概要・あらすじ
照倭(しょうわ)五十六年。日本に学生革命が勃発。日本の政治は学生たちに掌握された。そして十二年後、平星(へいせい)五年。革命の中心人物獅子神吼を頂点にした武闘派連合の支配する日本は、武術、暴力に秀でた者が幅を利かせる、弱肉強食の世界となっていた。そんな中、北海道・新札幌に二人の学生が降り立った。
学力テストの悪さで東京の高校を追い出され、ここ北海道の虎穴高校に転校するところであったが、二人は喧嘩による全国高校制覇という熱き野望を持っていた。一人は戦況分析に長けた立花紺碧、もう一人は小柄ながら驚異的な喧嘩の強さを誇る柳生ジュウベイ。二人の転入によって、虎穴高校に数々の騒乱が巻き起こる。
登場人物・キャラクター
柳生 ジュウベイ (やぎゅう じゅうべい)
学力テストの成績の悪さから東京の高校を追い出され、北海道・新札幌の虎穴高校に転校することに。ツンツンに立てた髪、長ランが特徴。背が低く、粗暴な言動と相まって、少年に見えるが、男の格好をした少女。幼馴染でトレーナー役の立花紺碧と行動を共にしている。喧嘩による全国高校制覇を夢に掲げているが、真の目標はその先にいる現日本国首相・獅子神吼打倒である。 男しか使えないはずの気を、女ながらに操ることができ、それ故、男子荒くれ共と対等に闘うことができる。しかし力のコントロールが未熟で、大技を使う度に激しく消耗(空腹になる)している。必殺技は雷拳、雷鳴拳、ダブル雷鳴拳など。
立花 紺碧 (たちばな こんぺき)
ジュウベイの幼馴染で、トレーナー役。学力テストの成績の悪さから東京の高校を追い出され、ジュウベイと共に虎穴高校に転校してくる。学生服の詰襟に仕込まれたヘッドホンとマイク、各種センサーが内蔵された眼鏡を駆使してジュウベイに的確なアドバイスを与える。普段は状況の分析役に徹して闘わないが、釧路魔幻高が襲撃してきたときには、忍者の使うクナイを武器にバトルに参加した。
真田 九郎 (さなだ くろう)
虎穴高校一年A組組長。武闘派連合東京本部より送り込まれた特待生。長髪にヘアバンドが特徴。冷静沈着、ナルシストタイプの少年。拳をポケットに突っ込んだ状態から繰り出される真田流居合拳の使い手。虎穴高校で悪目立ちするジュウベイに制裁を加える名目で闘いを挑み、虎穴高校一年生におけるライバル的存在となる。 また同時にジュウベイの成長を観察・分析している様子を見せることから、何か別の思惑も持っているようだ。
南風 七奈 (みなみかぜ なな)
虎穴高校女子部家政科一年。他人の気を回復させる能力「ヒーリング」の使い手。対決で気を消耗したジュウベイを、口移しによるヒーリングで回復させた。本来、手かざしでも可能なヒーリングをあえてこの方法でやったのは、ジュウベイが彼女の「好みのタイプ」であったから。 後にジュウベイが女である事が明らかになっても、彼女はその「事実」を見なかったことにしている。
赤沢 健 (あかざわ けん)
虎穴高校二年A組組長。タラコ唇、破れ学帽、マントに下駄履きというバンカラスタイルが特徴。必殺技は「気」の力で炎を操る火龍拳。転校早々騒ぎを起こしたジュウベイたちに制裁を加えるため、学生寮を襲撃する。
臼羅丘 雄大 (うすらおか ゆうだい)
虎穴高校二年生。学内で行われた選抜大会予選、決勝のバトルロイヤルでジュウベイと激突する。小柄でひ弱そうな見た目をしているが、頭部以外の全身を機械化、強化している。武器は背中から飛び出す幾本ものメカ触手と、その先の爪に仕込まれた様々な毒や、ナノマシン。他の強者のように「気」を使えない彼には、身体を改造することしか対抗する手段が無かった。 選抜大会予選後、釧路魔幻高を偵察に行った際、相手方の術に嵌り、命を落とす。
獅子神 吼 (ししがみ こう)
現日本国総理。10年前の照倭(しょうわ)五十六年。獅子神が帝都武闘大学三年の時、ジュウベイの父である、当時の総理柳生石集斎を襲撃し殺害。その後、自らを頂点に武闘派連合を組織し、「力」による支配体制を完成させる。空間を跳躍し、あらゆる間合いからの攻撃を可能にする「飛空武法」の使い手。
柳生 石集斎 (やぎゅう せきしゅうさい)
ジュウベイの父。獅子神が現れる前の日本国総理大臣。格闘流派「柳生の拳」の総帥でもあった。10年前、学生による日本制覇を目論む獅子神吼の襲撃を受け、殺害される。
柳生 連夜斎 (やぎゅう れんやさい)
柳生石集斎の兄で、ジュウベイの叔父。柳生の拳を破門され、獅子神吼を弟子に独自の拳の道を歩んでいた。しかし獅子神の裏切りに会い、拳の道を退く。その後は虎穴高校近くの荒れ寺の僧侶として過ごすが、そこで臼羅丘雄大を弔いに来たジュウベイと出会う。ジュウベイの中に柳生の拳の未来を見た彼は、以後彼女を見守り、訓練することになる。
臼羅丘 怜男 (うすらおか れお)
臼羅丘雄大の双子の弟で、青森白龍高に在籍。青森ねぷた祭内で行われた武闘大会でジュウベイと対戦した。兄雄大と同じく全身を機械化・強化しており、電気を使った攻撃を得意とする。
集団・組織
武闘派連合 (ぶとうはれんごう)
『学園帝国 俺はジュウベイ!』に登場する組織。学生による革命を成功させた後、獅子神吼によって組み立てられた支配体制。獅子神総理を頂点とし、武闘派六大学、連合に所属する全国高校の順にピラミッド状の組織構造になっている。「強い者が偉い」という極めて単純な論理が原動力となっており、そのため日本は、知力よりも、武術、暴力に秀でた者が幅を利かせる世界になっている。
釧路魔幻高 (くしろまげんこう)
『学園帝国 俺はジュウベイ!』に登場する組織。妖術の専門学校で、北海道では一、二を争う実力校。武闘派連合には属しておらず、「妖術武道」による全国制覇を目論む。手始めに虎穴高校に、臍奪王・黒の幻想曲(ファンタジア)と舌抜王・赤の練習曲(エチュード)送り込んできた。学園の主は「魔王の代理人」を名乗り、相手を石化させる魔術を得意とする純白の鎮魂歌(レクイエム)。 学園に集うのは、はるか昔柳生の一族に封じられた魔幻の者たちであり、ジュウベイが柳生の一族である事を知った彼らは、復讐を果たそうとする。
虎穴高校 (こけつこうこう)
北海道新札幌にある高校。男子部と女子部に分かれており、男子は虎柄の学生服、女子は道衣と袴を着用している。学力テストの結果の悪さから東京を追い出されたジュウベイと紺碧が転入した学校で、彼らがやって来たのは、全国の強者たちを集めて争われる選抜大会の校内予選が行われる直前だった。
その他キーワード
気 (き)
『学園帝国 俺はジュウベイ!』に登場する用語。人体の「八卦(はっけ)」と呼ばれるポイントから生み出される力。世に台頭する強者のほとんどがこの力を利用している。その形態は炎、電撃等様々であるが、力を極めると、空間を跳躍する域にまで達する。女性は年齢と共に気の力は失われていくが、ジュウベイは過去に受けたショックが元で、成長した現在も男勝りの気の力を発揮することができる。