概要・あらすじ
201X年、地球に衝突しようとする小惑星の軌道を変えため、人類は月を破壊し消滅させてしまった。月を失ったことで気候変動が激しくなり人類は滅亡の危機に陥ってしまう。残された手段は新たな「月」を作り出すことだけだと、木星の第二衛星であるエウロパを切り取って地球へ運ぶという壮大なエウロパ計画が誕生した。
各国の優秀なメンバーを乗せて宇宙船は木星へと旅立ったが、そのメンバーの中には計画を阻止しようとする破壊工作員も潜入していたのだった。
登場人物・キャラクター
ジュディット・クローデル
ヨーロッパ宇宙機関に在籍する宇宙飛行士のフランス人女性。どんな苦境でもあきらめない判断力と行動力を備えている。母ディアーヌ・クローデルは、優秀な宇宙飛行士であったが小惑星回避作戦で月と共に犠牲となっている。母の人類を想う願いを受け継いでエウロパ計画に加わり木星へと向かう。
マーク・スタリオン
宇宙滞在経験のあるベテランアメリカ人宇宙飛行士の男性。エウロパ計画にカドモス・クルーの隊長として参加する。冷静沈着で優れた判断力で任務にあたるがアメリカのスパイではないかと疑われる。事故で妻を失くし、ひとり残された幼い娘がアメリカにいる。
フロスト博士 (ふろすとはかせ)
金髪を逆立てた理論物理学者のイギリス人中年男性。膜宇宙(ブレインワールド)理論を応用し、地球に近づく小惑星をナノ・ブラックホールで破壊しようとするが失敗し、その責任をエウロパ計画で果たそうとする。
ディアーヌ・クローデル
ジュディットの母親であり優秀な宇宙飛行士。月面から小惑星を破壊する任務にあたり、予想外の月消滅の事態と共に犠牲になる。ジュディットの不屈の強さはこの母親の「人類を守る」という意志を受け継いだものといえる。
シェル局長 (しぇるきょくちょう)
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の局長でフランス人。フロスト博士と共にエウロパ計画を提案した人物。宇宙船とコンタクトをとり地球の基地からエウロパ計画遂行への支持を与え見守る。
ゴドフ船長 (ごどふせんちょう)
ポイニクス・クルーの船長でロシア人。疑り深く、計画を阻止しようとするアメリカのスパイがいるという情報に、まっさきにアメリカ人であるマーク・スタリオンを疑い、ジュディットを混乱に陥れる。
リアロ船長 (りあろせんちょう)
キリクス・クルーの船長でイラク人。陽気で饒舌な男性。エウロパ計画の遂行中に、ブラックホールを作り出すためのヘリウム注入のトラブルでキリクス・クルーごと犠牲になる。
シュタイナー船長 (しゅたいなーせんちょう)
ハルモニア・クルーの船長でドイツ人のショートカットの金髪の女性。木星から切り離したエウロパを中継地点で受け継ぐ役割を担当する。
膜宇宙(ブレーンワールド)理論
世界は、上下・左右・前後という三つの方向の広がりを持つ空間という三次元空間と、時間の一次元からなる四次元時空と認識されているが、更に高次元が存在していると仮説し、現在の認識出来る四次元を膜と捕らえる理論。フロスト博士はこの理論を元に人工ナノ・ブラックホールを作り出そうとする。
場所
衛星エウロパ (えいせいえうろぱ)
『ムーン・ロスト』に登場する木星の第二衛星。ギリシャ神話に登場するフェニキアの王女エウロパにちなんで名づけられた。エウロパはユピテルに見初めて、牡牛の姿で近づいたユピテルに気を許し、その背に乗ったとたん海へ泳ぎだされ略奪されている。エウロパは、「月のように美しい」と言われヨーロッパの語源にもなったという。
その他キーワード
クルー
『ムーン・ロスト』に登場する、エウロパ計画に参加する宇宙船。マーク・スタリオンを船長とするジュディットの乗るカドモス・クルー、リアロ船長のキリクス・クルー、ゴドフ船長のポイニクス・クルーの三隻が木星へ向かう。その他、中継地点でエウロパを誘導するためのシュタイナー船長のハルモニア・クルーが登場する。
人工ナノ・ブラックホール (じんこうなの・ぶらっくほーる)
『ムーン・ロスト』に登場する、フロスト博士の膜宇宙仮説に基づき、粒子加速器によって粒子を衝突させ、大きな重力を発生させることでつくりだすナノ単位のブラックホール。
ユピトロン
『ムーン・ロスト』に登場する、粒子加速器の名称。フロスト博士の膜宇宙仮説に基づき人工ナノ・ブラックホールを大量にぶつけることで衛星エウロパを木星から切り離すための装置。
エウロパ計画 (えうろぱけいかくk)
『ムーン・ロスト』に登場する、人工ナノ・ブラックホールを大量にぶつけることで衛星エウロパを木星から切り離し、それを地球に運んで衛星として定着させ新しい月にしようとする計画。