引きこもり姫君の軍神伝説
本作の最大の特徴は、「軍神」と称えられた謙信を、実は引きこもりでぐうたらな姫君として描いている点にある。物語では、複雑な経歴を持ち改名を繰り返した謙信の名前を、わかりやすく「上杉謙信虎千代」に統一している。大まかな歴史の流れを踏襲しつつも、自堕落な姫君の虎千代が、カンちがいや誤解によって「軍神」として持ち上げられていく様子をコミカルに描いている。史実では好敵手であった信玄晴信との関係も大胆にアレンジされており、川中島で偶然出会った二人のあいだに生まれるラブコメ要素も盛り込まれている。
戦国時代越後を描いたコメディ4コマ
本作はコメディ4コマの形式を採りつつも、戦国時代の越後を舞台に、史実を独自の解釈で丁寧に描いている。物語は、虎千代が兄の晴景の死を受けて国主の座に就くところから始まり、川中島の戦いを中心に展開される。姉の綾姫との対立や上洛から関東管領就任に至る歴史的な出来事も、わかりやすく大胆に取り入れられている。一方で、軽快なテンポとは対照的に、戦場での別れといった厳しい史実も描かれている。
魅力的なヒロインたちのサービスシーン
本作の見どころの一つは、お風呂好きな虎千代の入浴シーンをはじめ、ヒロインたちの魅力あふれるシーンにある。貧弱な体型に悩む虎千代と、綾姫や甲斐姫といった豊かな肉体を持つヒロインたちとの対比が、コミカルかつ艶やかに表現されている。また、寝起きのリラックスした下着姿や、貝合わせ遊びにまつわる大胆な描写など、随所にサービスシーンが盛り込まれている。
登場人物・キャラクター
上杉 謙信 虎千代 (うえすぎ けんしん とらちよ)
越後国の国主、晴景の妹。「軍神」と称されるほどの神がかり的な軍才を持ち、自国はもちろん周辺諸国からも恐れられている女性。世間では忠義心が厚く、仏道をはじめ多方面に通じた知識人と噂されているが、実際には戦に関する知識は皆無で、部屋に引きこもっては酒や菓子を楽しむ、筋金入りのぐうたら娘である。その様子を憂えた兄の晴景によって寺に出家させられるものの、わずか1日で追い返されるほどの自堕落ぶりを見せつける。ところが、この出来事がきっかけで「和尚が才を惜しんで城へ返すほどの器」との噂が市中に広まり、その結果、反乱鎮圧の総大将に任命されると、みごとに大勝利を収める。以降、その誤解により、群雄割拠の戦国時代を巧みに渡り歩いていくことになる。
武田 信玄 晴信 (たけだ しんげん はるのぶ)
甲斐国の大名であり、甲斐武田の軍勢を率いるカリスマ的な若き指導者。政治家としても卓越した手腕を発揮し、甲相駿同盟の締結に大きく貢献した。しかし、その性格は奔放で、有能な部下に戦を任せ、自らは戦場を離れることも少なくない。旅の僧侶「ハル」に扮して川中島の戦いを抜け出した際、偶然にも虎千代と出会い、意気投合した。優れた大名であるがゆえに、その立場に縛られ、「大名」という枠組みでしか自分を見てもらえない現状に息苦しさを感じている。同じ悩みを抱える虎千代とは、敵対しながらも深く心を通わせている。
書誌情報
軍神ちゃんとよばないで 全9巻 芳文社〈まんがタイムコミックス〉
第1巻
(2015-03-07発行、978-4832253681)
第2巻
(2015-12-07発行、978-4832254435)
第3巻
(2016-11-09発行、978-4832255326)
第4巻
(2017-09-11発行、978-4832256231)
第5巻
(2018-10-09発行、978-4832257207)
第6巻
(2019-08-07発行、978-4832257597)
第7巻
(2020-07-09発行、978-4832257955)
第8巻
(2021-06-09発行、978-4832258327)
第9巻
(2022-04-07発行、978-4832258624)







