概要・あらすじ
オヤジサラリーマンの楽園となっている東京は新橋。その繁華街から外れた路地裏にある小さな飲み屋「鉄道居酒屋つばめ」。そこでは、各地から集った鉄道車両達が、鉄道に関するトークに花を咲かせていた。路線の延伸や新車両の導入、引退していく車両の今後とそれに伴う愚痴など、その手の話題には事欠かない。そして今日も、楽しくもあり悲しくもある、とりとめのない会話が夜遅くまで続く。
(第1話「鉄道居酒屋つばめ」。ほか、12エピソード収録)
登場人物・キャラクター
209系
十数年の活躍のあと、引退する事が決まったベテランの車両。性別は不詳。「重量半分・価格半分・寿命半分」のうたい文句で鳴り物入りのデビューを果たしたが、外見の安っぽさから「プレハブ」「戦時設計」といった陰口を叩かれ続け、さらに京浜東北線から「103系」を追い出した悪役として蛇蝎のごとく嫌われていた。ところが、自身が京浜東北線からの引退が決まったとたん、打って変わって引退を惜しむ声が聞こえてきたため、周囲のあまりの身勝手さに怒りが爆発。 「鉄道居酒屋つばめ」で痛飲して、たまった愚痴を吐き出していた。しかしそこでも、後輩の車両から「ステンレス無塗装の安普請」「カーテンがないから西日がつらい」「遮音がザル」など、散々に貶められてしまう。
E5系
比較的新しい新幹線。性別は不詳。「E5系はやぶさ」と呼ばれる事もある。東北新幹線が青森県まで延伸した事に伴い、本州最北端に到達できるようになったため、「鉄道居酒屋つばめ」でほかの車両からお祝いされていた。車両の先頭部分が非常に長い独特のフォルムをしており、正面からだと格好いい写真を撮影するのが難しい。また、首を少し横に振るだけで先頭部分がほかの車両とガンガン激突してしまうため、それが原因となってほかの車両との喧嘩に発展する事もあった。 日本最速となる320キロのスピードで、みちのく路をブイブイいわせるのが当面の目標。
スカイライナー
性別は不詳。日暮里と成田間を36分という短時間で結ぶ次世代のエース。デザインを世界的ファッションデザイナーが手掛けているのが売りの一つだが、敵の怪人からは「思ったよりフツーの電車」という身もふたもない感想を述べられていた。ともに戦う仲間として「エアポート快特隊」がいる。
N700系
新大阪から鹿児島までを走っている九州新幹線。性別は不詳。「ドキッ! 新幹線だらけの大運動会!!」のメインイベントである「列島縦断新幹線リレー」に参加した際、新大阪での乗り場が隅っこにある事と、大震災で出発式がすべて中止になった事にショックを受け、一人でいじけていた。その後、「東海道新幹線」に叱咤激励された事で自信を取り戻し、胸を張って九州入りを果たす。
205系
かつて山手線を走っていた車両。性別は不詳。1985年に経済性に優れた次世代通勤型電車として颯爽とデビューし、東京の大動脈である山手線から横浜線、京葉線や武蔵野線など首都圏を席捲した過去を持つ。関西にも勢力を拡大し、最終的に1461両も生産されたベストセラー車。自身を伝説の名車と位置付けていたが、デビューから15年が経過し、旧車となったため、富士急行への譲渡が決定した。 そのため、「鉄道居酒屋つばめ」で開かれた壮行会では大荒れとなる。京葉線や武蔵野線など、特定の路線の205系はほかと色が大きく異なるのが特徴。
IGRいわて銀河鉄道
ステキなネームが付けられた鉄道のみが入れる「キラキラレールの会」の会員。性別は不詳。盛岡から目時間を走っている。「いわて銀河鉄道」では商標を取れなかったため、苦肉の策として略称のIGRを名前に付けている。なお、出願当時は商標にアルファベットが認められていなかったため、正式名は「アイ・ジー・アールいわて銀河鉄道」という。 新参者である越後ときめき鉄道の会への参入を喜んでいた。
越後ときめき鉄道
ステキなネームがつけられた鉄道のみが入れる「キラキラレールの会」の会員。性別は不詳。直江津から妙高高原などを走っている。IGRいわて銀河鉄道達に連れられて「鉄道居酒屋つばめ」に行き、そのキラキラした名前を買われて半ば強制的に「キラキラレールの会」の新人会員となった。
200系
かなり古いタイプの新幹線。性別は不詳。東北・上越新幹線で活躍した。「鉄道居酒屋つばめ」で行われたダイヤ改正歓送迎会の幹事を務めていた。固定座席がすべて車両の端を向いている「集団離反式」なのが特徴で、自己紹介の際に「最後の集団離反式」と述べていた。
おやっさん
「鉄道居酒屋つばめ」の大将。性別は男性。煙突からもくもくと煙を吐き出しているSL。店内に騒がしい客やたばこを吸う客がいると、店の奥から出て来て、激しく煙を噴出しながら注意する。そのため、充満した煙によって誰も店内にとどまる事ができない状態になってしまう。若干耄碌しており、注意したあとは家族によってすぐに店の奥へと連行されていた。
若旦那
「鉄道居酒屋つばめ」の店員。性別は男性。おやっさんの息子で、嫁といっしょに店を切り盛りしている。客に注意をする際に暴走しがちな父親を諫める役割を担っている。トラブル時は嫁と共に客に謝りたおすなど、なかなかの苦労人でもある。
勇者
かつて魔王を倒したという伝説の存在「イツ王」の末裔。性別は不祥。コンピューターゲーム「ウーメクエスト」のキャラクターで、大魔王によって支配されたキタの国を救うために、大魔王が潜むというウーメのダンジョンを探検する。「戦士」「僧侶」「魔法使い」「虎キチ」という四人の仲間がいる。
7800系
元東急電鉄の車両。性別は不祥。現在は秩父鉄道に譲渡されている。秩父鉄道では勾配の途中で立ち往生した事があり、「鉄道居酒屋つばめ」で開かれた東急新人歓迎会で、新天地へと旅立つ車両のために「人生坂あり勾配あり!」という自身の経験に裏打ちされたエールを送っていた。
貴生川湖南
滋賀県東部を走る近江鉄道の車両。性別は不祥。アニメ番組「名探偵湖南」のキャラクターで、蝶ネクタイを付けた子供の姿をしている。みんなで一流ホテルに泊まっていた際に、現地で発生した連続殺人事件に巻き込まれる。優れた洞察力を持ち、犠牲者のほとんどが1形式1編成のオンリーワンである事をいち早く見抜き、彼らに嫉妬心を抱いたホテルの従業員を犯人として特定する。
海芝浦 隼 (うみしばうら はやぶさ)
東京公安部の東京駅公安室に配属された新人の車両。性別は不祥。りんかい線の国際展示駅で発生した同人誌自爆テロを解決するために現場へと急行する。現場に散乱した大量の同人誌に驚くが、そこで同人誌即売会が平日には開催されない事に気づき、犯人の正体が国鉄原理主義者である事を看破する。
サンライズ瀬戸・出雲
マントを羽織り、ヒーローのような姿をした2台の車両。どちらも性別は不祥。互いの足を紐で結び、つねに二人三脚を維持している。廃止された寝台列車がソンビとなった阿鼻叫喚の新橋に突如として現れ、二人で逃げ惑う多くの車両を救っていた。ほかの車両からいつも二人三脚をしている理由を聞かれた際は、激しく動揺し、わざとらしく仲のよさをアピールしていた。
場所
鉄道居酒屋つばめ
東京の新橋にある小さな居酒屋。夜な夜な各地から集まった鉄道車両が、鉄道に関する話題を肴にしながら酒をあおっている。大将である気難しいおやっさんと、若旦那と呼ばれる息子とその嫁の三人で切り盛りしている。
ウーメのダンジョン
大魔王が住んでいる巨大なダンジョン。広いうえに構造が複雑怪奇なため非常に迷いやすく、ここに踏み込んで無事に戻ったものはいないとされている危険なエリア。主な施設は「泉の広場」「サンの洞窟」「天帝グランフロント」「ハンシン酒場」「チャヤの町」など。