概要・あらすじ
「豊乳は富であり絶対、貧乳は人にあらず」という価値観のもとで統治された江戸時代。巨乳を育む秘術を持つ魔乳一族は幕府の権力に食い込み高い地位を得ていた。だが一族の跡取りと目される娘・魔乳千房は、乳が全ての世に疑問を抱き、秘伝書を持ち出し出奔する。豊満な娘をかどわかし、貧乳は虐げる権力者たちや、秘伝書や跡目を狙う一族の者と戦いながら、千房は秘術の真相に迫っていく。
登場人物・キャラクター
魔乳 千房 (まにゅう ちふさ)
魔乳一族の当主・魔乳胸則の末娘であり、跡取りに指名された女性。正義感が強い、剣の達人。乳が全ての世の中に疑問を抱き、一族の秘伝書を持って出奔して諸国を巡る旅を始める。母はかつて魔乳一族に敵対した胸杜一族の者であり、そのため斬った相手の乳を吸い取り自分のものとする特殊能力を持つ。
楓 (かえで)
魔乳一族の下忍で、長年、魔乳千房の側仕えをしていた少女。千房を慕い共に里を出たが、一度捕まって魔乳影房の乳斬りで貧乳になった。明るく能天気なコメディリリーフ的キャラクターで、千房の胸の成長記録をとることを楽しみとしている。
魔乳 影房 (まにゅう かげふさ)
魔乳一族の当主・魔乳胸則の娘であり、魔乳千房の異母姉。一族の跡取りに選ばれた千房に嫉妬し幾度も襲撃するが、敗れて乳斬りを受け、貧乳となる。当初は凶暴な性格だったが、千房が乳流れを会得した暁には乳を返してもらうことを条件に和解。気性も次第に丸くなり、一族の里と千房の架け橋ともなる。寿乳尼への使いに出された際、強引に頭を丸められ出家させられてしまい、求胸という戒名を得る。
狭山 桜花 (さやま おうか)
魔乳一族の分家に生まれた娘で、魔乳千房と互角以上の剣技を持つ。一族でも末端の家柄であり、加えて幼い頃の千房と手合わせした際に貧乳となってしまい、里では蔑まれて育った。そのため千房を敵視する。魔乳胸幸に仕えており、秘かに想いを寄せている。
魔乳 胸幸 (まにゅう むねゆき)
魔乳一族の当主・魔乳胸則の息子であり、魔乳影房の実兄。魔乳千房とは異母兄にあたる。幼い頃より剣技が冴え、将来を期待されていたが、腕の筋を痛めて跡取りの道を断たれる。知力も優れた人格者であり、幕府で大奥の女性らの乳を検分する乳目付を務めている。幼い頃より乳を見すぎたため、巨乳に軽い嫌悪感を抱いている。 配下の狭山桜花に想いを寄せられ、胸幸も憎からず思っていたが、一族のため富丘峰との縁談を受ける。
魔乳 胸則 (まにゅう むねのり)
魔乳一族の当主。一族の秘術を利用して、地方領主から江戸幕府での確たる地位を確立した。既に老境に達しているが剣の腕は一族最強。若い頃は自由奔放な性格で放浪の旅に出たこともあり、その際に若い頃の寿乳尼と愛し合っていた。一族の繁栄のため里に戻り、正妻の他に魔乳胸幸らの母、胸杜千組を側室に迎える。実力主義であり、末娘であるにも関わらず魔乳千房を跡取りに指名した。
魔乳 胸華 (まにゅう きょうか)
魔乳一族の当主・魔乳胸則の長女。異母妹の魔乳千房にも姉として優しく接していたが、内心では己が跡継ぎになれぬ事に鬱屈した想いを抱えていた。父の胸則を強く慕っており、父の役に立とうと非道な裏の秘術にも精通。大奥に住まい、女性たちの乳を大きくすることで幕府内の地位を確立していた。
寿乳尼 (じゅちに)
丘挟寺という山寺の住職を務める老尼僧。敵の乳を吸い取りすぎて身動きも困難になった魔乳千房を受け入れ、乳を減らす修行を与えた。かつては暴れ者の女傑だったが、武者修行中の魔乳胸則に敗れ、一時期共に旅をしていた。胸則が里に帰って別れた後に出家。胸則に出会う前に産んでいた娘は家出して魔乳一族の里に入って下忍となっており、後に胸則の側室として魔乳胸幸、魔乳影房を産んだ。
胸杜 千組 (むなもり ちくみ)
魔乳千房の母。故人。胸杜一族当主の娘であったが、魔乳一族との戦に敗れ、一族を救うため魔乳胸則の側室となった。胸杜一族の特殊能力である乳流れが魔乳一族に利用されることを避けるため、千房が幼い頃に自害している。
環 (たまき)
魔乳一族の下忍。小柄かつ太めの女性で、多くの弟や妹の世話をしてきたため面倒見のいい性格。任務のため魔乳千房とは敵とも味方ともなる。
富丘 峰 (とみおか みね)
幕府でも強い発言力を持つ大名の娘であり、魔乳胸幸との縁談相手。気丈な性格であり、貧乳党に陰謀に巻き込まれるも強気に振舞った。胸幸を心から慕っており、狭山桜花の胸幸への想いを察しながらも堂々とその愛情を宣言する。名は「峯」「富岡」と記されることもある。
三重 鳩宗 (みえ はとむね)
魔乳千房と楓が旅先で立ち寄った、三重藩の藩主。「おっぱい探求家」を自称する好色な男で、千房にも強く執着する。陽気な、いわゆるバカ殿然とした風貌だが見かけによらず剣技に優れ、江戸暮らしで遭遇した貧乳党との戦いでは魔乳胸幸も感嘆する戦いぶりを見せた。
集団・組織
魔乳一族 (まにゅういちぞく)
魔乳胸則を当主とし、女性の乳房を豊かにする秘術を持つ忍者一族。その秘術で江戸幕府の権力に食い込み、高い地位を得ている。他人の乳を貧乳にする乳斬りを奥義としているが、外科手術による非人道的な裏の奥義も存在している。
胸杜一族 (むなもりいちぞく)
他人の乳を吸い取り、他人に与える乳流れの技を持つ一族。魔乳一族に戦で敗れ、当主の娘・胸杜千組が魔乳胸則の側室となることを条件に生き延びる。生き残りは正体を隠して各地に離散しており、乳流れを完全に受け継いだ者も絶えたとされている。
貧乳党 (ひんにゅうとう)
「豊乳は富であり絶対、貧乳は人にあらず」という幕府の方針に異を唱え、過激な行動をくり返す浪士の集団。罪無き人々にも被害を及ぼす者どもとして、魔乳千房とも敵対関係となる。
その他キーワード
乳斬り (ちちきり)
魔乳一族に伝わる奥義。女性を斬った剣が衣服をすり抜け、血を流すことなく乳房の大きさだけを減らす。魔乳影房など多くの者が使用する。
乳流れ (ちちながれ)
胸杜一族に伝わる秘術。他人の乳房を減らす乳斬りに対し、奪った乳の大きさを自らの乳に上乗せすることも、他人に与えることもできる。その完全な会得には「母の心」が必要とされ、胸杜一族の血を引く魔乳千房も当初は斬った相手の乳を意図せず吸収してしまうという、不完全な形でしか使えなかった。
書誌情報
魔乳秘剣帖 7巻 KADOKAWA〈MCコミックス〉
第3巻
(2008-10-25発行、 978-4757744967)
第4巻
(2009-10-24発行、 978-4047260986)
第5巻
(2010-05-24発行、 978-4047265653)
第6巻
(2011-06-25発行、 978-4047273795)
第7巻
(2012-01-25発行、 978-4047278325)