が激しくなり、女体化の秘密を守るために極端な局中法度を作り、女性化した藤堂平助は永倉新八への恋慕を募らせ、原田左之助は自分を女性化させた近藤勇を殺そうとする。
女性化した幹部とそれ以外の幹部の間に亀裂が深まっていく。複雑怪奇な幕末維新、新選組は、絶対に外には漏らせない秘密を抱えたまま闇雲に疾駆していく。
登場人物・キャラクター
近藤 勇 (こんどう いさみ)
新選組局長。細かいことは気にしない大雑把で豪放磊落な性格の持ち主。知性よりも勘と度胸で世の中を渡ってきたガキ大将で悪戯好き。男性の体内に眠るホールモーン(女性ホルモン)を覚醒させ、オッパイを大きくする秘薬をシャレで服用。面白がって土方歳三、沖田総司、藤堂平助、原田左乃助に鰻の蒲焼きをおごり、山椒の粉に混ぜた秘薬をたっぷり振りかけて食べさせ、乳房を膨らませてしまう。 本来は四、五日で乳房が消えるはずなのに、いつまでたっても元に戻らなかった。他の四人はホルモンバランスの崩れで精神にも変調をきたし、女性化隠蔽工作に苦労しているにもかかわらず、元凶である近藤勇本人は、さほど悩みもせず、激動の幕末をひた走っていく。 歴史上の実在の人物、近藤勇がモデル。
土方 歳三 (ひじかた としぞう)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長。乳房が大きくなると同時に、ホルモンバランスの崩れから感情の起伏が激しくなってしまう。近藤勇とは「死ぬ時は一緒」と誓い合った仲で、近藤勇を守るためなら汚れ仕事も厭わない。嫉妬に狂った古女房のようにヒステリックになりながらも冷酷さ、周到さはより深さを増していく。 歴史上の実在の人物、土方歳三がモデル。
沖田 総司 (おきた そうじ)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長助勤。温厚な性格だったが、乳房が膨らんだショックで彷徨っているところを女性と間違えられて集団暴行されてしまい、凶悪な性格に一変。後に発見した犯人たちを惨殺する。身体の変化を最も嫌い、元に戻す薬を試すのも、乳房の切除手術に臨むのも一番乗り。しかし手術は失敗し、労咳まで患ってしまう。 歴史上の実在の人物、沖田総司がモデル。
藤堂 平助 (とうどう へいすけ)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長助勤。乳房が大きくなった五人の中で最も女性化が進む。池田屋事件で身をもって自分を守ってくれた兄貴分、永倉新八にときめき、恋慕し、無自覚なまま乙女の恋心が常識を浸食する。総てを自分と永倉の関係性を基準に考えるようになってしまい、永倉の態度に一喜一憂し、公然と女装までしてしまう。 歴史上の実在の人物、藤堂平助がモデル。
原田 左乃助 (はらだ さのすけ)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長助勤。切腹で死に損なった腹の傷跡が自慢の直情径行な美男。「シャレ」で自分の乳房を大きくした近藤に殺意を抱く。京の町娘、マサとは祝言こそ挙げていないが相思相愛の仲。乳房の切除手術を思いとどまらせようとする彼女と斎藤一の関係を疑い始め、斎藤との信頼関係が揺らいでいく。 歴史上の実在の人物、原田左乃助がモデル。
永倉 新八 (ながくら しんぱち)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長助勤。いかつい顔立ちでオッパイ好き。弟分の藤堂平助の窮地を救ったことから、女性化した藤堂に惚れられる。衆道の要素が全くない男だけに辟易するが、叱咤しても藤堂には、それが愛に根ざすものと誤解され、さらに困惑の度を深めていく。歴史上の実在の人物、永倉新八がモデル。
斎藤 一 (さいとう はじめ)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長助勤。女体化した原田左乃助を世話する内に、乳房が気になり、さらには原田の色っぽい姿に惹かれていく。原田の事実上の妻、マサにはその心を見抜かれている。歴史上の実在の人物、斎藤一がモデル。
山南 敬介 (やまなみ けいすけ)
『秘密の新選組』に登場する新選組総長。秘薬事件で幹部たちの精神状態が変になっていることに苦悩し、近藤勇の増長ぶりに心が離れていく。秘薬の件を伊東甲子太郎に相談しようとしたことを、武田観柳斎が土方歳三に密告。脱走を強いられるが、送り狼として付けられた沖田総司の苦悩する心中を察し、帰隊して切腹する。 歴史上の実在の人物、山南敬介がモデル。
井上 源三郎 (いのうえ げんざぶろう)
『秘密の新選組』に登場する新選組隊士。老け顔で長老然としているが、登場時は35歳。本編ではほとんど出番がなく、主に「おまけまんが」の『極意の源さん』で笑いを取っている。鳥羽伏見の戦いで戦死。歴史上の実在の人物、井上源三郎がモデル。
山崎 烝 (やまざき すすむ)
『秘密の新選組』に登場する新選組監察。本作では名前に丞の字が当てられることもある。探索時の変装用に、本作の発端となる乳房を大きくする秘薬を入手する。歴史上の実在の人物、山崎烝がモデル。
武田 観柳斎 (たけだ かんりゅうさい)
『秘密の新選組』に登場する新選組副長助勤。医術の心得がある。風見鶏的な性格で、保身に長ける。伊東甲子太郎が御陵衛士を作って分派した際には二重スパイを演じるが、真の密偵である斎藤一に斬殺される。歴史上の実在の人物、武田観柳斎がモデル。
伊東 甲子太郎 (いとう かしたろう)
『秘密の新選組』に登場する新選組参謀。剣術の元弟子である藤堂平助の勧誘で新選組に加盟する。それを機に大蔵から甲子太郎へと改名。知性が高く、懐が深く、加盟後すぐに人望を集めるが、水戸の流れを汲む勤皇派であったため、次第に新選組の主流派とは溝が拡がり、最終的に御陵衛士を組織し、分派する。 その後、油小路にて暗殺される。歴史上の実在の人物、伊東甲子太郎がモデル。
松本 良順 (まつもと りょうじゅん)
『秘密の新選組』に登場する将軍の侍医。近藤勇と沖田総司に乳房の外科的な切除を行う。沖田の手術には失敗するが、二人目の近藤勇の手術は成功する。歴史上の実在の人物、松本良順がモデル。
松平 肥後守 (まつだいら ひごのかみ)
『秘密の新選組』に登場する会津藩主。京都守護職。新選組の内紛を仲裁する。歴史上の実在の人物、松平容保がモデル。
榎本 釜次郎 (えのもと かまじろう)
『秘密の新選組』に登場する旧幕府軍副総裁。開洋丸艦長。幕府瓦解後、土方歳三らと共に蝦夷地に渡り、共和国を設立する。歴史上の実在の人物、榎本武揚がモデル。
徳川 慶喜 (とくがわ よしのぶ)
『秘密の新選組』に登場する徳川第15代将軍。鳥羽伏見の戦いから退却し、その後は官軍に恭順の姿勢を貫いた最後の将軍。歴史上の実在の人物、徳川慶喜がモデル。
大久保 一翁 (おおくぼ いちおう)
『秘密の新選組』に登場する幕府末期の会計総裁。官軍との摩擦を避け、脱走兵、一揆の取り締まりなどのため近藤勇に命じて新選組を甲陽鎮撫隊に改称、再編成させる。同隊が官軍に敗北するや、援軍を拒否し、官軍に出頭した近藤勇の助命嘆願も拒否する。歴史上の実在の人物、大久保一翁がモデル。
西郷 吉之助 (さいごう きちのすけ)
『秘密の新選組』に登場する薩摩藩の重臣。近藤勇は禁門の変で彼が手柄を独り占めにしたと思っている。歴史上の実在の人物、西郷隆盛がモデル。
古高 俊太郎 (ふるたか しゅんたろう)
『秘密の新選組』に登場する攘夷派の工作員。商人に化けて、御所焼き討ちと天皇奪取を計画するが、新選組に捕らえられ、拷問に耐えきれず計画を自白。その結果、池田屋で多数の攘夷派浪士が捕殺されてしまう。後に六角獄に身柄を移され、牢内で近藤勇の乳房の件をしゃべったため、禁門の変のどさくさまぎれに殺害される。 歴史上の実在の人物、古高俊太郎がモデル。
集団・組織
新選組 (しんせんぐみ)
『秘密の新選組』に登場する佐幕派の浪士隊。京都市中警備と反幕府派浪士の取り締まりを行う。