概要・あらすじ
店内保安員、いわゆる万引きGメンの龍田川虎美は、依頼を受けて「スーパーあんくる」へ向かい、さっそく店内で怪しい動きをする老婆を発見する。同時に「スーパーあんくる」のマネージャーの多聞鹿男も老婆に注目していた。老婆が商品を自分の懐に入れた瞬間を見た虎美は、老婆が店の外まで出たところで取り押さえようとしたが、鹿男が店内で老婆を取り押さえてしまう。
老婆はボケ老人を装って商品を返却して難を逃れる。その様子を見ていた虎美は、鹿男に万引きの逮捕の難しさを伝え、引き続き店内のパトロールと防犯カメラのチェックを行う。初日で「スーパーあんくる」での万引きの多さを知った虎美は、2日目も気を引き締めて仕事に臨むのだった。
登場人物・キャラクター
龍田川 虎美 (たつたかわ とらみ)
塙警備会社に勤務する女性。年齢は25歳。柔道二段のうえにテコンドーもたしなむ猛者。依頼を受けた店に店内保安員、いわゆる万引きGメンとして派遣され、万引き犯を取り締まっている。小さい頃に父親が万引き犯を追いかけて交通事故で亡くなっており、万引き行為を強く憎んでいる。万引きをしそうな人間の気配を察知すると、胸やお尻などが震える体質で、万引き犯の検挙率が非常に高い。
多聞 熊八 (たもん くまはち)
「スーパーあんくる」のオーナー兼店長の男性。年齢は57歳。最近「スーパーあんくる」内でも万引きが多発しているため、塙警備会社に依頼して龍田川虎美を派遣してもらう。息子の多聞鹿男の人間性をよく理解しており、虎美に失礼な態度をとった鹿男のフォローをする。
多聞 鹿男 (たもん しかお)
「スーパーあんくる」のマネージャーを務める男性。オーナー兼店長の多聞熊八の1人息子で、年齢は25歳。小さい頃に母親が不倫して家を出たため、自分は母親に捨てられたと思い、それ以来女性不信になっている。熊八から万引きGメンとして女性の龍田川虎美が派遣されると聞くが、最初は信用していなかった。しかし、虎美の仕事姿を見て態度を改める。
丸飲みマスク
「スーパーあんくる」をはじめ、さまざまな店で万引きを繰り返す男性。万引き常習犯の中でも最もタチが悪い。常にマスクをしていて、入店時のリュックはスカスカだが店を出る時のリュックが満タンになっているので、多聞鹿男によって「丸飲みマスク」という通称が付けられた。商品をリュックの中にいれて店を出たタイミングで龍田川虎美に声をかけられ、制止を振り切って逃げ出す。
猪狩 三郎太 (いかり さぶろうた)
「スーパーテイク」の店長を務める男性。年齢は50歳。自分の考えが「絶対」正しいと信じており、松本鷹博を始めとした部下に「万引き犯は絶対警察に突き出すように」と厳しく指示している。万引き被害がなくなれば商品をより安く客に提供できると、客を第一に考えている。龍田川虎美が派遣されて、万引きの被害額がかなり減ったことを喜んでいる。
松本 鷹博
「スーパーテイク」のマネージャーを務める男性。年齢は33歳。優しくて気弱な性格なため、店長の猪狩三郎太に言いたいことが言えず、一方的に怒鳴られることが多い。ただし趣味のストリートミュージシャンをやっている時は、言いたいことを歌詞に込め歌っている。
林 げんぞう
老年の男性。「スーパーテイク」でドライヤーと電動歯ブラシを万引きして捕まった。昔は「ピッキングの源」と呼ばれるほどのピッキングの達人だったが、何度も警察に捕まったため帰る家もなく身寄りもない。今は駅前のベンチにずっと座って、通る人に話しかける日々を過ごす。
洋子 (ようこ)
派手な見た目をした女性。「スーパーテイク」で万引きして龍田川虎美に捕まった。悪っぽい人間とのつながりもあるが、友達思いの性格。幼なじみのつぐみと万引きを繰り返し、「スーパーテイク」で捕まった時も、松本鷹博に色仕掛けして見逃してもらおうとする。
つぐみ
幼なじみの洋子とともに万引きを繰り返す女性。「スーパーテイク」で万引きして龍田川虎美に捕まった。真面目で優等生だったが、自分の好きな音楽を認めず、何でも頭ごなしに決めつける父親の猪狩三郎太への反発もあって、洋子から提案された「スーパーテイク」での万引きを決行する。
矢野 (やの)
「みやた書店」の店長を務める男性。多くの本に、丁寧な手書きのポップを作るほど本が好き。3年前までは隣町で「なごみ堂書店」を経営していたが、万引き犯の仲村研一を警察に突き出したため研一が死亡し、非難と批判にさらされて店を畳んだ。当時励ましてくれた仲間のおかげで本屋の仕事に戻って来たが、研一のことがトラウマとなって、万引き犯を警察に突き出すことができなくなった。
伊藤 竜介 (いとう りゅうすけ)
「みやた書店」の男性店員。追いかけていた万引き犯の多幸志朗を、龍田川虎美が捕まえたことにより虎美と知り合う。万引きが多くて店がつぶれそうなのに、万引き犯を捕まえても警察に突き出さない店長の矢野のやり方に不満を持つ。
多幸 志朗 (たこう しろう)
「みやた書店」で万引きを繰り返す常習犯の男性。店員の伊藤竜介から逃げている時に、偶然居合わせた龍田川虎美に捕まる。店長の矢野が3年前まで経営していた「なごみ堂書店」で、弟の仲村研一が万引きし、その後に命を落としたため矢野を逆恨みしている。当時の名前は「仲村志朗」。研一の死によって両親が離婚し、今は母方の姓を名乗っている。
仲村 研一 (なかむら けんいち)
矢野が経営していた「なごみ堂書店」で参考書を万引きした男子学生。矢野に捕まえられて事務所に連れて行かれたものの、身分を明かさないため警察に突き出された。警察の姿を見て恐怖のあまりパニックになり、制止をふりきって逃亡。閉まっている踏切内に入り、電車に轢かれて死亡する。