青春はゾンビでした

青春はゾンビでした

なかなか芽の出ない少女漫画家の雪村梓が、自身の失恋と隣人との出会いをきっかけに、作品に活かすための恋をしようと奮起。担当編集者の北田一哉と少しずつ距離を縮めていく姿を、コミカルに描いたラブコメディ。恋人同士になっても漫画家と編集者という立場を貫く、二人の微妙な関係も丁寧に描写されている。「クッキー」2016年1月号から2017年7月号にかけて連載された。

正式名称
青春はゾンビでした
ふりがな
せいしゅんはぞんびでした
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

雪村梓は漫画家として鳴かず飛ばずの状態で、書店でのアルバイト収入をメインに生活する日々を過ごしていた。担当編集者の北田一哉からは登場人物に感情移入できないと否定され、行き詰まりを感じていたところ、密かに思いを寄せていた店長の福山が彼女と別れたという噂を耳にする。そして梓は福山と二人きりで食事に行く事になるが、デート用の服などは持ち合わせていない。しかし隣人の雨宮繭子の手助けもあり、梓はこれまで着た事のないデート服に身を包み、福山との約束の場所へと向かう。(エピソード「遅い春を探しながら」)

恋をして読者をドキドキさせる作品を描くと決めた梓だったが、北田からはネームの書き直しを命じられてばかりいた。一向にいいアイディアが出てこない梓に対し、北田は付きっ切りでいっしょにネームを考える。梓は自身が恋愛経験がない事をカミングアウトし、北田の過去の恋愛エピソードをもとに、なんとかネームを完成させた。一方、会話の中で北田の意外な一面を知ってしまった梓は、北田を恋愛対象として気するようになる。そんな時、梓が勤務する書店に高等学校時代のクラスメイト、波川綾斗が来店。綾斗は同郷の仲間を集めた飲み会を主催しており、梓も誘われて参加をする。その帰り道で綾斗と梓はいい雰囲気になるが、同時に北田が女性と親しそうに食事をしている姿を目撃してしまい、梓の心は乱れるのだった。(エピソード「噂のカンヅメ!?」「一喜一憂」)

第2巻

無事に読み切り作品も掲載され、雪村梓は担当編集者の北田一哉からお疲れさま会を兼ねた食事へと誘われる。だが、北田を意識している梓は緊張して会話がぎこちない。しかし、北田のさり気ないフォローを受け、さらに共通の漫画が好きである事実を知り、梓は楽しい時間を過ごす事となる。(エピソード「北田さんと食事」)

読み切り作品の反響もよく、梓は北田から連載用のネームを描くように勧められる。そしてそのネームは編集部内のコンペに出される事となり、梓は連載を勝ち取れるのではないかと期待する。しかしコンペには落選し、梓は落ち込む。元気のない梓を気にかけた波川綾斗はデートへと誘い出す。楽しい時間を過ごす梓だが、北田から「連載作家の穴を埋める代わりの読み切り作品を描いてほしい」と急遽依頼の電話が入る。梓は迷わずこの申し出を受け、綾斗とのデートを中断する。締め切りまで1週間と短期間で、梓は必死に漫画制作に取り組む。そんな中、梓がこれまでアシスタントを使った事がなく、一人で描き上げている事を知る北田は、自ら漫画の手伝いを買って出る。(エピソード「初めての連載ネーム」「思いがけない告白」)

第3巻

少女漫画誌「シナモン」で連載をする事になった雪村梓は、担当編集者の北田一哉と共に日帰りの取材旅行へと向かう。北田に片思いをしている梓としては、仕事とはいえ楽しい時間を過ごす。名残惜しくも帰ろうとしたところで、乗るはずだった電車が大雨により運休となり、帰宅できなくなってしまう。たまたま空いていた宿の同じ部屋に泊まる事になってしまった二人は、初めて自分達の気持ちを正直に話し、両思いである事実を知る。こうして梓と北田は交際をスタートさせる事になった。だが、すべてが順調に進んでいると思っていた矢先、北田は梓の担当から外れてしまう。代わりに担当になった倉科直子からの激しいダメ出しを受けた梓は傷つくが、北田の励ましもあり、現実と向き合っていく。(エピソード「奇跡と偶然」「変化していく関係」「音信不通」「私の青春」)

登場人物・キャラクター

雪村 梓 (ゆきむら あずさ)

独身の女性で、職業は少女漫画家。年齢は22歳。ペンネームは「星ノ宮ルル」。現在は少女漫画誌「シナモン」の増刊号に、不定期で読み切り作品が掲載されているが、連載は持っていない。18歳の頃に漫画家デビューし、若さと勢いに任せて九州から上京したものの、その後は鳴かず飛ばずで売れない状態が続いている。そのため書店でアルバイトをして生活費を稼いでいる。 10代の頃からすべてを漫画に捧げているため、青春の思い出はもちろん、恋愛も中学生レベルの経験しか持っておらず、男性との正式な交際経験はなく処女。しかし、雨宮繭子との出会いや、書店店長の福山への失恋を通して、このままではいけないと奮起し、恋をして読者をドキドキさせるような作品を描こうと決意する。 その後は担当編集者の北田一哉とかかわり合う内に好意を抱き、見事両思いになって交際をスタートさせる。

北田 一哉 (きただ かずや)

出版社に勤務する男性。少女漫画誌「シナモン」の編集部に所属している。雪村梓の担当編集者で、梓に対しては厳しく接している。ちなみに梓自身は気づいていないが、その厳しさは期待の裏返しである。クールで感情を表に出さず、性格はドS。ただし、梓のがんばりを認めた際には、しっかりと声をかけて褒めるなど、認めるべきはしっかり認める公正な人物。 のちに梓に好意を抱き、交際をスタートさせる。

雨宮 繭子 (あまみや まゆこ)

雪村梓が住むアパートのとなりに引っ越して来た19歳の女性。美人で派手な外見をしており、人懐っこい性格の持ち主。仕事はアパレル店勤務で、男性からはモテる。雨宮繭子のポストに梓宛ての郵便物が入っていた事で交流を持ち、以降は梓からいろいろと恋愛相談を受ける事となる。服のコーディネートやメイクなど、何も知らない梓にとっては頼れる先生のような存在となっている。

福山 (ふくやま)

雪村梓がアルバイトをしている書店の店長を務める男性。年齢は28歳。半年前に他店から梓が働く店へと異動して来た。爽やかなルックスのうえに優しく、梓の小さながんばりを褒めるなど細かい事にもよく気がつき、アルバイト達の士気を高めている。梓からは男性として意識されていたが、婚約して同棲中の彼女がいる事を知り、その関係が発展する事はなかった。

波川 綾斗 (なみかわ あやと)

雪村梓の高等学校時代のクラスメイトの男性。現在は東京都内で不動産営業として働いている。明るく人懐っこい性格の持ち主で、誰にでも優しく平等に接している。学生時代、梓が漫画を描いてばかりで暗い、と周りからからかわれた際には、助けに入った事もあり、梓にとっては少女漫画の世界から抜け出てきたヒーローのような存在。梓の働く書店に客として偶然立ち寄った事で再会し、連絡先を交換した。 同郷の知り合いを集めて定期的に飲み会を開催している。再会後は梓に好意を抱いたが、どんな時でも漫画を優先する梓を見て、自分ではうまく付き合えないだろうと身を引いた。

倉科 直子 (くらしな なおこ)

出版社に入社して2年目の新人女性編集者。少女漫画誌「シナモン」の編集部に所属している。北田一哉のあとを引き継いで、雪村梓の担当になる。毒舌家で、言いたい事は必要以上にはっきり言うため、梓は何度も傷つけられる事となった。だが、実はこれまで担当した漫画家達に、新人編集者だからと舐められ続けた過去があり、その後は強気でいくと決めただけで、実際は優しく素直な性格。 のちに、梓の漫画への熱意を目の当たりにして、これまでの非礼を謝罪し、以降は漫画家と編集者として良好な関係を築く。

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