Cue

Cue

やる気のまったくないマネージャーの平拓は、事務所内の最終処分場と化した新人アイドルグループ「COPPE」のマネージメントを任されることになった。問題ばかりのアイドルグループが、次第に結束して人気が高まり、武道館でのライブを成功させるまでの、決して順風満帆ではなかった軌跡を描く、アイドルグループ運営物語。「月刊サンデーGX」2015年8月号から2017年7月号にかけて掲載された作品。

正式名称
Cue
ふりがな
きゅー
作者
ジャンル
アイドル
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あらすじ

第1巻

芸能事務所「ジェネックエンタープライズ」でマネージャーを務めて2年、相変わらずやる気のない態度の平拓は、社長から、新人アイドルグループ「COPPE」の担当マネージャーを任されることになった。しかし、COPPEのメンバーは、それぞれがさまざまな問題を抱えた問題児ばかりだった。面倒を押しつけられた気分の平は、さらにCOPPEの新規加入メンバーを探すという大役まで任され、憂鬱な気分になる。そんなある日、帰路に就いた平は街中で一人の少女とすれ違い、心奪われる。彼女を追いかけた平は、不審者扱いを受けながらも必死にスカウトを試みるが、彼女の心を動かすことはできなかった。しかし翌日、昨日の少女の凛紅が、COPPEのレッスンを見学に来ていたことに気づいた平は、グループの目標が武道館に行くことであると凛紅に告げる。あまりにも現実味のない、突拍子もない発言にメンバー全員が笑う中、凜紅だけはその言葉に満面の笑みを浮かべ、グループに加入する決意を口にするのだった。

第2巻

なんとか一歩を踏み出したアイドルグループ「COPPE」に、新たな問題が浮上した。それは、最年少メンバーの苺田夢のぽっちゃり化だった。ダンス指導の振付師であるMAIKOからの指摘でその事実を知った平拓は、夢に自己管理をしっかりするように注意するが、その言葉も空しく夢の体重はさらに増加し、アイドルとは思えない体形になってしまう。平は問題を重くとらえるものの、意外にも同性のファンやぽっちゃり好きの男性から支持を集め始め、人気は急上昇する。そして、夢はこのままの体重を維持する方針で決まるが、今度はなぜかスレンダーに瘦せた夢は、さらに幅広いファンを獲得し、グループで一番の人気を集めることとなる。しかし、夢の表情は決して明るくはなかった。浮かない様子の夢に気づいた平は、夢がアイドルを続けることに迷っているのではないかと考え、社長に相談を持ち掛ける。そんな中、夢はアイドルではなく女優にチャレンジしたい気持ちを打ち明け、さらにCOPPE脱退を口にする。

第3巻

アイドルグループ「COPPE」はさまざまな問題を露呈させながらも、マネージャーの平拓は、数々の難問をクリアしてきた。そんなCOPPEも次第に成長を見せ始め、ライブ観覧者の増加、さらに固定のファンも獲得し、アイドルとして人気を集めるようになっていく。そんな中、センターに立つ凛紅はステージで笑顔になることはなく、ファンから「笑って」と呼び掛けられても、その要求に応じることはなかった。見かねたメンバーの満城瑠奈半田久路は、脇腹をくすぐったり、ほっぺをひっぱったりと、凜紅を笑顔にするためにさまざまな方法を試みる。しかし、無理やり笑顔を作らせようしたことに怒った凛紅は、ライブ中にもかかわらず、ステージをあとにして出て行ってしまう。久路がとっさにフォローに回ったが時すでに遅く、客席はドン引き状態になり、あわてて幕引きする事態になってしまう。その後もメンバー内のわだかまりが消えることはなく、ダンスレッスンもままならない状況に頭を痛めた平は、凜紅が笑わない理由について考え始める。

第4巻

アイドルの祭典「G・I・F」でライバル的な存在の「mew2」と対決し、名を挙げた「COPPE」は一気に注目度を高め、ついにメジャーデビューのチャンスが到来する。デビューに向けて平拓が用意した曲は、彼の最高傑作と自負するものとなった。しかし、メンバーにその曲を聞かせる当日、メジャーデビューのためにCOPPEに楽曲を提供したいと申し出る者が現れる。その人物は話題性としては十分すぎる力を持つ、カリスマバンド「アノマロカリス」の元メンバーの桑井順士郎だった。しかし、桑井と平はあまりにも深い因縁を持つ関係で、桑井は当時所属していた「ジェネックエンタープライズ」の社長に対しても、大きな裏切りを働いた相手だったのだ。歓喜するCOPPEメンバーだったが、状況はそう簡単ではなかった。大きく動揺しながらも、それでもあえて受け入れようとする社長の様子を見て、平は桑井が置いていったデモ曲を聞いてみる。そこに入っていたのは、平の武道館への思いを大きくゆさぶり起こすほどの、素晴らしい曲だった。この曲を聞いて、当時の情熱を再燃させた平は、過去の因縁などすっかり忘れてギターを手に取り、夢中になって桑井の曲に手を加え始める。そしてCOPPEは、メジャーデビューに向けて大きく前進する。

登場人物・キャラクター

平 拓 (たいら たく)

芸能事務所「ジェネックエンタープライズ」の社員の男性。マネージャーを始めて3年目で、年齢は29歳。社長からの指示を受け、問題児ばかりのアイドルグループ「COPPE」のマネージャーを担当することになった。それに伴い、グループの新メンバーを探すことになり、もともと苦手としていたスカウト活動をすることになった。その夜、東京タワー近くで偶然すれ違った凛紅に心を動かされ、赤羽橋の雑居ビルの屋上でスカウトした。不審者扱いされながらも、なんとか凛紅を加入させることに成功する。それからは苦戦しつつも、COPPEのマネージャーとして奔走し、当初の目標だった武道館に立つという夢を果たすことになる。実はもともと、カリスマバンド「アノマロカリス」のメンバーTAKUとして活動し、ギターを担当していた。作詞作曲も手掛けていたが、武道館ライブ直前に脱退したという過去を持つことを、誰にも言っていない。マネージャーとして働く一方で、COPPEのオリジナル曲を制作している。「リーマンT」の名で作詞、「やさぐれギタリスト」の名で作曲を行っているが、これも秘密にしている。

凛紅 (りんく)

赤羽橋の雑居ビルの屋上で平拓にスカウトされ、アイドルグループ「COPPE」のメンバーとなった少女。非常に歌がうまい。いつもクールな雰囲気を漂わせてステージ上でも笑わないため、「仏頂面ドル」と揶揄されつつも、ネット上で話題となり、人気を集めている。彼女が笑わない理由は、笑顔をモットーにしていた父親の瀬賀万寿太が、行方不明になったことが起因している。本名は「藤原凛紅」で、名字との語呂が悪いということから、芸名は名字なしの「凛紅」と名乗っている。担当カラーは赤色。

満城 瑠奈 (みつるぎ るな)

アイドルグループ「COPPE」のメンバーの少女。12月24日生まれで、年齢は17歳。モデルとして芸能活動をしていたが、自己中心的な考え方が災いし、もめ事が絶えないため、業界では問題児と認識されている。つねに自分が一番かわいいと思っており、少々気が強いところがあるが、グループのことを考えるなど、まじめな一面もある。のちにツイッターに上げた自撮り写真に、心霊が写っていることが話題となり、ネット上で時の人となる。担当カラーは青色。

森 ふあり (もり ふあり)

アイドルグループ「COPPE」のメンバーの少女。3月10日生まれで、年齢は19歳。元はグラビアアイドルとして芸能活動をしていたが、巨乳なのに色気がまったくなく、カメラマンに嫌われたことがきっかけで仕事がなくなり、現在に至っている。以前所属していた事務所の社長が、所属タレントに枕営業をさせていたことが明らかになり、訴訟沙汰になったことで、森ふありにも枕営業疑惑がかけられることになった。しかし実際は、女子校育ちでデートすらしたことがなく、枕営業などできるはずがないとステージで吐露。それがきっかけとなってネット上で話題となり、ネタにされたことで、ファンから本物の処女だと認定されるに至った。体が非常に固く、ダンスがあまり得意ではない。担当カラーは紫色。

半田 久路 (はんだ くろ)

アイドルグループ「COPPE」のメンバーの少女。12月14日生まれで、年齢は16歳。もともと、いろいろなアイドルのライブに顔を出すアイドルオタクで、ファンとして原宿のライブハウスに来ていたところをスカウトされて芸能界入りした。しかし、病弱で体力がないのが災いして、1年半経っても芽が出ないまま、最後の砦としてCOPPEに加入することになった。何事も一歩引いた視点から観察するおとなしいタイプで、熱くなることもなく落ち着いた性格をしている。担当カラーは黒色。

苺田 夢 (いちごだ ゆめ)

アイドルグループ「COPPE」のメンバーの少女。2月10日生まれで、年齢は14歳。小さい頃から子役として芸能活動をしていたため、業界に慣れすぎて言動が大人びてしまい、まるで中年のようなフレッシュ感のない、扱いづらい中学生になってしまった。子役時代のなごりで、なんでも逆さまに入れ替えて、ギョーカイ言葉を使う癖がある。COPPEで活動中、一時的に太ってしまい、アイドル活動に支障をきたすと思われたが、ぽっちゃり体形が幅広い層のファンから共感を得ることとなり、そのままの体形を維持する方針で決定した。しかし、その後すぐに瘦せて元の姿に戻ったことをきっかけに、苺田夢自身の女優になりたいという悩みが明確化し、COPPEの脱退を決意した。当時練習していた新曲「STEP OUT」のお披露目ライブが、彼女にとってのラストライブとなった。担当カラーは黄色。

田中川 瓜子 (たなかがわ うりこ)

アイドルグループ「COPPE」に、新メンバーとして加入することになった少女。年齢は14歳。歌もダンスも、なんでもこなすオールラウンダー。自分に自信があり過ぎるため、ちょっとしたミスやトラブルが起きるとそれに対応する能力がなく、自己嫌悪に陥る欠点がある。実は社長の姪で、小さい頃から芸能事務所に遊びに来ていたため、アイドルになりたいと考えるようになった。担当カラーはオレンジ色。

社長 (しゃちょう)

平拓の所属する芸能事務所「ジェネックエンタープライズ」の社長を務める男性。オールバックに顎ひげを蓄え、サングラスをかけ、その存在感はかなり威圧的。基本的に超ワンマンで、強引に事を進めようとするタイプだが、切れ者として業界内で知られている。マネージャーになって3年目を迎える平に、問題児ばかり集めたアイドルグループ「COPPE」の担当マネージャーを任せ、動向を見守っている。また、妹の子供である田中川瓜子をかわいがっており、COPPEに加入させた。

矢部 (やべ)

アイドルグループ「COPPE」が初ライブを迎えるにあたり、人手不足で臨時に雇われた男性。平拓から、ライブの物販用のロゴ入りタオルとロゴ入りTシャツの発注を頼まれていたが、タオルは粗品用のもの、Tシャツは海外に発注したため、船便でライブ当日に間に合わないという大惨事を引き起こした。ライブ直前になってまちがいに気づいたため、平に電話で謝罪し、ライブ当日に現場に来ないまま姿を消した。

5ベイカーズ (ふぁいぶべいかーず)

アイドルグループ「COPPE」の伝説的ファンと語られている五人の男女。COPPEの初ライブを観覧した五人の客で、緊張している彼女たちを暖かく応援した。手違いで納品された「コッペ」と書かれた粗品用タオルと、臨時で用意されたポラロイド写真を購入し、その後も彼女たちの活動を応援し続けた。のちに、大勢に増えたCOPPEのファンにもその存在は知られており、一目置かれている。

MAIKO (まいこ)

振付師の女性で、アイドルグループ「COPPE」の振り付けも担当している。COPPEメンバーの様子をよく見ているため、メンバーの変化にも敏感に察する。苺田夢の体形の変化にも誰よりも早く気づき、マネージャーの平拓に報告した。

天堂 (てんどう)

アイドルグループ「mew2」のプロデューサーを務めている男性。平拓とは高校時代のクラスメートだった。アイドルグループ「COPPE」とmew2の関係を通じて、平と久々の再会を果たした。高校時代、大事にしていたアダルトビデオを平に貸した際、運悪く先生に見つかって没収されたことを、今でも根に持っている。そのため何かと平を敵視しており、プロデュースするアイドルを競わせようとした。

チャトラ

アイドルグループ「mew2」のセンターを務める少女。同じくアイドルグループの「COPPE」のメンバーに対してかなり威圧的で、挑戦的な態度を取っていた。その後、テレビ番組「ふわっふわもちもちアイドル」に出演した際、COPPEと共演したことが原因でメンバーのうち四人が脱退、二人の新規加入メンバーと共に再出発することになる。以降はCOPPEを逆恨みし、これまで以上に敵視するようになる。しかし内心では、アイドルとしてのチャトラ自身の今後に悩みを抱えている。

岩瀬 すみか (いわせ すみか)

芸能事務所「ジェネックエンタープライズ」に所属している女優で、年齢は27歳。かつて平拓といっしょに仕事をしていた時、平に思いを寄せていた。当時、仕事で悩みを抱えていた岩瀬すみかは、雨を理由に平に自宅まで送ってもらい、一度だけ一線を越えてしまった。それ以降は平とは疎遠になっていたが、しばらくぶりに事務所で偶然再会したことをきっかけに、再び平に言い寄るようになる。実は大手IT企業の社長との結婚が決まっており、結婚前の漠然とした不安から、平に安らぎを求めようとしてのことだった。

藤原 亜砂美 (ふじわら あさみ)

凛紅の母親。娘の芸能界入りに際し、凜紅本人がやりたいならと背中を押した。しかし同時に、娘にアイドルが務まるのか心配もしていた。凛紅が笑顔にならない理由を説明するため、平拓のもとを訪れる。

瀬賀 万寿太 (せが ますた)

凛紅の父親で、藤原亜砂美の元夫。もともとはレストラン経営者で、商売もうまくいっており、最大で三店舗のレストランを所有していた。「笑っていれば、いつでもハッピー☆」がモットーで、次に大切なのは「信頼」というのが口癖だった。そのため、部下の料理人が独立する際には借金の保証人になり、友達の事業が傾いた時や、友達の友達がたい焼き屋を開く時にも保証人になった。その結果、全員に逃げられて巨額の借金を背負うことになり、家族に迷惑をかけないために籍を外して姿を消した。

ミケ

アイドルグループ「mew2」のメンバーの女性。テレビ番組「ふわっふわもちもちアイドル」で「COPPE」と共演した際、ショートコントを披露した。お色気系のネタで勝負に挑んだが、半田久路に敗北した。その後、プライベートで男性とホテルに行ったことが明らかになり、mew2からの脱退を余儀なくされた。

イリオモテ

アイドルグループ「mew2」のメンバーの女性。テレビ番組「ふわっふわもちもちアイドル」で「COPPE」と共演した際、ダンスを披露した。バック転で点数を稼ぎ、満城瑠奈に勝利した。その後、SNSの裏アカウントが明るみに出て、ファンに悪態をついたり未成年にもかかわらず飲酒をしたりしていることが発覚し、mew2からの脱退を余儀なくされた。

ソックス

アイドルグループ「mew2」のメンバーの女性。テレビ番組「ふわっふわもちもちアイドル」で「COPPE」と共演した際、大食いを披露した。メロンパンの大食いに挑戦したが、森ふありに敗北した。その後、受験を乗り越えて大学に合格。これでソックス自身のやりたいことの方向性が変化し、モチベーションの低下から、mew2を脱退することになった。

マスル

アイドルグループ「mew2」のメンバーの女性。テレビ番組「ふわっふわもちもちアイドル」で「COPPE」と共演した際、水上の不安定な足場の上で互いを水につき落とすゲーム「水ドボン」に挑戦し、凛紅に勝利した。その後、次々と脱退したメンバーを補うために加入した新規メンバーの二人と合わず、mew2を脱退することになった。

桑井 順士郎 (くわい じゅんしろう)

カリスマバンド「アノマロカリス」のメンバーの男性。平拓とは、高校時代からバンド仲間としていっしょに活動していた仲間だった。しかし、活動中も音楽性の違いによって衝突が絶えず、解散も近いとされていた際、平を残して事務所を移籍することが決まり、平だけが脱退する形となった。電撃移籍となったことで、もともと所属していた事務所「ジェネックエンタープライズ」の社長とは敵対関係となるが、のちにアイドルグループ「COPPE」のメジャーデビュー一曲目の楽曲を提供することで、謝罪したいという姿勢を見せる。

亀良 (かめら)

森ふありがグラビアアイドルだった時に、カメラマンを担当していた男性。当時、色気がないふありではいい写真が撮れないと、彼女を突き放した。別のグラビアアイドルの結婚式に出席した際にふありと再会。ふありに酒を飲ませて酔わせ、下着姿にして二人だけの写真撮影をしようと襲い掛かる。既婚者ではあるが、妻とは別居中。言動はかなりチャラく見えるが、実際にふありに手を出すまでは及んでおらず、根っからの悪人ではない。

集団・組織

mew2 (みゅうみゅう)

去年2月にデビューしたばかりの、大人気の五人組アイドルグループ。ハードな衣装に、猫耳を付けているのが特徴で、その耳は崇高なアイドル理念の証とされている。キレキレのダンスに、歌もパフォーマンスもハイレベルにこなす。チャトラ、ミケ、イリオモテ、ソックス、マスルの五人で編成されていたが、紆余曲折を経て、チャトラ以外の四人が脱退。新たに加入した新メンバー二人と、チャトラをメインに三人組となった。同じアイドルグループの「COPPE」を完全に見下しており、楽屋での態度はかなり横柄で威圧的。

COPPE (こっぺ)

芸能事務所内「ジェネックエンタープライズ」の問題児ばかりを集めた女性アイドルグループ。もともとは、満城瑠奈、森ふあり、半田久路、苺田夢の四人で結成された。その後、マネージャーの平拓のスカウトによって加わった凛紅がセンターとなり、夢の脱退を経て、新たに田中川瓜子が加入した。最初は歌もダンスも見るに耐えないレベルだったが、次第にファンが増え、武道館に立つという目標をみごと達成した。デビュー曲は「AUT0:00」。

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