突風とビート

突風とビート

椎名軽穂が代表作『君に届け』から18年ぶりの新作として発表した作品。現代日本を舞台に、幼少期から幽霊を見ることができる高校生・二家光と根元久楽が織り成す不思議な日常と淡い恋愛模様を描いた、非日常ラブコメディ。集英社「別冊マーガレット」2024年4月号から連載。2024年12月に、宝島社「このマンガがすごい!2025」オンナ編第7位を獲得している。

正式名称
突風とビート
ふりがな
とっぷうとびーと
作者
ジャンル
お化け・妖怪
 
ラブコメ
レーベル
マーガレットコミックス(集英社)
巻数
既刊2巻
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幽霊が見える人々の非日常ラブコメディ

本作は現代日本を舞台に、浮遊霊をはじめとする幽霊たちと、霊が見える人々が共存する世界を描いている。作中で語られる霊感は、霊が見えるものの人間との区別がつかないタイプと、霊は見えないが感じることができるタイプに分かれている。オカルト要素として幽霊や霊感が存在する一方で、多くの霊は陽気で無害な霊たちで、悪霊による恐怖や危害、怖いホラー要素はほとんど登場しない。そんな世界で、霊感のある少年少女と元気な幽霊たちが織り成す、のんびりとした楽しい日常ラブコメディが、柔らかく繊細な少女漫画風のタッチで展開される。

霊感のある女子高校生が主人公

二家光は、ふわふわとした雰囲気でつかみどころがなく、マイペースでサバサバした性格の女子高校生。そんな光には、人には言えない秘密があった。実は彼女は幼い頃から幽霊を見ることができ、生きている人間と同様に彼らを認識することができるのだ。この能力のせいで、光はしばしば幽霊と人間を混同し、奇妙な出来事に巻き込まれてしまう。元々お人よしで、困っている人を放っておけない光は、幽霊だと知らずに彼らの頼みを引き受けてしまうことがある。そんなある日、光は見知らぬおじいさんから、不登校気味のクラスメート・根元久楽にプリントを届けてほしいと頼まれる。そして久楽の家で、光は驚くべき事実を知ることになる。なんと、先ほどのおじいさんは久楽の祖父の霊だったのだ。さらに久楽の家には、彼の祖母の霊や昭和の女子高生の霊・順子、平成の女子高生の霊・さやなど、さまざまな幽霊が住みついていた。

幽霊が見える二人の不思議な物語

日光アレルギーに悩む久楽は、肌で霊を感じ取るという特異な霊感の持ち主だった。そんな久楽はある日、人間と幽霊の区別がつかない光と出会う。ほとんど外出することなく、不登校気味な久楽を心配した光は、「私が久楽の日よけになるから、私のおばけよけになってほしい」と提案する。これをきっかけに、久楽は少しずつ学校に通うようになり、光との非日常的な生活が始まる。やがて、秘密を共有する特別な関係の中で、幽霊にまつわる出来事や高校生活を通じて、光は久楽に惹かれていく。そこに光の親友で、いつの間にか幽霊になってしまった田中日夏莉や、光のクラスメートである福知が加わり、高校生たちの友情や青春、そして切ない恋心が交錯する物語が展開される。

登場人物・キャラクター

二家 光 (にけ ひかり)

とある高校に通う1年生の女子で、根元久楽のクラスメート。愛称は「ニケ」。淡い水色のセミロングヘアが印象的な長身の少女。母親と二人暮らしで、母親から貰ったワイヤレスイヤホンをつねに装着している。幼い頃から霊が見える体質ながら、二家光自身はそれを特別なこととは思っておらず、生きている人と亡くなっている人の区別すらついていない。お人よしで人懐っこい性格だが、どこかひねくれたところがある。また、困っている人を放っておけない性分で、幽霊や人間を問わずに手助けをしては学校に遅刻するため、担任の先生から頻繁に注意を受けている。学校を休みがちな久楽のことを気にしている。

根元 久楽 (ねもと くらく)

二家光と同じ高校に通う1年生の男子で、光のクラスメート。昔のあだ名は「ねくらくん」で、光からは「ネモ」と呼ばれている。光と同様に霊が見える体質で、さまざまな霊を引き寄せてしまう。日光アレルギーのために肌が弱く、UVカットのパーカーと眼鏡を着用している。両親が不在の実家で一人暮らしをしているが、亡くなった祖父母の霊や複数の浮遊霊が家に住みついており、そのことに悩んでいる。また、これが原因でさくらんぼが大好きなのにさくらんぼアレルギーになってしまう。

書誌情報

突風とビート 2巻 集英社〈マーガレットコミックス〉

第1巻

(2024-07-25発行、 978-4088430300)

第2巻

(2025-02-25発行、 978-4088430935)

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