幽霊が見える人々の非日常ラブコメディ
本作は現代日本を舞台に、浮遊霊をはじめとする幽霊たちと、霊が見える人々が共存する世界を描いている。作中で語られる霊感は、霊が見えるものの人間との区別がつかないタイプと、霊は見えないが感じることができるタイプに分かれている。オカルト要素として幽霊や霊感が存在する一方で、多くの霊は陽気で無害な霊たちで、悪霊による恐怖や危害、怖いホラー要素はほとんど登場しない。そんな世界で、霊感のある少年少女と元気な幽霊たちが織り成す、のんびりとした楽しい日常ラブコメディが、柔らかく繊細な少女漫画風のタッチで展開される。
霊感のある女子高校生が主人公
二家光は、ふわふわとした雰囲気でつかみどころがなく、マイペースでサバサバした性格の女子高校生。そんな光には、人には言えない秘密があった。実は彼女は幼い頃から幽霊を見ることができ、生きている人間と同様に彼らを認識することができるのだ。この能力のせいで、光はしばしば幽霊と人間を混同し、奇妙な出来事に巻き込まれてしまう。元々お人よしで、困っている人を放っておけない光は、幽霊だと知らずに彼らの頼みを引き受けてしまうことがある。そんなある日、光は見知らぬおじいさんから、不登校気味のクラスメート・根元久楽にプリントを届けてほしいと頼まれる。そして久楽の家で、光は驚くべき事実を知ることになる。なんと、先ほどのおじいさんは久楽の祖父の霊だったのだ。さらに久楽の家には、彼の祖母の霊や昭和の女子高生の霊・順子、平成の女子高生の霊・さやなど、さまざまな幽霊が住みついていた。
幽霊が見える二人の不思議な物語
日光アレルギーに悩む久楽は、肌で霊を感じ取るという特異な霊感の持ち主だった。そんな久楽はある日、人間と幽霊の区別がつかない光と出会う。ほとんど外出することなく、不登校気味な久楽を心配した光は、「私が久楽の日よけになるから、私のおばけよけになってほしい」と提案する。これをきっかけに、久楽は少しずつ学校に通うようになり、光との非日常的な生活が始まる。やがて、秘密を共有する特別な関係の中で、幽霊にまつわる出来事や高校生活を通じて、光は久楽に惹かれていく。そこに光の親友で、いつの間にか幽霊になってしまった田中日夏莉や、光のクラスメートである福知が加わり、高校生たちの友情や青春、そして切ない恋心が交錯する物語が展開される。
登場人物・キャラクター
二家 光 (にけ ひかり)
とある高校に通う1年生の女子で、根元久楽のクラスメート。愛称は「ニケ」。淡い水色のセミロングヘアが印象的な長身の少女。母親と二人暮らしで、母親から貰ったワイヤレスイヤホンをつねに装着している。幼い頃から霊が見える体質ながら、二家光自身はそれを特別なこととは思っておらず、生きている人と亡くなっている人の区別すらついていない。お人よしで人懐っこい性格だが、どこかひねくれたところがある。また、困っている人を放っておけない性分で、幽霊や人間を問わずに手助けをしては学校に遅刻するため、担任の先生から頻繁に注意を受けている。学校を休みがちな久楽のことを気にしている。
根元 久楽 (ねもと くらく)
二家光と同じ高校に通う1年生の男子で、光のクラスメート。昔のあだ名は「ねくらくん」で、光からは「ネモ」と呼ばれている。光と同様に霊が見える体質で、さまざまな霊を引き寄せてしまう。日光アレルギーのために肌が弱く、UVカットのパーカーと眼鏡を着用している。両親が不在の実家で一人暮らしをしているが、亡くなった祖父母の霊や複数の浮遊霊が家に住みついており、そのことに悩んでいる。また、これが原因でさくらんぼが大好きなのにさくらんぼアレルギーになってしまう。