MOONLIGHT MILE

堅い友情で結ばれた猿渡吾郎とロストマン(ジャック・F・ウッドブリッジ)が、各々の方法で月面への道筋を歩んで行くのが中核のストーリー。これに、彼らに関わる様々な人物とのエピソードを織り交ぜながら物語が進行していく。物語そのものはフィクションだが、現実の21世紀初頭の世界情勢が舞台の下敷きになっており、実際に起こり得そうな未来を描いているのが大きな特徴。太田垣康男の代表作であり、既刊14巻までが第一部、15巻以降は猿渡吾郎の息子、猿渡歩を主人公とした第二部となっている。

概要・あらすじ

猿渡吾郎ロストマン(ジャック・F・ウッドブリッジ)は、大学生にして世界各地の名峰を制覇した天才クライマーコンビ。地上最高峰のエベレストをも難なく制覇した彼らは、その頂上でISSと月を見上げ、次なる到達点を宇宙進出に定めた。折しもその日、核融合に有用なヘリウム3が月に大量に埋蔵していることが発表される。

日本に帰国した吾郎は、今後勃発するであろう大規模宇宙開発に、優秀なビルディング・スペシャリストが求められることを予測し、大手建設会社に就職。果たしてその予測は的中し、吾郎は会社の代表としてNASAに派遣され、次世代エネルギー開発計画「ネクサス計画」の宇宙飛行士として名を連ねることになる。

一方、アメリカ海軍に入隊し、エース・パイロットとして頭角を現していたロストマンは、中東での作戦で味方を守るために撃墜されるアクシデントはあったものの、卓越した操縦技術を買われてNASAに転属。スペースシャトルのパイロットとして、宇宙への第一歩を踏み出した。

登場人物・キャラクター

猿渡 吾郎 (さるわたり ごろう)

『MOONLIGHT MILE』の主人公のひとり。頑強で筋肉質な肉体と、重機を緻密に操作する器用さを併せ持ち、判断力も優れる男。豪快で情に厚く、持ち前のユーモアでどんな人間にも分け隔てなく接することから、多くの人に慕われる好青年でもある。ビルディング・スペシャリストとして宇宙に上がるという先見のもと、着実に成果を発揮し、ISSの作業員を経て、第一次月遠征隊のメンバーに選抜された。 第二部では月面に建造された月面都市ルナネクサスのSGポリス長官に就任する。髪はザンバラ、髭も適当。顔立ちもいわゆるイケメンではないが、女性にはとてもモテる男で、行く先々で様々な女性と交わっている。得意な宴会芸は「珍芸!!大車輪!!」。

ジャック・F・ウッドブリッジ

『MOONLIGHT MILE』のもう一人の主人公で猿渡吾郎の親友。表面的には飄々としつつ、実際には計算高いタイプだが、心の底には熱いものを秘めており、それに触れた人物はことごく彼に魅了される。猿渡吾郎と共にエベレストを制覇した後、アメリカ海軍の戦闘機隊に入隊して、天性の操縦技術を発揮。スペースシャトル操縦士として転属する直前の作戦で撃墜され生死不明となる。 が、アリ親子の助けを得て何とか生還し、正式なスペースシャトル操縦士として宇宙に上がった。転属後も、米軍の極秘計画に携わり続け、非公表ながらも人類初の宇宙戦闘経験者の一人となる。なお、猿渡吾郎とは対照的に精悍な面立ちのイケメンで、当然、女性にモテる。

猿渡 歩 (さるわたり あゆむ)

猿渡吾郎と池内理代子の息子で、月面で出産された人類初のムーンチャイルド。ムーンチャイルドとして、密かに様々な研究、観察を行われ、実質的には実験動物のような扱いを受けている。また、同じムーンチャイルドの子供たちからは人気だが、地球生まれの学友(上流階級)からは差別され、いじめの対象となっていた。 ある日、いじめの現場に偶然居合わせた月移民者解放戦線のメンバーが歩に興味を抱き、彼を誘拐する。そして、歩はこれまで知らなかった月面都市ルナシティの暗部を目にすることになるのだった。

池内 理代子 (いけうち りよこ)

猿渡吾郎が入社した建設会社・竹永建設の人事課長補佐。高い知性としたたかさを持つ、黒髪の眼鏡美人である。当初は愛人であった倉持をNASAへの派遣代表にする工作のため、密かに猿渡吾郎を探っていた。が、彼のひととなりと夢に次第に惹かれていき、最終的には恋人かつ最大の協力者となる。 また、猿渡吾郎との間に一児(猿渡歩)を身篭り、月面で出産。人類初のムーンチャイルドの母となった。

澤村 耕介 (さわむら こうすけ)

NASDA種子島宇宙センターで開発されていた、月面作業用ロボット“ムーンウォーカー”の開発部技師。ムーンウォーカーの水中歩行実験に操縦士として派遣されてきた猿渡吾郎と出会う。度重なる意見の食い違いによって、当初は猿渡吾郎に対して反感を募らせていたが、水中カメラマンの死亡事故を経て真意を悟り、以後、彼に心酔するようになった。 その後、自らも宇宙作業員としてISSに勤務することとなる。

マギー・ヒラオカ

人気情報バラエティ番組マギー’s SHOWの司会を務める日系人アイドルジャーナリスト。月面基地で長期取材を行ううちに猿渡吾郎と親交を深め、後に猿渡吾郎がSGポリス長官に就任した際には、彼の秘書を務めるほどの信頼を勝ち得ている。アイドルというだけあって、見た目は小柄・華奢で可愛らしいが、体力・精神力ともに優れ、頭の回転も速い。 月面基地爆破テロ事件に巻き込まれた際には、その能力を如何なく発揮し、事件解決の一助となった。

クリス・ジェファーソン

ネクサス計画開始後、初のビルディング・スペシャリストとして宇宙に上がり、ISSの増築工事に従事。極めて優秀な人材で、後には第一次月遠征隊のリーダーも務めた。姉が(一時的にだが)猿渡吾郎の恋人だったことを機に親交を深め、大切な記念ボールを預けるまでになる。 クリス・ジェファーソンのパワーローダー(宇宙活動用の乗り物)がデブリで操縦不能になった際には、猿渡吾郎が立案したプランで命拾いをした。また、猿渡吾郎の恋人である池内理代子の危機にはマギー・ヒラオカらとともに駆けつけるなど、吾郎のよき友・よき先輩として活躍。

ファトマ・トゥレ・グットウ

第二次月遠征隊に選抜されたアフリカ女性初の月到達者。スパイダーリフト(物資運搬帝)の墜落事故によって、徒歩で月面基地へ戻る途中、偶然“月の裏側”を見てしまった彼女は生命を狙われるという窮地に立たされた。が、そこに現れたロストマンによって生きるチャンスを与えられた彼女は、以後、ロストマンの右腕として活動することとなる。 ロストマンを溺愛しており、彼のため(と思えること)なら手段を選ばず実行する。

ブライアン・ジョンソン

海軍時代のロストマンの上官であり、後にアメリカ宇宙軍の指揮官となる。海軍時代は独りよがりな傾向の強いロストマンに対して反感を抱いていたが、彼が身を挺して部隊を守り、撃墜された頃から心情が変化。宇宙軍で共に任務に従事するようになってからは、全面的に彼を信頼するようになった。 軍指揮官として極めて高い能力を持ち、最終的には月面都市ルナネクサスの宇宙軍顧問として評議会メンバーの一員に名を連ねている。

リチャード・ゲンズブール

アメリカ大統領補佐官を経てISA(国際宇宙機構)初代長官に就任した野心家。驚くべき勢いで人心を掌握し、成り上がってくるロストマンを、自身の野望の障害として敵視している。そのため、度々ロストマンを失脚させようと試みるが、ことごとく失敗。最終的には彼を始末しようと偽装事故を策謀するが、これも見破られて、自身が完全に失脚することになる。

集団・組織

NASA (なさ)

『MOONLIGHT MILE』に登場する組織。実在するNASAとほぼ同義であるが、当然、関係する人物などはフィクションである。アメリカ合衆国における宇宙開発計画を担当する連邦機関であり、ネクサス計画推進の中心的組織として位置づけられている。

場所

ISS (あいえすえす)

『MOONLIGHT MILE』に登場する施設。International Space Stationの略。高度約400km上に浮かぶ有人施設で、宇宙空間における実験、研究、観測などを主な任務とする。実在する施設だが、作中では月面基地建設の拠点とするため、本来のISSとは用途や規模に違いがある。また老朽化やデブリ(宇宙ゴミ)の衝突による破損の問題から、作中ではISS IIと呼ばれる新ステーションの建造も行われた。

その他キーワード

Buildiing Specialist (びるでぃんぐ・すぺしゃりすと)

『MOONLIGHT MILE』に登場する職業。宇宙空間に構造物を造る建築作業の専門家を指す。宇宙飛行士としての強靭な身体能力と、建築作業に求められる重機操縦を含めた様々な技能を併せ持つ必要があり、職業適性のハードルは極めて高い。

ネクサス計画 (ねくさすけいかく)

『MOONLIGHT MILE』における次世代エネルギー計画。月面に15基の核融合炉を建設し、月に大量に埋蔵されているヘリウム3を使って発電、地球に送電するという内容。2009年に発表され、完了は2032年を予定していた。この計画で得られる電力量は、2009年時点の地球の電力消費量換算で1000年分と推定されている。

書誌情報

Moonlight mile 既刊23巻 〈ビッグコミックス BIG COMIC SUPERIOR〉 連載中

第1巻

(2001年7月発行、 978-4091862518)

第2巻

(2001年11月発行、 978-4091862525)

第3巻

(2002年5月発行、 978-4091862532)

第4巻

(2002年10月発行、 978-4091862549)

第5巻

(2002年12月発行、 978-4091862556)

第6巻

(2003年7月発行、 978-4091862563)

第7巻

(2004年1月発行、 978-4091862570)

第8巻

(2004年7月発行、 978-4091862587)

第9巻

(2005年1月発行、 978-4091862594)

第10巻

(2005年4月発行、 978-4091862600)

第11巻

(2006年1月発行、 978-4091800268)

第12巻

(2006年6月発行、 978-4091803252)

第13巻

(2006年10月発行、 978-4091806499)

第14巻

(2007年4月発行、 978-4091810779)

第15巻

(2007年9月発行、 978-4091814388)

第16巻

(2008年5月発行、 978-4091818645)

第17巻

(2008年11月発行、 978-4091822079)

第18巻

(2009年6月発行、 978-4091824929)

第19巻

(2009年12月発行、 978-4091827869)

第20巻 2人のロストマン

(2010年6月発行、 978-4091831668)

第21巻 ホワイト・アウト

(2010年12月発行、 978-4091835215)

第22巻 亡命

(2011年7月発行、 978-4091838551)

第23巻 ヒーローショー

(2012年2月発行、 978-4091842503)

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