金田一パパの事件簿

本作は、さとうふみや『金田一37歳の事件簿』の7年後を舞台に、44歳となった一が主人公として活躍する。妻の美雪とのあいだに息子の九十九をもうけ、7歳になった息子と共に新たな難事件に挑む。物語の幕開けとなるエピソード「私立探偵殺人事件」では、「廃旅館での探し物」という謎のミッションに集められた探偵たちが、混乱と惨劇の連鎖に巻き込まれていく様子が描かれる。原作『金田一少年の事件簿』は、名探偵、金田一耕助を祖父に持つ高校生探偵の一が数々の事件に挑む学園ミステリーとして、アニメやドラマなど多彩なメディアミックス展開を経て、推理漫画の金字塔として広く知られている。

かつてサラリーマンだった一は会社を辞め、古びた格安マンションの一室に私立探偵事務所を構えていた。しかし、依頼はほとんどなく、事務所はいつも閑古鳥が鳴いていた。妻の美雪の収入が一家の生活を支える中、一はせめてもの償いとして、息子の九十九の育児に専念していた。そんな九十九は、父親譲りの推理力の片鱗を見せ始め、日常の些細な謎を次々と解き明かすようになっていた。九十九が7歳になったある日、一の探偵事務所に奇妙な依頼が舞い込んでくる。

一の探偵事務所に、匿名の依頼主から一件の依頼が舞い込んだ。前金100万円という破格の報酬が提示されたものの、依頼内容の多くは謎に包まれていた。学校が休みだった息子の九十九を連れて、一は指定された山奥の廃旅館へ向かう。依頼主に会えると思っていた一を待っていたのは、同じ依頼を受けたというほかの四人の私立探偵たちだった。やがて依頼主から「アボガドのバッジ」を探すよう指示が届き、最初にバッジを見つけた探偵の一人、海東咲太郞が密室の中で殺害されてしまう。