概要・あらすじ
14年前に辺境の惑星サシャで起こった宇宙船墜落事故。唯一の生存者である花七は、事故で消息を絶った銀河系一のトップモデルKANAの娘だった。身寄りのない彼女を引き取り、娘のように育てていた遠留に、いつしか惹かれていく花七。成長し母と同じモデルになった花七は、遠留と共に写真集の撮影のために惑星サシャへと降り立つが、激しい磁気嵐に覆われた惑星サシャで2人は衝撃の真実に直面するのだった。
登場人物・キャラクター
遠留 (とおる)
宇宙船の墜落事故で身寄りを失った花七を引き取って育てた男性。若く見えるが31歳で、高いところが苦手。8歳の時からKANAを慕っており、14歳の時にすべてが壊れてもいいという覚悟でKANAと結ばれる。歳と共にKANAそっくりに成長していく花七に惹かれる自分に気付き、罪悪感にさいなまれていく。
花七 (かな)
惑星サシャの墜落事故で行方不明となったKANAの娘で、小さくて痩せている少年のような少女。言葉づかいが乱暴で寝起きも悪いが、行動力だけは人一倍ある。遠留いわく「昔からモラルや常識がない」とのこと。育ての親である遠留を一途に想い続けており、自身と遠留が親子であることを知っても、彼に対する愛情を貫こうとする。
KANA (かな)
花七の母親で、銀河系で最も美しいと謳われたトップモデル。銀河系全体に数億人のファンがおり、地球のみならず辺境の惑星でもポスターが街を飾るほどだった。既婚だったが、25歳も年下の遠留との間に子供をもうけてしまったため、子離れ出来ない母親によって離婚させられ宇宙船に乗せられてしまう。その途中で墜落事故に遭遇し、そのまま消息を絶った。
ユーリ
花七の写真集を撮影するために同行したカメラマン。好奇心が旺盛な性格で、惑星サシャへの到着後に遭難した人間の生き残りを捜索しようと提案する。細かな気配りもでき、遠留に花七の気持ちを伝えるなど、何かと2人のことを気にかけている。のちに若ハゲとなる。
ドクター
遠留たちが乗った船に同行したドクター。医者として治療を施す以外にも、薬草の栽培や惑星サシャの磁場についての研究と考察も行い、墜落事故で遭難した人間と惑星サシャに生息するサルのDNAが一致することを発見する。惑星サシャに来たことで持病の神経痛が治った。
場所
惑星サシャ (わくせいさしゃ)
こと座の辺境惑星からさらに20光年も離れた位置にある惑星。磁気嵐がひどいこともあり、過去に数回宇宙船の墜落事故が起きている。大気中に含まれる浮遊物が多く、滞在した人間は極端に体毛が伸びたり、磁場の影響で細胞が若返るという不思議な惑星。
その他キーワード
アイス・ローズのネックレス (あいすろーずのねっくれす)
火星の宝石「アイス・ローズ」で作ったネックレス。中にある石が周囲に結晶を作り自らを保護しているが、結晶を壊すと宝石本体もボロボロになってしまう。元々はKANAが身に着けていたが、後に遠留から花七に送られた。
水の中の月 (みずのなかのつき)
火星で産出された宝石「アイス・ローズ」の地球における名称。夜、水面に映る月はまるでそこにあるかのように見えるが、掴もうとすると水面ごと壊れてしまうことが由来。誰にも触れることのできない水の中の月に触れてしまった罰として、戒めに遠留が心に刻んでいる言葉でもある。