どうせもう逃げられない

デザイン事務所「ソロ・デザイン」でアルバイトをする野田蔵なほは、事務所の代表である向坂拓己に惹かれていく。だが、彼は兄嫁と不倫の末に彼女を失った過去から、恋愛には臆病になってしまっていた。不器用な大人たちの恋愛模様を描いたラブストーリー。「プチコミック」2011年8月号から2015年7月号にかけて掲載された作品。

正式名称
どうせもう逃げられない
作者
ジャンル
恋愛一般
レーベル
フラワーコミックスアルファ(小学館)
巻数
全10巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

野田蔵なほは平凡なOL生活にあこがれていたが、なかなか内定を取れずにいた。そこで当面の生活費を稼ぐため、デザイン事務所「ソロ・デザイン」のアルバイト採用面接を受ける事にした。その途中で、なほは痴話ゲンカをしている男女に遭遇するが、その男は女性をあしらうため、たまたまそこにいたなほを彼女扱いする。男のいい加減な態度に腹を立てたなほは彼を平手打ちし、そのままソロ・デザインへと向かうのだった。そして事務所で、先ほどの男がソロ・デザインで事務所代表を務める向坂拓己である事を知る。そんな経緯がありながら、なほはなぜかソロ・デザインのアルバイトに採用される。当初は拓己に苦手意識を抱いていたなほだったが、仕事を通して少しずつ距離を縮めていく。そんな中、なほは拓己と街に出た際に、就活仲間の島津と偶然出会う。島津はなほと共に高田産業の最終面接を受ける予定だったが、少し前に高田産業から面接の日時が変わったという連絡を受け、なほにも伝えてほしいと依頼されていたのだ。それを聞いた拓己は企業が就活者に伝言を頼むはずがないと島津に詰め寄るが、なほは友達を侮辱しないでほしいと激怒。しかし、実際に島津はライバルを蹴落とすため、なほに異なる面接日を伝えていたのだった。(1st Trap「OLになりたい」)

「ソロ・デザイン」に事務職として正社員採用されたなほは、浦江余雄彦から仕事を学び、忙しい日々を過ごしていた。そんな中、なほは高田産業で働き始めたばかりの島津から電話を受ける。島津はなほに対し、偽りの日程を告げた事を謝罪するでもなく、親しそうに語り始める。その場にいた拓己は無理矢理なほの電話を奪い、今後ソロ・デザインは、高田産業にかかわる仕事はいっさい受けないと言い放つのだった。これを聞いたなほは、古くから付き合いがある高田産業との取引が、自分のせいでなくなる事に責任を感じ、咄嗟に島津の事をかばってしまう。(2nd Trap「虎の正体が知りたい」)

島津の企みとは言え、「ソロ・デザイン」の取引先である高田産業の最終面接をすっぽかした形になったなほに、拓己は仕事の打ち合わせがてら謝罪と挨拶に行こうと提案する。高田産業との打ち合わせに同席したなほは、そこで拓己がクライアントから絶大な信頼を寄せられている事を知る。さらにソロ・デザインに帰社してから、浦江と余に「拓己は天才的なデザイナーだった」と聞かされたなほは、拓己に、なぜ今はデザインをしていないのかと質問する。すると拓己は、自分にデザインを強要する人間は問答無用でクビだ、と冷たく言い放ち、なほに解雇を言い渡す。(3rd Trap「誰かの役に立ちたい」)

なほは取引先の男性や街で勧誘の男性から「かわいい」と言われ、浮かれていた。その姿を見た拓己は、なほに対してわざとかわいいと連呼して、彼女の過剰な反応を楽しんでいた。そんなある日の帰宅中、なほは拓己が女性に平手打ちをされているのを目撃する。いつか見たような場面に遭遇し、なほは咄嗟に仲裁に入る。(4th Trap「かわいいと言われたい」)

デザインの締め切りを間近に控え、煮詰まった余は、なほと食事に行ったり、意見を聞いたりする事でリフレッシュしていた。しかし、できあがった余のデザインを拓己は気に入らず、なほが没にした方のデザインがよかったと指摘する。なほは自分のせいだと余をフォローするものの、拓己は相手にしない。結局余は何日も徹夜して業務をこなし、なほと拓己のあいだには気まずい空気が漂う。落ち込むなほだったが、外出先の巨大スクリーンにCMが映し出され、なほはもちろん通行人も足を止めて見入ってしまう。感動的なCMだったと周囲が絶賛する中、なほはそのCMが「ソロ・デザイン」の手掛けたものだと知る。(5th Trap「仔猫は「気持ち」を知りたい」)

第2巻

デザイン事務所「ソロ・デザイン」の社内で、二人きりになった野田蔵なほ向坂拓己はキスをする。しかし拓己は、社員と恋愛関係になるのはよくないと思い直し、なほを拒絶するようになる。内心落ち込んでいたなほは、かつて派遣会社に勤務していた際の上司・粕谷誠一と再会する。粕谷は新しい会社を設立するにあたり、従順で扱いやすい経理の人材を探していたのだ。ちょうどいい人材として、なほをターゲットに定めた粕谷は、なほがソロ・デザインの迷惑になっていると噓の情報を伝える。そして思い悩む彼女をそそのかして、ソロ・デザインに辞表を出させる。(6th Trap「仔猫は迷子になりたくない」、7th Trap「虎は仔猫の今を見る」)

長年海外で活動をしていた、「ソロ・デザイン」専属のカメラマンのが帰国した。馨の帰国祝いとなほの新人歓迎会を兼ねた飲み会が催される事となり、なほはやっと普通のOLっぽい体験ができたと感激する。その一方で、なほは拓己に対して募る思いを抱えていた。そんな飲み会の中、洞察力の鋭い馨はなほの拓己への思いを見抜き、話がしたいとなほを食事に誘う。そこで馨はなほに対し、拓己は社員と恋愛関係になる事はないと伝え、さらにあまり拓己に対して深入りせず、このままのポジションをキープするべきだとアドバイスを送る。それでもなほは拓己への思いを止められず、葛藤していた。そんな中、余が「日本広告賞」という、国内で最も権威のある賞を受賞する事となった。授賞式に招待されたなほは、会場内でライバル会社の社員が余に関するでたらめな悪口を言っている姿を目撃。なほが食ってかかった事で大きな問題に発展しそうになるが、そこへ拓己が仲裁に入り、事なきを得るのだった。授賞式後、余はなほが好きだったと告白する。しかしその直後に、拓己と二人きりになったなほは、やはり自分の気持ちが拓己にしか向いていない事を実感する。(8th Trap「仔猫は虎のそばにいたい」、9th Trap「この気持ちは誰にも言えない」、10th Trap「それでも心は止まらない」)

第3巻

余雄彦に告白された野田蔵なほだったが、自分は向坂拓己が好きだと本心を打ち明け、はっきりと断ってしまう。余は拓己とうまくいかなかった時には、自分の事も考えてほしいと告げて身を引く。余との一件もあり、拓己への恋心を募らせていくなほだったが、拓己が見知らぬ美女をナンパしている場面に遭遇してしまう。(11th Trap「仔猫の心は変わらない」)

最近、暗い表情をしているなほに気づいたはなほを励ますものの、なかなか笑顔が戻らない。そんな中、追い打ちをかけるように拓己からもらったシュシュが紛失する。一生懸命探すなほだったが、シュシュは見つからず、新規オープンした美容室のチラシが目に入る。(12th Trap「仔猫は虎を忘れない」)

社員とは付き合わないという拓己の宣言を受け入れたなほは、拓己の前では明るく振る舞う事にした。その事で、なほと拓己は表面上、良好な関係へと戻る。そんな中、余は拓己から針馬一志との打ち合わせに行くように指示され、なほも同行する。余にとって針馬はあこがれの存在だったため、余の仕事へのモチベーションは一気に高まる。そんな余の一生懸命に仕事と向き合う姿を見たなほは胸をときめかせる。さらに告白を一度断ったにもかかわらず、変わらず優しく接してくれる余に心惹かれていく。なほの心の中に「このまま余と交際すれば幸せになれるのではないか」といった迷いが生じるが、拓己への恋心もあきらめられず、交際へは踏み込めなかった。そんな中、粕谷誠一がデザイン事務所「ソロ・デザイン」を訪れ、拓己にデザインを依頼する。もうデザインはしないと断る拓己に対し、粕谷はなほが自分の部下だった時に、勝手に帳簿データの改ざんをしており、仕事を受けなければなほの悪事を世間に公表すると脅す。(13th Trap「あの人を忘れたい、忘れたくない」、14th Trap「仔猫は高い空を見る」)

拓己はなほに、粕谷と縁を切るように告げる。しかしなほにとっては、前職で世話になった上司であるため、自分の人間関係にまで干渉しないでほしいと拒絶する。そんな中、なほは余から水族館デートに誘われ、楽しい時間を過ごす。そしてなほは拓己の事を忘れ、余の事を好きになろうと決意して手をつなぐ。ある日、余は拓己が過去に制作した広告ポスターをなほに見せ、なほはそのメッセージ性に感銘を受ける。そしてもっと拓己の作品が見たいと、休みの日にこっそり「ソロ・デザイン」に行くと、そこには休日出勤をしている拓己がいた。(15th Trap「仔猫は何処で生きている」)

第4巻

向坂拓己からデザインの仕事の依頼を拒否された粕谷誠一は、野田蔵なほを暗に事故に遭わせるといった脅しを続けていた。拓己はなほの身を案じ、不本意ながらも、デザインの仕事に復帰する事を決意。その決断に余雄彦浦江は驚くものの、その事には触れずに過ごす。しかしなほだけは納得できず、何か事情があるに違いないと、拓己のデスクの引き出しを勝手に開け、粕谷から帳簿データの改ざんをネタにゆすられている事実を知る。激怒したなほは直接粕谷のもとへ乗り込み、粕谷から改ざん指示を受ける前の帳簿データをコピーしていた事実を告げ、デザイン事務所「ソロ・デザイン」から手を引かなければ世間に公表すると恫喝する。仕方なく粕谷は手を引く事になるが、なほを上手く手なずけた拓己と生意気な態度のなほへの怒りが収まらない。そして粕谷は「ソロ・デザイン」を訪ね、社員のいる前で拓己のデザインは盗作だと罵倒するだけでなく、自分がなほと初めて身体の関係をもった相手だと暴露する。(16th Trap「心に素直でありたい」、17th「Trap 愛することは守ること」)

拓己の名古屋出張に、なほも同行する事となる。用件を済ませた拓己の携帯電話に、実家で飼育していた愛犬のハルが死んだと連絡が入る。拓己の実家は名古屋市郊外だった事もあり、なほもそのまま拓己の実家へと同行する。そこで拓己の兄、向坂柾己ら家族と会話を交わし、その中でちはるという女性の名前を耳にする。ちはるの名前が出た際に明らかに動揺した拓己を気づかい、なほは帰りの新幹線の時間を理由に拓己を実家から連れ出す。そして名古屋駅から新幹線で東京駅へと戻る際、拓己は駅構内で倒れ、そのまま名古屋市内の病院へと搬送される。一方、拓己が留守中に「ソロ・デザイン」宛てのメールには「拓己のデザインは盗作だ」といった内容の嫌がらせが相次ぐ。どうせ粕谷の嫌がらせだと相手にしなかった余と浦江だったが、馨は拓己の作品は昔から盗作疑惑があったと打ち明ける。その頃、病院に運ばれていた拓己は目をさまし、自分は柾己の嫁だった故人のちはると不倫をしていたとなほに語る。(18th Trap「仔猫は虎の風景を視る」、19th Trap「真実を知りたい」)

幼き日の拓己と柾己は、ネグレストの実母と暮らした静岡県から、名古屋市郊外にある親戚の家に引き取られた。その家で暮らすちはるに兄弟共に一目惚れし、柾己は初恋を実らせてちはると結婚。拓己は逃げるように上京し、針馬一志の事務所でデザイナーとして勤務を開始した。連日仕事だけ没頭していたところ、仕事の出張で東京にやって来たちはるが自宅を訪れる。ちはるは結婚してからずっと上司から口説かれており、身体の関係をもたなければ仕事のメンバーから外すと脅され、一度だけ関係をもってしまった事を涙ながらに語る。自己嫌悪で嘔吐をするちはるに対し、拓己は自分と浮気をした記憶で上書きをしてほしいと、自分のもとに優しく抱き寄せる。(20th Trap「ただ、きみと在るために」)

拓己はなほの髪の毛が好きで、仕事中も頻繁に触っていた。そんな中、なほは「ソロ・デザイン」の入ったビルの非常階段で休憩している拓己を発見する。拓己は毛足の長い猫と戯れており、なほも撫でようと手を伸ばすが、猫から激しく拒絶されてしまう。(「番外編」)

第5巻

向坂拓己は実兄の向坂柾己の妻のちはると不倫をしており、雪の日に拓己が運転する車で事故に遭い、そのままちはるは亡くなったと野田蔵なほに打ち明ける。壮絶な過去に心の整理がつかないなほに対し、も自分が知っている拓己とちはるの関係をすべて話す。自分が踏み込む余地などないと理解しつつも、なほは拓己への恋心を忘れられない。一方、拓己は針馬一志からニューヨークにデザイン事務所を設立するため、余雄彦を現地スタッフとして迎えたいと相談を受ける。(21st Trap「虎は天に愛を語る」)

拓己は普段通りの自分を演じていたが、心の中では余が針馬の事務所に行くのではないかと穏やかではない。そんな中、デザイン事務所「ソロ・デザイン」には大量の案件が舞い込み、拓己、余、浦江はフル稼働していた。一度倒れてからずっと痛み止めの薬を飲んで仕事をしていた拓己は、再び会社で体調を崩して倒れ込み、なほは大いに困惑する。その姿を見た余は、未だになほが拓己に対して恋心を寄せている事を実感し、複雑な思いを抱く。また、浦江は以前から今一つ自分は拓己に信用されていない事を気にしており、このままソロ・デザインにいるべきなのか悩んでいた。拓己、なほ、余、浦江はそれぞれが違う方向を向いているため、社内の空気はギクシャクとしたものになっていた。そしてついに浦江は独立するため、ソロ・デザインを辞めたいと拓己に退職を申し出る。(22nd Trap「仔猫のそばはあたたかい」、23rd Trap「虎が先か猫が先か?」)

もうすぐボーナスが支給される事になり、余、浦江、馨は何を買おうかと浮き足立っていた。それぞれが目当てのものを楽しそうに話している中、なほは拓己にこっそり呼び出される。拓己は「ソロ・デザイン」の社員達のボーナスの一部を紛失してしまい、なほにいっしょに探してほしいと頼む。なほは余達にばれないようにオフィス内を探すが、なかなか見つからない。そして深夜、拓己は自分一人で探すからもう帰宅していい、となほに告げるが、なほは絶対に見つけると譲らない。(24th Trap「たとえ叶わぬ想いでも」)

なほは再び余のアシスタントを務める事になった。クライアントは高田産業で、担当はなほと因縁のある島津。なほに妙に馴れ馴れしく、さらに上から目線で話す島津に対し、余は苛立ちを覚える。そして余はなほはアシスタント兼自分の彼女だと噓をつき、島津を黙らせる。そんな中、島津に提供された写真データの中に著作権を無視したものが混在しており、拓己と余は差し替え作業に追われる。デザイン関係の業務は何一つ手伝えないなほだったが、拓己からは帰れと言われずに、次々と雑用を任される状況に嬉しさを覚える。(25th Trap「ひとりにはならないで」)

第6巻

島津は勝手に野田蔵なほ余雄彦が結婚をすると噂を流し、さらにデザイン事務所「ソロ・デザイン」に適当な資料を送ったにもかかわらず、まったく反省していなかった。怒りを抑えきれなくなった向坂拓己は、島津に平手打ちをする。そしてその日の夜、拓己はなほに話しがあると切り出す。改めて自分の思いを拒絶されるのだろうと覚悟するなほだったが、拓己から掛けられた言葉は「気持ちの整理がつくまで待っていてほしい」といった優しいものだった。裏を返せば「好きだけれども今は付き合えない」という残酷な言葉ながら、なほの心は満たされる。(26th Trap「叶うなら、叶うのなら」、27th Trap「虎の爪は不器用で」)

デザイン業界内では、なほと余が交際していると噂になっていた。拓己の提案もあり、新進気鋭のデザイナーとして有名になりつつある余は、女性スキャンダルを避けるためにも、なほとの交際を否定せずにいる事になった。そんな中、拓己はソファでうなされながら眠っていた。拓己は目が覚めてからも弱気な言動を繰り返すが、なほは何も言わず優しく抱きしめる。(28th Trap「触れたくて、触れられなくて」)

なほは島津から連絡を受け、至急相談に乗ってほしい事があると言われる。なほが島津のもとに急ぐと、「ソロ・デザイン」でも使用している社外秘データの入ったCD-Rを他社との打ち合わせの際に紛失したため、いっしょに探してほしいと依頼される。なほは島津と共にCD-Rを紛失したと思われる企業に急ぐと、大量の荷物の中から探さなくてはいけない事が判明。うんざりする島津は適当な言い訳で、なほ一人に任せて帰宅してしまう。一人で探し物をしている中、なほの携帯電話に拓己からの電話が掛かって来る。しかしなほは心配をかけたくない思いから今も状況を打ち明けられず、泣きそうになりながらも電話を切る。(29th Trap「虎は仔猫を守りたい」)

休日、拓己が名古屋で開催される写真展を観に行くと聞き、なほも強引に同行する。冬場にもかかわわらず、なほはコートを持って来ておらず、拓己のストールを借りて行動していた。名古屋駅に着いた途端に、拓己は仕事関係の人間から呼び出され、なほは一人になる。しかしなほは寒い中、無理をして歩いていたために高熱を出し、道端で倒れ込んでしまう。(30th Trap「白く冷たい記憶」)

第7巻

高熱を出して路上で倒れてしまった野田蔵なほは、名古屋市内のホテルで向坂拓己の介抱を受ける。そこでなほと拓己は熱烈なキスを交わすが、次の日にはすっかり熱が下がったなほは何も覚えていない。しかし拓己はなほへの気持ちが一気に高まり、抑えられなくなっていた。そんな中、新幹線で東京駅に降り立つと、拓己の姪の向坂翼も同時に降車して来た。服飾専門学校の見学に来た翼は、拓己の部屋に宿泊しようとするが、埃だらけのためアレルギーが発症。急遽なほの家に宿泊する事となり、なほは翼と親睦を深めていく。なほと翼が二人で楽しそうにしている姿を見た拓己は、ますますなほへの愛しさが募っていく。(31st Trap「いかないで」、32nd Trap「資格」)

余雄彦はデザイン事務所「ソロ・デザイン」を数日休み、針馬一志のもとで働くかどうかに悩んでいた。結局答えを出せない余だったが、針馬は拓己が余の意思に任せると言っていたと伝える。一方、拓己となほは二人きりでお花見をしていた。そこで拓己は翼の相手をしてくれた事、そしていつも自分をサポートしてくれている事に感謝していると素直な気持ちを伝える。なほは嬉しさのあまり自分から拓己にキスをしてしまう。(33rd Trap「語れない言葉、伝えたい気持ち」)

余は「ソロ・デザイン」の新規の案件を担当する事になった。最初の挨拶の日、余だけでなくアシスタントを務めるなほも同席する。そこでの会話を聞いていたなほは、拓己は余を一人立ちさせようとしているのだと悟る。そしてなほが拓己と共に帰社している途中、なほがかつて派遣社員として勤務していた同僚達に出会う。女性の同僚達は拓己がイケメンだと騒ぎ立て、自分達と合コンをしないかと色めき出す。(34th Trap「雪と花びら」)

たまには拓己に何かしてあげたいと考えたなほは、に相談をする。すると馨は2日後の金曜日が拓己の誕生日だと言い出す。慌てたなほは、今から大きな計画は立てられないものの、余達が帰宅してから二人でささやかなお祝いパーティーをしようと思い立つ。そして金曜日の就業間近、いつも急な発注をして来るクライアントから連絡が入り、「ソロ・デザイン」内は大パニックになる。そして、なほも拓己の誕生日を祝うどころではなくなってしまう。(35th Trap「笑って」)

第8巻

向坂拓己は用事があるため、実家のある名古屋に行くと言い出す。そして拓己は野田蔵なほに、向坂翼への土産を選んでほしいと依頼する。休日に拓己と外出する事になったなほは、つかの間のデート気分を楽しんでいた。その一方でどこか様子のおかしい拓己に、なほは胸騒ぎを覚える。そして拓己は名古屋へと旅立ち、実家で兄の向坂柾己と久々に二人きりで話す。そして柾己はこれまでずっと拓己とちはるの関係を疑って来た事、そして再婚をする事を打ち明ける。拓己は自分が運転する車の事故で亡くなっただけでなく、最愛の人だった柾己の記憶からも抹消されてしまうちはるを思い、涙する。そして自分だけは生涯ちはるを忘れてはいけないと心に決め、なほに対していっしょにいられないと別れを告げる。(36th Trap「ふつうのデート、ふつうの未来」、37th Trap「独白」、38th Trap「傷」)

余雄彦は、拓己から拒絶されて泣いて取り乱すなほに優しく付き添っていた。拓己を思って涙するなほの姿を見て、まだ完全になほへの気持ちを吹っ切ったわけではない余の心中は穏やかではない。その夜、複雑な心中の余はアルコールの勢いもあり、クライアントの女性と一夜を共にしてしまう。これまで胸の内に本音を溜め込んでいた余のすべてを聞いた女性は、なほを連れて針馬一志の待つニューヨークに行ってはどうかと提案する。余の心が揺れ動く中、拓己はスタッフ全員を集め、デザイン事務所「ソロ・デザイン」を解散すると伝える。そして拓己は全社員は高田産業の正社員になれるように話が進めていると打ち明ける。突然の事に動揺するなほに対し、余は結婚しようとプロポーズをするのだった。(39th Trap「涙涙涙」、40th Trap「消える、そして選択」)

第9巻

野田蔵なほに、かつて自分が向坂拓己と共に針馬一志のデザイン事務所で働いていた時の事を語り出す。まだ二人が新人の頃、拓己は自身がプランニングした広告写真にちはるを起用し、それが大きな話題を呼び、拓己の代表作になった。写真撮影していた際、馨は拓己がちはるに向ける優しい表情を見て、この女性は拓己にとって特別な存在なのだと悟る。そして拓己の運転する車でちはるが事故死したあと、拓己は職場の人間から不倫の間男だと悪質な嫌がらせを受けるようになった。精神的にボロボロになった拓己は逃げるように独立し、デザイン事務所「ソロ・デザイン」を立ち上げたのだった。馨は拓己の心の闇は深く、なほには救えないとはっきり告げる。しかし、それでもなほは拓己への思いは変わらない。なほは余雄彦からのプロポーズをはっきり断り、拓己に告白する。一方、拓己は向坂翼から助けを求めるメールを受信。なほは動揺する拓己に付き添い、拓己の実家のある名古屋へと向かう。(41st Trap「昔話」、42nd Trap「本当の痛みはだれにもわからない」、43rd Trap「告白」、44th Trap「雪が降る」)

名古屋から戻ったなほと拓己は業務の忙しさからすれ違いが続いていた。そんな中、余はなほの背中を押し、拓己と話をする機会を無理矢理つくる。余はなほへの気持ちをきっぱりとあきらめ、針馬のデザイン事務所で働くためにニューヨーク行きを決意。一方、なほと顔を合わせた拓己は、曖昧になっていたなほのへの返事をする。(45th Trap「晴れた空、走る」)

第10巻

向坂拓己野田蔵なほの恋心を受け入れ、二人は初めて身体の関係を持つ。なほは拓己との何気ないやりとりにも幸せを覚え、本当の意味で生まれて初めて、男性に愛されているのだと実感する。一方の拓己もこれまで抑えていた感情を解放し、なほに対して愛の言葉を囁く。(46th Trap「桜」)

なほは余雄彦と共に高田産業の重役から呼び出され、デザイン事務所「ソロ・デザイン」が解散したあとの事について打診される。実のところ高田産業としては拓己と余の移籍が最重要項で、ほかのメンバーは実力があれば採用を検討すると打ち明けられる。特になほに関しては事務職での採用になるため、改めて高田産業の面接を受けてほしいと言われる。諸般の事情を受け入れるべきだと理解しつつも、なほはソロ・デザインで働きたい気持ちが強かった。なほはソロ・デザインへの思いを拓己にぶつけ、余も拓己のもとでもっと技術を磨きたいと懇願する。拓己はソロ・デザインの存続を決め、さらになほに対して社員の前で公開プロポーズをする。(47th Trap「それぞれの選択」、Last Trap「未来」)

なほと拓己は入籍し、これまでなほが一人暮らしをしていた部屋を引き払う事になった。荷物を整理していると、出会って間もない頃に、なほが拓己にもらった未開封のプレゼントが出て来る。実はなほはこのプレゼントを、拓己がほかの女性にあげようとしていたものを急遽自分にプレゼントしたのではないかと思い、ずっと開けられずにいたのだ。(番外編「EXTRA Trap ギフト」)

登場人物・キャラクター

主人公

OLになることを夢見る24歳の女性。平凡に見えて、電話番号をすべて暗記するという特技を持つ。ひた向きで明るいが純粋すぎるところがあり、騙されやすい一面も持つ。大学卒業後就職に失敗し、2年間は契約社員と... 関連ページ:野田蔵 なほ

デザイン事務所「ソロ・デザイン」の代表を務める青年で、元デザイナー。20代前半で名だたる賞を総なめにし、伝説となるほど才能のあるデザイナーだったが、自分がデザインし撮影まで手掛けた広告を盗作と騒がれて... 関連ページ:向坂 拓己

余 雄彦

デザイン事務所「ソロ・デザイン」で働く男性デザイナー。向坂拓己を目標にしていながら、まだまだ自分はそのレベルに達していないと劣等感を抱いている。野田蔵なほへの恋心が本気であることを示すため、日本で最高峰の賞である日本広告賞を受賞し、その副賞のクリスタルのピンを贈るも、振られてしまう。

デザイン事務所「ソロ・デザイン」で働く女性ライター。以前の職場の上司と方針が合わず、転職活動をしていて、「ソロ・デザイン」の面接を受けた。その際、作例を向坂拓己に見せたところ、誰にも言えずにいた不満を... 関連ページ:浦江

向坂拓己と一緒にデザイン事務所「ソロ・デザイン」を立ち上げたパートナーで、事務所所属の男性カメラマン。海外にいることが多かったが、最近帰国した。人物撮影から物撮りまでオールマイティーにこなす器用さを持... 関連ページ:

島津

野田蔵なほの元就活仲間の男性。人が好さそうに見えて、なほに嘘の最終面接の日取りを教えたりと、ずる賢い性格。なほを出し抜いて高田産業に就職するが、高田産業はデザイン事務所「ソロ・デザイン」の大口の依頼主であったため、電話口でなほと再会することになる。

粕谷 誠一

野田蔵なほが派遣社員として働いていた頃の上司。なほに肉体関係を迫り、なほの初めての男になった。街で偶然再会し、独立して会社を作るので経理と営業補佐として正社員で働かないかとなほに話を持ちかける。断ったなほやデザイン事務所「ソロ・デザイン」の向坂拓己を脅してまで、彼女を引き抜こうとする。

針馬 一志

ニューヨークを拠点とする、日本屈指の男性デザイナー。向坂拓己と馨がかつて所属していた事務所のトップデザイナーだった。ニューヨークの事務所の中堅を独立させるため、余雄彦を引き抜きたいと拓己に話を持ちかけてくる。犬が苦手。

向坂拓己が飼っていた大型犬。元々はスーパーで知らない人から押しつけられたことがきっかけで飼うことになってしまった。拓己が引っ越す際に大型犬飼育可のマンションが見つからず、名古屋の親戚宅に預けられる。拓... 関連ページ:ハル

向坂 柾己

向坂拓己の兄で、思慮深く優しい性格。実母から虐待を受けており、拓己が4歳の頃に2人一緒に親戚の叔父の家に引き取られた。ちはると結婚したが先立たれてしまい、再婚を決める。市役所に勤めていて、周囲からも評判がいい。

向坂 翼

高校生で、向坂拓己と向坂柾己の姪。親戚宅の一人娘で拓己たちとは血は繋がっていないが、一緒に育ったため拓己や柾己を本当の兄のように慕っている。ファッション業界を目指していて、東京の服飾系の専門学校を受験したいと言い出すが、紙と布の埃のアレルギーを持っているために両親からは反対されている。

ちはる

向坂拓己と向坂柾己が叔父の家に引き取られて以来の幼なじみで、テレビ局に勤めていた女性。柾己と結婚するが、勤め先の上司に「会議のメンバーから外す」と脅されて関係を持ってしまい、ひどく後悔して拓己の部屋を訪れる。そのすぐ後、拓己が運転する車の後部座席で眠っていて事故に遭い、亡くなってしまう。

場所

ソロ・デザイン

向坂拓己と馨によって立ち上げられたデザイン事務所。都心のマンションの広々とした一室をオフィスにしており、机とパソコン、大量の資料が並んでいる。野田蔵なほを含めて、社員は表向き4人という小さな事務所で、... 関連ページ:ソロ・デザイン

書誌情報

どうせもう逃げられない 全10巻 小学館〈フラワーコミックスアルファ〉 完結

第1巻

(2012年2月10日発行、 978-4091342232)

第2巻

(2012年6月8日発行、 978-4091344038)

第3巻

(2012年11月9日発行、 978-4091346841)

第4巻

(2013年4月10日発行、 978-4091352408)

第5巻

(2013年8月9日発行、 978-4091354990)

第6巻

(2014年2月10日発行、 978-4091357991)

第7巻

(2014年9月10日発行、 978-4091362605)

第8巻

(2015年1月9日発行、 978-4091367464)

第9巻

(2015年4月10日発行、 978-4091370976)

第10巻

(2015年9月10日発行、 978-4091374950)

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