概要・あらすじ
2歳の幼児検診で知能面最高ランクをマークした紫苑は、理想都市NO.6の高級住宅地「クロノス」に住むことを許可され、エリート教育を受ける資格を得る。特別コースの学習でエリートコースを順調に進んでいた紫苑だったが、12歳の誕生日にネズミと名乗る少年を助けたことによってこの生活は一変する。
ネズミはVC(凶悪犯罪を犯した者)であり、NO.6に対してよくない者であったため、それを助けた紫苑は特別待遇をはく奪され、入ったら生きて出られないといわれる矯正施設に連行される。
運命と友情が交差する人々の物語が動き出す。
登場人物・キャラクター
紫苑 (しおん)
16歳、男子。市民番号Qw-55142。2歳の時に幼児検診を受け、知能面で最高ランクをマークしたため、母親と共にNO.6市内の高級住宅地「クロノス」に住む許可を得る。12歳で特別コースに入学し、生態学(医学)を専攻。 エリートとしての将来を約束されていた。しかし、ネズミと名乗るVC(凶悪犯罪を犯した者)の少年を助け逃がしたために、市当局から特別待遇のすべてをはく奪され、母と共にロストタウンに移り住む。 そしてこの4年後、ネズミと共に西ブロックへ逃走することになる。人付き合いが苦手なマイペースで、興味を持ったことには好奇心をむき出しにする。お人好しの天然ボケである。
ネズミ
本名は不詳。長い髪を後ろでひとつにまとめている少年で、歳は紫苑と同じくらい。番号VC-103221。NO.6市内の外に存在するスラム街西ブロックに住んでおり、「イヴ」という名前で劇場の舞台に立ち美しい歌声を披露している。 運動神経がよく頭脳明晰、危険を察知する勘もよく、戦闘ではナイフを使用する接近戦が得意。幼い頃、NO.6の手により家族や仲間を殺されたことで、NO.6には憎悪を隠さない。 「森の民」部族の出身で、一族唯一の生き残りである。クールで冷静沈着、少々皮肉屋で、人をからかうのが好き。
沙布 (さふ)
紫苑の幼馴染の少女。市民番号SSC-00124GJ。2歳の検診で知能面が最高ランクと認定され、祖母とふたりでNO.6の高級住宅街「クロノス」に住み、10歳まで紫苑と共に学んでいる。特別コースで生理学(主に脳の機能など)を専攻し、優秀な成績を収める優等生。 16歳で交換留学生として他の都市NO.5に赴くが、NO.6に戻った時、紫苑の失踪を知る。紫苑には想いを寄せているが、彼は気づいていない。
イヌカシ
理想都市NO.6の外にある西ブロックの住人で、ネズミの知人。年齢、性別、本名は不明だが、女性ではないかと噂される。褐色の肌に、腰までの長い髪。赤ん坊の頃から犬に育てられたため、犬の言葉がわかり、気持ちが理解できる。 この能力を使い「情報屋」として活動しており、また、宿と犬を貸す「犬貸し家」を仕事としている。
力河 (りきが)
NO.6の外にある 西ブロックの住人で、元新聞記者。現在はアルコール中毒で酒浸りである。NO.6の高級官僚を相手に売春の斡旋をししているため、西ブロックに住んでいても金回りがいい。 また、顔が広いため情報をつかみやすく、紫苑やネズミに世の中の動きを流している。紫苑の母・火藍とは昔なじみの知り合いで、紫苑が彼女の息子とわかると彼に力を貸すようになる。
火藍 (からん)
紫苑の母であり、女手一つで彼を育てている。ネズミの一件でNO.6の高級住宅地「クロノス」からロストタウンに移り住んだが、そこでもめげることなくパン屋を営み人気を呼んでいる。NO.6設立当時を知るひとりであり、西ブロックの力河は、その当時の知り合いである。 犯罪を犯した者を収容する矯正施設へ紫苑が連行されたことにショックを受けるが、ネズミからの「再会を必ず」というメモを心の支えとして生活する。
楊眠 (ようみん)
中年の男性で、ネット記者。食べ物や季節の行事などの娯楽情報を全エリアにネット配信している。姪の莉莉がパンを買いに来ていたことで紫苑の母・火藍と知り合い、取材を申し込んでいる。莉莉の父親が不自然な死に方をしたことから理想都市NO.6の運営体制に疑問を抱き、手を入れる機会を狙っていた。 ネットワーク仲間と多くの情報や秘密を共有している。
莉莉 (りり)
ネット記者楊眠の姪。短めの髪のツインテールをした少女。ロストタウンで火藍が営むパン屋の小さなお得意様。妊娠中の母の代わりにパンを買いに来る。