概要・あらすじ
桜坂高校に通う村雨クナイは、容姿、学業、運動、素行の全てにおいて平凡な男子高校生。だが、その正体は江戸時代より国の諜報活動を一手に担ってきた忍者の末裔であり、幼い頃から諜報員としての英才教育を受けるスパイの卵だった。自らの正体がバレれば国家レベルの諜報を担う、偉大なスパイである父親の情報までもが露見し、国防を脅かす結果に繋がってしまう。
そのため、「正体がバレれば即抹殺」という重い枷を負わされていたのだが、お人好しのクナイは周囲に困っている人やトラブルが発生すれば放ってはおけない性格。彼はなんとか自らの正体をごまかしながら、忍術をベースとする超人的なスパイの奥義を駆使することで、人知れずトラブルを解決していくのだった。
そんな彼の日常は、やがて同等の力を持つ裏稼業の敵を相手に、命のやりとりをも強いられる過酷なものとなっていく。時に非情な決断を迫られるこの世界で、本当にスパイとして生きていくのか? 成長を重ね一人前のスパイへと近づいていく中で、この世界に身を置く覚悟と決断を求められるクナイ。彼はひとつの答えを導き出すことに。
登場人物・キャラクター
村雨 クナイ (むらさめ くない)
桜坂高校2年A組、出席番号25番、身長167cm、体重56kg、中肉中背、学校での成績は中の中、血液型A型、9月7日1時生まれ。趣味は映画鑑賞、特技はなし、座右の銘は平穏無事。好物はバームクーヘン。地味で目立たない平凡な男子高校生を装っているが、その正体は忍者の末裔でありスパイの卵である。 国家の諜報を担う偉大なスパイである父親の後継者として、幼い頃から諜報員としての英才教育を受けてきた。正体が露見すれば即抹殺という父親の言いつけから、波風を立てないよう自分を殺して生きているが、本当は義に厚く、お人好しで正義感が強い。そのためか、大切な人を守ることについては実力以上の力を発揮。また、あらゆる言語のマスターや世界情勢の把握、銃火器の構造理解など、一人前のスパイとなるべく日々の勉強を欠かさない努力家でもある。 忍術をベースとするスパイ奥義の使い手で、超人的な筋力、俊敏性、動体視力を誇っており、愛用のクナイ・ドラゴンスレイヤーで放たれた銃弾をも裁断する。いつも首に巻いている暑苦しいマフラーさえもが、現代の高機能繊維技術と忍者式編み上げ技術を駆使したスパイ道具のひとつ。 10年前、スパイとして生きていくための大きな教訓を、間接的に与えてくれた青葉みちるに恩義を感じており、振りかかる様々なトラブルから密かに彼女を守り続けている。非情な決断を求められたとしても、誰も見殺しにはせず全てを救うという理想を掲げ、偉大な父親をも超える超一流のスパイとなるべく邁進していく。
村雨 鉄夫 (むらさめ てつお)
身長185cm、体重73kg、血液型AB型、8月3日生まれ。村雨クナイの父親で、いつも葉巻をくわえている七三分けのヒゲダンディー。表向きは太平洋貿易海外統括部長というサラリーマンとしての肩書を持つが、その正体は国家レベルの諜報活動を行う超一流のスパイで、国のスパイ組織・天守閣の局長を務めている。 諜報によって国を守ってきた伝説のスパイであり、その功績からゴールデンボーイという異名で讃えられている。自分の後継者として育て上げるべく、息子のクナイには正体が露見すれば即抹殺というスパルタ教育を施している。だが、かなりの親バカかつ感動屋で、いつも息子の成長ぶりを目にしては感涙している。 愛用している銃はイスラエル軍開発のマグナム銃デザートイーグル、愛称はボナンザ。
青葉 みちる (あおば みちる)
桜坂高校に通う、明るく気立ての良い女子高生。3年F組所属、身長160cm、体重秘密、血液型A型、3月31日生まれ。村雨クナイとは10年来の幼なじみで、彼が密かに思い悩んでいることに気づくなど、クナイに関することには勘が鋭い。また、偶然のアクシデントを何度も引き込んでしまうトラブルメーカー体質だが本人に自覚はなく、いつも密かにクナイに救われている。 10年前に初めて出会った時も、バスの火災に巻き込まれていた所をクナイに救われたが、正体が露見しかけたことに焦った彼に殴られ、鼻の骨を折られた。クナイが彼女を守り続けるのは、その過去の出来事がひとつの要因となっている。
花形 楓 (はながた かえで)
身長177cm、体重62kg、血液型O型、11月22日生まれ。桜坂高校に通う男子高校生で、学校一の女たらしとして有名な優男。端整な顔立ちのモテ男でもあり、彼の下駄箱にはいつも大量のラブレターが投函されている。その正体は村雨一族の分家筋にあたる忍者の末裔であり、村雨クナイの監視役として彼のフォローを行っている。 普段は軽薄で飄々としているが、時に任務においては非情に徹する冷酷さを併せ持つ。しかし、本質的には義理堅く、お人好しな性格。任務の中で命を落としかけたことで、自らの実力不足と裏稼業の世界の厳しさを思い知らされ、一度はスパイの道から足を洗おうとした。だが、同じ体験をしたクナイがスパイとしてさらなる高みを目指そうとしたことがきっかけとなり、彼の相棒となるべく再びスパイとして生きる決意を固める。
壬生 怜緒 (みぶ れお)
桜坂高校に通う3年の男子生徒で、剣道部の主将を務める。剣道では2年連続で全国大会優勝を果たしており、地元ではちょっとした有名人。剣士として才能がありすぎるがゆえ日々に退屈しており、退屈しのぎと称して刃物を持った強盗に挑むなど、危険な行為を平然と行う。村雨クナイが強者であることに気づき、強引に彼の正体を暴こうとするが、クナイに命を救われたことに気づき、その借りを返すため追及を諦めた。 いつも淡々としているが、ユーモラスな部分も持ちあわせており、筋を通すことを重んじる剣士らしい義の人物でもある。
鈴木 学 (すずき まなぶ)
臨時代打で桜坂高校に赴任してきた英語教師。村雨クナイのクラス担任を務めることとなり、赴任早々に裏稼業の人間であることをほのめかしながら、クナイと花形楓に接触する。後に強大な敵としてこの2人に立ちはだかるが、それは彼らに裏世界の非情な現実を叩き込むための試練で、その正体は国のスパイ組織・天守閣に所属するベテランのスパイであり、クナイの父である村雨鉄夫の部下であった。 表面上は明るいが掴みどころのない鈴木学としての顔と、凶暴な別人格であるQとしての2つの顔を持っている。骨格そのものを変える骨格変装という技術を有しており、キャンディーを舐めると鈴木学の姿に、タバコを吸うとQの姿に骨格が変形。 見た目だけでなく性格や戦闘能力までもが変化し、鈴木学の姿では銃と打撃による混成の接近戦術・ワンメートル射撃術エリアゼロを、Qの姿ではコンクリートをも貫く手刀・ブレイドを行使する。なお、単純な戦闘能力はQの方が圧倒的に高い。
七波 サチ子 (ななみ さちこ)
身長163cm、体重50kg、血液型B型、6月7日生まれ。桜坂高校に転校してきた女子高生で、クラスと学年は村雨クナイと同じ2年A組。兄の白海教授は国の将来を左右するという重要な研究「世界を動かす500g」を進める最重要人物であり、その肉親である彼女は国の護衛対象として認定されている。 そのため学校ではクナイが彼女の護衛任務を担当。8歳の頃から兄と引き離され一人暮らしを強いられており、月に一度のビデオレターのやりとりだけが許されている。兄に心配をかけまいと、ビデオレターの前では明るく振る舞っているが、ずっと寂しい想いを抱え続けてきた。さらに、兄の研究を狙う他国エージェントから標的にされうることを自覚。 トラブルに巻き込まないよう、わざとそっけない態度をとることで周囲の人間を遠ざけてきた。だが、クナイの護衛役としての活躍や、それでもなお友達になろうとしてくれた上原夏緒の行動に心を打たれ、彼女との友情を築き上げる。
上原 夏緒 (うえはら なつお)
身長156cm、体重47kg、血液型AB型、7月23日生まれ。桜坂高校に通う屈託のない元気な女子高生で、村雨クナイが所属する2年A組のクラス委員を務める。空手有段者で、あんこ好きの甘党でもある。転校してきた七波サチ子がわざと周囲と距離を置こうとしていることに気づき、冷たくあしらわれながらも何度も彼女の心を開こうとアタックしていく。 そして、その献身的な行動が実を結び、裏でのクナイの護衛役としての活躍もあって、彼女はサチ子との友情を築き上げた。
木下 大和 (きのした やまと)
村雨クナイの同級生で、桜坂高校に通うお調子者の男子高校生。数合わせのため頻繁にクナイを合コンに誘う。演劇部のエースを自称しており、将来の夢はハリウッドスター。銃を持った銀行強盗を相手にブラフをしかけるなど、役者を目指しているだけあって無謀ながら度胸は据わっている。 チャラくてバカでスケベだが、トラブルにクナイを巻き込まないよう嘘をつくなど、友達想いの憎めない人柄。
チャズ・パルミンテ (ちゃずぱるみんて)
レンジャー訓練を受けた、数多の戦場を渡り歩く傭兵。階級は少佐。冷静に戦況を見極める観察眼と、多くの部下をまとめる統率力を持った軍人気質の手練であり、かつてQに重傷を負わされながらも生還したという過去を持つ。ある小国の王子の依頼で、「世界を動かす500g」の研究成果を手に入れるため、研究者の肉親である七波サチ子を拉致したが、村雨クナイによって計画を阻まれた。
集団・組織
天守閣 (てんしゅかく)
『謎の村雨くん』に登場する組織。村雨クナイが所属する国の諜報活動を一手にになうスパイ組織。竜宮城と呼ばれる施設が総本部として活用されている。伝説のスパイとして呼び声高い村雨鉄夫を局長に据え、2つの顔と強大な戦闘力を持つ鈴木学ことQ、死人をも治すという天才外科医サリエルなど、職員には傑物たちが揃っている。 また、Qの下には新人スパイのツバキ、バルト、イチロウの3人も控えている。
鷹狩り (たかがり)
『謎の村雨くん』に登場する組織。スパイになるべく子供の頃から英才教育を受けてきた、鷹の子と呼ばれるスパイの卵を標的とするグループ。狙撃を得意とする女性リーダーのツバキ、粗暴だが仲間想いのバルト、冷静なナイフ使いのイチロウの3人がチームを組み、ターゲットである村雨クナイが鷹の子であるのか確証を掴むため監視していた。 3人とも性格はバラバラだが、組織でのし上がることで、家族を奪った者に復讐するという目標を共有し、強い絆で結ばれている。任務の中でクナイが鷹の子であると判断し敵対するが、それは新人スパイである彼らに経験を積ませるためのミッションであり、後に村雨鉄夫や直属の上役であるQからそのことが明かされた。