銀の鬼

銀の鬼

1000年の時を生きる孤独な鬼と、女子高生の禁じられた愛を描いたミステリアス・ラブストーリー。1986年から1988年にかけて「週刊マーガレット」で連載された。

正式名称
銀の鬼
ふりがな
ぎんのおに
作者
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概要・あらすじ

幼い頃、人間を襲う銀髪の鬼を偶然に目撃してしまった夏乃ふぶきは、一命をとりとめたものの、「おまえが大きくなったら迎えに行く」と告げられていた。そのことをずっと心に秘めたまま、10数年の年月が過ぎたある日、ふぶきの通う高校に、近松善三という転校生がやって来る。善三のなかに、かつて出会った鬼の面影を感じたふぶきは、密かに想いを寄せる担任の島影十年に相談しようと、彼の自宅を訪れる。

だが、十年の正体こそがあの鬼であった。

登場人物・キャラクター

夏乃 ふぶき (なつの ふぶき)

高校2年生の女子生徒。担任の島影十年に対して、密かな恋心を抱いている。因縁をつけてきた相手を殴り返すなど、非常に気が強い一面がある。十年の正体を知ってからは、確固たる信念を持って、十年を殺そうと策略を巡らす。しかし、次第に十年を愛し始めていることに気づき、十年が鬼として暴走するのを、食い止めるのは自分の役目である、という強い使命感にかられるようになる。

島影 十年 (しまかげ とね)

夏乃ふぶきが通う高校の男性教師。クールでさわやかな見た目とは裏腹に、料理が得意で甘いものを好み、自宅の庭に大量の薔薇を咲かせるなど、かなりの少女趣味。学校を早退してパチンコに行く、といった教師らしからぬ素行も見られるが、生徒たちには意外と人気がある。その正体は、1000年の時を生きる銀髪の鬼。ふぶきを少女だった頃から愛している。 自分の花嫁にするため、成長してから拉致監禁し、自宅にある地下室に閉じ込めて、無理やり従わせようと目論む。人間の女性の心臓を食べずにはいられない性分。そのため、人間の姿をしているときの自分に気がありそうな、罪のない女性を襲っては、殺害し続けている。

近松 善三 (ちかまつ ぜんぞう)

高校2年生の男子生徒。夏乃ふぶきが通う高校に転校してきた。幼い頃にふぶきとよく一緒に遊んでおり、当時は「コブちゃん」と呼ばれていた。整った顔立ちに似合わず、食事の際は、ごはんやおかずをよくこぼして、母親にたしなめられている。島影十年の正体を探るべく、自宅へ潜入したりと怪しい行動を繰り返し、かえって警察に目をつけられてしまう。 ふぶきに思いを寄せながらも、なかなか打ち明けられない。ふぶきが十年に傾倒していくのを間近に見て、焦りを感じている。

鹿沼 恵子 (かぬま けいこ)

高校2年生の女子生徒。夏乃ふぶきのクラスメイト。ふぶきのことが気に入らず、取り巻きを引き連れて、ふぶきに因縁をつけるが、逆に殴り返されてしまう。島影十年に憧れており、ふぶきの目を盗んで十年に言い寄る。しかし、逆に心臓を食べるための標的にされてしまう。

広田 寛子 (ひろた ひろこ)

京都で兄の広田幸二と共に、コーヒーとケーキの店「魔離堂」を経営している女性。鹿沼恵子に顔がよく似ており、島影十年をはじめ夏乃ふぶきたちを驚かせた。京都へ向かう新幹線のなかで十年に一目惚れし、チャンスを逃すまいと声をかける。響きが良くない自分の名前に不満を持っているが、両親いわく「神主が名づけた縁起のいい名前」とのこと。

広田 幸二 (ひろた こうじ)

京都で妹の広田寛子と共に、コーヒーとケーキの店「魔離堂」を経営する男性。亡くなった父親に代わって、店主を務める。ひょんなことから店を訪れた夏乃ふぶきに惹かれる。父親からの言い伝えで、鬼の存在を信じており、鬼を殺すというスミレ色の酒「神便鬼毒酒」を店で取り扱っている。見かけは女性っぽいが、どんな状況下でも冷静に物事を判断できる。

青い鬼 (あおいおに)

墓場から蘇った青い髪の鬼。夏乃ふぶきが、島影十年の机から出てきた鬼笛を吹いたため出現。朝になると人間の姿に変わる。かつて、広田家の先祖が「神便鬼毒酒」を用いて退治した。しかし、毒が少なかったせいで致命傷に至らず、長い間、角を1本失った仮死状態で埋められていた。

甲田 雅子 (こうだ まさこ)

東京の「マリードール」で働いている女性。「マリードール」は、コーヒーとケーキの店「魔離堂」の本店。父親の失業によって高校を退学し、就業せざるを得なくなった。不運にも青い鬼に目をつけられてしまい、心臓を食べる目的で執拗に命を狙われる。しかし、鬼の姿をした島影十年によって命を救われ、たちまち彼に心を奪われる。

末 流也 (すえ りゅうや)

美形の男子高校生。夏乃ふぶきがアルバイトしているパン屋「ドリアン」に通いつめている。女子生徒たちから非常に人気がある。高校では、仕方なく華道部に所属しているが、本当は剣道部に入りたかった。子供の頃、全身が銀色の毛に覆われた野犬に襲われて、両親を亡くしている。ふぶきのことが好きで、プライベートを探ろうと家まで追いかけた。 その際、島影十年の存在を知るが、ふぶきをあきらめられずに、横恋慕し続ける。

岡田 麗子 (おかだ れいこ)

「ウェルカム不動産」の社長令嬢。親に任されて経理を担当している。非常に美人だが、気位が高く気まぐれ。自分の都合がいいときしか出勤せず、社員の給料やボーナスの支給額を間違えたりする。仕事に対して不誠実なため、社員から忌み嫌われている。少女のようなかわいらしいコーディネートをしているが、実は若作りの29歳。島影十年を気に入り、自分の入り婿にしようと十年を脅迫する。

石川 ルミ (いしかわ るみ)

末流也と同じ高校に通っている女子生徒。流也に惹かれているが、自分に振り向いてくれない。それに苛立ち、彼が想う夏乃ふぶきに嫌がらせをしようと、島影十年に近づく。ある事件が起こってからは、再び流也に言い寄っている。

西尾主任 (にしおしゅにん)

「ウェルカム不動産」に勤めている男性。教師を辞めて「ウェルカム不動産」に勤務するようになった島影十年を、常に陰湿な叱り方でいびり続けていた。しかし、ついに堪忍袋の緒が切れた十年の鬼の力によって、片目を失ってしまう。退院後は職場復帰して課長に昇進するが、自分の片目が見えなくなったのは、十年のせいだと恨んでいる。

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