あらすじ
桂木誠一殺人事件(第1巻)
謎を食べて生きている魔界の住人、脳噛ネウロは、棲み処である魔界の謎を喰らいつくし、地上に謎を求めて現れた。桂木弥子の父親、桂木誠一が殺された密室殺人の謎に興味を抱いた脳噛ネウロは、早速弥子を連れ出し、手始めに喫茶店で起きた毒殺事件を推理する。そして、犯人が謎を解明されて敗北を認めた瞬間、捕食可能な状態になった謎を実際に食べて見せるのだった。ただし、地上で目立つ事を避けたい脳噛ネウロは、弥子を探偵として担ぎ上げ、刑事の笹塚衛士や竹田敬太郎に対し、弥子が事件を解きたがっていると吹聴する。
至郎田正影シェフの「成功を呼ぶ料理」事件(第1巻)
脳噛ネウロに呼び出された桂木弥子が向かった先は、至郎田正影がオーナーシェフを務める、「成功を呼ぶ料理」を提供すると評判の店だった。正影は脅迫状に悩まされており、笹塚衛士や、その新しい相棒である石垣荀も相談を受け、調査に訪れていたところだった。そんな中で、店のチーフシェフが殺されてしまう。
早乙女金融社長殺人事件(第1巻~第2巻)
事件が起きるたびに桂木弥子を呼び出す事をめんどくさく感じた脳噛ネウロは、弥子の知名度を上げる事で効率的に謎を集めようと、探偵事務所の設立を考案する。禍々しい気配とコンビニ近くという立地のよさから、一つのテナント事務所に目をつけるのだった。そして脳噛ネウロは、街の闇金融屋、早乙女金融で起きた社長の早乙女國春殺人事件の謎を解く代わりに、事務所を譲るよう取り引きを持ち掛ける。
桂木弥子魔界探偵事務所の最初の客(第2巻)
謎解き勝負に勝った桂木弥子と脳噛ネウロは、早乙女金融のテナントを無償で手に入れ、桂木弥子魔界探偵事務所として活動をスタートさせる。手っ取り早く知名度を上げて楽に謎を待ち構えたい脳噛ネウロが、著名な依頼者の来訪を願っていたところ、早速一人目の客として、世界的に人気の歌姫であるアヤ・エイジアが現れる。そして、自身と共に仕事をしていたマネージャーとプロデューサーが相次いで自殺した件について、もう一度調べ直してほしいと依頼するのだった。こうして調査を開始した弥子と脳噛ネウロの前に、アヤに対するストーカー行為の相談を受けた刑事の笹塚衛士と、彼とコンビを組む石垣荀が現れる。そして、笹塚に提供してもらった、自殺に関する資料に目を通した弥子は、即座に事件の真相を見破る。
桂木弥子魔界探偵事務所のスタッフ達(第2巻)
アヤ・エイジアの事件を解決した事で、桂木弥子魔界探偵事務所の知名度は急上昇した。だがこれに伴い、脳噛ネウロや桂木弥子はしつこいマスコミの取材攻撃を受ける羽目に陥る。謎の気配をまとった依頼人の相手だけをしたい脳噛ネウロは、対応に煩わされるのを嫌い、かつて早乙女金融の従業員だった強面の吾代忍を仲間に加えて事務所の階下に住まわせ、マスコミの対応や雑用を押しつける。そんな中、事務所の壁にある人型の染みから伸びていた黒髪のお下げ髪が、魔界生物である脳噛ネウロの瘴気に影響され、意志を持つようになる。ついには黒髪お下げは、筆談で「あかねちゃん」と名乗って自己紹介をするに至り、事務所スタッフが増員されるのだった。
引きこもり息子の素行調査(第3巻)
桂木弥子魔界探偵事務所の桂木弥子と脳噛ネウロのもとに現れた次なる依頼人は、引きこもりの息子、堀口明が最近夜に出歩くようになったと案じる父親の堀口雄三だった。息子の素行調査を始めた弥子と脳噛ネウロは、その中で老婆から死体まで完璧に変装できる怪盗Xと出会い、ネウロは今まで感じた事のない強い興味を抱く。
桂木弥子、探偵継続を躊躇(ためら)う(第3巻)
身体の細胞を自在に変異させる怪盗Xは、脳噛ネウロと対峙しても怯まず、いつか殺してみせると言い残して去っていった。桂木弥子はそんな人知を超えた戦いの場に相応しくないとの気後れから、探偵役はほかの適任者を探してほしいと脳噛ネウロに訴える。しかし、脳噛ネウロは弥子に対し、人間が誰でも持っている進化する可能性のうち、弥子には人を理解する進化の素地があるため、いつか怪盗Xの事も理解できると説く。
爆弾魔ヒステリア(第3巻)
怪盗Xが世間を騒がせてからしばらく経ち、一般人の探偵、桂木弥子に何度も出し抜かれている笹塚衛士のもとに、笹塚の上司であり、また同期の親友でもある警視の笛吹直大が姿を現す。笛吹はこれまで起きた事件現場に頻繁に現れている弥子と脳噛ネウロを怪しみ、彼らを遠ざけようと画策するが、そんな折に無差別連続爆弾魔である爆弾魔ヒステリアが現れる。笛吹は警察の威信にかけて弥子達に先んじた推理をし、犯人を捕らえようと躍起になるが、脳噛ネウロは犯行現場に残されたカードの文字から爆破対象を推理してみせ、警察の先回りをして推理力を示す。
笹塚衛士の過去(第4巻)
脳噛ネウロと桂木弥子は、爆弾魔ヒステリアの逮捕に大きく貢献する事となった。笹塚衛士は、この手柄と引き替えに、今後も弥子達が捜査現場に立ち会う事を認めてほしいと、笛吹直大に取引を持ちかける。そんな中、笹塚を学生時代から知る後輩の刑事、筑紫候平は、弥子に笹塚の過去を語る。出世の道から外れ、事件解決のためなら時に汚い手段を使う事も辞さない笹塚は、学生時代に家族を殺されていた。しかもその犯人として怪盗Xが最有力候補者と見なされているため、笹塚は怪盗Xに関しては強い執念を抱いていたのである。
腐屋旅館殺人事件(第4巻~第5巻)
雑誌の編集者をしている母親の桂木さやかから宿泊券を2枚もらった桂木弥子は、友人を誘って腐屋旅館に出かける事にした。だが、脳噛ネウロはその宿泊券から謎の気配がすると言って、強引に旅行に同行する。旅先で、弥子は私立大学生三人と、留学生のデイビット・ライスとの交流を楽しんでいた。そんな中、大学生の一人、露木さくらが密室で殺される事件が発生。弥子は推理の末に、デイビットが犯人だと断定する。
望月信用総合調査の罠(第5巻)
桂木弥子と脳噛ネウロが腐屋旅館を訪れているあいだ、桂木弥子魔界探偵事務所で留守番をしている吾代忍のもとに、いかにも裏社会の住人といった風貌の一団が現れる。彼らを束ねる青年の早坂ユキは探偵に用があると言って、望月信用総合調査への勧誘を言付けして帰って行った。取締役の望月健雄は、広告塔として弥子の知名度を使いたいと持ち掛けるが、その裏で麻薬の密売のための隠れ蓑に使おうと目論んでいた。しかし望月自身も手下の早坂久宜に計画を利用され、裏切られてしまう。弥子と脳噛ネウロは、そんな策略に利用されかけた事を逆手に取り、首謀者のユキと久宜を巧みに退ける。そして脳噛ネウロは、この一件のすべてを秘密にする事を条件に、吾代を望月のもとで働かせ、自身のため謎に関係した情報を収集させるコネクションを作る事に成功する。
噛み切り美容師殺人事件(第6巻)
桂木弥子魔界探偵事務所の壁に埋まっていた意志を持つ髪の毛、あかねちゃんは、殺した女性の髪を被害者の血でスタイリングするという、町で噂の噛み切り美容師のニュースに憤っていた。あかねちゃんの気持ちを汲んだ桂木弥子は、あかねちゃんの美しい髪を身につけ、おとり捜査を開始。しかし逆に犯人に捕らえられ、結局、脳噛ネウロに助けられる事となった。脳噛ネウロに、いつになったら探偵として自立するのだと叱責された弥子は自信を喪失。そんな中、服役中のアヤ・エイジアに面会した弥子は、弥子と脳噛ネウロはそれぞれに補い合っているとの言葉をかけられ、前向きな気持ちを取り戻す。
絵石家塔湖邸殺人事件(第6巻~第7巻)
怪盗Xは、彫刻家の絵石家塔湖の館から作品を盗むと、派手な予告をし、脳噛ネウロと桂木弥子のもとにも、謎を揃えて待つという添え書き付きで予告状が届けられた。そんな折、過去に死亡した絵石家塔湖と同じように、彼の妻、絵石家妙が彫刻作品の下敷きとなって圧死してしまう。一連の出来事を殺人事件だと推理した脳噛ネウロは、いつも通りに謎を解いて食べようとするが、捕食の際にできる僅かなスキを狙った怪盗Xの攻撃を受けてしまう。そんな中、絵石家邸を警護していた笹塚衛士は怪盗Xの行動を予測しており、想定しうる限りの対策をもって怪盗Xの逮捕を試みるものの、反撃に遭って重傷を負ってしまう。そして怪盗Xは、続々と駆け付ける警察の増援を振りきり、邪魔されない一対一の戦いをしようと、脳噛ネウロに追いかけて来るように提案し、夜の街へと姿を消すのだった。
テスト対策(第7巻~第8巻)
謎解きに追われる日々を過ごしていた桂木弥子が、すっかり忘れていた定期試験がやってきた。今回の赤点は留年の危機にもつながるため、「ダブり女子高生探偵」という屈辱的な称号を避けようと、弥子はテスト対策に勤しむ。一方で脳噛ネウロは、そんな弥子に追い打ちをかけるため、魔界の薬剤を使って教師の能力を高め、テストの難易度を上げようと試みる。
電人HAL事件(第8巻~第11巻)
民間調査機関、望月信用総合調査に情報収集のため出向している吾代忍が持って来た資料から、謎の気配を感じた脳噛ネウロは、放火事件の現場に弥子を連れ出す。謎を解き、犯人を指名する脳噛ネウロと弥子だったが、その場に居合わせた警官の篚口結也は、犯人の反応から、ネットを介してばらまかれ始めている、潜在的に抱えている犯罪欲求を増幅するシステム「電子ドラッグ」の罹患者ではないかと疑いを抱く。笛吹直大らを筆頭に警察組織が電子ドラッグを警戒し始めたと時を同じくして、脳噛ネウロも篚口から断片的に映像を見せられた弥子の記憶に残った文字を手掛かりにネットを辿り、ドラッグの供給元を探す。しかし脳噛ネウロの侵入に対し、殺意で答えたプログラムに弾かれ、潜入は果たせないままに終わる。その一連の出来事は春川英輔が構築した自分の複製プログラム、電人HALの暴走によるものだった。暴走は止まらず、製作者の春川を殺害した電人HALは、研究室から大学全体を支配下に置く。
電子ドラッグによる被害が全国的に拡大する中、笛吹、篚口を筆頭に警察は対策を強化。かつて天才ハッカーとして名を馳せた篚口の反電子ドラッグプログラムにより、犯罪の数は一時的に減少したものの、これを見越していた電人HALは、スキを突いて篚口までも取り込む事に成功する。市民の洗脳は拡大し、ピンチに陥る脳噛ネウロだったが、そんな中、弥子は篚口がまだ自我を残しており、電人HALの洗脳が完全ではない事を見抜く。ここを足掛かりに、弥子と脳噛ネウロは反撃を開始する。
呪われた机・トロイ(第11巻)
電人HAL事件により桂木弥子魔界探偵事務所は壊滅的な被害を受けた。桂木弥子は、かつて絵石家塔湖邸の出入り業者で、今は中古の家具を扱う池谷通を絵石家由香に紹介され、脳噛ネウロと共に彼の店を訪れる。二人はそこで、持ち主が二人も亡くなったといういわく付きの呪われた机、トロイに出会う。脳噛ネウロはこの机をいたく気に入るが、そこへ笹塚衛士と石垣荀が机にまつわる2件の不審死の捜査のために現れる。ちょうどそこに、かつて池谷のもとで働いていた青年、大塚輝希もおり、聞き込みにあたった笹塚らに対し、池谷を貶める情報ばかりを吹き込むのだった。これにより笹塚達から悪印象を持たれた池谷は、重要参考人として連行されてしまう。
桂木弥子のアルバイト大作戦(第11巻~第12巻)
桂木弥子は、電人HALとの戦いにおいて脳噛ネウロが手配したヘリコプターなどの機材費として、大きな借金を抱えていた。持ち合わせが足りなかった時にはネウロに立替返済をしてもらっていたが、その際に取り交わした借用書は桁外れの金利を乗せる内容に加え、返済が遅れた場合は脳噛ネウロの奴隷になるという内容だった。今日中に利子を含めて500万円を完済できなければ、脳噛ネウロの下僕にされてしまうと焦る弥子は、過去に知り合った篚口結也らに助言を求めて回る。ヒントを訪ね歩く中、弥子はそうと知らずに怪盗Xの助手のアイとぶつかってしまう。この時、弥子は彼女にハンカチをもらうが、それは超プレミア品であった。
這って動く老人(第12巻)
桂木弥子魔界探偵事務所に、祖父の宮迫達夫が何者かに命を狙われて怯えているため守ってほしいと、幼い依頼人の宮迫睦月が訪ねて来た。すでに達夫は、個人的に吾代忍のいる望月信用総合調査に依頼を済ませており、また、たまたま桂木弥子魔界探偵事務所に居合わせた刑事の笹塚衛士も達夫の事を気にかけていたにもかかわらず、結局達夫は自社ビルの屋上から転落死してしまう。命を狙われているとの被害妄想から自死してしまう人もいると、笹塚は冷静な分析のもと、自殺と他殺両方の可能性から捜査に着手する。しかし吾代は感情を優先させ、命の危機で相談に来た者が自殺するわけがないと激しく対立する。
怪盗Xの真価(第12巻~第14巻)
怪盗Xが脳噛ネウロを狙い、再び行動を開始した。電子の海で解体寸前にあった電人HALを見つけた怪盗Xは、その力をコピーし、視線を交わしただけで相手を電子ドラッグに感染させる目を入手。そして手下の大菅依を使い、餌となる謎を作り出して、とある田舎町に脳噛ネウロを誘う。これに対し脳噛ネウロは、謎が生まれる際に併せて現れるはずの悪意が感じられないので不信感を抱きながら、桂木弥子と共に謎解きにかかる。一方その頃、笛吹直大も旧知の国際警察の敏腕刑事であるアンドリュー・シクソンに協力を要請し、怪盗Xを追い詰めるための計画を実行しつつあった。具体的な手土産として、アンドリューは怪盗Xの助手の女性、アイの正体がかつて某国に所属し、国のためにテロリストとして活躍していた通称「飛行機落としのイミナ」であると突き止めた、と資料を持参する。
日本全国で起こっている事件のすべてに目を通し、怪盗Xの情報を探すアンドリューは、やがて脳噛ネウロと弥子が、怪盗Xにとある田舎町に呼び寄せられている事に気づく。その頃、脳噛ネウロと怪盗Xは直接対峙していた。怪盗Xは弥子と細胞レベルで同一に変装し、弥子の身体能力を電子ドラッグで自分と同等に高めたうえで待ち構え、脳噛ネウロに同時攻撃を仕掛ける。しかし、脳噛ネウロは卓越した推理力で変装を見破り、同時に魔界の力を使って本物の弥子の無力化に成功する。戦いの末、深手を負った怪盗Xはアイと共に逃走を図るが、そこに網を張っていたアンドリューが偽りの姿を脱ぎ捨て、新しい血族のシックスを名乗って、アイを射殺。さらにシックスは、怪盗Xが自身のクローンであり、探し求める過去などは元から存在しない事を告げ、彼の抵抗を封じて連れ去ってしまう。
脳噛ネウロとシックスのお茶会(第14巻)
常人とはかけ離れた優れた身体能力に加え、並外れた悪意を持つシックスに対し、脳噛ネウロは大きな関心を抱いていた。だが、彼の招待に応じて会談した内容は期待外れなものとなった。自分のように常人よりも優れた進化を遂げた一部の存在、新しい血族以外の人間を滅ぼしたいと願うシックスに対し、人間の悪意から作り出される謎を欲する脳噛ネウロは相いれない存在であった。こうして短い会談は、お互いへの宣戦布告をもって終了する事となる。
インターミッション(第15巻)
強敵、シックスとの来るべき対決を控え、桂木弥子は緊張から昼食の支度を失敗してしまう。それを見た母親の桂木はるかは久々にケーキを作ってあげようと言いだすが、壊滅的な料理下手のはるかは、なぜかホームセンターへと向かう。相変わらず女性を家具のように扱う奇癖のある池谷通は、お気に入りの絵石家由香に座りたがり、人の能力を見出してそれに最大限ぶら下がる特技を持つ望月健雄には、意外な事に彼にベタ惚れの若い美人の妻がいた。過去に弥子と脳噛ネウロの推理によって逮捕された犯人達は獄中でそれなりに楽しんでおり、意外にも早坂久宜の猫好きな一面を見た早坂ユキは面食らう。強敵との対決を控える束の間の日常は、にぎやかに過ぎていく。
夢を追う犯人(第15巻)
笛吹直大が主体となり、警察は組織の強化再編に力を注いでいた。笹塚衛士の班にも優秀な新人の等々力志津香が配属され、捜査一課のお荷物と評される石垣荀は、代わりに自分が他部署に異動させられるのではと焦っていた。そんな中、彼らの管轄内の軽食屋で殺人事件が起きる。手柄を上げて見直されたい石垣は張り切るが、店内にいた客への聞き込みもそこそこに、客の中にいた漫画家と漫画の話で盛り上がり、いつも通りに脱線していた。そこへ現れた、謎の気配に引き寄せられた脳噛ネウロと桂木弥子は、夢を追う客達の応援を生きがいにしている軽食屋の主人の犯罪を見破る。そんな中、弥子は今まで以上に貪欲に謎を欲する脳噛ネウロに焦りの気配を感じ、不吉な予感を覚える。
脳噛ネウロ対「五本指」のDR(第15巻~第16巻)
シックスは新しい血族の中で「五本指」と呼ばれる五人の側近のうちの一人、DRを選出。日本に詳しい葛西善二郎をアドバイザーに加え、脳噛ネウロへの刺客として派遣した。水の流れを意のままにあやつるDRの仕掛けた罠により、善良な市民も、謎を秘めた犯罪の決行直前にあった人間も、流されてしまった事に怒る脳噛ネウロは、DRに徹底的に反撃する。脳噛ネウロはDRの作戦を先読みし、人への被害が最小限になるように対策を施したうえで戦いに挑んでいたが、それでも被害は甚大だった。広く水没してしまった街を前に、敵への恐れを感じる桂木弥子に、少し前に知り合った、河原に段ボールの豪邸を作り、悠々自適なスローライフを送る中年の男性、本条二三男が声を掛けてくる。実は二三男は以前、春川英輔が治療を担当した女性、本条刹那の父親で、すべては演算で答えを導き出せると持論を展開し、水に閉ざされてしまった街の効率的な排水をして見せる。
「五本指」のテラ、笛吹直大を襲撃(第16巻)
DRのテロ行為への警察の迅速な対応を危険視したシックスは、現場で指揮を執る笛吹直大を暗殺すべく、新しい血族の「五本指」の一人、テラを次なる刺客として送り込む。それを察知した笛吹は逆にテラを油断させ、大勢で取り囲む事に成功するが、テラの力は強く、ただ一人で警察の包囲をやすやすと突破し、逃げおおせてしまう。
桂木弥子のバレンタインデー(第16巻~第17巻)
バレンタインデーを迎え、桂木弥子は、普段世話になっている笹塚衛士や笛吹直大、篚口結也らにチョコレートを配る計画を立てた。しかしその一方で、強靭な身体を持つ手駒があれば便利だと考えた脳噛ネウロは、弥子の手作りチョコレートに魔界の泥を混入したものを紛れ込ませた。食べた人が化け物じみた強靭な身体を手に入れる品が、三つ紛れ込んでいると脳噛ネウロに宣言されながらも、不正をせずに必ず渡すよう監視までつけられた弥子は、ロシアンルーレットのような気分を味わいながらチョコレートを配って回る。その最後に弥子は、謎の気配のある事件の詳細を書いた紙で包んだチョコレートを脳噛ネウロに渡すのだった。
脳噛ネウロ対「五本指」のテラ(第17巻)
ある日、とある事件の帰り道にあった脳噛ネウロの前に、「五本指」のテラが現れて声を掛ける。こうして顔見せを済ませたあと、テラはチャット回線を使って犯行予告し、1000人の人間を人質に取って、自分に有利な下準備をした場所へと脳噛ネウロを誘い出す。謎を産むかもしれない人間を見殺しにできない脳噛ネウロは、苦戦を強いられ、ほとんどの魔力を消耗しながら、テラに辛くも勝利する。
脳噛ネウロ対「五本指」のヴァイジャヤ(第18巻~第19巻)
「五本指」のヴァイジャヤが、新たな刺客として脳噛ネウロの命を狙い始めた。先日のテラとの戦いで痛手を負いながらも勝利した脳噛ネウロは、魔力を補うために身動きが取れず、代わりに桂木弥子や笹塚衛士、吾代忍に指示を出し、対策を講じる。それに伴い、新しい血族の情報を収集する中で、脳噛ネウロ達は、弥子の知り合いの本条二三男がかつて住んでいた家が、テラから買ったものだという情報を摑む。さらに、二三男は研究のためにアルバイトを雇っていた時期があり、その中にヴァイジャヤがいたとの情報も探り当てるのだった。これらの情報から、「二三男の日記」が新しい血族の重要な手がかりになると踏んだ笹塚と吾代、弥子の三人は二三男の元の持家に向かう。しかし、そこにはヴァイジャヤに待ち伏せしていた。こうして弥子達は、脳噛ネウロ抜きで植物を自在にあやつるヴァイジャヤとの戦闘を余儀なくされてしまう。
桂木弥子、脳噛ネウロとスポーツジムに行く(第19巻)
10日間の充電期間を経て、魔力を3割ほど回復させた脳噛ネウロは、なまってしまった身体を鍛えるために桂木弥子を連れてスポーツジムに向かう。しかしトレーニングと言いながら脳噛ネウロは、プールに魔界魚を放って弥子を追い回させるなど、いつも通りのびのびと彼女を虐待するのだった。そんな中、弥子は脳噛ネウロの虐待から逃れるため全力で泳ぎ、好タイムを記録。それを見ていたコーチの加納則馬は、弥子に合ったトレーニングメニューを提案する。目標は高ければ高いほどよいと主張する加納の提示するメニューはどんどんエスカレートしていき、高いノルマを課した客が達成するまで逃げられないよう監禁している地下へ、弥子を連れ込んでしまう。
脳噛ネウロ対「五本指」のジェニュイン(第19巻~第20巻)
「五本指」の一人、ヴァイジャヤとの戦いで負ったケガにより入院加療の身となった吾代忍を見舞うため、脳噛ネウロと桂木弥子は病院を訪れた。そこに、続いて笹塚衛士も現れる。そして笹塚は、警察では先日見つけた「本条二三男の日記」をもとにシックスの重要拠点を割り出しており、一斉捜査を控えていると語る。だが、笹塚は自身の体調が優れないため、しばらく現場を休むと言い残して立ち去るのだった。一方、シックスは新しい血族の拠点としている企業を特定され、さらに重要な戦力と見込んでいた「五本指」のうちの三人を失い、計画の停滞を余儀なくされていた。そんな中、「五本指」の魔女、ジェニュインは過去の失敗を踏まえ、万全の体制で脳噛ネウロを迎え撃つ事を計画。脳噛ネウロをドMに調教してみせると意気込むジェニュインだったが、攻める事に関しては無敵ともいえるほどの相性のよさを持つ脳噛ネウロは、逆に彼女の群衆をあやつる力を奪い、ジェニュインが抵抗する気力を完全に失うほどに叩きのめし、ドMに調教し返すのだった。
警察組織対葛西善二郎(第20巻~第21巻)
新しい血族の「五本指」はとうとう葛西善二郎を残すのみとなった。葛西の望みは人類の殲滅を企てるシックスよりほんのわずかでも長生きする事であり、これまで葛西は命の危険のある現場を極力遠ざけてきた。しかし、シックスからの直接指令を受け、ついに自ら無差別放火テロを開始する。一方その頃、笹塚衛士は、脳噛ネウロ達との合同調査と、警察がシックスに近づく事で見えて来た新事実をもとに、長年追い続けていた自身の家族を殺した相手が怪盗Xではなく、シックスだとの特定に至る。その頃、シックスは調整を施した怪盗Xを新たに「イレブン」と命名し、改めて自身の戦力に加えていた。笹塚は吾代忍もよく利用する情報屋を急襲して情報を強奪し、単身シックスに戦いを挑むが、駆けつけた弥子の目の前で殺されてしまう。それに続き、本条二三男は自身がシックスの内通者だと告白し、弥子の目の前で自殺。ショックのあまり弥子は脳噛ネウロを拒絶し、彼のもとから去るのだった。時を同じくして、警察は炎をあやつる葛西を追い詰めていた。その組織力で葛西を撃退した警察は、ついに新しい血族に勝利を収めた。
だがそのあいだ、弥子は持ち前の食欲も失うほどに落ち込んだままでいた。そんな彼女の前に、脱獄して励ましに来たと、アヤ・エイジアが現れる。そしてアヤとの会話の中で弥子は、笹塚が自分の可能性に未来を託した事、そして二三男が死の間際に、シックスにとって致命的な情報を自分に託していた事に気づく。やり遂げたい事のためにもう逃げず、泣かないと誓う弥子は、再び脳噛ネウロの待つ事務所へと戻るのだった。
脳噛ネウロ、最後の事件(第21巻~第23巻)
桂木弥子と脳噛ネウロは本条二三男が遺した情報を頼りに、シックスの隠れ家を突き止めた。その頃、笛吹直大はシックスに懐柔されていた警視総監を完璧な交渉術で説得し、ついにシックスの全国指名手配を発令する事に成功する。隠れ家に逃げ込む事を余儀なくされたシックスと、「イレブン」の名を冠された元・怪盗Xは、国外逃亡の手筈を整えつつ弥子と脳噛ネウロを迎え撃つ。相次ぐ戦いにより魔力を酷使し、弱体を極めた脳噛ネウロは、弥子にイレブンの対応を任せ、自身はシックスとの戦いに集中。そのあいだ、弥子はイレブンにかつて怪盗Xとして過ごした記憶を取り戻させる事に成功。かつての自分を取り戻した怪盗Xはシックスに反逆し、重いダメージを与えるが、それと引き換えに命を落とす。これを受け、脳噛ネウロは持てる力のすべてを使い、共倒れも覚悟のうえでついにシックスを倒すのだった。その後、脳噛ネウロはかろうじて生き延びるものの、肉体的なダメージは深刻で、起きる事も叶わぬほど衰弱してしまう。そんな脳噛ネウロのもとに魔界の住人が現れ、彼ほどの魔人が人間界で死ぬ事を惜しみ、魔界に帰ってはどうかと提案する。
登場人物・キャラクター
脳噛ネウロ (のうがみねうろ)
誕生日は16月344日。身長と体重は188~220cm、65~120kgの範囲で変化する。「人の悪意が作り出した謎を解くことで放出されるエネルギー」を唯一の栄養源とする魔界変異種。魔界の「謎」は栄養が少ない上、ひとつ残らず喰い尽くしてしまったがゆえに地上を訪れる。そして人間の桂木弥子と出会い、彼女と共に様々な怪事件の「謎」を解く探偵となる。 ただし魔人の正体を隠すため、探偵役は弥子に演じさせ、自身はその助手を演じる形。捜査などには「魔界777ツ能力」(まかい777ツどうぐ)や魔帝7ツ兵器(まてい7ツどうぐ)という特殊能力を駆使し、まばたきで銃弾を受け止め、一億度の業火に耐えるといった超人的強さを持つ。 だが地上は魔界生物であるネウロに適合せず、栄養不足に陥りやすいため全力は発揮しきれない。弥子の助手を演じている際は柔和な言動をしているが、本性はサディスティックな性格で、よく弥子に拷問まがいのことをしている。しかしそれも魔人としての愛情表現だと思わせる面がある。一人称は「我が輩」。
桂木 弥子 (かつらぎ やこ)
魔人である脳噛ネウロの相棒となる人間にして、もう一人の主人公であり、ヒロイン。3月10日生まれの16歳、身長は159cm、体重は43kg。スレンダーな体格に似合わず食欲旺盛で、食べることを生き甲斐にしている。都内有数の難関校である共学の私立高校に通うが、志望理由も学食の美味しさで選んだというもの。 父親は建築士の桂木誠一(かつらぎせいいち)で、母は桂木遥(かつらぎはるか)。父の葬儀の日にネウロと出会い、彼が正体を隠しながら都合よく「謎」を解決するため、探偵役を押し付けられることになる。事件の謎を解決するのはネウロの役目だが、彼にはない「人間として人間の心を捕える力」が弥子には期待され、精神的に成長していく。 実際にネウロと探偵を行うようになってから、怖いもの知らずであまり物事に動じない性格だと自分でも感じるようになる。表向きは桂木弥子 魔界探偵事務所の所長であり、熱心なファンが付くほどの有名人となる。一人称は「私(わたし)」。ネウロには片仮名でヤコと呼ばれる。
吾代 忍 (ごだい しのぶ)
短い髪を染め、下唇にピアスをした男性。11月3日生まれの25歳で、身長190cm、体重83kg。裏社会に生きる人間で、早乙女金融の副社長代理として登場するが、桂木弥子と脳噛ネウロに会社の事務所を賭けた事件解決を挑まれ、事務所を追い出される。その後、ほぼ強制的に桂木弥子 魔界探偵事務所の雑用係を非常勤で任されるようになった。 喧嘩っ早く乱暴そうな外見だが、思いのほか義理堅く、また責任感も強くて几帳面な性格。肉体派で学歴も低いが、早乙女金融の社長に叩きこまれた事務能力や法律の知識は充分に実践的。一人称は「俺」。
あかねちゃん
早乙女金融(現・桂木弥子 魔界探偵事務所)の事務所の壁に塗りこまれていた女性の遺体。三つ編みにしたお下げ髪だけが壁から露出していたが、魔界生物である脳噛ネウロの瘴気にあてられて命を取り戻し、髪だけが動くようになった。言葉は話せないが、人の声を聞いて筆談することは可能。 パソコンを使うなどの事務能力は高く、魔界探偵事務所の秘書として雇われることとなる。その後、ネウロに改造されて短時間ならば本体から切り離して外出でき、他人の髪と一体化することも可能になる。通りすがりの通行人が振り返り、カリスマ美容師の百舌貴泰(もずたかやす)が感動するほど綺麗な美髪で、実は本体も美少女。 自分の髪をトリートメントされるのが好き。一人称は「私(わたし)」。
笹塚 衛士 (ささづか えいし)
警視庁捜査一課所属の刑事。7月20日生まれの31歳男性。身長181cm、体重70kg。竹田敬太郎(たけだけいたろう)という上司がいる。竹田と共に桂木弥子の父親の殺人事件を担当し、その事件後、私立探偵としての弥子と脳噛ネウロの2人が捜査に関わることを大目に見てくれるようになる。 刑事としては低いテンションと高い実力で有名とされ、格闘や射撃の腕も優れている。低血圧が悩みだが、いざという時は俊敏。一流大学も出ており、本来ならエリートコースを歩めていたが、ある私情のため刑事の道を選んだ。弥子には好意的で、親身になってくれることも多い人物。大学時代からの愛煙家であり、お酒は焼酎派。 一人称は「俺」。
石垣 筍 (いしがき じゅん)
警視庁捜査一課所属の刑事。4月18日生まれの24歳男性。身長174cm、体重63kg。笹塚衛士とコンビを組むことになる後輩で、彼に憧れている。プラモや食玩などの趣味を持ち、「今時の若者にありがちな軽いノリと低いプライドの持ち主」と評される能天気な性格。一人称は「俺」。作者によると元々の名前の読みは「しゅん」だったが、誤植で「じゅん」とされたのがそのまま採用されたキャラクター。
笛吹 直大 (うすい なおひろ)
警視庁刑事部の警視で、ノンフレーム眼鏡をかけた男性。4月18日生まれの31歳。身長164cm、体重53kg。笹塚衛士と同じ一流大学の出身で、警視庁でも同期だが、現在は笹塚の上司に当たるキャリア組。同じくキャリアの一年後輩である筑紫候平(つくしこうへい)という刑事とよく行動を共にしている。 プライドやエリート意識が高く、大学時代の成績でトップ争いをしていた笹塚に食って掛かることが多い。また、ただの一般人である桂木弥子と脳噛ネウロが警察の捜査に関わることを快く思っていない。潔癖症で、汚い手段を好まない性格をしている。実はテディベアなどの可愛いもの好き。 一人称は「私(わたし)」や「俺」。
アヤ・エイジア
桂木弥子 魔界探偵事務所のお客様第一号として登場。「神秘の歌姫」とも呼ばれる世界的な女性歌手(シンガーソングライター)で、日本語の歌詞で歌う日本人ながら、世界中に熱狂的なファンがおり、アルバム3枚の総売上は3億枚に達する。観客がその歌を聴くそばから感動で失神していくほどの歌唱力を持ち、外見も桂木弥子が見惚れるほどのオーラを放つ美女。 無名時代からのパートナーだった、所属事務所の音楽プロデューサー・台島拓郎(だいじまたくろう)および、同じ事務所の社員・大泉ひばりの死亡事件の解決を弥子たちに依頼する。本名は逢沢綾で、3月27日生まれの26歳。身長165cm、体重51kg。 一人称は「私(わたし)」。
怪盗X (かいとうさい)
透明なガラスの箱に被害者の体をまるごと詰めて「赤い箱」を作り出す、猟奇殺人を繰り返す国際的犯罪者。どんな人間にも変化できる特異な細胞を持ち、そのため公然と犯罪を繰り返しても姿を特定されたことがない。本人も元々の姿を思い出せなくなっていることから、「自分の正体(なかみ)」を知ることを行動目的としている。 異常な怪力と生命力を持ち、別人に変身するだけでなく、人間以外に変化することすらも可能な怪人である。日本のメディアにおける「怪盗X」の呼び名も「monster robber(怪物強盗) X・I(未知・invisible)」という海外での表現を繋げたもので、「怪盗」という意味ではない。ただし脳噛ネウロのような魔界生物ではなく、あくまで人間であるという。 本来の姿も性別も不明だが、特に理由がなければ少年の姿をしていることが多い。その姿の際の便宜的な一人称は「俺」。なお、Xで「サイ」と発音するのは「XI」の読み方から来ているが、従者の「アイ」がその名を名乗るのは、「XI」の「I」が理由である。
アイ
怪盗Xの従者と称し、その片腕として犯行の協力や後始末を行っている女性。国籍・年齢などは一切知られていない美女。実際は1月7日生まれの25歳で、身長166cm、体重52kg。破壊工作員として最高の資質を持った人間を、最高の教育で育てたことで生まれた、エリート中のエリートとされる元テロリストである。 自分の能力を完全に活かしていなかったXを後方支援し、誰にも捕まえられない完璧な怪盗へと変えた人物とも評される。なお、Xを「エックス」ではなく「サイ」と読むのは「Xi」(Xは未知、Iはinvisible=不可視の意)の読みから来たものだが、自分はその省略された「i(アイ)」で構わないとして現在の名を名乗っている。 ゆえに怪盗Xとは、2人でひとつの犯罪者のユニットの名前でもある。なお、Xと出会う以前は「イミナ」という東洋系の名前を持っていた。普段は詰襟の上着とロング丈のプリーツスカートを身に纏っており、首の後ろでふたつに分けたお下げ髪と、常に平然とした表情が特徴。一人称は「私(わたし)」。
春川 英輔 (はるかわ えいすけ)
腐蒲温泉(くさりがまおんせん)にある、腐屋旅館(くさりやりょかん)という温泉宿で起きた殺人事件を介して桂木弥子と脳噛ネウロの2人と知り合う大学教授。錯刃大学(さくばだいがく)で脳科学を専門に研究をしており、医学からコンピュータサイエンス、物理学まで幅広く才能を発揮している天才科学者。 自らの脳を複写したプログラムを作成することで、自分の分身とも言える人工知能・電人HAL(でんじんはる)を生み出し、大規模な事件に世界を巻き込むことになる。非常に優秀な頭脳の持ち主だが、天才肌で他人を見下した振る舞いが多い。一人称は「私(わたし)」。
葛西 善二郎 (かさい ぜんじろう)
中年の日本人男性で、全国指名手配中の放火魔。火を操るすべに長け、前科は諸々を合わせ1000犯を超えている。脳噛ネウロと敵対する新しい血族の1人であり、その中の五本指では「人差し指」に位置する最古参の構成員。血族の頂点であるシックスとの距離も近い人物で、様々な破壊活動のサポートを行う。 また、シックスを神のごとく崇める血族たちの中で、信心深くない国の出身だからという理由でシックスの言葉をドライに受け取っている。そのため、「人間を越えた新種」という新しい血族の考え方は信じず、普通の人間のまま生き延びることをポリシーとしている。「火」の漢字が入った帽子と咥え煙草、「火火(ひひ)ッ」という笑い声が特徴。 一人称は「俺」。
集団・組織
桂木弥子 魔界探偵事務所 (かつらぎやこまかいたんていじむしょ)
元は早乙女金融という、裏社会に通じる金融会社の事務所だったが、脳噛ネウロが賭けによって入手し、私立探偵・桂木弥子の探偵事務所となる。駅に近い一等地のビルの最上階にあり、眺めもよくコンビニが近所にあるという好条件の物件。所長の桂木弥子、その助手のネウロに加え、やがて秘書にあかねちゃん、雑用(非常勤)に吾代忍が加わることとなる。 インターネットのホームページで依頼者を募集しており、身近に「謎」の気配のある者がホームページを閲覧すると、無意識にこの事務所へと引き寄せられるような暗示画像を施してある。開業後、最初の客となったのが世界的歌手のアヤ・エイジヤであり、その事件解決に伴い、魔界探偵事務所と桂木弥子は一躍その名を全国区に知れ渡らせる。
新しい血族 (あたらしいけつぞく)
『魔人探偵脳噛ネウロ』に登場する組織。「定向進化」という、生物がひとつの方向に特化して突き進む現象を、「悪意」というヒトの脳の機能において発生させた一族とされる。7000年ほどの時間、悪意を継承してきたその血族の中で、最も先端に位置する者が「病気」のSickにかけてシックス(数字の「6」でも表される)と呼ばれ、その者の脳は遺伝子レベルにおいて人類とは別種と言えるほど強く進化しているという。 そしてシックスは全人類の支配権を巡って脳噛ネウロと敵対し、ネウロが初めて明確な敵意を向ける相手となった。血族はシックス以外にも世界に多く散らばり、その中でシックスが「人間を越えた新種」と認める者は100人ばかり。その100人の内で特に破壊能力に優れた5名を五本指と呼び、その構成員である葛西善二郎、DR、テラ、ジュニイン、ヴァイジャヤ達がネウロを追い詰めようとする。
アニメ
書誌情報
魔人探偵脳噛ネウロ 12巻 集英社〈集英社文庫(コミック版)〉
第1巻
(2013-01-18発行、 978-4086194068)
第2巻
(2013-01-18発行、 978-4086194075)
第3巻
(2013-02-19発行、 978-4086194082)
第4巻
(2013-02-19発行、 978-4086194099)
第5巻
(2013-03-19発行、 978-4086194105)
第6巻
(2013-03-19発行、 978-4086194112)
第7巻
(2013-04-18発行、 978-4086194129)
第8巻
(2013-04-18発行、 978-4086194136)
第9巻
(2013-05-17発行、 978-4086194143)
第10巻
(2013-05-17発行、 978-4086194150)
第11巻
(2013-06-18発行、 978-4086194167)
第12巻
(2013-06-18発行、 978-4086194174)