コロナ禍に喘ぐ日本の舵を取る徳川家康
202X年、コロナウイルスの蔓延によって世界中で経済活動が停滞し、民衆は混乱に陥っていた。日本では首相官邸で発生したクラスターによって、内閣総理大臣が死亡するという緊急事態が発生。内閣支持率は過去最低まで低下し、国家として統制が取れない危機的状況に直面していた。事態を重く見た日本党の幹事長は国家存亡の危機を乗り越えるべく、秘密裏に準備させていた「プロジェクトP・T(パスクトクガワーナ)」を発動する。そのプロジェクトとは、265年もの太平の時代を創生した英傑・徳川家康を最新のAI技術とホログラム技術を応用して現代に甦らせ、日本の舵取りを託すという前代未聞の計画だった。
日本の英傑が勢揃いした「最強内閣」が世直しに挑む
内閣総理大臣・徳川家康が率いる閣僚たちは「最強内閣」の俗称で呼ばれている。いずれも家康と同様に最新のAI技術とホログラム技術によって作り出された日本の英傑で、官房長官・坂本龍馬、財務大臣・豊臣秀吉、経済産業大臣・織田信長、厚生労働大臣・徳川綱吉、農林水産大臣・徳川吉宗、外務大臣・足利義満、総務大臣・北条政子、法務大臣・藤原頼長、防衛大臣・伊達政宗、文部科学大臣・菅原道真という錚々たる顔触れが並んでいる。副大臣や警察組織にも英傑が起用されており、新選組の面々が治安維持活動に従事する姿も描かれている。なお、英傑の外見は徳川家康のように晩年の姿で再現される場合もあれば、伊達政宗のように若々しい姿で再現される場合もある。
「最強内閣」を否定するテロリストたちの暗躍
徹底的なロックダウンとともに、一律50万円の給付金、30兆円もの国債の引き受け先の確定など、大胆な政策を次々と成功に導いた「最強内閣」は瞬く間に国民からの信頼を獲得する。その後もSNSでの誹謗中傷の厳罰化、リモート万国博覧会の開催など、時代に即した政策を繰り出して日本を活性化させていくが、仮面を被った謎の集団の暗躍によって、AI政治への反対運動が活発化する。仮面の集団は陰謀論を題材にした動画投稿で、大衆を煽るという迂遠な手段で最強内閣に仇なすこともあれば、ハッキングなどのサイバー攻撃を仕掛けるテロリストでもあり、彼らと最強内閣の白熱した戦いも見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
AI技術によって作り出された江戸幕府の創始者・徳川家康。月代を剃って髷を結い、口髭と顎髭を蓄えた白髪の老人。肥え太った狸爺という世間のイメージから掛け離れた風貌で、幕末の動乱を駆け抜けた坂本龍馬すら息をのむほどの威圧感を放っている。何事にも動じないが、熟考すると親指の爪を嚙む癖がある。意図的に国家の成長に歯止めを掛けるような政策で、265年もの太平の時代を築いた異質なリーダーである点が評価され、コロナ禍に喘ぐ日本の救世主として白羽の矢が立ち、内閣総理大臣に任命された。閣僚の意見を広く聞き入れる度量と柔軟さを持ち合わせており、のちに「徳川ロックダウン」と呼ばれる徹底した外出禁止令を実施した。違反者を厳しく取り締まり、平和ボケした現代人に法令遵守の重要性を知らしめた。官房長官・坂本龍馬を「幕府を殺した男」と認識し、彼に補佐されることを皮肉に感じている一方で、龍馬を日本の礎を築いた人物と認めて高く評価している。実在の人物、徳川家康がモデル。
坂本 龍馬 (さかもと りょうま)
AI技術によって作り出された幕末の志士・坂本龍馬。総髪で額に刀傷がある。頭を掻きむしる癖があり、コテコテの土佐弁をしゃべる。身分で人生が決まる世の中を変えるために乱世を駆け抜けた英傑で、江戸幕府の幕引きに関与しておきながら、官房長官として内閣総理大臣・徳川家康の政務補佐を任されることになった。「最強内閣」に名を連ねる英傑たちの取りまとめも担っており、連携をうながしたり、喧嘩を仲裁したりと気苦労が絶えない。また、閣議決定を民衆に伝えたり、記者の質問に応じたりするスポークスマンの役割も担っている。砕けた物言いで現場の雰囲気を塗り替えることを得意としており、初めての記者会見ではコロナウイルスを目に見えない人斬りにたとえて、ロックダウンの必要性を訴えた。大日本テレビのアナウンス部に所属する現代人・西村理沙に生前の妻・おりょうの面影を見いだし、親しく交流するようになる。実在の人物、坂本龍馬がモデル。
クレジット
- 原作
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眞邊 明人
書誌情報
もしも徳川家康が総理大臣になったら ー絶東のアルゴナウタイー 4巻 秋田書店〈ヤングチャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2022-11-18発行、 978-4253309318)
第2巻
(2023-05-18発行、 978-4253309325)
第3巻
(2023-11-20発行、 978-4253309332)
第4巻
(2024-06-19発行、 978-4253309349)