概要・あらすじ
はるか未来の銀河宇宙。個人が携帯可能な武器ならば何でも使用可能という銀河大武術トーナメントの決勝戦に光翅族(エルフ)の美少女ルウが飛び入りした。抜群の戦闘力を見せつけたルウは、主催者の銀河帝国皇子マスカット・タイラーに気に入られ、「歩く兵器廠」K・Kとともに、皇子のボディー・ガードに採用される。
だが、皇子マスカット・タイラーは銀河帝国始まって以来の大奇人。彼は、ルウとK・Kの2名をお供にして、銀河帝国一周のお忍びの旅に出発。一行は各地の名所を見物し、うまいものを食い散らかし、行く先々で遭遇する様々なトラブルを解決したり、火に油を注いだりしながら、珍道中を続けていく。
登場人物・キャラクター
ルウ
卓越した戦闘能力を持つ光翅族(エルフ)の少女。エルフ年齢17歳。実年齢は物語開始時は13歳。金髪でとがった耳と猫のような目を持つ。素直で無邪気な性格だが、頑固な一面もある。人間を遙かに凌駕する身体能力を持ち、光翅(ハネ)を使って自由自在に飛び回ることができる。しかし比重が重いため泳ぐことが出来ない。 また、雨が降ると光翅が形勢している力場が乱れて飛行することができなくなる。ルウは光翅族始まって以来の優等生と呼ばれ、わずか13歳にしてエルフ年齢17歳の資格をとった戦いの天才児である。エルフ年齢15歳の時、黒色礫原の砂牛を素手で倒したことから、一族内で砂牛殺しのルウの異名をとった。 その後、銀河武術トーナメントで優勝した彼女は、銀河帝国皇子マスカット・タイラーの護衛にK・Kと共に採用され、銀河一周のお忍びの旅に同行した。2年後旅は終わり、18歳の昇齢試験を受けたが不合格となり、同じ光翅族のカーサとともに惑星アカメデイアの私立銀河中央情操高校に留学生として転入する。
K・K (けい・けい)
自作のパワード・スーツを常に身にまとった青年。歩く兵器廠と異名をとり、パワード・スーツに内蔵された火器を何かとぶっ放す危ない男。自称「戦争ごっこしか能のない性格破綻者」。銀河大武術トーナメントでルウに優勝をさらわれたが、その後の行動が気に入られ、ルウと共に銀河帝国皇子マスカット・タイラーの従者として銀河一周のお忍びの旅に同行する。 頭も良く、機械に関する知識も豊富だが、パワード・スーツを脱ぐと、歩くことさえおぼつかない運動音痴ぶりをさらけ出す。皇子との旅の後、ルウが転入した私立銀河中央情操高校に自身も入学し、対問題児戦用重機動教師・茶羽十三郎と死闘を繰り広げた。
マスカット・タイラー
銀河帝国皇帝モンド・タイラーの第108皇子。「ワンマン・マルクスブラザーズ」「お祭りプリンス」などと呼ばれる銀河帝国始まって以来の大奇人。ルウやK・Kを連れて銀河一周のお忍びの旅に出た。お忍びの旅の際は、銀河大帝星の呉服屋テイラーを名乗る。背も高くハンサムでもあるのだが、まったくつかみどころのない人物で、「あっぱれ、あっぱれ」が口癖。 超「芸」力の持ち主で、ムササビの着ぐるみを着ることで、物理法則を無視して何となく空を飛んだりする。ルウとK・Kが転入した私立銀河中央情操高校の理事長でもある。
カリマ
銀河帝国第108皇子マスカット・タイラー付きの帝国情報部員。ナカヒラとコンビを組んで活動し、銀河一周の旅に出た皇子を皇帝の元に連れ戻そうと苦心する。外見は、パーマのかかった長髪で、唇が厚く、常にサングラスをかけ、ブラック・スーツを着用している。非科学アレルギーであり、あまりに非科学的なことを聞くと体調を崩してしまう。 漫画原作者の狩撫麻礼が外見と名前のモデルとなっている。
ナカヒラ
銀河帝国第108皇子マスカット・タイラー付きの帝国情報部員。カリマとコンビを組んで活動し、銀河一周の旅に出た皇子を皇帝の元に連れ戻そうと苦心する。七三分けの黒髪に無精髭といった外見で、ブラック・スーツを着用している。
カーサ
黒髪で褐色の肌の光翅族(エルフ)の少女。エルフ年齢17歳で実年齢も17歳。黒い破壊者(ブラック・デストロイヤー)の異名を持つ。ルウと共に18歳の昇齢試験を受けたが、二人とも落第してしまった。最初はライバルとしてルウを敵視していたが、次第にうち解けて親友となる。昇齢試験落第後は、ジムラに命じられて、ルウと一緒に惑星アカメデイアの私立銀河中央情操高校に入学した。 普段はスレンダーなボディだが、戦闘時には筋肉ムキムキの体に豹変する。
ジムラ
光翅族(エルフ)の老人。ルウとカーサが受けた18歳の昇齢試験の試験官。ルウが小さな頃から世話になっている老人で彼女から「先生」と呼ばれている。試験に落第したルウとカーサに惑星アカメデイアの私立銀河中央情操高校に転入するよう命じた。銀河帝国第108皇子マスカット・タイラーとも面識がある。 俳優志村喬が外見と名前のモデルと思われる。
茶羽 十三郎 (ちゃばね じゅうざぶろう)
対問題児戦用重機動教師の名門茶羽家十三代目当主。50を下らない問題校を正常化させた実績をひっさげ、私立銀河中央情操高校に赴任してきた教師。高校を正常化させると宣言し、K・Kと死闘を繰り広げた。生身でK・Kと渡り合い、そのパワード・スーツの攻撃を全て退けて勝利するなど、常識はずれの戦闘力を持つ。 『最終教師』に登場する最終教師茶羽顔八の子孫とされている。
アレクサンドル・タイラー
銀河帝国第109皇子。第108皇子マスカット・タイラーのすぐ下の弟。タン・バ・ササヤマ星区ヘッコロダ2系第3惑星クモスケンを領地とする。つぶらな瞳に金髪の皇子様。自分の領地が辺境の星であることをヒガンでいる。兄マスカット・タイラーの悪評判を帝国宇宙軍オストアンデル提督に吹き込まれ、その暗殺を企てるが、顔を知らないため、身分を隠して訪れた兄・マスカット・タイラー一行に協力を求めてしまう。 基本的にはお人良しの好人物。
茂介 (もすけ)
タン・バ・ササヤマ星区ヘッコロダ2系第3惑星クモスケンの住民。銀河帝国第109皇子アレクサンドル・タイラーの従者。極めて東洋的な間の抜けた顔だちをしているが、皇子の趣向でフリードリヒと呼ばれる。とぼけた顔をしているが、銀河帝国全域に関する知識が豊富で、コンピュータにも強い。 本人によれば「昔はモー君・ザ・ハッカーと呼ばれて恐れられた」存在だったらしい。
オストアンデル提督 (おすとあんでるていとく)
帝国宇宙軍最後の切れ者と言われる提督。銀河帝国第109皇子アレクサンドル・タイラーを操り、第108皇子マスカット・タイラーを暗殺させることで帝室に大スキャンダルを起こさせ、それを機に銀河帝国の実権を握ろうとした。
ヒネルトジャー提督 (ひねるとじゃーていとく)
帝国宇宙軍提督。美女揃いのヒネルトジャー親衛隊特Aチームを配下に従える色ボケ提督。オストアンデル提督の陰謀を事前に察知し、ヒネルトジャー親衛隊特Aチームを腰元として銀河帝国御前会議に潜入させるなど、実は有能な人物。
銀河皇帝モンド・タイラー (ぎんがこうていもんど・たいらー)
銀河帝国皇帝。マスカット・タイラーとアレクサンドル・タイラーの父親。眉間に「て」の文字を貼り付け、目バリを入れたハデな化粧をほどこし、どハデな着物を身にまとっている。人呼んで「銀河退屈男」。「君臨すれども関知せず」をモットーとする超豪快な人物。
集団・組織
光翅族 (えるふ)
『エルフ・17』に登場する種族。ルウ、カーサ、ジムラの種族である。尖った耳と猫のような目が特徴。背中から光翅(ハネ)を出して力場を形勢し、自由自在に飛ぶことができる。しかし、雨に降られると力場が乱れ、飛ぶことができなくなる。人を遙かに凌駕する身体能力を有し、ロケット弾が直撃してもカスリ傷ひとつ負わない。 だが、比重が大きなことから泳ぐことができない。また、マタタビと除虫菊の匂いを嗅ぐと寝てしまうという弱点を持つ。特殊な年齢制度を持ち、昇齢試験を受けて合格することで年齢が決定し、18歳で成人する。
場所
銀河帝国 (ぎんがていこく)
「君臨すれども関知せず」をモットーとする帝室タイラー家によって統治されるお気楽帝国。銀河大帝星を首都とする。現皇帝はモンド・タイラー。
その他キーワード
超”芸”力 (ちょうげいりょく)
『エルフ・17』に登場する用語。銀河帝室タイラー家に代々伝わる恐るべき力。「君臨すれども関知せず」をモットーとする前代未聞の「なりゆき大王朝」タイラー朝の根底を支える力。着ぐるみを着ることで物理法則を無視して大空を飛んだり、大海を泳ぎ渡ったり、窮地に陥っても何となく無事切り抜けてしまうような力を指すようであるが、実態は完全に究明されていない。