概要・あらすじ
アメリカで育ち、12年ぶりに日本に帰国した桐柳道士郎はなぜかつねに袴姿の武士になっていた。その奇異な姿から不良たちから絡まれるが、圧倒的な戦闘能力で撃破する。級友の小坂健助を、ある一件をきっかけに殿と呼ぶようになり、彼の判断に従うように。そんなある日、クラスメイトの白瀬エリカが財布を盗んだという事件が発生。
疑いを覚えた小坂健助が調査した結果、事件は校内随一の不良・芝山と教師の共謀によるでっち上げだったことが発覚する。エリカの疑いは晴れたが、調査の過程で教師への暴力行為があったため、事件に関わった「桐柳道士郎」「小坂健助」「白瀬エリカ」「早乙女愛」は自主退学することに。その後4人が連れ立って編入したのは、地域最底辺の不良高校・開久三高だった。
登場人物・キャラクター
桐柳 道士郎 (きりう どうしろう)
幼少時、父親に無理やりアメリカに連れて行かれ、12年間ネバダ州で暮らす。なぜか武士として育ち、日本にはちょんまげが現存し、富士山は日本のどこからでも見られるなどの勘違いをしたまま帰国。実際の日本とのギャップにショックを受けるが、武士としての生き様を貫き続ける。日本の高校に転入した初日、学校の不良たちに呼び出されるが、その際に行きがかりで巻き込まれた小坂健助が最後まで自分に付き合ってくれたことに感じ入り、彼を主君と仰ぐように。 体術、剣術、馬術に加え、トマホークの扱いにも長けており、戦いにおいては絶対的な強さを誇る。礼節を重んじる一方、卑怯なことについては極端な拒絶反応を示す。
小坂健助 (こさかけんすけ)
帰国当日の桐柳道士郎と偶然遭遇し、翌日は転入してきた彼とクラスメイトに。校内の不良に目をつけられた桐柳道士郎に、怯えながらも最後まで付き合う。「誰かのために戦う」と言う桐柳道士郎に「だったら自分のために戦って」と軽口を叩いたところ、簡単に受け入れられてしまう。平凡な思考の持ち主で、ハチャメチャな桐柳道士郎の言動に小市民的観点から激しくツッコミを入れるが、いざというときに採るのは正義感あふれる行動。 そうした行動から桐柳道士郎が呼ぶ健助殿が、周囲からの愛称となる。
白瀬 エリカ (しらせ えりか)
親が寺後紅組に所属するヤクザで、幼いころに発生した抗争により両親とも他界、そのときのショックで髪の毛が白くなる。その後は、不憫に思った組長により育てられた。本人はヤクザを嫌っており、会合が開かれるときはなるべく一晩中外出して自宅にいないようにしている。素直になれず、また口が悪いため誤解されやすいが真っ直ぐで優しい性格。 どんなときも自分を信じ、自分のために一生懸命行動してくれる小坂健助に心のなかでは感謝し、また信頼している。
早乙女 愛 (さおとめ あい)
本名前島勇。帰国当日の桐柳道士郎と偶然遭遇し喧嘩を売る。その際桐柳道士郎に名を問われ、思いつきで早乙女愛と名乗り敗北。後日再戦を果たすものの再び敗北。自分との実力差を感じつつも興味を覚え、早乙女愛は偽名だったと明かすがそれが桐柳道士郎の逆鱗に触れる。桐柳道士郎に「クズ」と呼ばれ続けることで追い詰められ、最終的に早乙女愛を魂の名前として、自称早乙女愛に。 桐柳道士郎や彼が「殿」と呼ぶ小坂健助と行動を共にするようになる。
芝山 (しばやま)
小坂健助らが通っていた高校で最も危険な不良として知られていた。ナイフを持ち歩くなど凶暴な上、他人を陥れる策略を巡らすこともある。教師の弱みを握り、白瀬エリカに泥棒の濡れ衣を着せようとするが、小坂健助の調査により失敗。悪党ではあるが、自分の企みであることを潔く白状したり、教師の弱みは決して明かさなかったり、教師が自分の都合のいいように話を作るのを防いだりと、筋が通った一面も。 どれだけ凶悪な面を見せてもただ感心するだけの桐柳道士郎を苦手とする。
細波 洋 (さざなみ ひろし)
桐柳道士郎ら4人が転入してくるまで開久三高1年D組の級長だった。仲間とともに桐柳道士郎を襲撃するがもののあっさり返り討ちに遭う。級長の座を桐柳道士郎に譲ろうとするが小坂健助に譲るように言われ、それに従う。祖父の言いつけにより、開久三高の生徒にしては珍しくカツアゲをしないが、バイト先では同僚を働かせるだけで自分は何もせずにいる。
佐東 (さとう)
開久三高1年D組の生徒で、小坂健助が級長になると当初はすり寄ろうとする。開久三高では最底辺層に属するが、一般的に見ると立派な不良で、他校生徒からカツアゲするなどしていた。のちに小坂健助が強くないことを知るが、それでも立ち向かう彼の姿に心打たれる。
池内 (いけうち)
開久三高1年D組の生徒。妄想癖が激しく、とても強そうに見えない小坂健助が桐柳道士郎や早乙女愛に偉そうにしているのを見て、「小坂健助は千年続く家の嫡男」「桐柳道士郎は小坂家に代々仕える侍」「白瀬エリカは冷徹に邪魔者を抹殺する忍者」「早乙女愛は主人の荷物を運ぶゴリラ」などと推測する。
神野 (かんの)
開久三高1年B組の級長。早乙女愛を瞬時に倒すほど喧嘩が強く、また頭の切れる人物。転入してきた桐柳道士郎らを排除しようと暗躍するも失敗。開久三高を自主退学する。退学後は、もともと所属していたギャング・チェインズで活動。小坂健助が強くないのに立ち向かうことで仲間の信頼を得ていることに着目し、「小坂方式」と名づけて自分もチェインズで実行してみる。 結果、チェインズがヤクザの集金システムであったことを暴くことになるが、ヤクザから追われる身に。
松崎 (まつざき)
白瀬エリカが身を寄せる寺後紅組の系列組織寺後紅松崎組の組長で、狡猾さと凶暴さを兼ね備える。神野が所属していたチェインズとサウザンツという2つのギャングを作り、互いにいがみ合わせ、バックとして両組織から上納金を徴収していた。白瀬エリカに執着し、近づく人を排除しようとする。
本山 達郎 (もとやま たつろう)
不良の中学生で、友人とともに引ったくりを繰り返していた。桐柳道士郎らに捕らえられ、説教される。その際、桐柳道士郎と前世で縁があったに違いないと決めつけられ、一方的に吉という名前で呼ばれるようになってしまう。桐柳道士や小坂健助との触れ合いにより、いじめられっ子を体を張って救ったりするように。
桐柳 真理絵 (きりう まりえ)
桐柳道士郎の母親で絵本作家。12年前、夫が桐柳道士郎をアメリカに連れて行ってしまってからは長男の桐柳麗一とふたりで暮らしていた。ややほんわかした性格だが、思考は普通の現代人。2人の息子がいるとは思えないほどの童顔の持ち主。
桐柳 麗一 (きりう れいいち)
桐柳道士郎の兄で、建築学を専攻している大学生。母親の桐柳真理絵と同じく思考は現代人。多くの女性ファンがいるほど端正な顔立ちだが、屈強な弟を意識して人知れず体を鍛えていたりもする。ときには桐柳道士郎をきつく諭したり、不良たちに立ち向かっていったりと、弟のために努めることも。
集団・組織
開久三高 (あけひささんこう)
『道士郎でござる』に登場する高校。地元では有名な不良高校で、「バカなヤンキーが10割の、スゴイ所」「中学の時の否希望率150%」などと言われる。なるべくイジメが起きないようにクラス分けは生徒の危険度ランクによって行われ、教師たちも生徒には不干渉。たとえ備品を破壊しても弁償させるだけという方針が採られている。基本的に無法地帯だが、最低限の秩序を守るため「各クラスの級長には逆らってはいけない」というルールが生徒たちの間で守られている。 級長に自分から挑戦することは許されないが、級長から勝負を仕掛けることは可能。その勝負で級長を破り、かつ級長が相手を認めた場合には新しい級長にならなければならない。