鋼殻のレギオス MISSING MAIL

鋼殻のレギオス MISSING MAIL

朽ち果てた大地をさまよう意識持つ都市「自律型移動都市」。その1つである学園都市ツェルニを舞台に世界最高峰の才能を持ちながらも挫折し、普通の生活を送ろうと望む少年レイフォン・アルセイフを待ち受ける過酷な運命を描いた学園ファンタジー。「富士見ファンタジア文庫」から刊行されているライトノベル『鋼殻のレギオス』のコミカライズ版。原作とは異なり主人公であるレイフォンとヒロインであるフェリ・ロスの関係性に比重の置かれたオリジナルストーリーが展開される。「月刊ドラゴンエイジ」2007年8月号から不定期に2011年12月号まで連載されていたが長期の休載へ入り2013年3月号に最終回が掲載された。また「ドラゴンマガジン」2008年11月号にも掲載された。原作は雨木シュウスケ、キャラクター原案は深遊。

正式名称
鋼殻のレギオス MISSING MAIL
ふりがな
こうかくのれぎおす みっしんぐ めーる
原作者
雨木 シュウスケ
作画
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
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概要・あらすじ

過去に犯した罪から槍殻都市グレンダンを追放されたレイフォン・アルセイフは、武芸者であった過去を捨てて学園都市ツェルニで第二の人生を送ろうとしていた。しかし、入学式で荒事の仲裁をしてしまったことをきっかけに、生徒会長であるカリアン・ロスに天才的武芸者であったことを知られ、強引に武芸科へと転科させられたうえ、「小隊」と呼ばれる都市の武芸大会の中核を担う部隊にまで配属されてしまう。

そんななか、カリアンの妹で天才的念威操者であるフェリ・ロスに、無理に力を使う必要はないと慰められたレイフォンは一時の心の安らぎを得るが、試合で追い詰められた際、反射的にその力を白日の下にさらしてしまう。今まで通りにはいられないことを悟ったレイフォンは逃避行を決意する。

だがそこに、汚染獣の襲来というかつてない危機が訪れるのだった。

登場人物・キャラクター

レイフォン・アルセイフ (れいふぉんあるせいふ)

髪色は茶色。槍殻都市グレンダンに12人しか存在しない天剣授受者の1人だった過去を持ち、その時にヴォルフシュテインの称号を得ている。しかし、とある事情からグレンダンを追放されることとなり、天剣もその時に彼の手元を離れている。リーリン・マーフェスと共に孤児院で育った過去があり、貧乏や飢饉による飢えの辛さをよく知っている。 学園都市ツェルニへ失敗した武芸者としての道以外の新しい生き方を見つけ出すために入学したが、自己主張に乏しい内気な性格や寝不足などさまざまな要因が合わさって一歩目からその目論見に失敗している。同様の悩みを抱えるフェリ・ロスや、自身を強く導いてくれるニーナ・アントーク、文通で心を支えてくれるリーリンや気弱ながらも夢をしっかりと追い求めるメイシェン・トリンデンなどヒロインたちに特別な感情を抱いている。 性格や行動の面で情けない所の目立つ人物だが、武芸者としての実力はツェルニに存在するあらゆる武芸者を凌ぐほどで、汚染獣との戦闘経験も非常に豊富。武器は剣と鋼糸と呼ばれる特殊な武器を使い分けている。

フェリ・ロス (ふぇりろす)

銀色の美しい長髪で、容姿は人形のように整っている。表情は変化に乏しく、毒舌も相まってクールな印象を与える。一方で、毎日の肌の手入れや化粧、髪の毛のブラッシングを欠かさないなど、美容に対する細やかな女性らしい気配りをみせる面も。学園都市ツェルニの第十七小隊の所属で、念威操者として部隊のサポートを担当している。その才能はレイフォン・アルセイフが驚くほどであり、特に意識的に身体の一部を光らせるだけでも困難な念威を無意識の内に髪全体から放出し光らせるほどの膨大な力を持つ。 しかし、その才能の余りの大きさから常に念威操者として期待されて育ち、未来が定められてきたことに不満を抱いている。同様の悩みを抱え、自身と同じよう期待によって縛られるレイフォンのことを気にしており、彼のことを「フォンフォン」と特別な愛称で呼ぶ。

リーリン・マーフェス (りーりんまーふぇす)

金色の長髪で、前髪をヘアバンドで押さえている。槍殻都市グレンダンの孤児院で生活する女性で、レイフォン・アルセイフの幼なじみであり家族。心配りができ、明るく心優しい性格の持ち主でグレンダンを追放されたレイフォンとは文通を通してやりとりし、その心を支えている。一方で、古くからのなじみであるせいか、レイフォンの性格を良く知っており、手紙の上での嘘や見栄を見抜いては忌憚ない言葉をぶつけたりもしている。 レイフォンのことを憎からず思っており、その関係の近さからフェリ・ロスやニーナ・アントーク、メイシェン・トリンデンの気をヤキモキさせることも。

ニーナ・アントーク (にーなあんとーく)

金髪を肩口で揃えたセミロングに近い髪型をしている。学園都市ツェルニの第十七小隊隊長で、部隊を作り上げた。入学式での一件を見てレイフォン・アルセイフを自身の部隊にスカウトした人物。性格は質実剛健で正義感が強い。反面で、武芸者としての才能に行き詰まりを感じており、理想的な結果を出せない自身の実力に歯がゆい想いを抱いている。 容姿も合わさって中性的なイメージが強いが、ミーテッシャと名前の付けたパンダのぬいぐるみを大事にしていたりと女性らしい一面もある。武器は鉄鞭の二刀流。

メイシェン・トリンデン (めいしぇんとりんでん)

黒髪のロングヘアーで、もみあげの部分を三つ編みにしている。ミィフィ・ロッテン、ナルキ・ゲルニの友人で交通都市ヨルテルの出身。お菓子作りが好きで、パティシエを目指してお菓子の美味しい喫茶店に就労している。入学式の際、レイフォン・アルセイフに助けられたことをきっかけに彼に恋心を抱いており、社交的な友人であるミィフィの手助けもあり知り合いの少なかったレイフォンの友人となってアプローチの機会をうかがうも引っ込み思案な性格から中々一歩を踏み出せない。 天才的な武芸者であるレイフォンの戦いぶりに憧れると同時に、レイフォンが傷つく度に彼の心配をしている。

カリアン・ロス (かりあんろす)

学園都市ツェルニの生徒会長で実質的な都市の支配者。フェリ・ロスの実の兄で銀色の長髪にメガネをかけている。言動は丁寧で生徒会長然としているが、権力者として常に腹に一物を抱え、深謀遠慮を巡らせているのがにじみ出ており、レイフォン・アルセイフをして陰険と言わしめる性格。妹であるフェリに対しては強い感情を抱いており、兄妹の関係に口を挟まれるのを嫌う。 本心の見えづらい人物だが、ツェルニを守りたいという意志は本物なのか、汚染獣の襲来などで危機的状況に陥った時は率先して生徒たちを導く面もある。

ミィフィ・ロッテン (みぃふぃろってん)

メイシェン・トリンデンの友人の1人で、金髪の髪を頭の両側で結んだツインテールをした快活な性格の女性。ジャーナリスト志望で、新聞や雑誌社への就労を早い段階から考えていた。メイシェン、ナルキ・ゲルニと共に交通都市ヨルテルの出身で仲が良い。レイフォン・アルセイフへの恋心に揺れるメイシェンを応援しながら、レイフォンのことを気遣ったりと心優しい少女。

ナルキ・ゲルニ (なるきげるに)

メイシェン・トリンデンの友人の1人で、黒髪の短髪に色黒の肌を持つ少女。メイシェン、ミィフィ・ロッテンと共に交通都市ヨルテルの出身。きまじめな性格で、入学して早い段階から警察への就労を考えていたりと正義感も強い。だが、杓子定規な性格というわけではなく故あって警察に取り囲まれたレイフォン・アルセイフを見逃すなど、友人思いの少女である。

シャーニッド・エリプトン (しゃーにっどえりぷとん)

学園都市ツェルニの第十七小隊に所属する小隊員。長い金髪をポニーテールのように後ろで結った髪型をしている。軽薄を絵に描いたような性格で、女癖が悪い軟派な人物。だが、男気に溢れた面も持ち合わせており、特に精神的に悩むことの多い第十七小隊の面々をメンタル面でサポートする甲斐性を持ち合わせている。武器はライフルに似た長銃を使用しており、部隊の狙撃手を担当している。

ハーレイ・サットン (はーれいさっとん)

学園都市ツェルニの第十七小隊に所属する小隊員。メカニックを務めており、レイフォン・アルセイフが使用する錬金鋼の調整や作成も担当している。長い茶髪をしており、三つ編みに結い上げており、一人称は「僕」。ニーナ・アントークに関して詳しく、特別な感情を抱いている素振りが見られる。

サヴァリス

槍殻都市グレンダンの天剣授受者の1人で剄を使った拳法を武器に戦う。銀色の長髪をした男性で1人称は「僕」。レイフォン・アルセイフ以前に、天剣授受者としての最年少記録を持っていた人物。レイフォンをして追いつけるのかと自身の才能に疑問を持たせたほどの実力を有しており、強い敵との楽しい戦いを渇望している。

リンテンス

槍殻都市グレンダンの天剣授受者の1人で鋼糸と呼ばれる糸状の武器を自在に使いこなす達人。ぼさぼさの黒髪に無精髭で、暗色の外套に身を包んだ野性味のある外見をしている。性格は冷淡でとげとげしく、容易に人を寄せ付ける言動をしない。気まぐれから、天剣授受者だったレイフォン・アルセイフに鋼糸を教えていた時も優しい素振りを一切見せることはなかった。

デルボネ

槍殻都市グレンダンの天剣授受者の1人で圧倒的な力を持った念威操者。車いすに座った老婆で、自身を人形のようにケープや帽子、花で着飾った外見が特徴。穏やかな口調だが、天剣授受者としての使命を果たすことに躊躇はなく、人物評価にも容赦のない果断な人物。昔からレイフォン・アルセイフが頭の上がらなかった人物。

アルシェイラ・アルモニス (あるしぇいらあるもにす)

槍殻都市グレンダンの女王である女性。世界のさまざまな秘密について知り尽くしている。黒の豊かな長髪をしており、もみあげの辺りをカールさせた派手な髪型をしている。性格は聡明だが女王という位に相応しい居丈高な口調をしている。レイフォン・アルセイフを凹ませることが昔からうまい。

グラーヴェン・ロス (ぐらーゔぇんろす)

カリアン・ロス、フェリ・ロスの父親で流易都市サントブルグに住む。サントブルグという街は情報の交易によって成り立っている都市で、世界中の情報が集まる。そのような都市で最大の情報交益会社のトップを務めており実質的な都市の支配者となっている。髪色は兄妹のものと同じ色をしており、もみあげから続く髭を蓄えている。

デルク

レイフォン・アルセイフとリーリン・マーフェスの育った孤児院を経営している初老の人物。サイハーデン流刀争術と呼ばれる剣術の道場を開いているが門下生は多くなく、同時に孤児院の経営もまた裕福とは言いがたい状態にあった。自身は既に武芸者としては引退している。

ニルフィリア

学園都市ツェルニに存在する謎の女性。豊かな黒の長髪にドレスを着込んだ外見をしている。ワープに似た技能を有していたり、汚染獣や世界の成り立ちに関する秘密を知っているような言動をするなど、レイフォン・アルセイフたちの前に現れる度に謎を振りまいていく。

ガトマン・グレアー (がとまんぐれあー)

金髪で、長い前髪を渦のように巻いた独特の髪型をしている。レイフォン・アルセイフが荒事を仲裁したことによって退学処分された人物の兄に当たる。そのため、レイフォンのことを逆恨みしており、個人的な動機から執拗につけ回す。武芸者としては小隊員候補に挙がるほどの実力を有するが、性格に難があるために選ばれていない。

マザーⅠ・レヴァンティン (まざーあいれゔぁんてぃん)

レイフォン・アルセイフたちの前に現れた最強の敵。色素の薄いセミロングの髪型をしており、すらりとした長身の女性の外見をしているが、ナノセルロイドと呼ばれるアンドロイドに近い存在であり、人間ではない。汚染獣を集める能力を持っている。

場所

学園都市ツェルニ (がくえんとしつぇるに)

レイフォン・アルセイフたちが暮らす、物語の基本的な舞台となる自律型移動都市。学生が主体となって運営している自律型移動都市で、喫茶店から警察、都市運営までのすべてを学生が担っている。一般教養科や武芸科など複数の科が存在しており、6年制。学園都市は他の学園都市との間に武芸大会と呼ばれる戦争が行われる。

槍殻都市グレンダン (そうかくとしぐれんだん)

レイフォン・アルセイフが暮らしていた故郷。武芸の本場として他の都市には知られており、女王であるアルシェイラ・アルモニスが統治している。過去には数万の汚染獣に襲われた経験があるなど、レイフォンに戦闘経験が豊富なのはこの都市の出身であるところが大きい。かつて飢饉に襲われたことがあるなど、裕福な都市ではない。

その他キーワード

天剣 (てんけん)

槍殻都市グレンダンにおける武芸者の頂点、12人に対して与えられる特別な錬金鋼。授けられた人物は栄誉と共に天剣授受者と称され、特別な称号を得る。天剣授受者は英雄ともてはやされるが、反面で公式の報酬はそう多くない。

武芸者 (ぶげいしゃ)

戦闘に参加する技能を持った人物を指す。言葉の指し示す範囲はとても幅広く、単純に敵と相対する人間から、遠距離狙撃を行う人間、念威と呼ばれるテレパシーに似た能力で支援する人間とさまざま。一般に剄、または念威と呼ばれる力を扱うことの出来る人間はこの武芸者であることが多い。武芸者は移動都市同士の間で行われる戦争と、学園都市同士の間で行われる武芸大会、そして汚染獣と呼ばれる異形の怪物の来襲の際に都市を護るために戦う人間とされている。

念威操者 (ねんいそうしゃ)

念威と呼ばれる能力を操る人物の総称。専用の錬金鋼を使用し、鱗か花弁のような形をした端子を飛ばすことで各所の情報を取得し、武芸者へと伝達することができる。念威の才能によってその精度や範囲に差異が生じ、才能を持たない人間の念威による情報はぼやけて見える一方で、才能のある人間が念威を使用すると都市全体の詳細な情報から、魔術、魔法に似た芸当まで可能となる。

(けい)

武芸者が使用する力の源。外力系衝剄や身体能力を強化する内力系活剄などさまざまな名称で使われている。武芸者たちは剄と呼ばれるものを消費、あるいは練り上げることで様々な力を発揮している。体内の剄脈と呼ばれる部分を巡っており、それを破壊されると剄をまともに使えなくなり、事実上武芸者としての人生を絶たれることとなる。

汚染獣 (おせんじゅう)

『鋼殻のレギオス』の世界に存在する異形の怪物。虫のような怪物から竜のような怪物までさまざまな形状の汚染獣が存在している。幼生体から老成体まで成長の度合いが存在しており基本として成長するほど、人類にとって強力な敵となる。母体から繁殖し、人を食うため基本的に自律型移動都市は汚染獣を避けて世界を移動している。

錬金鋼 (だいと)

武芸者が使用する専用の武器。普段は手の平ほどの大きさだが、復元することによって武器の形を取る。設定を施す事によって形状や性質などを変更することが可能で、それらは技師によって調整される。設定は1つだけとは限らず、2つ以上の設定を施し、剣と鋼糸、2つの機能を持った錬金鋼などを作る事も可能である。

電子精霊 (でんしせいれい)

自律型移動都市に宿る精霊のこと。自律型移動都市は電子精霊の意志によって移動しており、汚染獣などの危険を未然に避けて行動するのは意志が反映された結果である。滅びた都市の電子精霊は廃貴族と呼ばれる存在になることがある。

自律型移動都市 (れぎおす)

人間が生活することのできる都市の総称。半円状のフィルターに覆われており、それによって外の汚染物質が内部に侵入することを防いで人の住める空間にしている。蜘蛛のような多脚を持っており、自律型移動都市は常に世界を移動している。都市間は放浪バスという物によって流通が保たれている。2年ごとに都市は縄張り争いを始め、都市の動力源であるセレニウム鉱山を賭けての戦争が行われる。 おとぎばなしのうえで錬金術師によって作り出されたとされている。

クレジット

原作

雨木 シュウスケ

キャラクター原案

深遊

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