スーパー太平記

スーパー太平記

タイムマシンで江戸時代に置き去りにされてしまった駒助が、父親から渡された未来の本の知識を使って大活躍する物語。「少年画報」1958年7月号から1959年6月号まで掲載された。『スーパー太平記』の前身となる、『ピストルをあたまにのせた人びと』も同時収録。

正式名称
スーパー太平記
ふりがな
すーぱーたいへいき
作者
ジャンル
歴史IFもの
レーベル
手塚治虫文庫全集(講談社コミッククリエイト)
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概要・あらすじ

300年後の世界からタイムマシンでやって来た家族が、ひょんなことで親子離れ離れになってしまう。一人残された赤ん坊は女スリのお伝に拾われ、駒助と名付けられてすくすくと育った。駒助はある日横暴な侍にからまれ、あやうく無礼討ちされそうになるが、そこを未来から再び江戸にやって来た両親に助けられる。一緒にもとの時代に帰ろうと誘う両親だったが、お伝を実の母親と慕う駒助はそれを拒む。

せめてもと未来の技術が書かれた本を渡し、よく勉強して元気で暮らせと言い残して、両親は未来へ帰って行く。その後、「への屋」に奉公に出た駒助は、本から得た知識を使って頭角を現していく。折しも老中の上左下右京太夫が、黒船から買い受けた新式兵器で、幕府を転覆し天下を我が物にしようとしていた。

企みを知った駒助は、自身の持つ知識と技術を総動員して、江戸を守るため立ち向かう。

登場人物・キャラクター

駒助 (こますけ)

タイムマシンを運転する両親に連れられて江戸時代に来た際、偶発的な事故により一人だけ置き去りにされてしまう。育ての親であるお伝を心から慕い、彼女をスリから足を洗わせるために働きに出た。給料を全部お伝に渡し、番頭のウナどんにいじめられながらも懸命に働いている。未来へと去った両親から未来の技術について書かれた本をもらっており、そこから得た知識を使って数々の発明をする。 幕府を滅ぼして天下を手に入れようとしている上左下右京太夫の陰謀を知ってからは、自分の持つ力を最大限に活かして勇敢に立ち向かう。

お伝 (おでん)

捨て子だった駒助を我が子として可愛がっている女性。元はスリを業にしていたが、成長した駒助に足を洗うよう頼まれ、堅気の生活を始めた。その後、昔の仲間だったスネのキズ六からスリの仕事に誘われて一度は断るが、駒助のために用意したお金を奪われてしまったことを理由に、仕方なく侍から密書をスリ取る仕事を引き受ける。

小原 庄之助 (おはら しょうのすけ)

駒助、お伝と共にケンカ長屋に住んでいる浪人。腕は立つが貧乏暮らしをしている。母一人子一人の駒助親子を気にかけており、なにかと世話を焼いている。駒助が横暴な侍に無礼討ちされそうになった時にも、体を張って守ろうとした。

ウナどん

「への屋」の三番番頭。奉公に来た駒助を初日からいじめる。給料の半分を毎月よこせばかわいがってやると要求したが、言うことを聞かない駒助を追い出そうとして、店の帳場から20両を盗んだ罪を着せようとした。結局はウナどんが犯人だと判明したことで店をクビになる。それ以降、駒助に復讐しようと付け狙う。

への屋 茂平次 (へのや もへいじ)

「への屋」の主人。自分自身が幼い頃から働きに出ていたため勉強することができず、今も字が書けないことにコンプレックスを感じ、「への屋」の店員には本を読んだり勉強をすることを禁じている。駒助が字の書き方を練習しているのを見つけた際には、腹を立てて勉強がしたければ熱湯の中に指を入れてみろと根性を試した。それでも意志を曲げない駒助に驚嘆し、その後は勉強道具と発明用の仕事場を与えて援助するようになる。

ゲッソリ右門 (げっそりうもん)

奉行所の役人。駒助が怪しいとウナどんから密告を受け、動向を探っていた。駒助が持っている未来の本に目をつけ、世の中を騒がせる妖術の本に違いないと決めつけて取り上げようとする。

スネのキズ六 (すねのきずろく)

お伝の昔のスリ仲間。お伝のもとを訪ねてきて、ある侍の懐中から密書をスリ取って欲しいと依頼する。もう足を洗ったからとお伝が断ると、ならず者を雇ってお伝からなけなしの金を奪い、引き受けざるをえない状況に追い詰めた。

上左下 右京太夫 (かみさか うきょうだゆう)

江戸幕府の老中。鬼火組を介してゴンチャロフから新式兵器「どらきゅら」を買い受けた。鬼火組に「どらきゅら」を操らせて江戸の町を破壊し、幕府を転覆させて自らが天下を取ろうと企んでいる。

加賀美博士 (かがみはかせ)

駒助の父親。タイムマシンに乗って300年後の未来から江戸時代へやって来た。機械の誤作動により駒助を置いて行かざるを得なかったが、何年もかけてようやく駒助を探し出し、連れて帰ろうとした。駒助に拒まれた後も、ピンチの時には駒助を助けるために現れる。

加賀美 鏡子 (かがみ きょうこ)

駒助の母親。夫の加賀美博士と共にタイムマシンに乗って300年後の未来から江戸時代へやって来た。お伝を実の母親だと思っている駒助に拒絶され、傷つきながらも駒助を思い、見守っている。

首領 (しゅりょう)

鬼火組の親分。上左下右京太夫から依頼され、ゴンチャロフとの新式兵器売買取り引きを取り持った。首領が右京太夫へ送った密書をお伝がスリ取り、それを読んだことで陰謀を知った小原庄之助を始末しようとする。

からくり儀右衛門 (からくりぎえもん)

当代一のからくり細工師として名高い。その技術に目をつけられ、新式兵器「どらきゅら」を人目につかないように保管する隠し場所を作らせるため、鬼火組にさらわれた。拷問にかけられ、無理やり働かされる。

不知火 (しらぬい)

鬼火組の用心棒。鬼火組の仲間に扮してアジトに忍び込んだ小原庄之助の殺気に気づき、刃を交えて好敵手と見込む。正々堂々と勝負したいと願っており、卑怯な手で鬼火組に捕らえられた庄之助を逃がした。

ゴンチャロフ

黒船パルラダ号船長。日本との通商を求めてきたが、即応しない幕府側に業を煮やし、断るのであれば12月31日に江戸の町が灰になるという宣告をした。新式兵器「どらきゅら」を上左下右京太夫に売り渡し、幕府を転覆させるよう手を回す。

忍術使い (にんじゅつつかい)

駒助の持っている本が忍者にとってかけがえのない参考書になると目をつけ、襲撃して奪おうとする。隠れ身の術と分身の術を得意とするが、剣の腕は小原庄之助に及ばず、一度は追い払われる。

とろ

忍術使いの妹。しっかり者で、兄の尻を叩きつつ支えている。相手に幻を見せる術を得意とする。術はかなりの腕だが、未来の本を読んで光の屈折率を学習した駒助には、すべて見破られてしまう。

書誌情報

スーパー太平記 講談社コミッククリエイト〈手塚治虫文庫全集〉

(2011-06-10発行、 978-4063738377)

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