魔族と人間が反目し合う世界
リチャードが生まれる前から人間と魔族は反目し合う関係で、魔族が人間よりも強い存在であることを示すため、魔王が人間を生贄(いけにえ)にして食べる習慣があった。しかし、リチャードの父親である魔王、レオンハートと、生贄だった少女のサリフィが結婚したことで、両族間は親睦を深めようと意識改革を図るようになった。だが、人間との和睦を望まない魔族や、レオンハートの身勝手な行動に反旗を翻す、反王政組織も存在している。
本当の意味で強い王様になること
魔族の国「オズマルゴ」と人間の国「ヨアナ」が、和睦交渉にあたる条件として、リチャードが一人前の王族として聖獣を呼び出す儀式に、魔族だけではなく人間が同席することが求められる。その責任の重さに怖じ気づいたリチャードは、凄(すご)い聖獣を呼び出せる立派な魔族になるため修行の旅に出るが、すぐに城の外で怪鳥に攫(さら)われそうになってしまう。その危機を賞金稼ぎで兎の魔族、ラヴィと人間の少女、スバルに救われたリチャードは、二人を師匠と慕い、魔力や身体の強さだけでなく、本当の強さを知る真の王子になるため、二人と行動を共にすることとなる。
謎の人間、エドワズとの対立
修行の旅を続ける中でリチャードは、ラヴィがかつて反王政組織・ノアの一員だったが、ラヴィはすでに組織を抜け、今は組織の首謀者だった謎の人間、エドワズと敵対関係にあることを知る。リチャードはエドワズが人間でありながら人間を憎み、魔族を愛していることに戸惑いつつも、その心の闇に恐怖を覚える。
登場人物・キャラクター
リチャード
オズマルゴの王子。父親は魔族と人間の混血である魔王、レオンハートで、母親は生贄だった人間のサリフィ。年齢は9歳。頭部から短い角が2本生えており、もっふもふのしっぽを持つ。耳の先だけ茶色で、純白の毛並みのライオンに似た姿をしている。魔族よりも人間の血が濃く、ほぼ獣の姿で過ごしているが、人間の姿に変身することもできる。オズマルゴと人間の国、ヨアナが和睦交渉にあたる条件としてリチャード自身が重い責任を負わされことを知り、その責任感に怖じ気づいて城から逃げ出してしまう。その際、自分自身への言い訳として「強くなる修行をする」と話していた。しかし、賞金稼ぎのラヴィとスバルに出会ってからは自ら修行を望み、いずれは心の強さを持った王になりたいと考えるようになる。ラヴィたちの前では素性を隠し、「リオン」と名乗っている。ひょんなことから魔物のケモモと友達となり、つねに行動を共にするようになる。
ラヴィ (ししょー)
賞金稼ぎの魔族の男性。右目に眼帯をつけた白兎の姿をしている。怪鳥に攫われたリチャードを助けたことから懐かれ、「ししょー」と呼ばれるようになる。寡黙でぶっきらぼうな態度を取っているが、リチャードを憎からず思っている。過去に家族がバラバラにされたことがきっかけで王族を憎むようになった。その後、人間でありながら人間を憎み、人間と魔族の和睦を目指す政治の流れを阻止しようと企んでいた謎の男、エドワズと出会い、反王政組織・ノアに所属していた。しかし現在は、罪もない人間を犠牲にして叛逆(はんぎゃく)を企てるエドワズに反目し、他者を犠牲にする戦い方を変えさせようとしている。
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贄姫と獣の王 (にえひめとけもののおう)
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書誌情報
~贄姫と獣の王 スピンオフ~ 白兎と獣の王子 5巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(2023-01-20発行、 978-4592224518)
第2巻
(2023-04-20発行、 978-4592224525)
第3巻
(2023-08-18発行、 978-4592224532)
第4巻
(2023-12-20発行、 978-4592224549)
第5巻
(2024-04-19発行、 978-4592224556)