トライガン・マキシマム

伝説のガンマン・ヴァッシュ・ザ・スタンピードが、宿敵であるミリオンズ・ナイブズを探すために砂漠だらけの惑星を放浪。途中で出会った無法者や異能の戦闘者たちと銃を交える、西部劇色の濃いストーリーマンガ。内藤泰弘の『トライガン』の続編であり完結編。第40回星雲賞コミック部門受賞(2009年)

正式名称
トライガン・マキシマム
ふりがな
とらいがん まきしまむ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
バトル
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あらすじ

HERO Retern

人類がノーマンズランドで活動してから最大の災厄とされる「フィフス・ムーン」から2年が経過した。その主犯と目されたヴァッシュ・ザ・スタンピードが、最重要参考人として高額の賞金がかけられ指名手配されていることは、ニコラス・D・ウルフウッドメリル・ストライフも知ることになる。一方、当のヴァッシュは自らの行動で、危うく未曽有(みぞう)の大災害が起きるところであったために表舞台から姿を消していた。ヴァッシュは辺境の地域で「エリクス」を名乗り、新たに知り合ったリィナやシェイルと共にトラブルを解決したり、賞金稼ぎのチンピラをあしらう日々を送っていた。そんな中、ヴァッシュの名前を騙(かた)る偽物のガンマンが現れ、ヴァッシュに不意打ちを仕掛けたうえでリィナを連れ去ってしまう。自立種ゆえの耐久力が幸いして軽症だったヴァッシュは、ゴタゴタの中で居場所を探り当てていたウルフウッドと再会すると、偽物のガンマンとその一味を倒してリィナを助ける。その後、ウルフウッドからミリオンズ・ナイブズが再び暗躍していることを聞いたヴァッシュは、リィナたちに別れを告げてウルフウッドと共に旅立つ。そして、ベルデルナリ保険協会の意を受けたキール・バルドウが引き起こした騒動や、ポロ家の装甲列車襲撃事件など、さまざまな事件を解決する中で、育ての親であるレム・セイブレムを思い出し、改めてナイブズが率いるGUNG-HO-GUNSと向き合う決意を固める。一方、ヴァッシュが復活を果たしたことは、GUNG-HO-GUNSの一人であるレオノフ・ザ・パペットマスターの耳にも入っていた。

サムライショウダウン

レオノフ・ザ・パペットマスターからヴァッシュ・ザ・スタンピードが健在であるとの報告を受けたレガート・ブルーサマーズは、GUNG-HO-GUNSのメンバーたちに対し、ヴァッシュに最高の苦しみを与えるように指示する。ヴァッシュの実力に興味を示した雷泥・ザ・ブレードは、彼に苦しみを与えることには大して興味がなかったものの、ヴァッシュと戦いたい一心から、メッセンジャーの役割を拝命しつつ真っ先にアジトを飛び出す。一方ヴァッシュは、ニコラス・D・ウルフウッドと共にナイブズの関与によって住民が失踪したといわれる街トニムタウンを訪れていた。街の中は噂(うわさ)どおり誰一人住民が残っておらず、中心にそびえ立つモニュメントには「ミリオンズ・ナイブズ」の名前が刻まれていた。そんな中、彼らの前に雷泥が現れ、ヴァッシュに果し合いを挑んでくる。戦うことに乗り気のないヴァッシュは、軽くあしらってその場を去ろうとするが、GUNG-HO-GUNSが近いうちにヴァッシュと縁の深かった里を襲撃することを聞かされる。するとヴァッシュは、自分が勝ったら雷泥が人斬りを廃業するという条件を付けつつ、彼との仕合に応じる意思を固める。仕合は雷泥が次元斬一刀流奥義・二重星雲を放ってヴァッシュを翻弄。そして、ヴァッシュの所持する銃の弾切れを確認すると、リロードする前に勝負をつけようとするが、銃の柄で刀を叩(たた)き落とすという奇策によって、敗北を喫する。ヴァッシュのとてつもない戦闘センスに雷泥は舌を巻きながらも、二度と剣を振るえなくなるという事実をどうしても認めることができず、次元斬一刀流闇奥義・彗星突を放とうとする。しかし、その動きを警戒したウルフウッドが雷泥を射殺したことで、最悪の事態は免れる。ヴァッシュは、自分を助けるためとはいえ、雷泥を殺害したウルフウッドを責めるが、逆に彼から、命を奪わないことに固執することは「甘さ」であると指摘されてしまう。

ホーム・スウィート・ホーム

ヴァッシュ・ザ・スタンピードニコラス・D・ウルフウッドは、雷泥・ザ・ブレードを打ち倒し、世話になった宿を経営するロブとホランドを助けるなど、行く先々で活躍を見せる。そして、「メルカバルドル大砂洋」と呼ばれる砂海をロープウェイで渡り、ヴァッシュがかつて身を寄せていた隠れ里へとたどり着く。ヴァッシュたちは、この隠れ里がすでにGUNG-HO-GUNSに襲撃されている可能性を考えていたが、特に目立った被害が見受けられなかったことに安堵(あんど)する。ヴァッシュは隠れ里の住民たちとの再会を喜ぶが、住民だと思われていた人々は、レオノフ・ザ・パペットマスターの手によって作られた人形だった。ヴァッシュは、隠れ里の人々の住民の身体を人形に作り替えたとうそぶくレオノフに対して静かな怒りを見せ、共にいたウルフウッドすら戦慄させる。ウルフウッドは、パニッシャーを取り出して問答無用で排除しようとするが、そこにGUNG-HO-GUNSのもう一人の刺客であるグレイ・ザ・ナインライヴズが襲来する。

NO ESCAPE

ニコラス・D・ウルフウッドの前に現れたグレイ・ザ・ナインライヴズは、執拗(しつよう)に「裏切者」とののしりながら、巨体を活かした殴打を繰り出してウルフウッドを仕留めようとする。攻撃を回避するうちにヴァッシュ・ザ・スタンピードとはぐれたウルフウッドは、臆することなくパニッシャーによる射撃で応戦する。だが、グレイはいくら弾丸を撃ち込んでも怯(ひる)むことなく、右腕に仕込まれたグレネードランチャーを駆使して、ウルフウッドの骨や内臓に損傷が及ぶほどの重傷を負わせる。しかし行動不能に陥れるには至らず、シャッターを利用した罠(わな)にはまり、パニッシャーによる集中射撃で全身がちぎれ飛ぶ。勝利を確信したウルフウッドはその場から去ろうとするが、グレイはちぎれ飛んだ腕を遠隔操作したり、肋骨(ろっこつ)を全身から露出させてまでせまってくるなど、なおも抵抗する素振りを見せる。見た目だけではなく能力も人間離れしたグレイに戦慄を覚えたウルフウッドは、相打ち覚悟で懐に飛び込み、うなじにパニッシャーの銃口を密着させ、接射することでバラバラに粉砕しようとする。すると、グレイの身体だと思われていた肉塊の中から、9体の人間が姿を現す。グレイの正体が複数人で操縦することで稼働する肉人形であることを知ったウルフウッドは、戦いでのダメージが蓄積していたにもかかわらず7体を仕留めるが、体力の限界を迎えて気を失う。残った二人は、グレイの身体を構成していた刃を用いてウルフウッドにトドメを刺そうとするが、そこに現れたメリル・ストライフミリィ・トンプソンの介入により失敗に終わる。

エミリオ・ザ・プレイヤー

ニコラス・D・ウルフウッドがグレイ・ザ・ナインライヴズと戦っていた頃、レオノフ・ザ・パペットマスターは、隠れ里のあちこちに配置していた人形を自在にあやつり、ヴァッシュ・ザ・スタンピードを着実に追い詰めていく。ヴァッシュは、かつて交流した隠れ里の仲間たちの姿をした人形たちが銃を向けてくるという事態に、心身共に追い詰められていく。そのうえ、人形に交えて本物の生き残りを配置し、それを傷つけさせるという策略にはまり、疲弊していく。レオノフは、守るべき人を傷つけてしまったヴァッシュを嘲笑(あざわら)うが、彼から「エミリオ」という名前を聞かされと、明らかな動揺を見せる。さらに、かつてエミリオにゆかりのあった人々の名前を聞かされることで精神がさらに不安定になり、搦(から)め手をあきらめて残された人形を総動員して、一気にヴァッシュを仕留めようとする。ヴァッシュは、レオノフの技巧を賞賛するも、すべての人形がレオノフの両手足の指と糸でつながっているという点に着目し、街中に配置されていたスプリンクラーを作動させることで雨を降らして糸に凄(すさ)まじい重みを加える。指に重傷を負ったことで戦闘不能に陥ったレオノフはヴァッシュに見逃されるも、自ら封印したはずの記憶のフラッシュバックに翻弄され、錯乱する。

ファミリーズ

ヴァッシュ・ザ・スタンピードニコラス・D・ウルフウッドは、レオノフ・ザ・パペットマスターとグレイ・ザ・ナインライヴズを撃破するも、戦いの傷がもとで倒れてしまう。目を覚ました二人は、医務室で治療されていたことに気づき、隠れ里の住民たちが全滅していたわけではないことを知って安堵する。戦いの中で、ヴァッシュへの興味を深めたウルフウッドは、彼の過去を知るミス・ルイーダから、100年以上の時を経ても姿が変わらないなど、明らかに人間ではないが、身体に刻まれている傷跡から不死身というわけではないことや、つねに人を守るために自らを投げ打っているヴァッシュが信頼に値するということを聞き、今しばらく彼を見定める決意を固める。そんな中、GUNG-HO-GUNSに家族を殺された住民が投獄されているグレイの暗殺を目論み、そのどさくさに紛れてグレイの残党が脱走を果たす。そして、せめて一矢報いようとヴァッシュに襲い掛かるが、ウルフウッドに阻止される。事なきを得たヴァッシュはウルフウッドを通信施設に招き、周囲の宙域にノーマンズランドを救援するための部隊の派遣を希望する通信を送り続けていることを明かす。さらにタイミングのいいことに、施設内の受信室に詰めていた職員から、数年以内に艦隊を派遣するという内容の応答があったことが報告される。ヴァッシュとウルフウッド、隠れ里の住民たちは、やがて滅びゆく運命が好転する可能性を実感し、次々に歓喜の声をあげる。だが、それを知ったミリオンズ・ナイブズは、通信用の中継衛星を破壊し、いずれ来るであろう地球からの艦隊を自ら全滅させ、ノーマンズランドの人間たちに絶望を味わわせることを目論む。

ブルージィ・キラー・ホーン

雷泥・ザ・ブレード、レオノフ・ザ・パペットマスター、グレイ・ザ・ナインライヴズの敗北を悟ったレガート・ブルーサマーズは、これをミリオンズ・ナイブズに伝える。さらにニコラス・D・ウルフウッドが、戦いの中でヴァッシュに手を貸したことから裏切者の可能性があることを危惧するが、ナイブズはヴァッシュの危険を排除することもウルフウッドの任務の一つであり、むしろ忠実に役割を果たしていると言い切り、レガートを絶句させる。それでもレガートは、ヴァッシュに最高の苦しみを与えるという目的を変えることはなく、腕が立ちながらも翻意を見せるミッドバレイ・ザ・ホーンフリークと、彼と親しいホッパード・ザ・ガントレットを派遣する。一方、当のヴァッシュとウルフウッドは、周囲を危険に晒(さら)さないようにと考え、隠れ里の住人やメリル・ストライフミリィ・トンプソンに挨拶をすることなく、ナイブズの行方を追う旅を再開する。だが、ロクな移動手段を持たないヴァッシュたちはたちまち疲弊してしまい、砂上車を調達したメリルたちに即座に追いつかれたほか、置いていったお仕置きと称して干からびかけた彼らを無視する素振りを見せられる。結局放っておけずにヴァッシュたちを救助するが、彼らの気遣いを感じつつも、自分たちの知らないところで事態が動くことをよしとせず、彼を追い続ける決意を固める。一方、端末用の虫を使って偵察を続けていたザジ・ザ・ビーストは、メリルとミリィがヴァッシュの弱点になりえるかもしれないと考え、彼女たちを利用する策を思いつく。

魔窟

メリル・ストライフミリィ・トンプソンの存在に目をつけたザジ・ザ・ビーストは、配下の砂蟲を利用してメリルを捕らえると、ヴァッシュ・ザ・スタンピードニコラス・D・ウルフウッドに対して、龍津城砦まで助けに来るようにうながす。ヴァッシュは、ウルフウッドやミリィと共に龍津城砦に赴くが、そこにホッパード・ザ・ガントレットとミッドバレイ・ザ・ホーンフリークが立ちふさがる。ミッドバレイは、ホッパードがヴァッシュに並ならぬ恨みを抱いていることを知っており、親しい彼に恨みを晴らさせるために、ウルフウッドの足止めを引き受ける。ウルフウッドはミッドバレイの音波攻撃を受けて身動きを封じられるが、渾身の力で立ち上がり、ホッパードの攻撃からミリィを守り抜く。ヴァッシュもまた、目的のためなら自分以外の人間を巻き込もうとするホッパードに敵意を抱き、真っ向から向き合うが、ホッパードがヴァッシュを憎む理由が、かつて彼とミリオンズ・ナイブズの接触によって引き起こされたロスト・ジュライが原因であることを知り、強い衝撃を受ける。一方、目を覚ましたメリルは、ザジが話すヴァッシュの人間像が、自分が思い描いていたものとまったく違うことに興味を示し、ザジもそんなメリルの反応に免じてヴァッシュの詳細を語り始める。その中で、彼の正体が人間ではなく自立種であること、そして彼の宿敵と思われていたナイブズが、ヴァッシュの実の兄であることを明かす。

ブレイクアウト

メリルとの話を終えたザジ・ザ・ビーストは、ホッパード・ガントレットとミッドバレイ・ザ・ホーンフリークの戦いの様子を見るために羽蟲の力を使おうとする。だが、当の本人たちからは不安要素として警戒されており、戦いから一時的に撤退していた彼らから不意打ちを受けて再起不能となるほどの重傷を負う。ザジを始末した二人は、再びヴァッシュ・ザ・スタンピードニコラス・D・ウルフウッドを倒すために二手に分かれる。ホッパードはメリルが捕らわれている檻(おり)の前にヴァッシュをおびき寄せ、天井から強襲して押しつぶそうとする。だが、かつてミリオンズ・ナイブズとドクターによって付与されたプラントの能力が、ヴァッシュの生命の危機に反応して自動的に目覚め、左手が異形に変化してホッパードを押し返す。それと同時にヴァッシュとホッパード本人の脳裏に、ロスト・ジュライの記憶を強制的に映し出してしまう。白昼夢の中でナイブズから挑発されたヴァッシュは、半ば彼に強制されるように左腕に宿った力を解放し、小規模ながらロスト・ジュライと同質の破壊を引き起こし、ホッパードに大きな痛手を与える。一方のウルフウッドは、音波攻撃で視力を失ったままミッドバレイと対峙(たいじ)するが、彼の息遣いを耳で感知することで攻撃を予測し、視力のハンデがあるにもかかわらず互角の戦いを繰り広げる。焦れたミッドバレイは、仕掛けていた爆弾を起爆させてウルフウッドとミリィを葬ろうとするが、ヴァッシュの引き起こした破壊がガレキを消滅させたことで失敗に終わる。仕掛けた罠をすべて無力化されたミッドバレイは、ウルフウッドに全力で立ち向かおうとするが、そこにレガート・ブルーサマーズが現れる。

せめて歩ませよ我が贖いの道を

龍津城砦に現れたレガート・ブルーサマーズは、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがA・ARMの力をさらに解放したことで目的が果たされたと考え、彼に電子糸を撃ち込んで身動きを封じると、ニコラス・D・ウルフウッドと相対するミッドバレイ・ザ・ホーンフリークと、ヴァッシュから逃れてきたホッパード・ガントレットに撤退を呼び掛ける。二人は、レガートにも不信感を抱いており、ザジ・ザ・ビーストにしたのと同じように、不意を打ってレガートを始末しようとする。だが、これを見越していたレガートは、二人にも電子糸を撃ち込んで肉体を操作し、同士討ちをするよう仕向ける。ホッパードの攻撃を先に攻撃を受けたミッドバレイは即死し、ホッパードも電子糸の影響で身動きが取れなくなる。さらに、新しい肉体を得たザジが姿を現し、レガートの援護をするかのようにホッパードとウルフウッドに銃を向ける。ザジとウルフウッドは互いにけん制し合い、ホッパードは電子糸で身動きが取れず、レガートもヴァッシュとホッパードを抑えるだけで精いっぱいで、いずれもそれ以上の動きをできずにいた。そこに自由になったメリル・ストライフが現れ、レガートを銃撃する。その結果、レガートのヴァッシュに対する拘束が緩み、彼のA・ARMが再び暴走を始める。そして力が臨界に達して、その場にいる全員をまとめて消滅させかけるが、空から巨大な釘弾が降り注ぎ、ヴァッシュのA・ARMの暴走はかろうじて抑えられる。ウルフウッドはその攻撃から、GUNG-HO-GUS最強の使い手であるエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルが動き出したことを悟る。エレンディラはヴァッシュたちの前に姿を現すと、これから先は死ぬより辛い事態が待ち構えていることを示唆し、レガートを強引に連れて戦場を離脱する。ヴァッシュは、それでも自分の信じる道を進むことを決意し、ウルフウッドと共に命を落としたホッパードとミッドバレイを弔う。

色なき相貌

GUNG-HO-GUNSのアジトに帰還したレガート・ブルーサマーズは、エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルと嫌味の応酬を繰り返しながらも、それぞれの役割を果たすために動き出す。ヴァッシュ・ザ・スタンピードに最高の苦しみを与えることにこだわり続けるレガートは、立て続けにGUN-HO-GUNSのメンバーを失ったことを受け、協力関係にあるミカエルの眼から迎え入れた「ダブルファング」と「トリップ・オブ・デス」の派遣を決める。エレンディラは、プラントを修復するためにアジトを離れたミリオンズ・ナイブズとビル・コンラッドの護衛として同行していた。ナイブズとコンラッドはある都市で弱り切ったプラントを発見し、その容態を見ようとするが、そこに現れた科学者がプラントのラスト・ランを引き起こす。ナイブズは仲間を虐殺された怒りから、A・ARMを解放して周囲の人間を皆殺しにするが、黒髪化が発生したことで、コンラッドが自身を欺いて自分の力が有限であるのを隠していたことを知る。コンラッドは、ナイブズに対して凶行をあきらめ、自分たちと共に生きていくように呼び掛ける。だが、ヴァッシュにも黒髪化の処置が施されていることを知ったナイブズは、怒りのままにコンラッドを殺害してしまう。一方のヴァッシュは、ニコラス・D・ウルフウッドメリル・ストライフミリィ・トンプソンと共に、ナイブズを追いつつ道中の町を巡って人助けをしていた。だが、その中でロスト・ジュライの被害者に雇われたジャスティンの一味に襲われたり、A・ARMを持つことが知られて迫害されたりと苦難が続き、そのたびに精神に疲弊を蓄積させていく。そんな中、ナイブズが衝動のままに力を振るった都市を訪れたヴァッシュは、コンラッドの遺体とラスト・ランによって搾取されつくしたプラントの無残な姿を見て、「テスラ」と呟く。

星を往く種子 莢の中の世界

今から150年ほど前。地球からの移民船団の中で、コールドスリープと自動航行の管理をしていたレム・セイブレムは、あるプラントの近くで眠っている双子の男児を発見する。レムは彼らにそれぞれナイブズ、ヴァッシュと名づけて、彼らを育て始める。人間とは異なる生態の二人は、わずか1年で10代前半の少年ほどにまで成長し、レムを母親と慕いながらなに不自由なく生活していた。知識欲が旺盛なヴァッシュたちは、やがて現在の自分たちを取り巻く環境から、自分たちが人間でないことを知る。そして、すべての人間がレムのように優しい人ではないと知りつつも、いつか人間たちと共に生活をするのだから、受け入れてもらうための努力をしなければならないと意見を一致させていた。そんな中、ヴァッシュとナイブズは、医療ブロックの探索中に医療ブロックで、テスラと呼ばれる少女に関するデータを発見する。二人は自分と同じくらいの年代らしき外見のテスラに興味を持ち、好奇心からそのデータを閲覧する。そこにはテスラが、ヴァッシュやナイブズより前に誕生した自立種であったことや、それを発見した研究者たちに人体実験同然の扱いを受け、ついには全身が腫瘍に蝕(むしば)まれて死亡したことがつづられていた。ナイブズはあまりのショックにその場で気を失い、ヴァッシュも人間への不信を強めてレムに当たり散らす。だが、彼女の身体を張った説得に止められ、ヴァッシュはレムという一人の人間を信じることを決意する。一方、人間との共存はもはや不可能とあきらめていたナイブズは、テスラに関する記憶がなくなったように装いながら、秘密裏に船団の航行プログラムを書き換えて、どこかの惑星に墜落させてしまおうと目論む。これに気づいたレムは、自らの命を犠牲にして航行プログラムの修正を試み、船団の何割かを近くに存在するノーマンズランドへ不時着させることに成功する。そして現在。偶然ながら、当時の事件を同時に思い出していた。そのうえでナイブズは、黒髪化の影響を受けずにA・ARMの力を行使するために、ある都市に保管されていたプラントと融合を果たす。

孤独の王

プラントとの融合でさらに大きな力を得たミリオンズ・ナイブズは、生身で宇宙空間に進出するほどにまで肉体とA・ARMが強化され、その力をもって直接通信衛星を破壊してノーマンズランドの通信網に致命的な打撃を与える。一方、ヴァッシュ・ザ・スタンピードは、立て続けに人間から迫害されたことで精神的に疲弊していたが、旅の途中で処刑されかけていた悪党くずれとハンコックを助けて、彼らの優しさに触れたことで気力を取り戻し、ついにナイブズのアジトへとたどり着く。待ち構えていたエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルは、ヴァッシュのみをナイブズのもとに通し、同行していたニコラス・D・ウルフウッドを足止めしようとするが、そこにウルフウッドと同じくミカエルの眼に所属するマスター・チャペルリヴィオ・ザ・ダブルファングが現れる。ウルフウッドは、かつて殺害したはずのマスターが生きていることや、かつて仲のよかったリヴィオが別人のような冷たい目をしていることに衝撃を受けつつも、ヴァッシュが気になることから深追いはせず、彼らの離脱を見届ける。ナイブズはフィフス・ムーンから、およそ1年ぶりの再会を果たしたヴァッシュに対して、黒髪化のリスクを説くと共に、人間を見限って自分の味方に付くよう呼びかける。ヴァッシュがそれに応じるはずもなく、ナイブズはやむを得ずにヴァッシュの身体を吸収し、自分の中で生き続けるよう望む。しかし融合を試みたナイブズは、逆にヴァッシュの意思に飲み込まれそうになる。レガート・ブルーサマーズの介入によって事なきを得たナイブズは、自らの考えの浅さを恥じつつ、レガートにヴァッシュの拘束を命じてその場を去る。

silent luin

ミリオンズ・ナイブズヴァッシュ・ザ・スタンピードとの融合に失敗するも、当初の予定どおり箱舟を起動させ、進行先に存在するプラントを残らず吸い上げることで、ノーマンズランドに暮らす人類を滅亡させるべく動き出す。箱舟の進行を邪魔するものは、滞在しているリヴィオ・ザ・ダブルファングエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルに残らず殲滅(せんめつ)され、プラントを失った地域は例外なく全滅の憂き目に遭う。さらに、そのことが世界中に知れ渡ると、人々は次にプラントを奪われる地域は自分のところかもしれないという恐怖に駆られて、各地で暴動が発生し、治安は一気に悪化する。それから7か月後。メリル・ストライフミリィ・トンプソンは、ミス・ルイーダやブラドと合流を果たす。かつてルイーダは、ヴァッシュと共にナイブズと戦っていたことや人類の滅亡を防ぐため、箱舟に対する軍備を進めていたことを語る。そしてブラドが率いる部隊が、隠れ里の目前にせまった箱舟に対して攻撃を仕掛ける。エレンディラは自ら出撃することなく、箱舟に備えられている火器で反撃しようと目論むが、内部から爆発が発生したことで彼らの真意に気づく。ブラドたちの攻撃は陽動で、本命はヴァッシュの解放だったのである。その役割を担ったニコラス・D・ウルフウッドは、彼を電子糸で拘束しているレガート・ブルーサマーズに銃を向ける。レガートはウルフウッドも電子糸であやつって自らを銃撃させようとするが、ヴァッシュはそのスキを突いて電子糸から自由になる。ウルフウッドは、ヴァッシュを連れて部屋から逃げ出し、途中でリヴィオやマスター・チャペルの妨害に遭いながらも箱舟からの脱出に成功し、約半年ぶりに隠れ里へと帰還する。

それぞれの道

ヴァッシュ・ザ・スタンピードが脱出を果たしてから、箱舟の動きは明らかに鈍りつつあった。ヴァッシュはその原因を、融合したプラントたちの意思が個体によって異なり、それに揺さぶられているためではないかと推測する。さらにブラドから、数年以内と予測されていた地球からの救援艦隊が、計算より早く到着する可能性が高いことが明かされるが、これは逆にナイブズやGUNG-HO-GUNSがどのような強硬手段に出るかわからないということでもあり、さらにナイブズであれば、地球からの救援艦隊の所有するプラントに干渉することも可能ではないかという意見が挙げられ、ノーマンズランドの人類には未(いま)だ予断の許さぬ状況が続いていることが浮き彫りになる。ニコラス・D・ウルフウッドは、マスター・チャペルとの決着とリヴィオ・ザ・ダブルファングの説得を改めて決意し、心の中でヴァッシュに別れを告げると、ブランドン・マーロンの手により修復されたハンドガンとパニッシャーを携えて、二人とその仲間たちが狙っているというカルカサスへと向かう。現地に着いたウルフウッドは、我先にと街から逃げ出そうとしている人たちを見て、箱舟による悪影響が全世界に広がっていることを実感する。そして、かつて身を寄せていた孤児院の子供から、マスターやリヴィオのほか、彼らに雇われたスーパーアルティメットタイガーファミリーに孤児院を占拠され、逃げて来たことを聞かされると、真っ向から乗り込んで容易くスーパーアルティメットタイガーファミリーを完膚なきまでに追いつめる。やがて最後の一人が孤児院を破壊しようとミサイルを発射すると、ウルフウッドはそれをも撃ち落とそうとするが、先にリヴィオの手により阻止される。こうして3度目の再会を迎えたウルフウッドとリヴィオは、互いの故郷で最後の死闘に臨む。

伏魔

ニコラス・D・ウルフウッドは、かつて孤児院で懇意にしていた頃は気弱で人を殺すなんて考えられなかったリヴィオ・ザ・ダブルファングが、なぜミカエルの眼に身を寄せ、暗殺者として活動することになったのかを尋ねる。リヴィオは両親からの虐待がもとで、世界のどこにも自分の居場所はないと考えており、ある事件がもとで孤児院を抜け出してからは、チンピラに痛めつけられるなど悲惨な日々を過ごしていた。しかし、ある時を境に「ラズロ」という人物から筆談の形で干渉を受けるようになり、やがて自らを痛めつけていたチンピラがラズロに殺害される。リヴィオはラズロに導かれるままにミカエルの眼に身を寄せて、ラズロの正体を知ると、彼と共にマスター・チャペルのもとで鍛錬を重ね、冷徹な殺し屋へと成長したのだという。これを聞いたウルフウッドは、それでもリヴィオをミカエルの眼から解放したいと考え、戦う力を奪うためにパニッシャーを構える。リヴィオは圧倒的な身体能力と、彼の持つ二重牙(ダブルファング)の性能をフルに発揮し、ウルフウッドを追い詰めていく。だが、ウルフウッドの虚を突いた戦法にスキを作られ、気絶させられる。さらにウルフウッドは、マスターにも狙いを定めて仕留めようとするが、その時倒れていたリヴィオに別の人格があらわれ、両腕と背部に備えられた義手に合わせて3丁ものパニッシャーを携える。この人格こそが、リヴィオの代わりに殺戮(さつりく)を働いていたラズロであり、GUNG-HO-GUNS屈指の凶手として恐れられた「トリップ・オブ・デス」こと、ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスだったのである。

WOLFWOOD

マスター・チャペルは、リヴィオ・ザ・ダブルファングの身体を乗っ取る形で現れたラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスと共に、ニコラス・D・ウルフウッドを執拗に追い詰め、ウルフウッドが倒れたあかつきにはメラニィと孤児院の子供たちを皆殺しにするとうそぶく。ウルフウッドはこの危機を前に為(な)す術もなく絶望しかけるが、そこにヴァッシュ・ザ・スタンピードが現れる。ウルフウッドは、自らの為すべきことを後回しにしてでも救援に現れたヴァッシュに対し、口先でこそ呆(あき)れた素振りを見せるものの、勝機が見えたことで希望を取り戻す。ヴァッシュは3丁のパニッシャーによるラズロの猛攻をいともたやすく凌(しの)ぎ、彼を驚かせる。ウルフウッドも強化薬を同時に2本服用し、常軌を逸した再生力をもってマスターを追い詰め、ついに撃破する。ラズロは心の拠(よ)り所であったマスターを失ったことで悲しみに震えるも、その一方で強者と戦えることに強い喜びを覚え、ヴァッシュとウルフウッドをまとめて殲滅しようと目論む。ヴァッシュは二人で手早くラズロを倒し、ウルフウッドと教会の子供たちを再会させようと考えるが、これに反してウルフウッドは、ラズロを一人で下してリヴィオを取り戻す意思を示す。ヴァッシュは当初この提案に猛反対するが、ウルフウッドが強化薬の副作用によって助かる見込みがなくなったことに気づくと、過去の因縁の決着をつけることに同意する。ラズロはヴァッシュが離脱したことに失望し、憂さ晴らしもかねてウルフウッドを一気に殲滅しようとする。だが、ウルフウッドのパニッシャーに頼らない戦法に逆に圧倒され、さらに身動きが取れなくなったところに鉄拳による追撃を受けたことで心が折れ、リヴィオに肉体の主導権を奪われる。

永別

ニコラス・D・ウルフウッドマスター・チャペルを倒したうえに、リヴィオ・ザ・ダブルファングの意識をラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスから取り戻し、過去の因縁に決着をつける。だが、強化薬を同時に2本服用した副作用から、肉体が限界を迎えて瀕死の状態に陥ってしまう。ヴァッシュ・ザ・スタンピードは、彼が死を迎える前に一目でも保母や孤児院の子供たちと会わせたいと願うが、ウルフウッドは子供たちの数倍以上の速さで成長した自分が、今更顔を合わせて名乗ることなどできないとこれを断る。一方、先んじてウルフウッドの事情を知っていた保母は、子供たちに対して真実を伝えると、彼らと共に紙吹雪(ふぶき)を盛大に撒いて、帰って来たことへの歓迎と命を救ってくれたことへの感謝を伝える。死の間際で彼らの思いに触れたウルフウッドは、ヴァッシュとベンチで座り合ったまま最高の幸福の中で息を引き取る。それから1日後、目を覚ましたリヴィオは、ヴァッシュからウルフウッドの弔いを済ませたことを伝えられたうえで、さまざまな料理を振る舞われる。リヴィオはウルフウッドを失った悲しみを感じつつも、自らを気遣ってくれていることに気づき、二人で食事を勢いのままに続け、戦いの中で消耗した体力を回復させる。その夜リヴィオは、近くで立て続けに雷が何かに弾(はじ)かれているような音が響いていることに気づき、その正体がヴァッシュがA・ARMの力を使ってミリオンズ・ナイブズによる箱舟からプラントの吸い上げを防ぐ際に生じた音であることを知る。これを見たリヴィオは、ウルフウッドへの恩を返すため、ヴァッシュと共に戦うことを誓う。 

ZERO HOUR

リヴィオ・ザ・ダブルファングを仲間に加えたヴァッシュ・ザ・スタンピードは、合流したブラドに今までの出来事を報告し、ミリオンズ・ナイブズの手によって再び速度を上げ始めた箱舟の対処を本格化させる。一方のザジ・ザ・ビーストは、砂蟲の総意をまとめて、ナイブズ以外のプラントと共存するため、ナイブズと人類を抹殺するという結論を導き出す。そして、ひそかに合成していた毒物を散布し、ナイブズやレガート・ブルーサマーズエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルを始末しようとする。だが、彼女の目論見はすでに知られており、トドメの一撃としてさらなる量の毒素を合成しようとしていたところで、レガートの放った電子糸で身動きが取れなくなり、さらに合成した毒素をナイブズに奪われる。そしてレガートの攻撃により、憑依(ひょうい)した肉体に致命傷を負ったことで自らの敗北を悟ると、砂蟲に寄生された男を媒介にして、ヴァッシュにGUNG-HO-GUNSの証であるチップの欠片を譲り渡す。そんな中、箱舟の脅威にさらされていたノーマンズランドに、地球から派遣されたピーセズ・オブ・アースが接近中であることが判明する。艦長は、ノーマンズランドの人々に支援を惜しまないことを確約し、住人たちにわずかながら希望を与える。一方、ナイブズは予定どおり、箱舟と自らの力を使ってピーセズ・オブ・アースを全滅させることでノーマンズランドの住民にさらなる絶望を与えようと目論み、その最大の障害になるであろうヴァッシュとの対決への備えを見せる。

兇人再生

疲弊と重傷からある程度の回復を果たし、裏切ったザジ・ザ・ビーストを再起不能に陥れたレガート・ブルーサマーズは、自らとエレンディラ・ザ・クリムゾンネイル以外のGUNG-HO-GUNSのメンバーが全滅したことを知ると、ヴァッシュ・ザ・スタンピードに以前渡した「装置」を介して宣戦布告を行う。ヴァッシュはレガートの嬉しそうな声を耳にすると、ミリオンズ・ナイブズの計画を止めるにあたって彼との対決は避けられないことを確信するが、対象を自分に絞ったことで周囲に危害が加えられることはなくなるだろうと、前向きな考えを示す。そんな中、破滅を目前に控えていたノーマンズランドのすべての通信機に、ピーセズ・オブ・ジ・アースから連絡が入る。彼らは救援のために地球から訪れ、すぐにでもノーマンズランドに上陸できるという。箱舟への対策を協議するために集まっていた各都市の責任者たちは、彼らを受け入れる姿勢を示すが、そのためにも箱舟を止めなければならないという結論に達する。協議に参加していたミス・ルイーダは、この事態を収拾できる存在はヴァッシュ以外にいないと考え、彼が動き出すまで箱舟に対する攻撃をいっさい控えるように求め、ログラム市長はそれを承諾する。だが、その場に同席していたマルゲステル将軍は、脅威を前に手をこまねいているわけにはいかないと言って拒絶し、ルイーダたちの前から姿を消してしまう。

侵蝕の雷

ピーセズ・オブ・ジ・アースの艦隊はノーマンズランドや、その上空で構えるミリオンズ・ナイブズが目視できる地点にたどり着く。艦隊の参謀を務めるクロニカは、ナイブズはもはや重戦闘艦10隻以上もの戦闘能力を有していると分析し、艦長に先制攻撃の許可を求める。クロニカは迷うことなくナイブズの排除を決定し、トールハンマーの発射準備に踏み切るが、ナイブズは空間跳躍を行うことで、難なくトールハンマーを回避して見せる。クロニカは、いかにプラントであっても単体での空間跳躍など不可能だと思っていたことを浅慮だと悔いるが、回避のしかたがあまりにも完璧だったことから、ナイブズがトールハンマーの発射を最初から予測していたのではないかと推測する。艦長はネットワークへのハッキングを疑うが、その時、クロニカと共に戦闘行動を起こそうとしていたドミナに異変が起こる。ナイブズは、あらゆるレーダーでも感知できないほどの微細な触手を伸ばしてドミナの思考と融合を果たしており、トールハンマーの発射を見切ったうえで彼女をコントロールし、ドミナの操縦する戦闘艦「アブレイブスⅡ」にピーセズ・オブ・アースの旗艦である「ナムドライフ」を攻撃させようとする。だが、すんでのところでナイブズとドミナをつなぐ線が一発の銃弾に切断されたことで、アブレイブスⅡはトールハンマーを発射することなく機能を停止する。銃弾を放ったのは、ナイブズの融合に備えてA・ARMの力をあらかじめ弾丸の形にして携帯していたヴァッシュ・ザ・スタンピードだった。クロニカは、ドミナの意識がナイブズとほぼ融合していることから助かる見込みがないことを悲しむが、彼女のためにもナイブズを倒すことを誓う。

The Gunslinger

ドミナに対するミリオンズ・ナイブズの支配を断ち切ったヴァッシュ・ザ・スタンピードは、ナイブズの前に姿を現す。ナイブズはここに至って、計画の最大の障害であり、融合も果たせなくなったヴァッシュをやむなく殺めることを決意する。数多のプラントと融合し、無制限にA・ARMの力を行使できるナイブズと、黒髪化が進行しつつあったヴァッシュとでは、あまりに激しい戦力差があるように思われたが、ヴァッシュはA・ARMの力を銃弾に変形させて撃ち出す戦法で、100年以上研鑽(けんさん)し続けたガンマンとしての腕をいかんなく発揮し、ナイブズが行動する前にA・ARMの力同士をぶつけて相殺する戦法を取ることで食い下がる。ナイブズは、ヴァッシュが決着を急ごうとしないことを訝(いぶか)しみ、やがて融合したプラントたちを説得し、ナイブズから分離させようとしていることに気づく。ナイブズはプラントをさんざん虐げてきた人間が、今更共存を求めるなど虫のいい話だと切って捨てる。さらにマルゲステル将軍の部隊が、ヴァッシュや融合したプラントごとナイブズを攻撃すると、そちらの対応を強いられたヴァッシュは劣勢に陥る。ナイブズは守ろうとしているはずの人間に、窮地に追い込まれるヴァッシュを憐れむが、メリル・ストライフミリィ・トンプソンリヴィオ・ザ・ダブルファングが部隊の妨害を行い、攻撃を中断させる。ヴァッシュの負担は軽減されたものの、大幅に体力が消耗してしまう。さらにドミナの仇(あだ)を討とうとするクロニカと、万全の状態を取り戻したレガート・ブルーサマーズが現れ、戦局はさらに混迷を極める。

魔人戦線

エレンディラ・ザ・クリムゾンネイルミリオンズ・ナイブズの手により、自らを含めたすべてに終わりをもたらしてくれることを強く期待していた。さらに箱舟が、ノーマンズランドの人類を滅亡させるためのプラント奪取が失敗した場合は、ナイブズに代わって自らの手ですべてを破壊することを目論み、マルゲステル将軍の率いる部隊を全滅させると、彼らが軍事基地に保有していた核兵器を奪取するが、そこにリヴィオ・ザ・ダブルファングが立ちふさがる。エレンディラは無数の釘弾を撃ち込んで、リヴィオの胴体から足に掛けて粉々に破壊するが、ミカエルの眼の特異体質によって肉体の再生を果たしながら食い下がる。リヴィオは、エレンディラの圧倒的な実力に大苦戦を強いられるが、その時意識の奥底で眠っていたラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスが目を覚ます。ラズロは、主人格であるリヴィオを見下しながらも放っておけなかったことや、リヴィオが自らの身体を鍛え上げたことでラズロも強くなっていたため、ひそかに恩を感じていたことを明かすと、リヴィオに代わって肉体の主導権を得てエレンディラに猛攻を仕掛ける。エレンディラはこれすらも凌ぎ、さらに圧倒的な力を発揮してラズロをも圧倒する。二人は最後の手段として、ラズロが敵の動きを見切ることに集中し、その情報をリアルタイムで脳内に伝達されたリヴィオが攻撃と防御に専念する。この作戦は功を奏し、互角の勝負を繰り広げるまでに至る。エレンディラはこれ以上の長期戦は危険だと考えて早期決着を狙い、全力で釘弾による攻撃を仕掛ける。その結果、リヴィオの身体は粉々に破壊されるが、ニコラス・D・ウルフウッドが残していた強化薬を先んじて服用したことでその破壊を上回る再生を果たし、釘弾の攻撃にエレンディラを巻き込んで致命的な一撃を加える。こうして、リヴィオとラズロはエレンディラを打倒するが、自らも戦闘不能に陥り、ヴァッシュに後事を託してしばしの眠りにつく。

DOEBLE DUEL

ミリオンズ・ナイブズに食い下がるべく奮闘するヴァッシュ・ザ・スタンピードの前に現れたレガート・ブルーサマーズは、ヴァッシュが自身の最期を彩る戦いの相手にふさわしい存在であると改めて実感する。そのうえ、ヴァッシュと自分自身のあいだに「自分の存在に価値を見ていない」という共通点があることに歓喜し、レガートへの忠誠より自らの願いを優先させ、クロニカへの対応を優先させたナイブズをサポートするべくヴァッシュに戦いを挑む。レガートは、不断の努力によって培った電子糸を用いた数々の攻撃を仕掛ける。だが、電子糸と相性の悪いヴァッシュに対して一方的な勝利を収めることをよしとせず、先んじて手渡していた装置によって自らの技を弱めるよう細工を仕掛ける。この影響から、勝負は互角になるどころかヴァッシュが圧倒的優位に立つが、レガートはそれでもかまわず、ついには常人なら死んでもおかしくない傷を負いながらも、無理やり自分の肉体を電子糸で操作することで戦いを続ける。そして、ヴァッシュにも相応のダメージを与えるものの、戦いの末に力尽きてその場に倒れ伏す。この結果はレガートの予測どおりで、実際はヴァッシュの命を奪うことではなく、彼の心を折ることを目論んでいた。その手段として、エレンディラとの死闘により倒れ伏したリヴィオ・ザ・ダブルファングの身体に傀儡(かいらい)用の電子糸をセットし、ヴァッシュが自分自身を殺さない限り、確実にリヴィオが死ぬように仕向ける。A・ARMの力をほぼ使い果たしたことでこれを止める術を失ったヴァッシュは、リヴィオを守るためにレガートの頭部を撃ち抜くことしかできず、150年以上にわたって彼が守り続けた不殺の誓いを破る結果となってしまう。

未来への切符

ヴァッシュ・ザ・スタンピードは、レガート・ブルーサマーズの命を投げ打った姦計(かんけい)によって精神に打撃を受けながらも、今いる世界を終わらせたくないという信念を胸に、ミリオンズ・ナイブズと最後の決着をつけるべく立ち上がる。さらにメリル・ストライフミリィ・トンプソンも、危険を承知でノーマンズランドに降り立ち、協力を求めてきたパンセと共にプラントとの対話を果たすべく奔走する。一方、クロニカが操縦していたピーセズ・オブ・ジ・アースの旗艦「ナムドライフ」が、戦闘不能に陥ったことを察した艦長は、これ以上の犠牲を防ぐための方策として、地球連邦政府主導のもとで数多のプラントと融合したナイブズに艦隊すべての火力をもって総攻撃を仕掛ける「オペレーションD」を実行に移す。メリルはナイブズのみならず、ノーマンズランドの住民の10%が犠牲になることをパンセから聞き、対話を前に壊滅的な被害が及ぶことを懸念する。しかしナイブズは、数多のプラントと融合によって得た途方もない力を精密にあやつってオペレーションDによる最大攻撃すら描き消し、ピーセズ・オブ・ジ・アースを打つ手なしの状態へ追い込む。皮肉にもこれで助かったメリルたちは、ヴァッシュの提案から、彼の身体そのものをケーブルとして利用することで、プラントへの呼びかけを続ける。これに伴いノーマンズランドの住民たちの心が一つになり、やがてプラントとの共存を望む意思がはっきりと示される。搾取されることを厭う一心でナイブズと一体化していたプラントたちは、ここに至ってもう一度、人間と長いあいだ寄り添ったヴァッシュを信じる決意を固め、ナイブズから分離する。この事態を察したナイブズは、無限の力を行使できなくなったばかりかプラントからも見放されたことを理解すると、せめてヴァッシュの手で自らの存在を終わらせてもらうことを望む。そのため、ヴァッシュに迎撃をされる前提で捨て身の特攻を行うが、レム・セイブレムから「ナイブズを一人にしないで欲しい」と言い残されていたヴァッシュは、これに対してナイブズの想定とかけ離れた行動に出る。

終わらない唄

ヴァッシュ・ザ・スタンピードは、ミリオンズ・ナイブズと死闘を通じて相互理解を果たしたものの、その際に深手を負ってしまう。ナイブズは力の大半を注いでヴァッシュの傷をふさぎ、メサ・プロブ教会で暮らしているカリートとカリートの父親に対してヴァッシュをかくまうよう頼み込むと、その対価として最後に残された力でリンゴの樹を作り出す。カリートはナイブズに対して、ヴァッシュときちんと話すよう勧めるが、ナイブズの身体はすでに限界を迎えており、カリートの呼びかけに応えられぬまま消滅する。それから半年後、地球軍治安部隊は箱舟の件で指名手配されているヴァッシュとナイブズが、メサ・プロブ教会にいることをつかみ、カリートの父親に対して即刻の引き渡しを要求する。カリートたちは隠された抜け道からヴァッシュを逃がそうとするが、その最中に治安部隊が突入の姿勢を見せる。巻き込むことをよしとしないヴァッシュは、自ら姿を現して治安部隊を引き付けようとするが、そこにヴァッシュの賞金を狙う賞金稼ぎの一団が乱入を果たす。賞金稼ぎたちは地球人が気に入らず、彼らがヴァッシュを捕らえることで賞金が得られない事態に陥ることを防ぐべく、治安部隊に攻撃を仕掛ける。治安部隊と賞金稼ぎによる唐突な取り合いに呆然(ぼうぜん)とするヴァッシュだったが、そこにメリル・ストライフミリィ・トンプソンが現れる。ヴァッシュは彼女たちと協力して事態を収拾しようと考えるが、メリルはこれに対して、現在は「ノーマンズランド・ブロードキャスト」と呼ばれる放送会社のアナウンサーとして勤務していることを語る。そして、凶悪犯とも英雄とも呼ばれるヴァッシュの素顔が、人間そのものであることをアピールするべく、彼と、それを追う勢力が面白おかしく騒ぎ立てる様子を赤裸々にレポートする。こうして、滅亡の危機を乗り越えたノーマンズランドに新たな伝説が誕生するも、その当事者たちは相も変わらず賑(にぎ)やかな日々を過ごしていた。

登場人物・キャラクター

ヴァッシュ・ザ・スタンピード

真紅のロングコートに逆立てた金髪が目を引く長身のガンマン。長年の鍛錬により人間離れした銃の腕前を持つ。人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)の異名を持ち、訪れた地を荒野に変える危険人物として600億$$(ダブドル)の賞金が懸けられていたが、人類初の人間災害に認定されて賞金は取り消された。 軽薄とも取れるほどに明るい性格をした極端な平和主義者で、たとえ悪であろうとも人命を尊重。それ故に戦いと生命の狭間で苦悩することも多い。過酷な道を進んできた代償として全身には無数の傷が刻まれており、左腕は隠し銃を備えた義手である。その正体はプラントより生まれた存在で、人類の根絶を企てる双子の兄・ミリオンズ・ナイブズを止めるため、各地を放浪している。

ニコラス・D・ウルフウッド

巨大な十字架型の銃火器パニッシャーを背負った巡回牧師。関西弁を操る飄々とした明るい男だが、命のやり取りという面においては一定のシビアさを持つ。その正体はGUNG-HO-GUNSの一員で、ミリオンズ・ナイブズの指示により、ヴァッシュに接近していた。だが、ともに行動するうちに互いの背を預けられるほどの関係となり、やがてミリオンズ・ナイブズに反逆する。 その後、同じ孤児院で育ったGUNG-HO-GUNSの一員・リヴィオ・ザ・ダブルファングのもうひとつの人格であるラズロとの戦いで代謝機能を促進させる薬を限界まで使用。リヴィオを正気に戻すことには成功するものの、肉体が限界を迎え、ヴァッシュの見守る前で息を引き取った。

メリル・ストライフ

ベルナルデリ保険協会に所属するショートカットで健康的な女性外交員。人類初の局地災害指定として認定されたヴァッシュ・ザ・スタンピードが引き起こす災害を査定するために派遣された。各地を転々とするヴァッシュを追っているうちに、ミリオンズ・ナイブズとの戦いに巻き込まれる。 マントの下に大量の小型拳銃デリンジャーを装備しており、有事の時にはそれを抜いて対処する。

ミリィ・トンプソン

ベルナルデリ保険協会の外交員で、メリル・ストライフの後輩。メリルとともにヴァッシュ・ザ・スタンピードを追う。大家族の末っ子として育ち、おっとりとした心優しい性格をしている。十字型の弾丸を射出する大型の連発式スタンガンを軽々と操るほどの巨躯で、理不尽な相手に立ち向かう勇敢な心も持つ。

ミリオンズ・ナイブズ

ヴァッシュ・ザ・スタンピードの双子の兄を名乗る青年。プラントから生まれた自立種。かつては気さくで好奇心旺盛な少年だったが、レム・セイブレムが所属する艦隊がテスラに過酷な人体実験を施したことを知るとこれまでの態度を一変させ、やがて宇宙船の乗組員の抹殺を企てるようになる。その手段として艦隊をどこかの星に墜落させて全滅させようとするが、レムの抵抗によってノーマンズランドに落着するよう仕向けられたため、失敗に終わる。その後はヴァッシュの身を案じ、力を合わせて残された人類を根絶させようと説得したものの、生命を尊ぶレムの意志を尊重するヴァッシュから拒絶される。A・ARMの力を開放させることで、腕を刃の形に変化させることが可能でヴァッシュと決別した時に、その力で彼の左腕を切り落とす。ヴァッシュに危害を加えようとしたレガート・ブルーサマーズを半身不随にしたり、自分のみならずヴァッシュに黒髪化を仕向けたと思われたビル・コンラッドを怒りのままに殺害するなど、彼のことをミリオンズ・ナイブズ自身よりも大切に思っており、150年経(た)った現在でも仲間に引き入れたいと考えている。またレムに対しても、本人が死亡したこともあって表向きは過去の人だと認識するものの、その内心では育ててくれた恩と、ヴァッシュが自分と対立する原因となったことに対する憤りの両方を今でも抱いてる。その反面、GUNG-HO-GUNSのことは道具としか思っておらず、いずれ彼らもほかの人類同様に抹殺するつもりでいる。

レム・セイブレム

地球からの移民船団を運行していた女性クルー。船内のプラントから生まれたヴァッシュ・ザ・スタンピードとミリオンズ・ナイブズを保護して育てた、ふたりにとっての母親のような存在。生命の尊さを知る芯の強い女性で、ヴァッシュの過剰な博愛主義的な性格は、彼女の影響が大きい。 ミリオンズ・ナイブズが意図的に仕組んだ移民船の墜落により生命を落とした。

レガート・ブルーサマーズ

どこか影のある暗い眼をした色男で、見えないほど細い糸を打ち込んで電気信号を流すことで広範囲、多数の人間の肉体を限界を超えて自在に操る術を会得している。ミリオンズ・ナイブズの腹心であり彼に心酔。異能の戦闘集団GUNG-HO-GUNSのメンバーたちを指揮してヴァッシュ・ザ・スタンピードの抹殺を企てたが、勝手に行動した咎によりミリオンズ・ナイブズの手によって肉体を潰され不随となった。 だが、その後もミリオンズ・ナイブズへの忠誠心は揺るぐことなく、装飾の施された棺桶に入ってGUNG-HO-GUNSのメンバーたちに指示を出し続けた。棺桶内での鍛錬の末に自由な身体を取り戻し、ヴァッシュに戦いを挑むが敗北。 リヴィオ・ザ・ダブルファングを人質に取り、その心に咎を追わせるためにヴァッシュの手で自らを射殺させた。

ザジ・ザ・ビースト

GUNG-HO-GUNSの一人で、まだあどけない顔をした少年。無数の羽蟲をあやつり、その目が得た情報を共有する能力を持つ。主に情報の伝達や監視を担当しており、表立って戦うことは少ない。しかし猛毒への耐性や、ほかの生物に悪影響を及ぼす蟲を展開するなど、搦め手に関してはGUNG-HO-GUNSでも屈指の巧者と認められている。その正体は砂漠に住む砂蟲の意識の集合体で、一度は監視を拒むミッドバレイ・ザ・ホーンフリークとホッパード・ザ・ガントレットの連携攻撃を受けて肉体を切り裂かれたが、別の少女の身体を端末にして生き延びた。GUNG-HO-GUNSに所属していたのは、砂蟲が人間とプラントのどちらと共存すべきかを確かめるためで、結果的に人類とミリオンズ・ナイブズを排除して、彼以外のプラントと共存することを決める。その取っ掛かりとして、ナイブズの肉体に「支配蟲」と呼ばれる虫を寄生させて乗っ取ろうとするが、企てを先に見抜いていたレガート・ブルーサマーズの電子糸で肉体を操作される。破壊されたことで再び端末となる身体を破壊される。これによって負けを認めると、砂蟲に寄生された男を介して、レガートから与えられていたチップをヴァッシュ・ザ・スタンピードに譲渡する。 

エレンディラ・ザ・クリムゾンネイル

GUNG-HO-GUNSの一員。見た目や口調は女性だが性別は男性。いわゆるオカマであり、スリムでスタイルのよい身体と、鋭く冷たい瞳が特徴。GUNG-HO-GUNSは12人しか存在しないが、最強の存在としてロストナンバーの13人目として特別に登録されている。巨大な楔を連続して打ち込むネイルカノンを装備。 驚異的な身体能力を備えており、ネイルカノンを十数発乱射しても、1度の発射音しか聞こえないほどの動きを見せる。幼少期よりミリオンズ・ナイブズに心酔しており、たとえその身も同時に滅びようとも、ミリオンズ・ナイブズの野望の到達点である人類殲滅の時を心待ちにしていた。GUNG-HO-GUNSを抜けたリヴィオ・ザ・ダブルファングと死闘を繰り広げ、身体能力では圧倒するものの、自分もろとも楔で貫くという相打ち覚悟の反撃を喰らい、命を落とす。

リヴィオ・ザ・ダブルファング

GUNG-HO-GUNSの一人で、顔の左半分に骸骨のような鬼の面を被った青年。二重牙(ダブルファング)と呼ばれる、前後に銃口を装備した十字型の2連式機関銃を両腕に装備し、前後左右の敵を一度に殲滅することが可能。幼少期に受けた虐待により、凶暴な性格となったラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスというもう一人の人格が生まれる。本来は優しい性格で、メラニィの経営する孤児院に預けられてからは3日間も泣き続けて、ニコラス・D・ウルフウッドから「泣き虫リヴィオ」と呼ばれるようになる。施設生活の中でジャスミンと知り合ってなかよくなるが、のちにラズロの人格に乗っ取られた際に子犬を惨殺したことから、ジャスミンを含めた孤児たちから恐れられ、逃げるように施設を抜け出してミカエルの眼に身を寄せる。ミカエルの眼の過酷な訓練に加えて、ラズロの存在や施設を抜け出した時のトラウマにより、やがて冷徹な性格に変貌する。ミリオンズ・ナイブズが箱舟によるプラントの奪取を目論むと、それを支えるために師匠であるマスター・チャペルと共にウルフウッドに戦いを挑む。そんな中、一時はラズロに意識を乗っ取られるものの、激戦の果てに生命を賭したニコラスの説得に応じ、逆にラズロを意識の奥に封じ込めて正気を取り戻す。そして、戦いで死去した彼に変わってヴァッシュ・ザ・スタンピードと共に戦う道を選ぶ。ヴァッシュと共闘するようになってからは、ややしゃべり方がラズロに近いフランクなものになる。道中で偶然ながらジャスミンと再会し、ナイブズの計画から世界を守る意志を固める。さらに、ナイブズの計画を補佐するエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルと戦うも、当初は圧倒的な実力差を見せつけられることで窮地に追い込まれる。だが、復活を果たしたラズロと思考をつなげることで並々ならぬ反射能力を獲得し、それを活かしてエレンディラを倒す。

マスター・チャペル

暗殺組織ミカエルの眼の幹部で、ニコラス・D・ウルフウッドおよびリヴィオ・ザ・ダブルファングの師でもある。ニコラスにより瀕死の重傷を負わされ、代謝機能を促進させる薬を大量に投与して生命は長らえたものの、極度に老化し車椅子での移動を余儀なくされた。リヴィオと組み、執拗にニコラスを追い、彼が育った孤児院を占拠。 そこで壮絶な戦いを繰り広げたが、乱戦の隙を突く形で繰り出したニコラスの強烈な頭突きを顔面に喰らい、即死した。

ミス・ルイーダ

隠れ里の指導者を務めている女性。ヴァッシュ・ザ・スタンピードと長いあいだ交流しており、彼やミリオンズ・ナイブズが自立種であることや、二人の因縁についても詳しい。また、メリル・ストライフやミリィ・トンプソンとも、彼女がジェシカを助けて隠れ里に赴いた際に知り合い、親しくなる。ナイブズがヴァッシュと並ぶ力を持ちながら、人類に敵対行動を取ろうとしていることも把握しており、指揮下にある武装集団に攻撃するよう指示したこともある。だが、ナイブズの振るうA・ARMの力によって部隊はなすすべなく消滅し、それ以降はヴァッシュの意向から、ナイブズへの対応を彼に任せることを決める。たとえヴァッシュが犠牲になってもナイブズを止められれば、人類にとってはプラスになるという冷徹な考えを持つ一方、過酷な運命を背負ってきたヴァッシュが無事でいて欲しいと願っている。ナイブズが箱舟を使って各地のプラントを奪い始めると、ログラム市長やマルゲステル将軍らと共に、対策の協議を行う。そんな中、箱舟に対する攻撃を控えて、ヴァッシュの行動を黙認して欲しいと主張する。さらに、ピーセズ・オブ・アースから秘密裏に接触を図ってきたパンセから、ナイブズと融合したプラントたちの中に、人間に不信感を抱きながらもヴァッシュを慕う個体が多いことを聞かされ、彼とプラントの接触を共に後押しする。

テスラ

レム・セイブレムが所属している移民船団で偶然に誕生した、自立種の少女。ヴァッシュ・ザ・スタンピードやミリオンズ・ナイブズにとって同族にあたるが、異なるプラントから誕生したために彼らの姉というわけではない。赤子の頃にある科学者に保護されるが、好奇心に負けた彼やその仲間たちによって実験の素材として確保され、のちにそのことに気づいたレムの静止もむなしく実験が強行される。その結果、無理な投薬などがたたって全身が腫瘍に蝕まれて命を落とす。このことは、レムがヴァッシュやナイブズを手厚く保護し、自らの庇護(ひご)下に置いた理由の一つとなっているが、その一方でヴァッシュとナイブズに対して人間に対する強い不信感を植え付ける。ヴァッシュはレムを殺して自分も死にたいと思うほど錯乱するも、レムの決死の説得によって持ち直すが、ナイブズはプラントと人間の共存の可能性はないと絶望し、移民船団をノーマンズランドに墜落させてしまう。

ジャスティン

賞金稼ぎを生業としている男性。テンガロンハットをかぶった筋骨隆々の大男で、両腕をマシンガンに改造している。陽気な性格かつ口が達者で、賞金首と戦う際もつねに軽口を叩(たた)く。ロスト・ジュライで息子と孫を失った富豪の老婦人から依頼を受けて、ヴァッシュ・ザ・スタンピードを始末しようとする。力の差は歴然で、マシンガンの掃射をもってしても大した手傷を与えられないほど。しかし、近くの街にナイブズが現れたことを知ったヴァッシュが撤退に転じると、しつこく追いすがって仕留めようとするが、最後の一撃をA・ARMで防がれた挙句、肩に銃弾を受けて重傷を負う。なお、この時ヴァッシュがA・ARMを使ったところは周囲の人間たちにも見られており、その力を化け物扱いした住民たちから、ヴァッシュやニコラス・D・ウルフウッドたちが町を追い出されるきっかけとなる。

ログラム市長 (ろぐらむしちょう)

箱舟の対策会議が開かれた都市の市長を務めている男性。ロスト・ジュライやフィフス・ムーンなど、箱舟を取り巻く一連の事件に詳しいミス・ルイーダを招き入れ、ミリオンズ・ナイブズが箱舟をあやつり人類を死滅させようとしていることや、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがそれを阻止すべく戦い続けていることを聞かされる。そのうえで、ナイブズへの攻撃はプラントへの攻撃と同義であり、ヴァッシュの目指すプラントとの融和の妨げになると諭され、市民に対して箱舟に対する先制攻撃を禁止するよう通達する。しかし市民からは理解を得られず、臆病風に吹かれたという風評被害を受けてリコールを求められてしまう。

ホッパード・ザ・ガントレット

GUNG-HO-GUNSに所属している男性。グレイ・ザ・ナインライヴズと同様に巨大な人形を内部から操作しているが、グレイとは違ってこれを一人で操作し、戦闘能力も非常に高い。ほかのメンバーと異なり、自らの意思でGUNG-HO-GUNSに与(くみ)しており、積極的にヴァッシュ・ザ・スタンピードを殺したがっている。その理由は、かつてヴァッシュが引き起こしたとされるロスト・ジュライで恋人を失ったことに由来し、ホッパード・ザ・ガントレット自身もロスト・ジュライのトラウマに悩まされている。このことがヴァッシュを憎む理由の一つとなっているが、同時にヴァッシュと同等の力を持つミリオンズ・ナイブズに対してもあまりいい感情を抱いていない。その感情を共有するミッドバレイ・ザ・ホーンフリークとは気が合う反面、ナイブズに絶対の忠誠を誓うレガート・ブルーサマーズとは折り合いが悪い。雷泥・ザ・ブレードやレオノフ・ザ・パペットマスター、グレイが相次いで倒されると、レガートからの指令を受け、ミッドバレイやザジ・ザ・ビーストと共にヴァッシュと戦うべく出撃する。そして、ザジが捕らえたメリル・ストライフを龍津城砦で捕らえて、これを利用してヴァッシュをおびき出そうとする。当初は、メリルを先に殺害してヴァッシュに自分と同じように、親しい人を失った苦しみを味わわせようと考えていた。だが、彼女がロスト・ジュライについてロクに知らないことがわかると、殺す価値もないと思い直し、自らヴァッシュを狙って出撃する。戦いの中でロスト・ジュライに対する憤りを吐露すると、「ナイブズを止めたあとなら、命を差し出しても構わない」と本気で告げられ、調子を狂わされると同時に苛立(いらだ)ちを覚える。その結果、メリルを利用した罠(わな)を仕掛けてヴァッシュを倒そうとするが、これがきっかけとなって、ヴァッシュに秘められたA・ARMの力を覚醒させてしまう。

ロブ

ヴァッシュ・ザ・スタンピードとニコラス・D・ウルフウッドが、旅の途中に訪れた宿屋の従業員を務めている青年。父親のホランドとは対照的に気が強く、疲弊したヴァッシュが宿屋に現れた時も、宿代を先に気にするなどシビアな一面を持つ。一方で家族への情に厚く、ホランドがゴムズのイカサマ賭博に引っかかって借金を背負った際は、父親の迂闊(うかつ)さを指摘しながらも、借金の担保として連れ去られた母親を助け出すことを強く望んでいる。危険に巻き込みたくないと考えるホランドに、椅子に縛られて身動きが取れなくなってしまうも、部屋を通りがかったヴァッシュに縄をほどいてもらう。自由になるや否やヴァッシュと共にホランドを追って、ゴムズのアジトへと乗り込む。当初は、疲弊して歩くのもやっとのヴァッシュがわざわざついて来るのが理解できず、一度は宿に帰るようにうながした。しかしアジトに乗り込んだ際に、ゴムズとその部下が投げつけてきた酒瓶をすべて的確に撃ち抜いたところを見て、考えを改める。

ハンコック

悪党くずれの弟分にあたる青年。朗らかな性格で、悪党くずれを心から慕っている。かつては悪党くずれの悪事に付き合っていたが、共に更生する。かつての悪事を許せない街の住民たちに捕らえられると、あえて動ける状態で悪党くずれを頭の上に乗せられ、その場を動けば悪党くずれの首が吊(つ)られるという悪趣味な趣向に利用されるが、通りがかったヴァッシュ・ザ・スタンピードに助けられる。

ブランドン・マーロン

ガンスミスを営んでいる男性。伝説の名工である「フランク・マーロン」の弟子にあたり、ブランドン・マーロン自身も優れた腕を持つ。銃は優れた使い手が使ってこそ価値があると考えており、精神的に未熟さが残るマードックには、自分の銃を使わせるわけにはいかないと主張する。ヴァッシュ・ザ・スタンピードとは旧知の間柄で、彼の扱う銃器を定期的にメンテナンスしている。100年近くガンマンとして活動するヴァッシュから頼られるだけあって腕は確かで、彼に頼られている縁から、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークとの戦いを終えたニコラス・D・ウルフウッドからパニッシャーの修復を頼まれた時も、ミカエルの眼秘蔵の兵器であるにもかかわらず短時間で新品同様に修復した。ヴァッシュのことはただの客というだけではなく、互いに友人として接している。ただし、彼が自立種であることや、ナイブズを巡る因縁などを詳しく知らない。彼のなんでも一人で抱え込む癖に寂しさを感じており、箱舟の起動後に再会した際は、ヴァッシュの頼みを受けてガンパウダーと銃弾を用意する。その際に、少しは周りを頼ることを考えて欲しいと助言し、ヴァッシュを感動させる。

ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク

GUNG-HO-GUNSに所属している青年。サクソフォーンの名人で、凄腕(すごうで)の演奏を披露できるほか、サクソフォーンを使って人の神経をかき乱し、やがて死に至らしめるほどの技量を持っていることから「音界の支配者」の異名を持つ。用心深い性格で、認めた相手以外に対して猜疑(さいぎ)心が強い。かつて殺し屋を兼ねたバンドを組み、一人のターゲットを殺害するためにコンサートを開催し、訪れた観客全員を巻き込んで殺害するなど、残虐行為も平然と行っていた。そのことがミリオンズ・ナイブズの目に留まり、GUNG-HO-GUNSに勧誘される。ナイブズの人間離れした能力と思考を強く警戒しており、いつか自分たちも彼に殺されるのではないかと考えている。そのため、音を使って暗殺を目論んだこともあったが、あまりの能力差から到底不可能であることを思い知る。ナイブズのほかにも、レガート・ブルーサマーズやザジ・ザ・ビーストに対しても、得体のしれない存在として嫌っている。一方で、ホッパード・ザ・ガントレットとはウマが合い、彼がヴァッシュ・ザ・スタンピードに抱いている憎しみや理解を示している。そのため、龍津城砦の戦いではホッパードにヴァッシュとの戦いを任せ、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク自身はその障害になるであろうニコラス・D・ウルフウッドの相手に専念する。そんな中、どさくさに紛れてザジに重傷を負わせることに成功し、現れたレガート・ブルーサマーズも排除しようとするが、そのことがミッドバレイ自身の命を縮めるきっかけとなる。

ブラド

隠れ里出身の青年。鍛え抜かれた体軀で、GUNG-HO-GUNSのメンバーの襲撃をある程度食い止めるほどの実力を誇る。幼い頃にヴァッシュ・ザ・スタンピードに遊んでもらっていたが、ブラド自身はそのことを覚えていない。ジェシカに思いを寄せており、告白するに至るが、ヴァッシュが忘れられないという理由で断られる。やがて先生の助手として、彼と共にノーマンズランドの各地を巡り、その先で騒動に巻き込まれているヴァッシュと出会う。当初は、彼のあまりに無軌道な行動から安易に信用することができず、ジェシカを巡る嫉妬もあって顔を合わせるとついつらく当たってしまう。だが、ヴァッシュがあらゆる人間を守るために戦っていることを目の当たりにして、先生やジェシカが信頼している理由を理解するようになる。故郷を思う気持ちも強く、レオノフ・ザ・パペットマスターとグレイ・ザ・ナインライヴズが隠れ里に襲撃をかけてきた際は、危険を承知でレオノフの人形の破壊を目論み、結果的に彼の精神を大きくかき乱し、動揺させることに成功する。戦いが終わると、ヴァッシュとニコラス・D・ウルフウッドを隠れ里の恩人として慕う。その後はしばらくのあいだ隠れ里に滞在していたが、ミリオンズ・ナイブズが箱舟を使ってノーマンズランドの人類を滅ぼすために動き出すと、隠れ里の安全を確保する方法を求めて奔走し、その先でヴァッシュと再会する。そこで、ウルフウッドが命を落としたことを知り、その原因となったリヴィオ・ザ・ダブルファングに対してやりきれない思いをぶつけてしまう。だが、彼がヴァッシュのために戦うことを決意したこと認めると、けじめとして一発殴ったうえで彼に激励の言葉を送る。

メラニィ

カルカサスで孤児院を営んでいる女性。心優しく朗らかな性格で、ニコラス・D・ウルフウッドからも慕われている。孤児たちを大切に思っており、いざとなったら自分を危険にさらしてでも彼らを守る覚悟を持つ。ただし、孤児院がミカエルの眼に支援されていることや、その隊員候補になっていることは知らない。ミリオンズ・ナイブズが箱舟を起動させてから半年ほど経った時に、マスター・チャペルやリヴィオ・ザ・ダブルファング、そして彼らが雇い入れたスーパーアルティメットタイガーファミリーに孤児院が占拠されると、何人かの孤児を秘密裏に脱出させ、残された孤児たちを命を懸けて守ろうとした。やがて、ヴァッシュ・ザ・スタンピードとウルフウッドにマスターとリヴィオが退けられると、ウルフウッドの素性や経歴、彼の命が長くないことを知らされる。これを受けて、メラニィなりに考えた末に、かつて彼を送り出した時に行ったように紙吹雪(かみふぶき)を散らして歓迎するよう取り計らう。

ジョー・トゥース

ミカエルの眼に所属している暗殺者の男性。巨大な兜(かぶと)をかぶっており、素顔を隠している。ジョーの相棒と行動を共にするが、彼とは対照的なまでに大柄かつ無口で、体重は150キロを超える。また、GUNG-HO-GUNSのアジトに近づくにつれて、ジョーの相棒に対して気を引き締めるよう忠告するなど、用心深い性格の持ち主でもある。ただし、自分たちの邪魔をする相手に対してはまったく容赦することなく、二丁拳銃を用いて殲滅(せんめつ)を図る。強化薬を使わずに怪力を発揮できるが、リヴィオ・ザ・ダブルファングには大きく劣る。

ポクム

メリル・ストライフやミリィ・トンプソンが訪れた街で悪事を働いている男性。美しい女性を傷つけることに喜びを見出す外道で、かつて12人もの女性に対して「花嫁」と呼んで一方的に求愛した挙句、殺害している。その後も自らの行いをまったく省みることなく、璃鈴を13番目の花嫁として付け狙う。それを見かねたメリルとミリィから介入されると、彼女たちもまとめて毒牙にかけようと目論むが、あっさりと返り討ちに遭う。

砂蟲に寄生された男 (わむずにきせいされたおとこ)

茶褐色の肌を持つ中年の男性。レガート・ブルーサマーズから渡された箱に対応するチップが、一つだけ足りずに悩むヴァッシュ・ザ・スタンピードとリヴィオ・ザ・ダブルファングの前に突然現れ、なんの脈絡もなくザジ・ザ・ビーストが持っていたはずのチップを手渡す。そのとたん、突然意識を喪失した挙句に口から幼虫らしき砂蟲が現れ、大騒ぎになる。その後、無事に回復して二人を安堵させるが、身体に砂蟲を入れられてからチップを渡すまでの記憶はないと語る。リヴィオからは、なんらかの理由で人間としての姿を保てなくなったザジトが、ヴァッシュにチップを渡すために砂蟲を寄生させたと推測される。なお、騒ぎの最中に動揺しきったヴァッシュやリヴィオから、ハマグリとキンメダイのどちらが好きか尋ねられるが、途中で砂蟲が抜け出して記憶を失ったため、明確な答えを返すことはできなかった。

ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス

GUNG-HO-GUNSに所属している青年。リヴィオ・ザ・ダブルファングやマスター・チャペルと共に行動しており、ほかのメンバーからは「トリップ・オブ・デス」と呼ばれている。メンバーの一人であるにもかかわらず公の場に姿を見せたことがなく、ほかのGUNG-HO-GUNSのメンバーたちから不信感を抱かれている。その正体は、リヴィオが両親から虐待を受け続けた際に生じた副人格。リヴィオ自身が知らないあいだに彼の身体を借りて両親を殺害したほか、彼が危険にさらされた時に浮かび上がり、守っていた。さらに、手紙という形で自らの存在をアピールし、やがてリヴィオからもその存在を知覚され、彼をミカエルの眼にいざなう。狂暴な性格で争いを好むうえに他者を見下し、誰に対しても毒舌。だが、主人格であるリヴィオのことは大切に思っており、悪態をつきながらも彼を危険から遠ざけるためなら手段を選ばない。利用するためとはいえ、ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス自身やリヴィオが排除されないために手を尽くしたマスターのことも内心では尊敬し、彼が致命傷を負った時やウルフウッドを倒すために、ラズロ自身を巻き添えにしようとした時は大いに取り乱していた。このほか、マスターから執拗(しつよう)に痛めつけられるニコラス・D・ウルフウッドに同情する素振りを見せるなど、個人的な情を覗(のぞ)かせることも多い。反射神経が鋭すぎるために、鋭い殺気を受けると本能的に怯(ひる)んでしまうという欠点を持つ。また、今までリヴィオの身体に浮かび上がった戦いでは圧倒的な勝利しか経験してこなかったために、想定外の事態に対応できず、ウルフウッドやエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルとの戦いでは、これらの弱点を突かれて大きなダメージを受ける。ウルフウッドとの戦いの中で、彼に初の敗北感を味わわされたうえ、彼の身を挺(てい)した説得に奮起したリヴィオに人格の主導権を完全に奪われる。だが、リヴィオがエレンディラとの戦いに苦戦し、追い詰められた時は、自分の身体が破壊されないためと理由をつけて復活を果たし、リヴィオの身体の中で二人分の思考と反射能力を発揮することでエレンディラを倒すチャンスを生み出す。

偽物のガンマン (にせもののがんまん)

数々の事件を引き起こしたヴァッシュ・ザ・スタンピードになりすまし、ノーマンズランドで無法を働いているガンマンの男性。その名前を利用して大勢の子分を従えている。ヴァッシュとそこそこ似た容姿をしているが、ガンマンとしての実力は乏しく、本物のヴァッシュの6分の1程度のスピードでしか行動できない。本物のヴァッシュがいることを知らずに、リィナやシェイルが住む街に流れ着き、ハゲ豚をはじめとした手下たちを差し向けて略奪させる。さらに、ハゲ豚に恥をかかせたリィナを手下たちと共に拉致し、見せしめとして始末しようとする。しかし、ウルフウッドと共に乗り込んできたヴァッシュにあっけなく敗北し、再起不能になったあげくリィナも奪還される。

マルゲステル将軍 (まるげすてるしょうぐん)

ノーマンズランド防衛のために結成された憲兵部隊の司令官を務めている男性。任務にかける熱意は確かだが、自分の率いる部隊の実力を過大評価しており、傲慢な態度を取ることも少なくない。箱舟が世界各地の上空を巡って、通過した都市のプラントを根こそぎ吸い上げる事態を前に、ログラム市長が招集した対策会議に参加する。会議中、参加者の一人であるミス・ルイーダから、事態の黒幕が人類の滅亡を目論むミリオンズ・ナイブズであることや、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがそれを阻止するための算段を立てていることを聞かされる。そしてナイブズの中にいるプラントたちを刺激しないよう、彼が箱舟を止めるまでは先制攻撃を控えるよう求められる。だが、これを真っ向から拒絶して攻撃命令を下し、ナイブズと交戦していたヴァッシュの負担を増やしてしまう。しかし、メリル・ストライフやミリィ・トンプソンに煙幕を使った妨害を受けた挙句、リヴィオ・ザ・ダブルファングから身柄を狙われる。

キール・バルドウ

ベルデルナリ保険協会に雇われている調査員の青年。メリル・ストライフやミリィ・トンプソンの代わりに、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの調査をするよう命じられる。軍警察に所属していた腕利きで、ベルデルナリ保険協会のメンバーたちからは、銃の腕や交渉能力を買われている。一方、ヴァッシュのことを悪者と決めつけた挙句、彼と直接行動を共にしたことのあるメリルのレポートを「三文小説」と切って捨てるような傲慢な性格で、メリルやミリィからは嫌われている。実際は、ベルデルナリ保険協会から受けた任務を達成する気は最初からなく、調査と称してヴァッシュを暗殺し、その報酬を得ることを考えている。さらに、道中で仲間と共に騒動を起こして火事場泥棒を目論むなど、その本性は極めて劣悪。やがてメリルに計画を見破られるも、口封じのために始末しようとするが、それを見越していたミリィからプロペラ型弾頭の銃撃を受けて重傷を負い、入院を余儀なくされる。入院後は、悪事の落とし前をつけさせるために忍び込んで来たニコラス・D・ウルフウッドから傷口にタバスコをかけられ、激痛によって廃人同然となる。そのうえ、悪事が露見したことでベルデルナリ保険協会からも見捨てられる。

ジャスミン

かつてメラニィの営む孤児院で暮らしていた女性。温和な性格だがおっちょこちょいなところがある。孤児院で暮らす中、事故に巻き込まれかけていたところを子供時代のリヴィオ・ザ・ダブルファングに助けられ、なかよくなる。これで絶望からふさぎ込んでいたリヴィオを立ち直らせると思われたが、リヴィオの中に潜むラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスが、孤児院に出入りしている犬を殺害した。その状況から孤児たちがリヴィオを疑い出すと、ジャスミン自身もリヴィオに恐怖を覚えてしまい、彼が孤児院から抜け出すきっかけとなる。それからは長らくリヴィオと顔を合わせることがなかった。やがて孤児院を出ると、メラニィと同じように孤児たちを保護する仕事に携わるようになる。そして、面倒を見ていた子供がリヴィオに助けられ、その縁から再会を果たす。

グレイ・ザ・ナインライヴズ

GUNG-HO-GUNSに所属している男性。メンバーの中でも屈指の巨体を誇り、そこから発揮される怪力と右腕に仕込まれたグレネードランチャーは、ミカエルの眼で肉体強化を施されたニコラス・D・ウルフウッドすら大きな痛手を被るほど。また、パニッシャーの銃弾を立て続けに受けて負傷をしてもまったく動きが鈍らないうえ、身体から骨を露出させたまま動いたり、ちぎれた腕を遠隔操作のように操作するなど、明らかに人間離れした特徴を数多く発揮する。その正体は、九人の小柄な人間たちが体内の各部に潜んで操作される人形のような存在。ちぎれ飛んだ腕が動いたのも、その場所に潜んでいた一人が動作させたゆえに実現したものである。操縦者同士の結束は固く、「ナインライヴズ」の異名は九人で一つの命を共有しているという、自負によるものである。隠れ里での戦いで、ウルフウッドからパニッシャーの接射を受けることで正体が露見し、九人のうち七人を殺害されたうえ、残る二人もメリル・ストライフやミリィ・トンプソンの介入により逮捕され、投獄される。しかし、レオノフ・ザ・パペットマスターやグレイ・ザ・ナインライヴズ自身に殺害された仲間の敵討ちのために襲撃されるも、それに乗じて脱出を果たしてヴァッシュ・ザ・スタンピードへ襲撃を企てたが、ウルフウッドに阻止される。それからは抵抗することなく牢屋に入り、ミリオンズ・ナイブズが箱舟でノーマンズランドの滅亡を企てると、ミリィを介してヴァッシュにGUNG-HO-GUNSの証(あかし)であるコインを託す。レガート・ブルーサマーズたちからも粛清されることなく、捨て置かれたため最後まで生き延び、GUNG-HO-GUNSの数少ない生き残りの一人となる。

クロニカ

ピーセズ・オブ・ジ・アースの参謀を務めている自立種の女性。頭脳明晰(めいせき)で戦闘能力も高いうえ、旗艦である「ナムドライフ」の操舵を任されており、艦長や親友のドミナからも頼りにされている。冷静な性格で、必要とあらば危険なこともいとわない大胆さも持ち合わせている。日本の文化を好み、ナムドライフで航行している時に正座をしながら日本茶を飲むことがある。よくも悪くもプラントに対する同属意識は薄く、自立種の途方のない力に興味を示す艦長に対して「プラントを作り出したのは人間」と返すなど、自立種は人間と変わらないと思っている。また、プラントの自由のために戦っているミリオンズ・ナイブズに対しても、危険なら始末せざるを得ないと考え、強大な威力を持つトールハンマーで先制攻撃を試みたことから、親友のドミナからもドライであることを茶化されることもある。だが、ピーセズ・オブ・ジ・アースの仲間たちのことは大切に思っており、ドミナの思考がナイブズと強制的に融合させられてもとに戻る見込みがなくなると、涙を流して仇を討つことを決意するほど。のちにヴァッシュ・ザ・スタンピードとナイブズの戦いに介入し、自らの手でナイブズを撃つために攻撃を集中させる。だが、ヴァッシュがレガート・ブルーサマーズと戦う猶予を与える結果になったものの、ナイブズにはかなわず、やがて「ナムドライフ」を戦闘不能にさせられる。それでもナイブズを討つことをあきらめず、彼らが決着をつけた時を見計らって、ヴァッシュごとナイブズを撃とうとする。だが、リヴィオ・ザ・ダブルファングに阻止されると、彼が語るノーマンズランドの矜持(きょうじ)を信じ、見守ることを決める。

ホランド

ヴァッシュ・ザ・スタンピードとニコラス・D・ウルフウッドが、旅の途中に訪れた宿屋の主人を務めている男性。息子のロブからお人よしと認定されるほどの親切な性格で、疲弊した状態のヴァッシュが宿を訪れると、事情も聞かずに部屋を貸した。その反面、集中すると周りが見えなくなる悪癖を持つ。ゴムズが仕掛けたイカサマ賭博に引っかかって借金を背負い、その担保として妻を連れていかれてしまう。賭博に引っかかったことは自業自得だと割り切っているが、妻をそのままにはしておけず、ゴムズから取り返そうと彼のアジトへと乗り込む。ロブのことを大切に思っており、ゴムズのアジトに向かった際は彼を巻き添えにしないよう、椅子に縛り付けて動きを封じる。アジトに踏み込むことはできたものの、ゴムズの圧倒的な力の前になす術もなく、火炎放射器で殺害されかける。しかし、そこに駆け付けたヴァッシュとロブに助けられる。

インヤンブラザース

ギャング組織に所属している青年の兄弟。小柄な「イン」と大柄な「ヤン」で構成されている。ヤンが着用しているパワードスーツの頭部にインが身を潜めて、その隙間から複数の爆弾を放つ戦法を得意とする。略奪を目的としており、組織の部下たちを率いてブランドン・マーロンやマードックが住む街の襲撃を企てる。そして、先んじて保安事務所を半壊させ、阻止するために現れたマードックを地中に潜ませていた部下を利用して包囲する。だが、そこに現れたヴァッシュ・ザ・スタンピードに強襲されると、部下を倒されたうえに放った爆弾を爆発できないようにされる。さらに、インとヤン自身もパワードスーツを無力化されてマードックに捕らえられる。だがその夜、護送車に引き渡されようとした時、警察をだまし討ちにしたゴドーに助けられる。

雷泥・ザ・ブレード (らいでい ざ ぶれーど)

「次元斬一刀流」と呼ばれる流派の剣術を修めている男性。「ムラマサ」と呼ばれる刀を巧みにあやつることで、ガンマンとも互角以上に戦うことができる。自らの剣技と流派自体に高い誇りを抱いている反面、命のやり取りを行わずにはいられないという悪癖を持つ。次元斬一刀流の有用性を示すため、誰彼構わず積極的に戦いを仕掛けては、その相手を斬殺するという暴挙を繰り返してきた。その強さと残酷さをミリオンズ・ナイブズやレガート・ブルーサマーズに買われて、GUNG-HO-GUNSに所属する。フィフス・ムーンが発生してからはしばらく活動を休止していたが、レオノフ・ザ・パペットマスターからヴァッシュ・スタンピードが動き出したことを聞くと、真っ先に彼と戦うことを望み、メッセンジャーの役割を口実に彼のもとへと赴く。そして役割を果たすと、雷泥・ザ・ブレードが敗北した場合は、二度と剣を取らないという条件付きで、ヴァッシュと一対一の果たし合いを行う。銃と剣で戦っていたことから、それを目の当たりにしたニコラス・D・ウルフウッドからは圧倒的に不利と思われていたが、銃の弱点を知り尽くしており、奥義、二重星雲などを用いて着実にヴァッシュを追い込む。だが、銃を防具として利用したヴァッシュの奇策に敗れ、刀を取り落とす。これによって一度は負けを認めるものの、二度と刀を振るえなくなるという事実に猛烈な拒否反応を示し、次元斬一刀流闇奥義・彗星突を用いてヴァッシュを仕留めようとする。

悪党くずれ (あくとうくずれ)

かつて弟分のハンコックと共に悪事に手を染めていた男性。更生するも周囲からは許してもらえず、やがて私刑に近い形で絞首刑にされかけていたところを、ヴァッシュ・ザ・スタンピードに助けられる。悪党くずれ自身は、悪事を働いてきたツケが回ったと納得しており、絞首刑に処されようとしていた時も抵抗しなかったが、ハンコックだけは助けて欲しいと願っていた。ヴァッシュの噂(うわさ)を知り、ロスト・ジュライやフィフス・ムーンを引き起こしたことも理解している。だが、それを責めることはいっさいせず、ヴァッシュ自身がそれを引きずっている素振りを見せた時は、時間だけがその苦悩を解決できるから、下手に思い悩んでいても仕方ないと助言する。

艦長 (かんちょう)

ピーセズ・オブ・ジ・アースの艦隊司令官を務めている地球人の男性。クロニカの操舵する旗艦「ナムドライフ」に搭乗している。生真面目な性格で責任感が強い一方で、部下に対する気遣いも自立種であるクロニカやドミナに対しても分け隔てなく接し、彼女たちからも信頼されている。受信したSOS通信をもとに艦隊を率いて、救難活動を目的としてノーマンズランドを訪れる。その障害となるミリオンズ・ナイブズが重戦闘艦13隻分もの戦闘能力を誇ることを聞かされると、今までの任務の中でもトップクラスの危険度になることを覚悟しつつ、クロニカの提言を受け入れて最大火力を誇るトールハンマーでの攻撃を許可する。やがてドミナがナイブズの手に落ち、ナムドライフが戦闘不能になると、最後の手段として艦隊の全火力をもって目標であるナイブズを殲滅する「オペレーションD」を発令する。その際、ノーマンズランドに被害が出ることも予測していたが、背に腹は代えられないと苦渋の決断を下し、パンセたちに撤退をうながす。

カリートの父親 (かりーとのちちおや)

「メサ・プロブ教会」と呼ばれていた建物の廃墟で、息子のカリートと共に暮らしている医者の男性。ある日、教会を訪れたミリオンズ・ナイブズから、傷ついたヴァッシュ・ザ・スタンピードを救って欲しいと頼み込まれると、深い事情を聞くことなくこれを引き受ける。やがて完治したヴァッシュが、指名手配犯であることを知ってもなお、追い出すことなくかくまい続けるが、これはナイブズとの約束を交わしたことと、純粋にヴァッシュを気に入ったという理由もある。それから半年ほどは彼と共に過ごしていたが、ヴァッシュの居場所をつかんだ地球軍治安維持部隊が彼の引き渡しを要求すると、隠し通路の場所を示してこっそり彼を逃がそうとする。このように、軍隊に囲まれても自分を曲げない意志の強さを持つほか、医者としての腕も確かで、深い傷を負っていたヴァッシュを完全に治療するほど。それだけにナイブズがA・ARMの力を使って、彼に施した応急処置が人間には到底不可能な所業であったことと、これがなければ助けることはまず不可能だったということも理解している。

璃鈴 (りりん)

メリル・ストライフやミリィ・トンプソンが訪れた街でウェイトレスを務めている女性。ノーマンズランドでは珍しい顔立ちをしていることから、ポクムから13番目の花嫁として付け狙われる。璃鈴自身はそれを激しく拒絶するも、ポクムから力任せに狙われて窮地に陥る。だが、そこに現れたメリルとミリィに助けられ、事なきを得る。

シェイル

「エリクス」と名乗っていたヴァッシュ・ザ・スタンピードが、滞在していた街で暮らしている老齢の女性。孫娘のリィナと共に酒場を営んでいる。ただ一人の家族であるリィナのことを何よりも大切に思っている。2年前に出会ったヴァッシュのことも、やがて大切な家族と認識するようになり、その素性を疑うことなく受け入れている。その一方で、ヴァッシュがなんらかの事情を抱えていることを察しており、いつか自分たちの前から姿を消してしまうことも覚悟している。偽物のガンマンと、その一味にリィナが連れ去られた時は、無謀にも自ら銃を取って助けに行こうとするが、周囲の人間たちから必死に止められたうえ、ヴァッシュがリィナを取り戻す意思を見せたことで思い留まる。その結果、ヴァッシュが無事にリィナを取り戻し安堵するが、すぐあとにヴァッシュ自身から、事件の中で再会したニコラス・D・ウルフウッドと共に旅立つことを聞かされる。これに対して悲しみはするものの、覚悟もしていたことを改めて告白し、二人を送り出す。箱舟を巡る危機の中でも生き残り、のちにリィナや偽物のガンマンの手下と共にヴァッシュの生存をテレビで確認する。

ビル・コンラッド

ミリオンズ・ナイブズに付き従っている科学者の男性。レガート・ブルーサマーズやGUNG-HO-GUNSのメンバーからは「ドクター」と呼ばれている。レム・セイブレムの仲間の一人で、かつては彼女と同じ移民船団に所属していた。また、幼い頃のナイブズやヴァッシュ・ザ・スタンピードとも面識がある。コールドスリープを繰り返して延命し続けており、ナイブズが引き起こした墜落も生き延びて、そのおよそ100年後に目覚める。それからは「レヴナント・ヴァスケス」と名乗り、プラントの研究者として名を馳(は)せて、悠々自適の生活を送っていたが、ある時現れたナイブズから仲間に加わるよう脅される。これに対して、命の危険やナイブズを冷酷な性格に変えてしまった負い目もあったが、それ以上に自立種に対する興味に囚われ、自発的に協力を申し出る。それからはレガートやエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルと同等の待遇となり、ビル・コンラッド自身もナイブズの体組織の解析を行ったり、ナイブズに敗れて昏倒(こんとう)したヴァッシュの身体を、ナイブズ自身の依頼から治療および強化したり、ロスト・ジュライの折に瀕死(ひんし)の重傷を負ったナイブズを救助して修復するなど、プラントへの興味に動かされるままに活動する。だが、ナイブズの行いがエスカレートしていき、やがて本気で人類の滅亡を企てていることを察すると、これ以上ナイブズに暴虐を働かせないようにするために黒髪化についての説明を行い、人類への敵対を止めるよう忠告をする。だが、ヴァッシュにも同じ症状が出ていることが判明すると、逆にナイブズの怒りを買ってしまう。

パンセ

ピーセズ・オブ・ジ・アースで「特別隠密接触部隊」と呼ばれる部隊の隊長を務めている、地球人の男性。気さくな性格で好奇心が強く、ノーマンズランドの救難活動に従事した時は、現地の人間たちとコミュニケーションを取ることを楽しみにしていた。プラントに関する知識に長けており、ミリオンズ・ナイブズと融合を果たしたプラントたちの記憶を読み取り、彼女たちがヴァッシュ・ザ・スタンピードを慕っていることを知ると、彼を通じてプラントたちをナイブズから引き離せるのではないかと思い立つ。そして、艦長やクロニカがナイブズと対峙しているスキをついて、ひそかにノーマンズランドへ降り立つ。

ルラウド

ガンマンの男性。統率力と度胸に秀でており、危機に陥っても汗一つかかないほど。ポロ家の四男の誘拐を目論んでおり、アイリーンの父親らと共に彼の乗り込んでいた蒸気機関車を車両ジャックする。ほどなくして憲兵の一団に列車を取り囲まれると、ポロ家の四男を含めた乗客を人質に取って籠城を目論む。しかし犠牲者を出さないため、単身で乗り込んできたヴァッシュ・ザ・スタンピードの早業で部下もろとも制圧されてしまう。

レオノフ・ザ・パペットマスター

GUNG-HO-GUNSに所属している男性。老人のような風貌と奇怪なしゃべり方が特徴で、数十キロにも及ぶ長さを誇るあやつり糸と中継用の球体を用いることで、同時に100体以上の人形を操作できる。人形作りとその操作以外にはほぼ興味がなく、人形の素材にするために生身の人間を虐殺することすらあり、その残虐性を買われてGUNG-HO-GUNSに所属する。フィフス・ムーンが終結してからは、しばらく活動を休止していたが、立ち寄った街で偶然ヴァッシュ・ザ・スタンピードと遭遇し、彼の生存をレガート・ブルーサマーズに報告する。そして、彼からヴァッシュに最高の苦しみを与えるという指令を受けると、ヴァッシュがかつて滞在していた隠れ里に赴き、住民の3割を殺害して人形へと作り替えて、グレイ・ザ・ナインライヴズと共に待ち構える。本名は「エミリオ」で、かつては隠れ里で暮らしていた。少年時代にヴァッシュと懇意にしており、「イザベラ」と呼ばれる思い人がいたことも語っていた。だが、今は隠れ里で暮らしていた記憶がまったく残っておらず、ヴァッシュのことも倒すべき敵としか認識していない。ヴァッシュからはなんらかの理由によって、レオノフ・ザ・パペットマスター自ら記憶を封じていると推測されており、実際に過去にゆかりのある名前を聞かされることで心を揺さぶられることもある。さらに、思い人をモデルにした人形を作ったり、それをヴラドに傷つけられた時は錯乱状態に陥るなど、無意識のうちに深い未練を残している。

アイリーンの父親 (あいりーんのちちおや)

ルラウドと共に、ポロ家の四男の誘拐を目論む男性。かつて娘を殺害されていることから、ポロ家の四男に強い憎しみを抱いており、ルラウドの計画に乗ったのは彼を亡き者にしようとしているためである。ポロ家の四男の乗っていた蒸気機関車を仲間と共に襲撃し、彼もろとも乗客を人質に取ることに成功する。その直後、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの介入により、ルラウドたちは沈黙するが、アイリーンの父親自身は計画が失敗したら、せめてポロ家の四男を殺害して恨みを晴らそうとしている。だが、ポロ家の四男が銃を向けられた際に、涙ながらに父親を思ったことや、ヴァッシュが決死の説得を果たしたことで思い留まる。

ゴドー

インヤンブラザースと同じギャング組織に所属している青年。警察に変装してだまし討ちにするなど悪知恵に長(た)けており、組織の中でも一番の策士として頼られている。また、身体能力もインヤンブラザースに劣らず、戦闘時は刃が仕込まれた巨大なヨーヨーを武器として扱う。ギャングらしく性格は極めて凶悪で、爆弾を使った大量殺人を好む。捕らわれたインヤンブラザースを救い出すと、彼と共に装甲車両に乗り込んでヴァッシュへの復讐を目論む。そして、待ち構えていたヴァッシュを自ら殺害しようとするが、彼と同行していたニコラス・D・ウルフウッドの機転でヨーヨーを防がれる。それでも懲りずに装甲車両で二人ともひき殺そうとするが、ウルフウッドのパニッシャーによる一斉射撃で阻止される。

ハゲ豚 (はげぶた)

ヴァッシュ・ザ・スタンピードを名乗る偽物のガンマンに付き従っている男性。子供じみた言動が目立つほか、小太りな体格から、本物のヴァッシュからは「ハゲ豚」と呼ばれている。右手の手首より先が、大口径の砲弾を撃ち出すように改造されている。本物のヴァッシュがいることを知らずに、リィナやシェイルが住む街に流れ着き、偽物のガンマンの命令に従い、略奪を繰り返す。さらに、ちょっかいをかけたリィナから顔面を蹴られ、その腹いせとして仲間たちと共に暴れ回ったうえに、偽物のガンマンと共にリィナを拉致する。その後は、偽物のガンマンの命令でアジトを離れていたが、戻った時はすでに偽物のガンマンがヴァッシュとニコラス・D・ウルフウッドに敗れ去っており、リィナも奪還されてしまう。このことにさらなる怒りを覚え、丸腰のヴァッシュを大砲で始末しようとするが、砲弾を蹴り上げられたうえに、そのスキに右腕に銃を撃ち込まれ、敗北する。そのうえ、ヴァッシュからリィナとシェイルを守るように脅され、ヴァッシュたちが旅立ったあとも、その恐怖からおとなしくリィナたちのボディガードに専念する。やがてリィナやシェイルと打ち解けて、二人が営む酒場を手伝うようになる。

カリート

「メサ・プロブ教会」と呼ばれていた建物の廃墟で、カリートの父親と共に暮らしている少年。テレビで放送していた地球軍の活躍を見て瞳を輝かせるなど、年相応の無邪気な性格をしている。一方で、子供ながら肝が据わっており、見ず知らずのヴァッシュ・ザ・スタンピードと、彼を連れたミリオンズ・ナイブズを前にしても忌避することなく、カリートの父親が彼らを受け入れる意向を示すと、すぐに同意した。ヴァッシュが受け入れられたことを確認したナイブズがその場を去ろうとすると、きちんとヴァッシュと話をしてから離れるべきと主張するものの、そのあいだにA・ARMの力を使い果たして限界を迎えたナイブズの身体が消滅したため、願いはかなわなかった。それから半年間は、父親やヴァッシュと共に過ごし、親交を結ぶ。また、メサ・プロブ教会が地球軍治安維持部隊に包囲された時も、恐れることなくヴァッシュを逃がそうとする父親に賛同する。

ドミナ

ピーセズ・オブ・ジ・アースに所属している自立種の女性。戦闘艦「アブレイブスⅡ」の制御を担当しており、有事の際には前線で戦う。感情豊かでお調子者な一面があり、親友のクロニカに軽口を叩いたり、逆に彼女の思い切った行動に面食らうこともしばしば。判断力こそクロニカには及ばないが、危機に陥った時ほど冷静に立ち返って物事を考えることができ、いざという時のクロニカから高く評価されている。ノーマンズランドへの救援にも同行し、その障害となるミリオンズ・ナイブズに対してクロニカが先制攻撃を仕掛けるところを見守る。だが、戦いの中でナイブズの融合に巻き込まれて思考する間もなく意識を奪われ、回復の見込みがなくなってしまう。このことはクロニカを強く悲しませ、彼女がナイブズを強く敵視する原因の一つとなる。

ジョーの相棒 (じょーのあいぼう)

ミカエルの眼に所属している暗殺者の青年。相棒のジョー・トゥースと共に活動しており、移動時は彼のバイクに同乗する。傲慢かつ多弁なお調子者ながら、ジョーに対しては強い仲間意識を持ち、無口な彼とも問題なく意思疎通ができる。ジョーとは対照的に華奢(きゃしゃ)な体型だが、戦闘時は強化薬を首筋に打ち込むことで全身の筋肉が肥大化し、敵対する人間たちを建物ごとバラバラに粉砕するほどのパワーを発揮する。ミカエルの眼の内紛にかかわっており、対立するマスター・チャペルを暗殺するために、彼らが呼び出されたGUNG-HO-GUNSのアジトへと向かう。そして、関所を構えて通行を妨害していたミリオンズ・ナイブズの信奉者ジョーと共に強化した身体を活かした格闘で軽々と皆殺しにするが、さらに進んだ先のトンネルでリヴィオ・ザ・ダブルファングの襲撃を受ける。

先生 (せんせい)

隠れ里出身で医者を務めている男性。小柄な体格の禿頭で、飄々(ひょうひょう)とした性格で他者をけむに巻くことが多い。ヴァッシュ・ザ・スタンピードとは長い付き合いで、彼が自立種であることも知っている。ミス・ルイーダとも親しく、旅先で見聞きしたことを彼女に伝えることもある。フィフス・ムーン発生後にヴァッシュが行方不明になってもその生存を確信しており、往診を兼ねてブラドと共にヴァッシュが訪れたとされる街を巡り、その中で彼が生存していることを確認する。その後はブラドと共に隠れ里に戻り、ヴァッシュの生存を仲間たちに伝える。のちにレオノフ・ザ・パペットマスターとグレイ・ザ・ナインライヴズに隠れ里が襲撃されるが、ルイーダやブラドと共に住民たちの避難を手伝い、ヴァッシュとニコラス・D・ウルフウッドの救援によって無事に生き延びる。

ジェシカ

隠れ里出身の少女。幼い頃によく遊んでもらっていたヴァッシュ・ザ・スタンピードにあこがれ、やがて恋心を抱くようになる。かつてブラドから思いを寄せられていたが、ヴァッシュの存在を理由に告白を断ってしまう。ヴァッシュが旅立ってからも彼のことを考えながら過ごしていたが、ある日、レガート・ブルーサマーズの指令を受けたレオノフ・ザ・パペットマスターとグレイ・ザ・ナインライヴズに隠れ里を襲われ、仲間たちにうながされひそかに逃げ出すも、道中で意識を失い、メリル・ストライフとミリィ・トンプソンに救助される。やがてレオノフとグレイが敗北すると、メリルたちに連れられて平和になった隠れ里へと帰還し、念願であったヴァッシュとの再会を果たす。それだけに、彼が誰にも言わずに旅立った時は一日中泣くほどの心の傷を負うが、やがて隠れ里で彼の帰還を信じて待つことを決める。

ポロ家の四男 (ぽろけのよんなん)

プラントの所有権を巡ったトラブルに巻き込まれている名家「ポロ家」出身の青年。権力を笠に着て悪事を働く外道で、かつて「アイリーン」と呼ばれる女性を惨殺したこともある。このことから、アイリーンの父親から憎悪を向けられている。一方で、家族ぐるみでプラントにかかわる騒動に携わっており、やがて搭乗していた蒸気機関車をルラウドやアイリーンの父親にジャックされ、人質として利用される。ヴァッシュ・ザ・スタンピードの介入により、ルラウドたちが制圧されるものの、唯一行動可能だったアイリーンの父親から娘の仇(かたき)として銃殺されそうになる。だが、ヴァッシュの身体を張った説得が功を奏して、見逃される。

リィナ

「エリクス」と名乗っていたヴァッシュ・ザ・スタンピードが、滞在していた街で暮らしている少女。年齢は12歳。祖母のシェイルと共に酒場を営んでいる。手先が器用で、ヴァッシュの散髪を担当したことがある。年相応におてんばかつ好奇心旺盛な性格で、塞ぎこんでいたヴァッシュに声をかけて親しくなるなど、心優しい一面を持つ。また、シェイルのような大人たちからも好かれているほか、ヴァッシュとも2年のあいだですっかりなかよくなる。ある日、無法者たちの怒りを買って彼らのリーダーである偽物のガンマンの手によって囚われの身となるが、ヴァッシュによって助けられる。だが、その中でヴァッシュがニコラス・D・ウルフウッドと合流し、事件解決後に旅立つことを聞かされる。これに対して幾ばくかの悲しみを覚えるも、必ず戻って来るという言葉を信じて彼を見送る。その後は、ヴァッシュに脅される形でボディガードとなったハゲ豚と次第に打ち解けていき、箱舟を巡る未曽有の危機の中でも生き残る。そして、メリル・ストライフとミリィ・トンプソンに密着取材を受けるヴァッシュの姿を見て、安堵(あんど)の表情を見せる。

ゴムズ

ギャングの一団を率いている男性。異形といえるほどの大柄な体軀で、ハゲ豚やグレイ・ザ・ナインライヴズと同じように、右腕を武器に改造している。資金調達の手段として賭博を主催しており、時には堅気の人間に対しても賭けを持ち込むことがある。しかし、賭博にはイカサマを仕込んでおり、ゴムズ自身にとっては、何も知らない市民から体よく金を奪うための手段でしかない。街で宿屋を営んでいるホランドにイカサマを仕掛けた結果、彼に多額の借金を負わせることに成功し、さらに借金の担保として彼の妻を連れ去ってしまう。やがてアジトに乗り込んできたホランドが、イカサマを指摘して妻を取り戻そうとすると、開き直ったうえで彼を殺害しようとするが、ロブとヴァッシュ・ザ・スタンピードに阻止される。この行動にメンツを潰されたと考え、のちに彼らを襲撃しようとする。だが、そこに現れたニコラス・D・ウルフウッドからパニッシャーの銃撃を受け、失敗に終わる。

マードック

保安官を務めている青年。ゴロツキを懲らしめて平和を維持する保安官の職務に誇りを持っている一方で、気に入らないことがあると人目をはばからず憎まれ口をたたく悪癖を持つ。ブランドン・マーロンのガンスミスとしての腕を高く評価している。市民を守るためには強い武器が必要であると認識しており、マーロンがヴァッシュ・ザ・スタンピードの愛用する銃のメンテナンスを引き受けた時は、保安官である自分を差し置いて最新の銃を貸し与えたところを見て、憤慨する。インヤンブラザースがギャングの集団を率いて街を襲撃した時は、単身で挑みかかる。それを見越して地面の中に潜っていたイングウェイの手下に虚を突かれるが、ヴァッシュに助けられてインヤンブラザースの捕獲に成功する。だが、その夜にゴドーに襲われ、インヤンブラザースを奪還されてしまう。その翌日、ゴドーとインヤンブラザースが気絶した状態で、保安事務所付近に転がっているのを発見するが、それがヴァッシュの仕業であることは、本人が伏せたこともあり知らないままでいる。

集団・組織

GUNG-HO-GUNS (がんほーがんず)

『トライガン・マキシマム』に登場する組織。ミリオンズ・ナイブズに選ばれた12名からなる異能戦闘集団。それぞれ魔人と読んでも差し支えないほどの異常とも言える戦闘能力を有しており、メンバーには1~12までのナンバーが与えられている。また、ロストナンバーとして13番が与えられたエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルも存在。

ミカエルの眼 (みかえるのめ)

『トライガン・マキシマム』に登場する組織。ミリオンズ・ナイブズを崇拝する宗教色の色濃い暗殺者集団で、所属するメンバーは十字架を模した武器を使用する。各地の孤児をスカウトして暗殺者として育成。外科的手術や薬物投与によって身体能力を向上させたり、感覚器官を鋭敏化させて異形の暗殺者に仕立てるなど、人の道に外れた所業を行っている。 なお、ミカエルの眼からGUNG-HO-GUNSのメンバーとして3人が選出された。

地球軍治安維持部隊 (ちきゅうぐんちあんいじぶたい)

ノーマンズランドの治安を維持するために派遣された、地球人の部隊。3対の脚を持つ戦車を主戦力としている。総じてプライドが高く、現地の人を見下すことが多い。さらにメンツを保つために情報操作を行うこともあることから、ノーマンズランドの先住民からは「地球民」と呼ばれて嫌われており、カリートの父親からも快く思われていない。ピーセズ・オブ・ジ・アースに手痛い被害を与えたミリオンズ・ナイブズと、彼を連れていずこかへと去ったヴァッシュ・ザ・スタンピードを敵視しており、彼らの指名手配を行ったうえで追跡する。やがてカリートの父親にかくまわれていることを知ると、見失ったと偽りの情報を発表し、秘密裏に処理しようとする。だが、賞金稼ぎたちに妨害されたうえ、その様子をメリル・ストライフやミリィ・トンプソンに中継され、目論見は失敗に終わる。

ピーセズ・オブ・ジ・アース

太陽系を拠点とした航宙艦隊の一つ。救難活動を目的としており、発信されたSOSをキャッチしてノーマンズランドに派遣される。救難用の部隊でありながら、旗艦となる「ナムドライフ」を中心に「アブレイブスⅡ」といった最新鋭の航宙艦がそろっており、その戦力はノーマンズランドの憲兵隊をはるかに上回る。また、救難対象の星の住民たちと接触し、その現状を探る目的を持つ「特別隠密接触部隊」が組織されている。クロニカやドミナなど、複数の自立種が乗り込んでおり、艦の制御は彼女たちが単独で行っている。その上空にいたミリオンズ・ナイブズと交戦状態となる。数多のプラントと融合したうえ、ドミナと思考を融合させて動きを読み切った彼に翻弄されるが、ドミナの敵討ちに執心するクロニカが追いすがり、パンセがメリル・ストライフやミリィ・トンプソンと共にプラントを説得するための準備や、ヴァッシュがレガート・ブルーサマーズと戦う猶予を作るなど、いい影響を及ぼす。ヴァッシュとナイブズが和解すると改めて救難活動を行い、プラントに頼らざるを得なかったノーマンズランドの滅亡と衰退に歯止めをかけた。このことから、住民たちからは救い主として敬われており、カリートからはあこがれの感情を向けられる。

スーパーアルティメットタイガーファミリー

カルカサスで悪事を働くならず者の集団。マスター・チャペルやリヴィオ・ザ・ダブルファングに雇われ、彼らと共にメラニィが営む孤児院を占拠する。孤児たちに対して親がいないコンプレックスを嘲笑(あざわら)ったり、面白半分で殺害しようとした。さらに、仲間が殺害されれば分け前が増えると考えるなど、団員たちの人間性は下劣そのもの。また、機械化した身体に頼り切った戦いしかできず、戦闘能力もミカエルの眼のメンバーには到底及ばない。リヴィオやマスターにとってはあくまでウルフウッドをおびき出すためのエサに過ぎず、実際に現れたウルフウッドに手も足も出ないまま圧倒される。最後に残った団員が、悪あがきとばかりに孤児院に向けてミサイルを発射するも、仲間であったはずのリヴィオに阻止されてしまう。

場所

トニムタウン

ノーマンズランドに存在する街の一つ。一夜にして住民が一人残らずいなくなり、死体なども残っていないことや、街の中心地にあるモニュメントに大きくミリオンズ・ナイブズの名前が記されていることから、周囲の地域では大騒ぎになる。この噂を聞きつけたヴァッシュ・ザ・スタンピードとニコラス・D・ウルフウッドは、ナイブズの手がかりがあるのではないかと考え、当初の目的地の一つに設定する。だが、たどり着いた先にはメッセンジャー役の雷泥・ザ・ブレードが待ち構えており、なし崩し的に交戦させられる。

龍津城砦 (りゅうつじょうとりで)

ノーマンズランドに存在する街の一つ。複数の砦が集まって誕生した集落で、複雑な構造をしている。ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークとホッパード・ザ・ガントレットがアジトとして利用し、ザジ・ザ・ビーストがさらってきたメリル・ストライフを人質としてヴァッシュ・ザ・スタンピードをおびき出す。その構造上、音で敵を攻撃するミッドバレイにとっては有利な場所で、ヴァッシュやウルフウッドに苦戦を強いる。さらに、ミッドバレイがいざという時に敵をまとめて葬るべく、先んじて爆弾を仕掛けていたことがのちに判明する。

ノーマンズランド

地球からはるか遠くにある、砂に覆われた惑星。複数の太陽に照らされているうえに雨が降らないという環境から、移民にはまったく適さない星であったが、ミリオンズ・ナイブズが企てた移民船団の墜落を機に、乗組員であった人物がこの場所で生きていくことを余儀なくされる。各地に墜落した艦は「シップ」と呼ばれ、各地に作られた街の中枢となっている。シップに搭載されていたプラントを利用することで生活の基盤を作り、星の周囲に複数の人工衛星を打ち上げて情報網を組み上げ、かろうじて人間が生存できる環境が整う。ただし、インフラストラクチャーがほぼプラントのみとなっていることから、その所有権を巡る争いが各地で勃発する。また、過酷な環境から暴力や略奪が横行しているなど、治安も悪い。人類が流れ着いてから150年ほどは大きな争いこそなかったが、水面下では人類の滅亡を企てるナイブズと、それを阻止しようとするヴァッシュ・ザ・スタンピードが暗闘を繰り広げており、やがてロスト・ジュライやフィフス・ムーンといった大事件が立て続けに発生する。さらにナイブズが、箱舟を利用して世界中のプラントを奪取し始めたことで、人類滅亡の危機が訪れる。

隠れ里 (かくれざと)

ノーマンズランドに存在する街の一つ。レム・セイブレムが所属していた艦隊の宇宙船がほぼ完全な形で残っており、重力プラントから放たれる反重力が砂漠の砂を巻き上げて目くらましの役割を果たし、100年以上にわたって誰からも発見されずにいた。ミス・ルイーダや先生、ジェシカなどの故郷で、ヴァッシュ・ザ・スタンピードも数十年にわたって滞在し、彼らと交流してきた。だが、そのことに目をつけたレガート・ブルーサマーズが、ヴァッシュを苦しませるという理由から、グレイ・ザ・ナインライヴズとレオノフ・ザ・パペットマスターを派遣して襲撃させる。その結果、全人口の3割の命を奪われるが、駆けつけたヴァッシュやニコラス・D・ウルフウッドによってグレイとレオノフが退けられ、平和が戻る。

カルカサス

ノーマンズランドに存在する街の一つ。周囲が谷に囲まれており、進入するには1本だけ掛けられている橋を渡る必要がある。メラニィが営む孤児院があり、ニコラス・D・ウルフウッドやリヴィオ・ザ・ダブルファング、ジャスミンにとっては故郷ともいえる場所。ミカエルの眼の息がかかっているが、住民たちはこのことに長らく気づいていなかった。ある時、マスター・チャペルとリヴィオが、スーパーアルティメットタイガーファミリーと共に孤児院を占拠し、ウルフウッドを苦しめようと目論む。だが、彼とヴァッシュ・ザ・スタンピードの活躍で失敗に終わり、戦いの中で命を落としたウルフウッドの墓が立てられる。その後、ナイブズが箱舟でプラントを吸い上げようとするが、ヴァッシュがA・ARMの力を発揮して抵抗すると、それに気づいたナイブズから見逃される。

イベント・出来事

フィフス・ムーン

かつてノーマンズランドで発生した災厄の一つ。地表から巨大な光の柱が上がり、月に巨大な穴が空いたという事件で、その様子からのちに「フィフス・ムーン」と名づけられる。事件の引き金となったのは、ロスト・ジュライと同様にヴァッシュ・ザ・スタンピードが持つA・ARMで、ロスト・ジュライの再現を目論むミリオンズ・ナイブズに強制的に活性化させられると、街を吹き飛ばすように仕向けられる。だが、ヴァッシュが必死に抵抗した結果、A・ARMの力は街ではなくその上空に放たれる。このため、月に激突こそしたもの街に大きな被害が及ぶことはなく、ロスト・ジュライの二の舞は避けられた。

ロスト・ジュライ

かつてノーマンズランドで発生した災厄の一つ。「ジュライ」と呼ばれる大都市で白昼に原因不明の大爆発が発生し、住民のほとんどが消滅したという事件で、発生した場所の名前から「ロスト・ジュライ」と名づけられる。その原因は、ジュライに滞在していたヴァッシュ・ザ・スタンピードが、遭遇したミリオンズ・ナイブズに敗れて昏倒した際に、ナイブズとビル・コンラッドによってA・ARMを付与され、それが暴発したためである。また、その力をまともに受けたナイブズも瀕死の重傷を負い、フィフス・ムーンが発生するまでのあいだ身動きが取れなくなる。この事件は、ヴァッシュが自責の念に苛(さいな)まれる原因の一つになったほか、恋人を失ったホッパード・ザ・ガントレットがGUNG-HO-GUNSに加入したり、息子と孫を失った老婦人がジャスティンにヴァッシュの始末を依頼するなど、さまざまな悪影響を引き起こす。

その他キーワード

プラント

巨大な電球のような形状の装置。中に天使のような姿の生体ユニットが組み込まれている。この力を発動させることで、あらゆるものを物理法則を無視して生み出すことが可能。ただし、その力は有限であり、生体ユニットは徐々に疲弊していく。もともとは地球からの移民船の動力源として使われており、現在は砂漠だらけのノーマンズランドで人々が生活するための物資を生産する装置として利用されている。 そのため巨大な街には、「シップ」と呼ばれる移民船の残骸とプラントが必ず存在する。管理技術が失われていることから、プラント自体を新たに作ることができず、プラントが失われることは人類が滅びることに直結する。事実、人間を滅ぼしてプラントだけの世界を作り上げることを目論むミリオンズ・ナイブズは、すべてのプラントと融合することで人間を滅ぼそうとする。生体ユニットは基本的にプラント内でしか生きることができないが、稀にプラント外でも生存できる自立種が誕生することがある。 また、ほとんどの生体ユニットや自立種は女性で、ヴァッシュ・ザ・スタンピードやナイブズといった男性型のプラントは非常に珍しい。

砂蟲 (わむず)

ノーマンズランドに人類が現れる以前から存在していた虫型の生物。ニコラス・D・ウルフウッドからは「砂漠虫」とも呼ばれている。敵の動きを封じるための毒を生成したり、体内に寄生してあやつるなど、さまざまな能力を持つ。150年前に人間が住み着くようになってからも、彼らやプラントをやみくもに敵視することはなく、基本的に無害な存在と認識されている。実際に遭遇したヴァッシュ・ザ・スタンピードやウルフウッドからも、半ば風物詩のような扱いを受けていた。人間やプラントに負けないほどの高度な知識を有しており、彼らと共存できるかどうかを確かめるために意識を司(つかさど)る端末であるザジ・ザ・ビーストを作り上げ、GUNG-HO-GUNSに差し向ける。そして最終的に、危険な思想を持つナイブズ以外のプラントと共存する方針を示し、GUNG-HO-GUNSとナイブズをまとめて処分する計画が立てられる。だが、ザジがレガート・ブルーサマーズに敗れ、振りまいた毒もナイブズに吸収されたことで、計画は失敗に終わる。種族としてのその後の安否は不明だが、砂蟲に寄生された男への呪縛が突然解けたことから、リヴィオ・ザ・ダブルファングからはなんらかの重大な事態に見舞われたと推測される。

トールハンマー

ピーセズ・オブ・アースに所属する戦艦である「ナムドライフ」や「アブレイブスⅡ」に搭載されている、主砲用の弾頭。正式名称は「コードNO.W44D+」。対プラント兵器の中でも最強の威力を誇り、直撃した場合は戦艦さえも容易に撃沈できるほど。数多のプラントを吸い上げたミリオンズ・ナイブズに脅威を覚えたクロニカの判断で、先制攻撃を行うために用いられる。だが、ドミナと融合することで思考をジャックすると、ワープを用いて回避される。さらに操作されたドミナが、アブレイブスⅡからナムドライフにトールハンマーの照準を合わせたため、ピーセズ・オブ・アースは一転して大きな危機に見舞われる。

A・ARM (えいんじぇるあーむ)

特殊な処置を受けた自立種が右肩から発生させられる翼状の器官。ロスト・ジュライやフィフス・ムーンが発生した元凶でもある。弾丸を受け止めるほど頑強であるうえ、暴走することで凄まじい規模のエネルギーが発生し、街一つを破壊したり月に穴を開けたりと、凄まじい威力を発揮する。使用者によって発現の仕方が大きく異なり、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがエネルギーを放出したり、弾丸に力を込めて使用するのに対し、ミリオンズ・ナイブズは巨大な刃に変化させて戦闘を行う。なお、この力を発揮したのはヴァッシュとナイブズのみで、クロニカやドミナはいっさい使用しなかった。

パニッシャー

ミカエルの眼で開発された、十字架のような形状の重機関銃。並の銃器をはるかに上回る弾数、弾速を誇るうえにロケットランチャーも内蔵されており、使用者次第では武装集団を一人で殲滅することすら可能。また、非常に頑強な造りになっていることから、銃弾を防ぐ盾として利用することも可能。ただし、サイズが大きいことから接近戦には不向きで、使用の際には距離を取ることが求められる。ミカエルの眼でもわずか10丁しか存在しておらず、ニコラス・D・ウルフウッドやラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスといった凄腕の使い手にのみ与えられる。中でもラズロは、両手と頭部に仕込まれている義手に合わせて3丁ものパニッシャーを所持しており、「トライパニッシャー・オブ・デス」の由来となっている。しかし、ラズロの所持していたものはウルフウッドとの戦いですべて破壊され、ウルフウッドが所有していたパニッシャーも、命を落とした彼をヴァッシュ・ザ・スタンピードが弔う際に墓標として用いられる。

自立種 (いんでぺんでんつ)

自分の意思で行動および学習が可能なプラントの総称。ヴァッシュ・ザ・スタンピードやミリオンズ・ナイブズのほか、テスラ、クロニカ、ドミナが該当する。見た目はふつうの人間と変わらないが、わずかな期間で青年まで成長するほか、老化が極めて遅いという特徴を持つ。また、特殊な処置を施すことで肩からA・ARMを発生させることができる。無機物を自在に操作することも可能で、ナイブズやクロニカ、ドミナは本来なら複数のクルーで動かす必要のある戦闘艦を手足のようにあやつれる。地球では技術的に停滞していたノーマンズランドと異なり、プラントの研究が大きく進んでおり、その存在も広く認知されている。そのため、地球生まれの自立種であるクロニカやドミナは、人間との円滑なコミュニケーションが取れるほか、黒髪化への対策がなされている。ただし、ほかのプラントと融合する能力は、人間や自立種の双方に危険が伴うことから制限がかけられている。ふつうのプラントと同様に有機物の生産も可能で、ナイブズはこの能力を使ってリンゴの樹を作り出したことがある。

次元斬一刀流奥義・二重星雲 (じげんざんいっとうりゅうおうぎ ふたえねびゅら)

雷泥・ザ・ブレードが使用する技の一つ。「ムラサメ」と呼ばれる刀を2度回すように振り抜き、前方の敵を両断する。繰り出される斬撃の軌道はあまりに速く、銃を持つ相手すら寄せ付けないほど。ヴァッシュ・ザ・スタンピードとの戦いでも猛威を振るい、彼の持つ銃の弾倉がなくなる事態にまで追い込む。だが、軌道を見切ったヴァッシュが銃のグリップにロープをつなぐと、追撃の際にロープに身体が巻き込まれ、そのスキを突いた彼に刀を叩き落とされる。

次元斬一刀流闇奥義・彗星突 (じげんざんいっとうりゅうやみおうぎ すいせいとつ)

雷泥・ザ・ブレードが使用する技の一つ。「ムラサメ」と呼ばれる刀の柄に搭載されているグリップを握ることで、柄から刃の部分を切り離し、銃弾のように射出する。一度外せば剣士として無力化するうえ、剣技とは程遠い技であることから、雷泥自身は禁じ手として滅多なことでは使わないよう心がけてきた。だが、ヴァッシュ・ザ・スタンピードに次元斬一刀流奥義・二重星雲が破られ、二度と刀を持たないよう言い聞かせられると自分の中の拒否感が爆発し、使用を決意する。しかし、それを見抜いていたニコラス・D・ウルフウッドから銃撃されたため、発動には至らなかった。

ラスト・ラン

寿命を迎えて死にかけているプラントに刺激を与え、その命と引き換えに引き起こされる最後の大生産。その存在は外部には極力伏せられており、ミリオンズ・ナイブズも150年ほどノーマンズランドを巡りながら、このことをまったく知らなかった。人類がプラントを消耗品扱いしている証拠の一つでもあり、これを目の当たりにしたナイブズは、ますます人類への怒りと失望を深めてしまう。

強化薬 (きょうかやく)

ミカエルの眼で開発された薬品。直接飲用するタイプと、自らに注射するタイプが存在する。名前どおりに使用した相手を、劇的に強化する効果がある。効果の度合いや方向性は人によってさまざまで、ジョーの相棒の場合は細身だった身体が筋骨隆々になるなど、見た目が変化する場合もある。もっとも基本的かつ強力な特徴の一つに、自己再生能力の増強が挙げられる。これは心臓や脳が破壊されない限り、あらゆる傷を瞬時に回復するもので、ニコラス・D・ウルフウッドやリヴィオ・ザ・ダブルファング、ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスは、敵との戦いで明らかに致命傷となる傷を負いながらも、瞬時に再生して追いすがるという、人間離れした動きを見せる。ただし副作用も相当なもので、マスター・チャペルは長きにわたって使い続けてきた結果、全盛期ほどの力が発揮できなくなったほか、強化薬の再利用も不可能になっている。なお、ウルフウッドはラズロとの戦いで2本同時に服用し、それを見たマスターから「身体が爆発する」と警告された。その結果、ラズロからの執拗な攻撃にも耐え得るほどの強靭な肉体を獲得するが、爆発こそ抑えられたものの凄(すさ)まじい熱を帯びてしまい、やがて命を落とす原因となる。

黒髪化 (くろかみか)

自立種が力を使い過ぎることで発生する症状。A・ARMをはじめとしたプラントとしての力を酷使し続けることで、名前どおり髪の毛が黒く染り、すべてが染まり切った状態で力を使うと、身体が跡形もなく消滅してしまう。そのため、無限に力を行使することは本来不可能なのだが、これを回避する方法として、ほかのプラントと融合するという手段が存在する。なお、ビル・コンラッドはあたかも自分自身がナイブズやヴァッシュ・ザ・スタンピードに黒髪化をうながす処置をしたように発言していたが、実際は自立種の寿命のようなものであることが判明する。また、地球生まれのクロニカやドミナには、黒髪化を抑える処置がなされているが、プラントと融合することもできなくなっている。

箱舟 (はこぶね)

GUNG-HO-GUNSがアジトとして利用していた宇宙船の残骸を、ミリオンズ・ナイブズがプラントの力を使って自律稼働させることで誕生した航空艦。地球で作られた艦と同じように、動力にはプラントの力が用いられている。人類が生活するために必要となるプラントの生体ユニットを吸い上げてナイブズと融合させる機能を持つことから、ナイブズの目的である人類滅亡に大きく貢献すると見られている。これを裏付けるように、箱舟がプラントを吸い上げた地域は半月もたずに住民が死滅し、それが繰り返された結果、約半年でノーマンズランドの南半分が全滅するという事態に見舞われる。ニコラス・D・ウルフウッドの故郷であるカルカサスのプラントも奪おうとするが、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがA・ARMの力で抵抗したため失敗する。やがて、プラントを集め続けたことにより、艦隊から複数の翼が発生するなど異形化が進んでいく。その一方で、ナイブズと溶け合ったプラントの中に、所有者となった人間たちが善意を見せてくれたことや、何度拒絶されても人間を理解しようとするヴァッシュの生きざまを知ったことから、人間に好意を持っていた個体が少なからずいることが明らかになると、ナイブズに精神的な動揺が生まれ、その影響から次第に動きが鈍っていく。

前作

トライガン

今から遥か未来、人類は地球から遠く離れた砂漠の惑星に不時着し、その子孫は過酷な環境で暮らしていた。そこに現れたのは600億$$(ダブドル)の賞金首で、人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)と呼ばれる不... 関連ページ:トライガン

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