古代東アジアをモデルにした異世界で陰謀に立ち向かう
本作の主な舞台は、古代中国をモチーフにした虯(きゅう)国となっている。皇帝を頂点とする広大な領土を持った大国で、周辺諸国は虯国の顔色を窺うような外交を余儀なくされている。尚和国の王太子と虯国の皇帝は対等な立場にあるが、バーラム国やアムド国は滅ぼされ、各国王家の人々や国民は虯国の奴隷として扱われている。
外交会議に出席したことで事態が一変する
尚和国の王太子である陽弥と嫡男の日弥、そして弥夜は、虯国と周辺国の国主や後継者が一堂に会する十年に一度の外交会議に出席するため、虯国を訪れていた。弥夜は珍しい異国の文化を楽しみながらも、国全体に漂う瘴気を感じ取り、一刻も早く虯国から出国するように陽弥と日弥に進言する。二人もその発言を受けて虯国を出国しようとするが、虯国の皇太子である是欣(ししん)が弥夜を妃にと望んだことで、事態は思わぬ方向に進展する。なお、弥夜は古代日本の巫女をモデルにデザインされ、登場する祓いの儀式や神々は日本の儀式や神々がモチーフになっている。
最大の障害は安寧国の公主と王太子
弥夜の最大の障害になるのが、尚和国の隣国・安寧(あんにょん)国の公主である韓梨花と、その父親である王太子・正敬。虯国の皇太子である是欣が、弥夜を妃に迎え入れようとしているのを察知した梨花は、正敬に訴え出て、妃候補に名を挙げられた諸国の姫全員を入内させるように皇帝に進言させた。弥夜に強いライバル心を抱く梨花と、皇帝に取り入ってひそかに虯国を支配しようともくろむ正敬が、弥夜の最大の障害となっていく。
登場人物・キャラクター
弥夜 (みや)
尚和国の公主で、於能碁呂(おのごろ)島にある大社の次期祭主となる少女。勝気な性格で物おじせず、誰に対しても堂々と振る舞う。本名は「安久美稚広足磐余息長秋津媛命」だが、周囲には通称として「弥夜」と呼ばせている。また、本名の略称として「秋津媛」と呼ぶ者も多い。兄であり王位継承権を有する日弥と許嫁同士だったが、虯国の皇太子・是欣(ししん)が弥夜自身を妃にと望んだことを遠因に、日弥は殺害されてしまう。そのため是欣や、日弥殺害のきっかけをつくった韓梨花には遺恨を抱いている。
韓 梨花 (はん いふぁ)
安寧国の公主の少女。色の薄い茶髪を二つにまとめている。饒舌で自己愛が強く、つねに自分の都合を最優先するため、相手を気遣うことができない。虯国の皇太子である是欣(ししん)の妃になることを夢見ており、外交会議でみごと妃候補に選ばれたことを知って有頂天になる。しかし、是欣が弥夜に興味を持っていることに激怒し、安寧国王太子の父親・韓正敬に訴え出て、現在妃候補に挙げられている姫全員を入内させるよう、皇帝に進言させている。そのため弥夜以外の姫たちにも嫌われており、仲間外れにされている。後日、是欣には正妃候補として選ばれた虯国内の姫・零(りぃん)がいることを知り、強く寵愛を望むようになる。
書誌情報
蜻蛉 13巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第10巻
(2022-11-18発行、 978-4592212300)
第11巻
(2023-05-19発行、 978-4592212324)
第12巻
(2023-12-20発行、 978-4592212331)
第13巻
(2024-10-18発行、 978-4592212348)