AKIRA

AKIRA

舞台は西暦2019年、新型爆弾によって消滅した東京に代わり建立された、爛熟した大都市ネオ東京。不良少年金田が、ある事件をきっかけに世界を揺るがす巨大な力「アキラ」をめぐる騒動に巻き込まれ、超能力を手にした幼なじみ鉄雄と対決していくさまを描いたSF作品。緻密に描かれた都市と、その破壊描写、視覚化された超能力者同士の戦闘描写が特徴である。第8回講談社漫画賞一般部門受賞、アイズナー賞最優秀国際アーカイブプロジェクト部門および最優秀国際作品部門を受賞した、作者大友克洋の代表作。扉絵などで使われる、毛筆で書かれた『AKIRA』の題字は漫画家平田弘史の手によるもの。

正式名称
AKIRA
ふりがな
あきら
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
推理・ミステリー
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊6巻
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概要・あらすじ

西暦2019年、第三次世界大戦後の日本。新型爆弾により東京は消滅し、代わって東京湾上にはネオ東京が建造されていた。不良少年・金田がバイクチームと共に街を暴走していたところ、奇妙な小男(タカシ)が突如出現。メンバーの島鉄雄は彼を避けきれずクラッシュし負傷、病院へと搬送されてしまう。翌日、路上でタカシを発見した金田であったが、そこでタカシを追うアーミーと反政府ゲリラによる銃撃戦に巻き込まれてしまう。

政府の重要機密「アキラ」を追う反政府ゲリラの、ケイと行動を共にすることになった金田は、以後アーミーに追われる身となる。一方、行方不明となっていた鉄雄は一週間ぶりに学校に現れるが、かつての気弱な少年から一転、凶暴な性格へと変貌していた。

超能力者タカシと接触した鉄雄は、自身も超能力に目覚めつつあったのだ。その後大佐の手によってラボへと収容された鉄雄は薬によって力を発現、41号とナンバリングされ研究対象となる。タカシも同じようにラボにより超能力の研究対象とされた「ナンバーズ」と呼ばれる子供の一人であり、更にアキラとは「ナンバーズ」の予言により旧東京の爆心地の地下奥深くに封印される存在であった。

アキラの存在を知った鉄雄は軍の包囲を突破し地下へと向いアキラを目覚めさせることに成功するが、事態を重く見た大佐により、衛星兵器SOLを使用され再び行方不明となってしまう。

一方、ラボに監禁されていた金田ケイはこの混乱に乗じ、アキラを奪取し逃げ延びることに成功。かつて東京を消滅させたのはアキラだと知った金田たちであったが、クーデターを起こしてまでアキラを追う大佐や、アキラの秘密を知る新興宗教の教祖ミヤコから狙われ、徐々に窮地へと追い詰められてしまう。

アキラタカシとの再開を果たしたものの、ミヤコの手下根津タカシを銃撃したことでその苦痛に共鳴し真の力を覚醒。結果、ネオ東京は大きな光に包まれ壊滅し、金田も消え失せてしまう。新たな爆心地に一人たたずむアキラのもとに、姿をくらましていた鉄雄が現れるのだった。

登場人物・キャラクター

金田 正太郎 (かねだ しょうたろう)

職業訓練校に通う少年。素行は悪く、バイクチームの仲間たちと暴走を繰り返す不良少年。お調子者で無鉄砲な性格だが面倒見はよく、仲間たちの中ではリーダー的存在。運動神経に優れ、バイクの腕も確かである。ドラッグはほどほどにたしなむが、いわゆるジャンキーではなく、自称「健康優良不良少年」。 ある夜、仲間とともに暴走していたところタカシと遭遇、その後ゲリラのケイと竜と出会い、アキラをめぐる騒動へと巻き込まれていく。鉄雄とは幼なじみだったが、超能力を手にし暴走した鉄雄の手により、仲間の山形が殺されてからは仇敵となる。アキラの力によってネオ東京壊滅と同時に一時姿を消すが、その後覚醒した鉄雄が力を発動した際、ケイらのもとに舞い戻った。 名前の由来は『鉄人28号』の主人公金田正太郎から。また、本編では名字でのみ呼ばれ、名前は一切登場しない。

島 鉄雄 (しま てつお)

金田と同じ職業訓練校に通う15歳。金田のバイクチームではスクラムハーフを務める。金田とは幼なじみで、気弱でいじめられがちな性格ゆえに、昔から金田に守られていた。そのため、金田には羨望と劣等感を抱いている。ある夜、チームのメンバーと暴走中タカシと接触し、超能力に目覚める。 大佐にラボに収容され過剰な投薬によって急成長、41号とナンバリングされる。暴走族クラウンを乗っ取り、それまでの鬱積を晴らすように他のチームを襲撃していく。止めに来た金田にもコンプレックスを爆発させ襲い掛かり、かつての仲間山形を殺害。その後アキラを封印から解くが、大佐の使用した衛星兵器SOLを受け右腕を失う。 アキラがネオ東京を壊滅させたのちは、アキラを大覚とした大東京帝国を結成。薬に頼らずに能力を制御可能になり、アキラに匹敵する力を得る。

山形 (やまがた)

金田と同じ職業訓練校に通う少年。金田のバイクチームの一員。超能力を得てクラウンのリーダーとなった鉄雄と対決し、殺害される。

甲斐 (かい)

金田と同じ職業訓練校に通う少年。金田のバイクチームの一員。ネオ東京壊滅後も生き延び、金田と再会。ジョーカーらと共に鉄雄たちに対抗していく。

ケイ

反政府ゲリラの少女。竜と共にタカシを追う途中金田と出会い、以降行動を共にすることになる。ネオ東京崩壊後はミヤコに超能力の触媒とされ、マサル、キヨコの力を借り、鉄雄と対決する。

(りゅう)

反政府ゲリラのリーダー。アーミーとの争いに巻き込まれた金田を仲間に引き入れた。ネオ東京崩壊後は酒に溺れていたが、アメリカの工作員ジョージ・山田と出会い、行動を共にする。

チヨコ

反政府ゲリラの女性。竜グループの武器調達係。ケイからは「おばさん」と呼ばれている。屈強な肉体で武器の扱いに長けており、並みの男では歯が立たないほど強い。ネオ東京崩壊後も生き延び、ケイと行動を共にする。

タカシ

ナンバーズの一員で、超能力者。老人のような顔をした痩せた少年。26号とも呼ばれる。ゲリラの手引きで脱走し、街を彷徨っていたところ鉄雄と接触し、鉄雄が超能力に目覚めるきっかけを作った。その後、根津に銃撃され死亡。その苦痛に共鳴したアキラはネオ東京を壊滅させてしまう。

マサル

ナンバーズの一員で、超能力者。老人のような顔をした小太りの少年。27号とも呼ばれる。足が不自由で、浮遊する椅子に乗って移動している。ネオ東京崩壊後はケイとチヨコに保護され、ミヤコのもとに身を寄せる。

キヨコ

ナンバーズの一員で、超能力者。老人のような顔をした寝たきりの少女。25号とも呼ばれる。予知能力を持ち、ラボ内のベビールームでアキラの覚醒とネオ東京の崩壊を予言した。ネオ東京崩壊後はマサルとともにケイに保護され、ミヤコのもとに身を寄せる。

根津 (ねづ)

表向きはミヤコ教を母体とした政党・講民党の議員だが、裏では竜ら反政府ゲリラのスポンサーとなっていた。ミヤコの命を受けて竜たちにアキラを捜索させており、一時はアキラを手中に収める。しかし、金田らに奪い返され、その後タカシを誤射。アキラ覚醒のきっかけを作ってしまう。

ミヤコ

アキラを崇拝する新興宗教ミヤコ教の教祖。正体は19号とナンバリングされた元「ナンバーズ」の一員で、超能力者。いち早く「アキラ」覚醒の危険を察知し、根津を使いアキラの奪取を指示していた。ネオ東京崩壊後は本殿に難民を受け入れ、大東京帝国と対立。また、鉄雄に対しては成長を促すことでアキラと共倒れさせるよう目論み、薬を使わず力をコントロールするよう助言を授けた。

大佐 (たいさ)

軍の実権を握る巨漢。プロジェクトの現責任者でもある。ラボを脱走したタカシを追う過程で、金田たちと対立する。アキラ脱走の際は、戒厳令発令の責任を追及され、またアキラの危険性を楽観視する議会に反発し、クーデターを起こす。ネオ東京崩壊後は、生き残ったラボの研究者と行動を共にし、事態の責任を取るべくアキラと鉄雄を止めようとする。

アキラ

「ナンバーズ」の一員で、超能力者の少年。28号とも呼ばれる。かつて東京を消滅させ、爆心地の地下深く絶対零度の中封印されていた。鉄雄に目覚めさせられ、タカシの死によって力を解放、ネオ東京をも消滅させる。その後、鉄雄に祭り上げられ大東京帝国の大覚となる。ほとんど言葉を発さず、感情を欠落しているようかのような状態にある。 また、最初の目覚めの時人格が吹き飛ばされてしまい、力のみの存在となってしまっている。

サカキ/モズ/ミキ

ミヤコによって育てられた超能力者の少女たち。脱走したアキラ奪還作戦の命を受け、金田や大佐と対決。ミキはアーミーに射殺され、残る二人もアキラの覚醒によって死亡したものと思われる。

カオリ

ネオ東京崩壊後、難民となっていた少女。隊長に連れられ、アキラの侍女となる。力の暴走に苦しむ鉄雄の唯一の心の支えでもある。

科学者 (かがくしゃ)

ラボの研究員。ネオ東京崩壊後は、煙草だけを生きがいに大佐と行動を共にしている。SOLやセキュリティボールを改造した。

隊長 (たいちょう)

鉄雄に次ぐ、大東京帝国の幹部。本名は不明。鉄雄に代わり武装した国民たちを指揮していたが、精神に変調をきたした鉄雄に疑念を抱き、独断でミヤコ教を襲撃する。

セキュリティボール

『AKIRA』に登場するロボット。戒厳令下のネオ東京の治安を守るため配備された無人ロボット。その見た目から「炭団」と呼ばれている。脚部に備えたローラーで移動し、非致死性の電流と消火能力を持つ。

ジョーカー

金田のチームと敵対する暴走族クラウンの元リーダー。顔に施したピエロのメイクやタイヤ痕、「通行止め」のペイントが特徴の巨漢。金田との抗争の後は少年院に収容されていたが、甲斐に助けられネオ東京崩壊後も生き延びた。その後は金田と再会し、鉄雄に対抗するために手を組む。 機械に強く、バイクはおろかアーミーのフライングプラットフォームまで修理して使用した。

ジョージ山田 (じょーじやまだ)

ネオ東京崩壊後、アキラ暗殺の任務を受けたアメリカの工作員。階級は中尉。後にアキラ暗殺部隊を率い、科学兵器を使用した。

春木屋のマスター (はるきやのますたー)

金田のバイクチームのたまり場となっているバー「春木屋」のマスター。スキンヘッドにちょび髭の男性。お尋ね者となった金田とケイを店に匿った。

集団・組織

大東京帝国 (だいとうきょうていこく)

『AKIRA』に登場する組織。ネオ東京崩壊後、鉄雄がアキラを大覚として頂点に置き作り上げた集団。難民への配給に薬物を混ぜており、中毒者を生み出すことで信奉者を増やしている。また、超能力の素養のあるものを集め、戦力としている。

アーミー

『AKIRA』に登場する軍隊。ネオ東京の治安守備隊。大佐を実質的指揮官とし、反政府ゲリラのテロ活動の増加にともない、勢力を拡大しつつある。

場所

ネオ東京 (ねおとうきょう)

『AKIRA』に登場する都市。1982年に新型爆弾より壊滅した東京に代わり、東京湾上の人工島に建設された日本の新首都。翌年に東京オリンピックを控えかつての繁栄をとりもどしつつあるが、同時に治安が悪化しており、反政府ゲリラによるテロが横行している。

その他キーワード

レーザー砲 (れーざーほう)

『AKIRA』に登場する兵器。アーミーに新たに配備された個人で携行可能なレーザー兵器。鉄雄との最終決戦の際、ジョーカーが隠し持っていたものを金田が使用した。

SOL (そる)

『AKIRA』に登場する兵器。軌道上から地上に向けたレーザー砲を備えた衛星兵器。アーミーの制御下にあり、アキラが脱走した際は大佐の指示により発射された。ネオ東京崩壊後は、科学者に改造され、携帯式発射装置兼レーザー照準器で発射可能となった。

プロジェクト

『AKIRA』に登場する用語。1960年代から進められた、超能力者の研究を指す。はじめは実験程度だったが、ある科学者の参加により飛躍的進歩を遂げた。脳に電気信号を繰り返し与え変異を作り出し、その因子を被験者の遺伝子に組み込む人体実験で作られたのがタカシ、マサル、キヨコ、アキラら20番台の子供たちである。 アキラが東京を消滅させた8年後プロジェクトは再開、41号の鉄雄が最新の被験体となる。

ジュブナイルA

『AKIRA』に登場する用語。米ソの先鋭科学者たちとチベットの密咒師による、アキラ現象の研究プロジェクトを指す。ソ連のドブロフスキー博士によって命名された。

書誌情報

AKIRA 6巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(1984-09-14発行、 978-4061037113)

第2巻

(1985-08-27発行、 978-4061037120)

第3巻

(1986-08-21発行、 978-4061037137)

第4巻

(1987-07-01発行、 978-4061037144)

第5巻

(1990-11-26発行、 978-4063131666)

第6巻

(1993-03-15発行、 978-4063193398)

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