概要・あらすじ
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊、通称・特刑。その隊員は冷酷に死刑を執行することから「人形」とも蔑称される。そんな特刑の第一部隊隊長、および47ある部隊の総隊長を務める御子柴笑太とその仲間たちは、日々、大量殺人犯やテロリストなどの対応に追われていた。様々な事件を追ううち、笑太は仲間や自身に暗い影を落とす過去の事件の真相や出生の秘密を知る。
登場人物・キャラクター
御子柴 笑太 (みこしば しょうた)
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)・第一部隊の隊長で、式部清寿、藤堂羽沙希を率いる容姿端麗な男性。全47部隊ある特刑を取り仕切る総隊長でもある。特刑養成所を首席で卒業後、当時、桜澤時生のみの部隊であった第一部隊に配属される。その能力は高く、配属以降の任務遂行率100%を誇っており、他隊員たちからの信頼と尊敬を集めている。 使用武器は拳銃のデザートイーグルだが、これは前第一部隊隊長であり特刑総隊長であった時生からもらったもの。特刑隊員には自らの心で考えて行動するよう求めている。幼い頃からの友人である蓮井珠緒と同居しているが、特刑であることは明かしていない。
式部 清寿 (しきぶ せいじゅ)
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)・第一部隊に所属する。同隊の副隊長を務める。ストレートロングの黒髪を持つ中性的な雰囲気の若い男性。御子柴笑太の部下であり、藤堂羽沙希の先輩。特刑養成所を首席で卒業後、笑太が隊長を務める第一部隊へ配属。 以降、笑太をバックアップし、共に任務にあたっている。使用武器は特殊なワイヤー。性格は冷静で優しく、常に微笑みを絶やさないが、仲間が害されると一変、冷酷に敵を抹殺する。14年前、目の前で両親を殺されており、その事件のトラウマから睡眠障害となっている。趣味は美術館巡り。幽霊やオカルトに関する話が苦手。
藤堂 羽沙希 (とうどう うさき)
眼鏡をかけた若い男性。凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)の養成所を首席で卒業後、御子柴笑太が隊長を務める第一部隊へ配属される。使用武器は日本刀。能力は高いが感情を表すことが少なく、規則や法律を遵守するため養成所時代は「機械」と揶揄されるほどだったが、第一部隊配属後、少しずつ変化していく。 就寝や起床時間が決まっているため、時間が来ると緊張する場面でなければ任務中でも眠くなる。双子の弟、伊緒李がいるが、意識がなく、数年にわたって入院中。両親は他界している。
蓮井 珠緒 (はすい たまお)
御子柴笑太の同居人の若い男性。笑太からはタマと呼ばれており、幼い頃から付き合いがある。笑太に対してはわがままで、無茶な要求で笑太をふりまわすことが多い。男性としてはかなり小柄で可愛い容姿をしている。名門・東都中学・高校・大学をストレートで卒業後、警視庁にトップの成績で入庁したエリート。警視として捜査一課管理官を務めているが、現場寄りの管理官として関係者の信頼を集めている。 己の見た目や信頼を上手く利用するしたたかさと、事件に臨機応変に対応できる高い能力を持つ。上昇志向が高いが、これは「特刑を潰す」という目的を持っているため。普段は明るい性格だが、特刑に関して語る時の表情は暗い。
桜澤 時生 (さくらざわ ときお)
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)の第一部隊初代隊長、および総隊長を務めた男性。特刑養成所を卒業したばかりの御子柴笑太が配属された第一部隊の上官。設立と同時に特刑に入隊した一期生で、着任以降、任務遂行率100%であったため伝説の人となっている。 遺伝疾患のため目の色が薄く、感情が高ぶると目が赤くなる。優しく人間味のある人物だが、人を遠ざけるところがあり、1人で任務にあたっていたが、笑太が配属されて以降変化。笑太に拳銃・デザートイーグルを与え、思想・信条などに大きな影響を残す。表向きは殉職したことになっているが、実際は特刑隊員や諜報課を含む20名近くの同胞を殺害したため、笑太に処刑されたとされる。
上條 璃宮 (かみじょう りく)
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)第三部隊隊長を務める若い男性。冷めた性格をしているが、自身の能力に高い自負を持っているため、もっとも能力が高いとされる第一部隊隊長・御子柴笑太にはなにかと反発する。右目にサイコメトリを思わせる特殊能力を持つ。 軍人だった父親から虹彩異色症を受け継いでおり、左右の目の色が違う。セクター1出身だが、事件のため家を飛び出しており、幼少時は児童福祉施設で育っている。
藍川 蘭美 (あいかわ らみ)
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)第二部隊隊長を務める若い女性。髪型は長髪の縦ロール、制服のスカートをミニにアレンジするなど、派手な外見をしている。性格は高飛車だが、正義感が強く素直な一面も。女性唯一の部隊長で、実力が高く、勘が鋭い。また、自身の目で全ての現場を確認しないと気が済まない。 「女だから」といった女性蔑視が大嫌いで、言われると逆上する。
胡雅 一翠 (こが いっすい)
clawnと呼ばれる公安機関に所属する若い男性。任務に際しては冷淡で秘密主義を貫き、他人を信頼するのは愚か者のすることとまで言い切るが、とある事件で御子柴笑太と知り合い、少しずつ変化する。色素が薄く、桜澤時生を思い起こさせる容姿をしている。
柏原 謙信 (かしわばら けんしん)
凶悪犯の逮捕と死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊(通称:特刑)諜報課第一班班長を務める若い男性。御子柴笑太率いる第一部隊が任務を遂行するために必要な情報を提供する。明るく賑やかな性格で、「仕事に命はかけない」と公言するが、手腕は一流で、仕事に対してプライドを持っている。
獅洞 実篤 (しどう さねあつ)
第三東都帝国で法務大臣を務める男性。死刑執行の承認を行う。本人不在裁判での判決で死刑執行を担うため、世間の非難の集まりやすい特別死刑執行刑務官部隊に関するマスコミ対応も行う。能力は高いが、ストレスが溜まって血糖値が下がると暴れて執務室をめちゃくちゃにする。御子柴笑太とは軽口をたたき合う仲。好物はチョコレート。
集団・組織
特別死刑執行刑務官部隊 (とくべつしけいしっこうけいむかんぶたい)
法務省管轄の刑務官からなる部隊。通称・特刑。凶悪犯に関して、場所を問わない死刑執行を可能としたRot法に乗っ取り、死刑囚の身柄確保と死刑の執行を担う。凶悪犯に特化した警察のような役割を持つため、武器の所持や自己、あるいは他者の生命の危機が及んだ場合の攻撃や殺人も許されている。3名からなる部隊が47あり、各部隊がセクターと呼ばれる7つの地域に配属されている。 各部隊、および個人は技術力・戦闘能力・任務遂行率によって1年ごとに査定、ランク付けが行われ、それによって部隊番号が入れ替わる。第一部隊がもっとも高いランクであり、第一部隊の隊長が総隊長を兼任する。任務中はドクロに羽根の記章のついた制帽と制服、「特刑」と大きく染め抜かれた赤い腕章を着用、人前に出る際には顔の下半分をマスクで隠す。 人道的・法的見地からRot法、および特刑に反対する者は多く、冷酷に死刑執行を執り行うことから心を持たない「人形」と蔑称されることも。また、結果的に取り扱う事件を奪うことになるため、警察とは仲が悪い。
clawn (くらうん)
法務省下に置かれる公安調査庁非公開の特殊諜報機関の通称。国家の安全を脅かす可能性を持つ危険因子やテロリスト達を対象に諜報活動を行う、第三東都帝国の公安機関。君主(ロード)以外の何物にも束縛されない自由な捜査権と発言権を持つ。過去は処刑権を持っていたが、桜澤時生が起こした事件のため、現在はその権利は剥奪されている。
場所
第三東都帝国 (だいさんとうとていこく)
特別死刑執行刑務官部隊が活躍する国。多国籍化による都市部のスラム化と凶悪犯罪の増加が問題となっている。特に凶悪犯への対応とその裁判に関しては深刻な状態であった。そのため、裁判の迅速化と刑務所の縮小を目的としたRot法を制定。実行部隊である特別死刑執行刑務官部隊が設立された。文化・文明は20世紀の日本に似る。 セクターと呼ばれる地区単位があり、皇帝が存在する。
その他キーワード
Rot法 (ろとほう)
第三東都帝国に存在する法律。凶悪犯罪の増加に対応すべく、裁判の迅速化および刑務所の縮小のために制定された。凶悪犯罪に関しては被疑者欠席のまま裁判を行い、判決を下すことができる。また、場所を問わない死刑執行を可能とする。