RADIANT

RADIANT

少年魔法使いのセトが暮らす世界「ファレノス」は、空から落ちてくる謎の怪物のネメシスに脅かされていた。セトはすべてのネメシスを倒すため、ネメシスの巣があるという「ラディアン」を目指す。2013年から開始されたトニー・ヴァレントのフランスの冒険ファンタジーコミックで、2015年から邦訳版が刊行されている。

正式名称
RADIANT
ふりがな
らでぃあん
作者
ジャンル
バトル
 
魔法使い・魔法少女
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あらすじ

第1巻

魔法使い見習いの少年のセトは、師匠のアルマと共に旅をしている。ある日、ポンポ・ヒルズ21番島を訪れたセトは、家畜を人類の敵であるネメシスとまちがえて攻撃してしまう。ネメシスに対抗できるのは「ファンタジア」という力を使える魔法使いのみだったため、セトは積極的にネメシスに戦いを挑むが、いつも失敗してはトラブルを起こしていた。翌日、セトはネメシスの卵を発見する。卵を破壊すればネメシスを倒せると考えたセトはすぐに攻撃を開始するが、これが卵を刺激してしまい、ネメシスが孵化してしまう。そしてセトは現場に駆け付けた、ドン・ボスマンをはじめとする魔法使い四人組「ブレイブ・カルテット」と共に戦うことになる。しかしドンたちの真の目的は、ネメシスを倒すことではなく、人間たちの味方のふりをして彼らをだまし、金品を奪うことだった。裏切られたことを知ったセトは怒り狂い、住民たちに自分は敵ではないことを知ってもらうために、一人でネメシスと戦う。そして最終的にアルマが助けに入ったこともあり、セトはネメシス退治に成功するのだった。こうして事件は解決するが、セトは平和のためには、ネメシスが襲来するたびに倒すのではなく、ネメシスの巣そのものを叩く必要があると考えるようになる。

第2巻

セトは、ネメシスの巣「ラディアン」を破壊する魔法使いになるため、アルマの勧めで「アルテミス学院」という研究機関に入院した。そこで、アルマの知人であるヤガに弟子入りしたセトは修行を始め、まずは魔法の手袋をしてファンタジアをあやつる方法を学ぶ。素手でファンタジアをあやつるのはセトの特殊能力なのだが、本来魔法は手袋や武器を通して使うものであるため、それを秘密にしなくてはならなかったのである。そんなある日、手袋を破ってしまったセトは、お金を稼ぐためにメリの勧めで、ネメシス狩りの仕事を始める。そこでセトはメリと情報屋のドクの三人で、ランブル・タウンへ向かう。ここでは最近、住民の謎の蒸発事件が多発しており、ドクはこれをネメシスの仕業と考えたのである。三人は到着して早々ネメシスを発見し、戦闘を始めるが、その途中でセトは謎の魔法使いのグリムに出会う。しかし彼にはすぐに逃げられてしまい、ネメシス退治にも失敗した三人は、ネメシスに遭遇したタジ・ゼドから話を聞く。こうしてネメシスの居所をしぼった三人はネメシスの生け捕りに成功するかと思われたが、そこで再びグリムが現れ、ネメシスを殺して去っていく。またも失敗してしまった三人は意気消沈するが、ネメシスの体についていた印から、セトとドクはネメシスが何者かにあやつられて動いているらしいことに気づく。

第3巻

ランブル・タウンにいるネメシスは、魔法使いの女性であるハーメリーヌのフルートにあやつられて行動していた。姿を現したハーメリーヌは「時計地図」と呼ばれる塔の鐘を落とすことで、北通りの移民たちを殺害しようとする。しかし、街の守護者であるはずのコンラッド・ド・マルブールは、これを邪魔な移民たちを殺すチャンスだと言って、動こうとしない。移民たちを救うには、現在封鎖されている北通りから埠頭に向かう扉を開けるしかない。そこでセトは、タジ・ゼドにこれを任せて自分はコンラッドと戦う。しかしまったく歯が立たず、とうとう鐘は落下してしまう。だが、その落下地点は北通りではなく、中央通りだった。ハーメリーヌは15年前に発生したランブル・タウン北東地区崩落事件を体験しており、これを企てたコンラッドと、住民たちに強い憎しみを抱いて生きていた。そこで数か月前、コンラッドが今度は鐘を落として移民たちを虐殺しようとしていることを知り、協力者のふりをして近づいたのだ。そして最終的に北通りではなく、街の重要な施設がある中央通りに鐘を落とし、住民たちの前でコンラッドの悪事をばらすことで復讐しようとしていたのである。ハーメリーヌはさらに住民たちも殺そうとするが、そこにグリムが現れ、二人の戦いが始まる。

第4巻

セトコンラッド・ド・マルブールを倒し、メリドク、そして協力関係となったグリムと合流した。しかし突如、セトの兄を名乗る男性のピオドンに連れ去られ、困惑する。そんなピオドンは、セトの頰に貼られた絆創膏を剝がせば、セトはより強力な力が得られることと、セトは今後どの勢力につくか考えるべきであることを告げて去っていく。一方その頃、メリは戦闘能力をなくしたドクを安全な場所に置いて、グリムと共にハーメリーヌと戦い始めていた。二人はハーメリーヌに苦戦するが、そこにセトが到着。セトとハーメリーヌは、一対一の戦いを通じて対話し、その中でセトはピオドンの質問を思い出す。そして今後、自分は「健常者」と呼ばれる魔法使いでない人々にも、「感染者」と呼ばれる魔法使いたちにも、魔法使いを狩る異端審問所にもつかないことを決意。そして自分の目的は、あくまで「ラディアン」を破壊することだとハーメリーヌに伝える。これに納得したハーメリーヌは、自分のネメシスをセトに託す。そして、この騒ぎを聞きつけてやって来た強力な異端審問官たちからセトをかばい、死亡するのだった。これを目の当たりにしたセトは怒り狂い、別人のようになってトルクと戦うが敗北。その危機を察してやって来たマスター・ロード・マジェスティの汽車に助けられ、メリたちと共にアルテミス学院に帰還するのだった。

第5巻

ランブル・タウンでの事件が解決し、セトメリドクと別れ、次は魔法使い騎士団のもとに向かう。魔法使い騎士団もまた「ラディアン」を探しているらしく、セトは何か手がかりを得られるのではないかと考えたのである。こうしてセトは再会したアルマに相談し、単身シファンディールの首都「カスラーン・マーリン」へ向かう。しかしほうきで飛んでいる途中、船にぶつかってパズ男爵のお腹の上に落ちてしまい、セトは彼ら「商人男爵」たちに魔法使い騎士団の一員とカンちがいされ、拘束されそうになる。慌てて逃げ出そうとするセトだったが、男爵たちは手強く、逃げる途中でケガを負ってしまう。そんなセトを助けたのはグリムだったが、彼はセトに道を教えるとあっさり姿を消してしまう。その後、セトはどうにかカスラーン・マーリンに到着し、偶然メリとドクに再会する。しかしなぜかメリは冷たく、セトは一人で情報を集めることになる。そしてセトは、街で知り合ったミルディンという謎の老人に導かれ、訳もわからぬまま、魔法騎士志願の少女のオコホとコンビを組んで、魔法騎士志願者として働くことになるのだった。

第6巻

セトが魔法騎士志願者となってしばらくが経ち、セトは毎晩同じ通路の夢を見るようになっていた。そこでセトは情報を集めるため、カスラーン・マーリン城内に侵入するが、気づけば謎の部屋にたどり着いていた。そして、そこにいた謎の魔法使いのディアバルに襲われ、バリアの中に閉じ込められてしまう。さらにセトは、外に巨大な自分の影が発生したことに気づく。最近カスラーン・マーリン周辺に発生する「スペクトル」と呼ばれる巨大なネメシスの正体は、たった今セトがかけられた、人を実際よりもずっと大きく投影させる魔法によるものだったのである。一方その頃、オコホメリら魔法騎士志願者は、スペクトルを倒すために出撃していた。しかし二人は、すぐにそれがセトと同じ姿をしていることに気づく。だが、すぐにスペクトルは消えてしまい、不審に思った二人はドクと合流して、三人でセトを捜すことにする。対するセトは、投影魔法の範囲外に出ることで自分のスペクトルを消したものの、ディアバルの攻撃を受けて大ケガを負っていた。さらにそこで「ランブル・タウン」での戦いのように正気を失い、別人のようになってしまうのだった。しかしそんなセトをミルディンが救い、セトのファンタジアの痕跡を追ってやって来たメリたちも合流。一行はカイルトの森の中で、セトの治療を始める。

第7巻

セトは、自分の体を乗っ取ろうとする謎の存在「居候」を克服するため、ミルディンの協力を得てカイルトの森で修行を始めた。「居候」は以前、ピオドンがセトに植え付けたものだが、危険な上に謎だらけだった。しかし、カイルトの森には人間がおらず、外と時間の流れ方も違うため、修行には最適だったのである。一方その頃、オコホメリは魔法騎士志願者として引き続きネメシスを退治していた。その途中、オコホはエコー・ネメシスが集まっていることに気づく。このままでは一般市民が身の危険にさらされると感じたオコホは、ブランゴワールの作戦を無視し、魔法を使って周囲に指示を出したことで被害は最小限にとどまるが、オコホは罰として活動停止を余儀なくされてしまう。そんな中、志願者たちが正式に魔法騎士となるための「叙任式」が近づいていたが、メリはある夜、ブランゴワールがオコホを尾行していることに気づく。そこでメリとドクはブランゴワールを尾行するが、その後三人は衝撃の事実を知る。オコホは自分の「呪い」を利用されて、頻繁にモルドレッドにあやつられ、スペクトルの出現地点を作る役目をさせられていたのである。真相を知ったオコホがモルドレッドを問い詰めると、モルドレッドはスペクトルを発生させていたのは、シファンディールの女王のブーディカであると白状する。

第8巻

セトが修行から戻り、魔法騎士の叙任式が始まった。式の最中、ブーディカと話す機会を得たオコホは、民衆の前でブーディカの悪事を告発。ブランゴワールは、オコホと共に反旗を翻す。しかしそこに、シファンディールが襲撃を受け、異端審問所軍がカスラーン・マーリンに近づいているという報せを受ける。そこでブーディカはひとまず異端審問所軍との戦いを優先し、去って行く。一方その頃セトは、ディアバルを捜して城の奥に潜入し、再会を果たしていた。ディアバル曰く、セトと自分は兄弟であり、同じ「呪い」によって生えた角があるが、同じ呪いの「感染者」になる可能性は低い。つまり、どこかに感染者の子供を産める魔法使いがおり、自分たちは生まれつきの感染者として作られた可能性があるのだという。さらにディアバルは、ピオドンは自分たちの味方ではないことを告げる。ディアバルは幼い頃、天涯孤独でいたところをピオドンと出会い、慕うようになるが裏切られ、異端審問所に捕まって拷問を受けた。しかしなんとか逃げ出し、現在は「世捨て人の信者」と呼ばれる集団に身を寄せ、スペクトルを発生させる仕事をしていたのだ。これを聞いたセトは、今も拷問の記憶に苦しめられるディアバルを、ミルディンの力を借りて救おうと考えるが、そこにメリとオコホから連絡が入る。

第9巻

セトディアバルと別れて地上に向かっていたが、すでにシファンディール軍と異端審問所軍は激しい戦いを繰り広げていた。さらにここで、スペクトルを放っていたのはブーディカではなく「商人男爵」たちの一人で、モルドレッドの父親であるドゥーサン男爵であることが発覚する。商人男爵たちは、かねてから「感染者」たちを奴隷として自分たちの商品にしようと考えていたのだ。そのためには、感染者たちのイメージをできるだけ悪いものにする必要があった。そこでまず行ったのは、ブーディカを自分たちの民に送り付ける危険な存在に仕立て上げることだった。次に素手でファンタジアをあやつり、トルクに歯向かったことで国際的な犯罪者となったセトが「カスラーン・マーリン」にかくまわれていることにして、異端審問所軍を介入させる。そして、自分たちが発明したファンタジアを吸い取る機械を異端審問所に渡すことで、彼らに感染者は奴隷として管理できる存在だと考えさせようとしていたのである。真実を知ったオコホたちはブーディカのために戦い、セトもサントーリと戦い、勝利する。その後セトは、仲間たちに通信を送ってカイルトの森で合流しようとするが、先に到着したセトが見たのは、ファンタジアを吸われて死亡したユグドラジルと、絶望するミルディンの姿だった。

第10巻

怒りにより自分を制御できなくなったセトミルディンは、異端審問所軍のもとへ向かっていた。一方その頃、メリたちは勝利のためには、異端審問所軍のファンタジアを吸い上げる機械の破壊が先決であると考えていた。そこで、オコホは傷ついて倒れたブーディカを立ち上がらせ、いっしょに機械を破壊。こうしてファンタジアを取り戻したシファンディール軍は、反撃を開始する。対するセトは、グリムの包帯とメリの呼び掛けでどうにか正気を取り戻し、ミルディンを止めに入る。セトはユグドラジルがミルディンとのあいだに生まれた子供たちをかばって死亡したことに気づいており、ミルディンに無事な子供たちを見せることで、正気を取り戻させようとしたのである。こうしてミルディンは正気を取り戻し、異端審問所軍は撤退し、戦いはようやく終わるのだった。そして後日、ブーディカはあらためて国民たちを集め、とある発表をする。それは、今回の戦争で素晴らしい功績をあげたオコホを自分の後継者、つまり次代の女王にするというものだった。オコホはこれを驚きつつも受け入れ、まずは後学のために、セトの仲間として世界を回ることにするのだった。

第11巻

カスラーン・マーリンを去ったセトたちは、一度アルテミス学院に戻ることにした。しかし戻ってすぐに、セトが学院に預けていたハーメリーヌネメシスが、何者かに連れ去られたことが発覚。セトはすぐにメリオコホと協力して犯人をしぼり込むが、そこから浮かび上がったのは、協力関係にあるはずのグリムだった。セトは、なぜグリムがこんなことをしたのか理解できず混乱するが、彼が向かったと思われるエストリー王国のボーム、つまり異端審問所の本拠地へ行くことにするのだった。そこでボーム行きの飛行船に忍び込んだセトたちは、船内でハーメリーヌのネメシスを発見する。同時に異端審問所の将軍が乗船していると聞いたセトは、それがトルクであると考えて怒りに駆られるが、ひとまず様子を見ることにする。その直後、セトとドクが異端審問官たちに見つからないように隠れる場所を探していると、突如フードをかぶった謎の男に襲われる。二人は応戦するが、ドクは謎の男によって突如消され、行方不明になってしまう。一方その頃、トルクに顔が割れていないメリとオコホは異端審問官たちの様子を見に行っていたが、そこでハーメリーヌのネメシスが暴れ出す。

メディアミックス

TVアニメ

本作『RADIANT』は、2018年の10月から2019年の2月にかけてTVアニメ第一シーズンが、2019年の10月からTVアニメ第二シーズンがEテレで放映されている。いずれも監督を岸誠二、シリーズディレクターを福岡大生、シリーズ構成を上江洲誠が担当し、セト役を花守ゆみり、メリ役を悠木碧、ドク役を大畑伸太郎がそれぞれ演じている。

登場人物・キャラクター

セト

魔法使い見習いの少年。前髪を目の上で切り、髪全体をツンツンに立てた黒色の短髪にしている。ネメシスに対抗できる「感染者」の証である「呪い」として、頭には小さな角が二本生えている。右の頰には絆創膏を貼っており、小柄な体形で筋肉質。マスター・ロード・マジェスティからは、本名とはまるで関係ない「ジャン=ペドロヴィッチ・ド・ラ・ノッチェ・サロモン・グリスパペン・ワンダースミス」というあだ名を付けられており、ニコラ・メントヴィオにはこれが本名だと思われている。明るく元気な性格で、正義感が非常に強い。さらにせっかちなところがあり、思い立つとすぐに行動を起こす。そのため、つねに人の役に立ちたいと思っているが、空回りすることが多い。家畜をネメシスとまちがって攻撃してしまったり、農園を火事にして池を干上がらせてしまったりと、よかれと思っての行動がいつもトラブルを引き起こす。そのため、師匠のアルマにはいつも怒られている。そもそもネメシスがどのような姿をしているかも知らず、それでもネメシスを倒したいと考えていた。そんなある日、ポンポ・ヒルズ21番島を訪れ、初めてネメシスと対峙する。これがきっかけで、ネメシスを現れるたびに倒すのではなく「ラディアン」という彼らの巣を破壊しなくては、根本的な解決にならないと考えるようになる。そこでアルマのもとを離れ、魔法使いとして独り立ちし、修行をしながらラディアンを目指すことになる。魔法の手袋や武器を通さず、素手で魔法が使える特殊能力がある。

アルマ

フリーの魔法使い兼ネメシスの追跡ハンターの中年女性。セトの師匠でもある。前髪を上げて額を全開にし、もじゃもじゃの暗い紫色のロングヘアを、頭の高い位置でポニーテールにしてまとめている。アイメイクが濃く、下まつげが長い。両耳と右眉、唇の下にピアスをつけている。隻腕で、右腕は胸の高さほどまでしかない。ネメシスに対抗できる「感染者」としての証「呪い」は、頻繁に頭痛に悩まされるという形で現れている。ぶっきらぼうで荒っぽい話し方をするが、面倒見がよく心優しい性格の持ち主。セトとは親子のような関係で、喧嘩ばかりしているが、なんだかんだで仲がいい。幼いセトを拾ってからは、観測船を使ってセトと共に旅をしていた。しかしある日、ポンポ・ヒルズ21番島を訪れたのがきっかけで、セトからネメシスを現れるたびに倒すのではなく、彼らの巣「ラディアン」を破壊することでこの世界を平和にしたいと相談される。そこでセトにヤガを紹介し、セトを独り立ちさせて別れた。しかしその後、ランブル・タウンでの事件解決後に再会。引き続きセトをサポートしていくことになる。セトが自分のもとを離れてからは、異端審問官に引き渡される予定だったドン・ボスマンとジジを引き取って助手にした。

メリ

ポンポ・ヒルズ沖にある研究機関「アルテミス学院」に所属する、魔法使いの少女。ネメシスの待ち伏せハンターとしても活動している。前髪を目の上で切り、オレンジ色のロングヘアを青いカチューシャでまとめ、いくつもの大きな縦ロールにして巻いている。スタイル抜群で胸が大きい。ネメシスに対抗できる「感染者」としての証「呪い」は、突然感情が反転して別人のようになってしまうという形で現れる。そのため、ふだんは明るく親切な性格ながら、呪いによる発作が起きているときは非常に乱暴で、はすっぱな性格になり、この人格は「クレイジー・メリ」と呼ばれて恐れられている。さらに、メリ自身の意志とは無関係に突然「クレイジー・メリ」化するために誰とも親しくなれず、友人は相棒のボブリーしかおらず、情報屋はドクだけである。そんな現状に強い孤独感を感じており、友人に飢えている。しかし、過去に発作によって思うように行動できず、友人のヴェネロープを失ったことから、また同じ失敗を犯すかもしれないという恐怖をつねに感じながら生きている。そんなある日、ドクと共にポンポ・ヒルズ21番島に現れたネメシスの遺骸の回収と清掃に向かい、セトと知り合って親しくなり、仲間となった。セトのことを非常に大切に思っているが、これまで友人がいなかったせいで、なかなかうまく接することができない。

ドク

ポンポ・ヒルズ沖にある研究機関「アルテミス学院」に所属する、魔法使い兼ネメシス研究者の男性。年齢は40歳。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を立てた黒のもじゃもじゃの短髪にしている。三白眼で口ひげと顎ひげを生やし、小柄な体形で少々太め。ネメシスに対抗できる「感染者」だが、なかなか「呪い」が表に出ず、しばらくのあいだは自分でもどのような呪いを受けたのか知らずにいた。しかしのちに、しばらくの体調不良のあと、脱皮をして赤ん坊の状態に戻るという特殊な呪いを受けていることが発覚する。脱皮後は、これまでどおり言葉は話すが、身体能力は赤ん坊と同じになり、戦闘能力が大きく低下してしまう。その後、通常の人間よりも早いペースで成長していくが、まだ少年程度までしか戻れていない。慎重な性格で、危険なことを極端に嫌うためにネメシスを積極的に狩ることはせず、主に誰かが倒したネメシスの残骸を回収して分析したり、ほかの魔法使いにネメシスの情報を流す情報屋の仕事をしたりと、さまざまなことをしてお金を稼いでいる。しかし情報屋としては今一つで、組んでいる魔法使いはメリしかいない。セトとは、セトがポンポ・ヒルズ21番島のネメシスを倒した際、ネメシスの清掃係として派遣されたことで知り合った。その後、メリも交えてランブル・タウンのネメシス狩りに向かったことで親しくなり、仲間となる。喫茶店「ケトル・コーヒー」で働く女性のメルバに思いを寄せているが、言い出せずにいる。

ヤガ

ポンポ・ヒルズ沖にある研究機関「アルテミス学院」で働く魔法使いの男性。年齢は126歳。魔法使いの中でも特に優秀な者のみ所属できる「13人の魔法使い団」の一人でもある。非常に小柄な体形で、人間の子供程度の身長しかない。語尾に「~じゃ」を付ける、老人のような口調で話す。アルテミス学院の教官を務めているが、基本的に弟子を取る気はなかった。しかしある日、セトがアルマの紹介でやって来たことにより、渋々セトに魔法を教えることになる。教官としては厳しく、初心者のセトにも容赦がないが基礎からきちんと指導している。

マスター・ロード・マジェスティ

ポンポ・ヒルズ沖にある研究機関「アルテミス学院」の創設者。大きな丸い目をした二本足の黄色い猫で、性別はオス。ひげを長く伸ばし、王冠をかぶってマントをつけた、王様のような格好をしている。語尾に「~じゃ」を付け、老人のような口調で話す。その容姿から「にゃんこ」と呼ばれることが多い。明るい性格ながら、非常に調子がよくお金にがめつい。スキあれば入院希望者から、自分に都合のいい契約書にサインを書かせては、借金を背負わせている。そのため、アルマには要注意人物だとマークされている。セトとは、セトがアルテミス学院にやって来たことで知り合い、当初は特に気に留めていなかった。しかし、セトが「ラディアン」を目指していることを知り、またセトがピオドンに似ていることに気づき、何かと協力してくれるようになる。人生の最終目標として、すべての「呪い」の特効薬が見つかるまで、すべての「感染者」たちに安全な居場所を与えることを掲げている。セトには、本名とはまったく違うあだ名を付けて呼んでいる。

グリム

全身に特殊な素材でできた包帯を巻いている、魔法使いの男性。黒いとんがり帽子に黒いコートを着ている。釣り目で背が高く、瘦せており、一人称は「グリム」。マイペースな性格で、今一つ何を考えているのかわからないところがある。セトとは、ハーメリーヌを追ってランブル・タウンに訪れた際に知り合うが、当初は言葉の行き違いから、お互いに敵だとカンちがいしていた。その後は和解して協力関係になるが、時折完全に味方とは言い切れないような不審な動きをすることがある。

トルク

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官将軍を務める若い男性。異端審問官の中でもエリートのみが選ばれる組織「奇跡の人 修道会」の創設者でもある。前髪を上げて額を全開にし、赤い髪の毛全体を放射状に太ももまで伸ばしたロングヘアを、腰の高さで一つに結んでいる。無精ひげを生やし、眉毛がなく、右目の端に縦に一本線の大きな傷跡がある。通称「野獣」。圧倒的な戦闘能力を持つ。

サルゴン

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官将軍を務める中年男性。前髪を上げて額を全開にして胸の高さまで伸ばしたロングウエーブヘアを、ハーフアップにしている。褐色の肌の持ち主で、釣り目太眉で三白眼。顎ひげと口ひげを長く伸ばして、モノクルをかけている。左目の真上の額から、左目の下にかけて縦に長い十字傷がある。背が高くがっしりとした体形をしている。まじめな性格で、冗談が通じないためにどんな言葉も文字どおり受け取ってしまう。吟遊詩人アングヴァンの大ファン。

サントーリ

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官大佐を務める年老いた男性。異端審問官の中でもエリートのみが選ばれる組織「奇跡の人 修道会」の一員でもある。シルクハットをかぶり、鎖骨まで伸ばした長いあごひげを、いくつもの束に分けて毛先の部分で結んでいる。非常に背が高く、筋肉質の体形をしている。自分のひげに強いこだわりがあり、立派なひげを持っている男性のことは高く評価しがちである。「奇跡の人 修道会」に入った時に得た自分の特殊能力を行使することに、強い生きがいを感じている。そのために戦うことが好きで、強い対戦相手を求めている。シファンディール軍と異端審問所軍の戦いの際にセトと戦い、倒された。

イニシナ

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官大佐を務める若い女性。前髪を鼻の高さまで伸ばして目が隠れないように分け、チリチリのロングヘアを頭の高い位置でポニーテールにしてまとめている。褐色の肌の持ち主で、釣り目釣り眉で三白眼。顔中にいくつもの傷跡があり、男性のような口調で話す。

ウルミナ・バグリオーレ

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官少佐を務める若い女性。異端審問官の中でもエリートのみが選ばれる組織「奇跡の人 修道会」の一員でもある。前髪を長く伸ばして真ん中で分けて額を見せ、お尻まで伸ばした象牙色のロングヘアをしている。また、髪の毛の一部を、首の前で交差するように三つ編みにしてまとめている。たれ目たれ眉で、いつも眠そうに見える。額の中心には十字を縦に二つ並べた形の、異端審問所のシンボルマークの刺青がある。死亡した人間をあやつる力を持つ。一見おっとりした印象だが、苦悩という感情に強い執着があり、人が苦悩する姿を見るのが好き。また、その苦悩を、奇跡の力を用いて自分の体で受け止めることで、体感しようとしている。

フォン・ツェペシュ

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官少佐を務める若い男性。異端審問官の中でもエリートのみが選ばれる組織「奇跡の人 修道会」の一員でもある。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を真上に立てたツンツンの短髪にしている。釣り目に太い釣り眉で三白眼。自信家で、他人を見下した傍若無人な振る舞いをする。特に、ダート・ドラグノフのことは、責任逃れのためにわざと昇進しない怠慢な人物だととらえており、嫌っている。そのため、何かにつけてダートを悪く言っている。しかし、ランブル・タウンでの事件では、己の力を過信し、奇跡の力を使う間もなく倒されてしまった。

ダート・ドラグノフ

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官の隊長を務める、魔法使いの若い男性。のちに、異端審問官の中でもエリートのみが選ばれる組織「奇跡の人 修道会」の一員となる。また、コンラッド・ド・マルブールとレゼロッテの元上司でもある。前髪を長く伸ばして真ん中で分けて額を見せ、肩につくほどまで伸ばした黒のセミロングヘアにしている。鼻の真ん中に、横に入った一本線の傷跡があり、顎ひげを生やし、左目に眼帯をしている。いつも落ち着いており、ひょうひょうとした、つかみどころのない性格。しかし的確な判断力を持ち、対象が「健常者」「感染者」を問わず、公正に人命を最優先に行動する。そのため、ランブル・タウンでの事件では、感染者であるセトたちと協力するなど、柔軟な対応をする。しかしランブル・タウンでの事件後、唯一セト一行の顔を全員知っている異端審問官として、レゼロッテと共にセトを追うことになる。

レゼロッテ

軍事組織「異端審問所」で、異端審問官隊長を務める若い女性。異端審問官の中でもエリートのみが選ばれる組織「奇跡の人 修道会」の一員で、ダート・ドラグノフの元部下でもある。前髪を目の上で切りそろえ、ロングヘアを頭の高い位置でポニーテールにして帽子をかぶっている。釣り目釣り眉で、露出度の高い服装を身につけいる。頰に丸いチークを入れている。はすっぱな雰囲気を漂わせ、やや乱暴な口調で話す。ランブル・タウンでの事件後、ダートと共にセトを追うことになる。愛煙家で、いつも煙草をくわえている。

ドン・ボスマン

男性魔法使い四人組「ブレイブ・カルテット」のボスを務める中年男性。スキンヘッドに三角帽子をかぶってサングラスをかけている。口ひげと顎ひげを長く伸ばして、ひげの先を結んでいる。あだ名は「ボス」。ネメシスに対抗できる「感染者」の証「呪い」として、頭の左右には悪魔の羽が、後頭部には悪魔のしっぽが生えている。非常に筋肉質な体形で、体中に指輪やネックレスなどの金品を身につけている。明るく親しみやすい性格で、面倒見が非常にいい。しかしこれは仲間に対してだけで、実は大の人間嫌い。人間たちがふだんは魔法使い、つまり感染者を迫害しておきながら、困ったときだけは頼ってくるという都合のよさに、強い憎しみを抱いている。そのため善人を装って人間たちに近づき、金品を奪う詐欺行為を繰り返していた。そんなある日、仲間たちと主にポンポ・ヒルズ21番島を訪れ、ネメシスと戦うふりをして住民たちとその場にいたセトをだまし、銀行からお金を奪おうとした。しかしこれをセトに見つかり、激怒したセトと戦いになる。しかしセトのことを嫌っているわけではなく、魔法使いが人間のために行動するのは無意味だと諭そうとした。その後、仲間と共にアルマに捕えられ、異端審問官に引き渡される予定だったが異端審問官が現れず、アルマの助手となる。言いまちがいが非常に多く、「病気」と「勇気」、「見せ場」と「濡れ場」を言いまちがえては、仲間たちから指摘されている。

コンラッド・ド・マルブール

ランブル・タウンに住む、異端審問官隊長を務める男性。スキンヘッドに釣り目で口ひげを非常に長く伸ばしており、甲冑を身につけている。背が高く、非常に筋肉質な体形をしている。ダート・ドラグノフの元部下だが今は同じ立場で、ダートには「コンコン」と呼ばれている。強い選民思想にとらわれたファシストで、女性全般と移民、魔法使いが大嫌い。さらに虚言癖があり、レゼロッテには嫌われている。体育会系で、日によっては一日12時間以上トレーニングすることもあり、頼りない部下にはすぐ筋肉トレーニングを命ずる。ランブル・タウンの安全の保障と住民たちの士気を高めることに力を注いでおり、これを邪魔する魔法使いや感染者、移民たちを嫌っている。若い頃はランブル・タウンで異端審問所の兵士として働いていたが、移民やハーメリーヌたち感染者の子供にも親切なオクシュマレ准尉のやり方が気にくわずにいた。そこで、まずは異端審問所の別館に捕えられていた移民と魔法使いをわざと脱獄させて、住民たちに殺させた。次にランブル・タウン北東地区崩落事件を計画し、オクシュマレ准尉をハーメリーヌの目の前で殺害。その後、崩落から住民たちを守ったランブル・タウンの英雄として君臨する、という方法で街を支配した。さらに数か月前、またも移民の虐殺計画を立てるが、ハーメリーヌに阻止され、最終的にはセトに倒されて死亡した。

タジ・ゼド

ランブル・タウン北通りに住む幼い少年。紫色の動物モチーフとした耳付きの帽子をかぶって、口元からマフラーを巻いている。太眉で目は大きく、ぱっちりとしている。ある日、ランブル・タウン内でネメシスに遭遇し、接触してしまい「感染者」となる。そして鼻水が止まらなくなるという「呪い」を受けて体調不良に陥るが、家族には感染したことを認めずにいた。そんなある日、ネメシス狩りにやって来たセト、メリ、ドクと知り合い、ネメシスに関する情報を伝える。これによって三人と親しくなり、ハーメリーヌが「時計地図」の鐘を落下させ、移民たちを殺そうとした事件ではセトと協力して移民たちを助けた。その後、魔法使いとしてアルテミス学院に入院する。しかし戦うことではなく、「ブルーム・ブルーム・カップ・サバイバル」のようなスポーツを通じて、感染者は危険ではない存在であることをアピールしたいと考えている。

ハーメリーヌ

魔法使いの若い女性。前髪を目が隠れるほど伸ばし、肩につくほどまで伸ばした白のセミロングヘアにしている。釣り目でアイメイクが濃い。フードをかぶり、露出度の高い服装を身につけ、全身にあざがある。幼い頃「感染者」として、三人の同世代の少年少女たちと共にランブル・タウンに連れてこられた。そして異端審問所の別館に入れられ、対ネメシス用の兵士として育てられた。それでもオクシュマレ准尉だけは親切にしてくれ、ある日彼からフルートをプレゼントされたことでこれが特技になった。しかし15年前のある日、コンラッド・ド・マルブールの陰謀によりオクシュマレ准尉が目の前で暗殺されてしまう。これに対抗しようとフルートを吹いたらネメシスを引き寄せたのがきっかけで、自分のフルートに彼らをあやつる力があることに気づく。その後は身を潜めてランブル・タウンの動向をうかがっていたが、数か月前、コンラッドが移民排除のために再び動き出したことを知り、協力者のふりをして近づく。そして最終的に、コンラッドの指示した移民の住む北通りではなく、中央通りに向かって「時計地図」の鐘を落とし、さらに民衆の前でコンラッドの悪事をばらすという方法で復讐しようとした。しかしその過程で、セトと戦って対話するうちに、人々が苦しむすべての元凶である「ラディアン」を破壊しようとするセトに賛同。異端審問官たちに狙われたセトを助けるために死亡した。

ニコラ・メントヴィオ

ポンポ・ヒルズ沖にある研究機関「アルテミス学院」に所属する若い男性魔法使い。前髪を完全に顔が隠れるほど伸ばして、左寄りの位置で分けた短髪にしている。右目は前髪に隠れていて見えず、釣り目釣り眉で三白眼。あだ名は「ミスター・ニック」。自信家だがネメシスと戦う意欲は薄く「ラディアン」を目指す意思はない。アルテミス学院で行われている、ほうきを使ったスポーツ「ブルーム・ブルーム・カップ・サバイバル」の優秀な選手でもある。セトとは、セトがランブル・タウンから戻ってきたあとに開かれた夜会で知り合い、魔法使い騎士団の存在を教えた。その後、ケガをした選手の代打で「ブルーム・ブルーム・カップ・サバイバル」のレースに出ることになったセトと対決する。

オコホ

シファンディール大陸の首都であるカスラーン・マーリンで、魔法騎士志願者として働く少女。モルドレッドとサグラモールの幼なじみでもある。顔が完全に隠れるほど伸ばした前髪を真ん中で分けて、左側の髪の毛は編み込み、腰まで伸ばした黒のロングヘアを一本の三つ編みにしてまとめている。細めの体形で両耳にはピアスをしており、褐色の肌の持ち主。ネメシスに対抗できる「感染者」の証「呪い」として、首の裏側に小さなあざが一つある。このあざを押されると、押した人間の言いなりになってしまううえ、そのあいだの記憶を失ってしまう。明るく元気一杯で面倒見のいい性格をしているが、怒ると非常に怖い。セトとは、セトがミルディンの教えでマーリン騎士団の厩舎を訪れたことで知り合い、セトが合言葉を知っていたために、新入り入団志願者であるとカンちがいする。そしてそのままペアを組み、入団に向けていっしょにネメシスを倒すことになる。また、同時期に志願者となったメリと出会って親しくなる。メリが「クレイジー・メリ」になってもまったく気にしておらず、むしろ「クレイジー・メリ」のことが大好きである。ブーディカには目をかけられており、非常に仲がいい。シファンディール軍と異端審問所軍の戦いで大きな功績を挙げたことにより、ブーディカに跡継ぎとして任命される。そしてまずは後学のためにセトの仲間となり、世界を見て回ることになった。

ミルディン

シファンディール大陸のカスラーン・マーリン近くにある、カイルトの森に住む男性の妖精。年齢は853歳程度だが、これは人間の年齢に換算したものであるため、実際はもう少し年を取っている。ユグドラジルの夫でもある。妖精と人間のハーフで、妖精の血を引く最後の存在。前髪を上げて額を全開にし、頭の両脇の髪の毛を結んでハーフツインにしている。非常に小柄な体形で身長は人間の幼い子供ほどしかなく、全身が毛むくじゃらでパンツ一枚を身につけている。あだ名は「ミル」で、シファンディールの人々には伝説の魔法使いだとカンちがいされている。そのうえに名前も「マーリン」と、まちがわれて伝わっている。額の真ん中に、ほかの毛とは違う色の毛が生えている。ひょうひょうとしたマイペースな性格で、卑猥な歌詞の歌を作って歌うのが大好き。セトとは、セトが「カスラーン・マーリン」にたどり着いたものの、マーリン騎士団の入団資格を得られずに困っていたところに知り合った。そして、厩舎に行って自分の教える合言葉を言えば入団できると教えた。その後、ピオドンに植え付けられた「居候」の存在に苦しむセトを鍛えたり、異端審問所軍との戦いでは暴走したところをセトに止められたりと、親子のような関係になっていく。

ユグドラジル

シファンディール大陸のカスラーン・マーリン近くにある、カイルトの森に住む人外の女性。ミルディンの妻でもある。顎の高さまで伸ばしたもじゃもじゃのボブヘアに、切り株に穴をあけた帽子をかぶっている。見た目は人間の女性のような姿をしているが耳は動物のもので、こめかみの高さに生えている。体も非常に大きく、人間の5倍から6倍ほどの身長がある。あだ名は「ジル」。穏やかで面倒見のいい性格ながら、怒ると非常に怖い。シファンディール軍と異端審問所軍の戦いで、異端審問所軍がファンタジアを吸い取る機械を使用したことにより、まだ生まれる前の繭にくるまっている状態の子供たちと共に命の危機に陥る。結果、子供たちを守って死亡した。

ブーディカ

シファンディール大陸の女王。前髪を長く伸ばして真ん中で分けて額を見せ、太ももまで伸ばした水色のロングウエーブヘアにティアラをかぶっている。まろ眉でまつげが長く、両目の下に水色の涙のような線を描いたメイクをしている。ふつうの女性の3倍以上の身長があり、スタイル抜群で胸が大きい。明るくフランクな性格で、民衆たちとも積極的にコミュニケーションを取っている。そのため、ふらっと民衆のもとへ現れたり、魔法騎士たちとも友人のように会話したりする。特にオコホのことは気に入っており、まだ見習いでさらに女性でもあるために、何かと自由に行動しづらい彼女にアドバイスをしている。最近、カスラーン・マーリン周辺に出現する巨大なネメシス「スペクトル」の存在に胸を痛めていたが「商人男爵」たちの陰謀によって濡れ衣を着せられ、オコホにスペクトルを放っている犯人だと誤解されてしまう。さらにこの直後、異端審問所軍がシファンディールに現れたことにより、応戦する。戦いの最中、自分に責任があると感じて一時は戦闘意欲をなくすが、オコホに鼓舞されて立ち上がった。そのため、戦争が終わったあとにオコホを自分の後継者として任命した。

モルドレッド

シファンディール大陸の首都であるカスラーン・マーリンで、魔法騎士志願者として働く少年。「商人男爵」の一人であるドゥーサンの息子で、オコホとサグラモールの幼なじみでもある。前髪を目が隠れるほど伸ばした銀色の短髪で、顎ひげを生やしており、目が細くていつも目を閉じているように見える。細めの体形で、ネメシスに対抗できる「感染者」の証「呪い」として、感情が存在しない。そのため極端に無表情だが、これを隠すためにいつも険しい表情のサグラモールといっしょにいることで、相対的に感情があるかのように見せていた。オコホの呪いについて知っており、父親の計画を成功させるために頻繁にオコホのあざを押してあやつり、スペクトルの出現ポイントを作るための仕事をさせていた。

サグラモール

シファンディール大陸の首都であるカスラーン・マーリンで、魔法騎士志願者として働く少年。オコホとモルドレッドの幼なじみでもある。前髪を額が見えるほど短く切った、暗い紫色の癖のある短髪にしている。両目の下にそばかすがいくつもあり、顎が二つに割れている。いつも険しい表情を浮かべているきまじめな性格で、そんな人柄をモルドレッドに利用されていた。

ブランゴワール

シファンディール大陸の首都であるカスラーン・マーリンで、魔法騎士として働く中年男性。オコホ、モルドレッド、サグラモールの上官でもある。前髪を上げて額を全開にした、長めのドレッドヘアにしている。眉毛はなく、顎ひげを長く伸ばしており、体形はやや太め。ネメシスに対抗できる「感染者」の証「呪い」として、胸が六つもある。そのうち二つは人間の男性と同じ位置にあるが、残り四つがどこにあるかは秘密にしている。しかし、周囲からは顎の部分にあり、長いひげで隠しているのではないかと噂されている。まじめな性格ながら、融通のきかないところがある。そのため、権威に従って規律を守ることを好む。魔法騎士志願者たちの指揮官を務めており、勝手な行動ばかりするオコホのことをいつも叱っていた。しかし次第に彼女の優秀さを認め、異端審問所軍との戦いでは共に戦った。

ピオドン

謎の若い男性。前髪を上げて額を全開にした、黒のツンツンの短髪にしている。頭にはセトやディアバルと同じ白い二本の角があり、額に大きな十字傷がある。また顔立ちもセトたちと似ており、ピオドン自身もセトたちの兄だと名乗っている。すべてが謎に包まれ、セトの前に突然現れては去っていく。

ディアバル

「世捨て人の信者」に所属する少年。前髪を顔が隠れるほど伸ばして、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにしている。両目は見えず、目の周辺に包帯を巻いて、全身傷だらけである。ネメシスに対抗できる「感染者」の証「呪い」として、頭にはセトとピオドンと同じ、二本の小さな角が生えている。しかし、ふだんは髪の毛で覆って隠している。天涯孤独の身で、幼い頃は感染者の子供を受け入れる孤児院で暮らしていた。しかしある日、素手でファンタジアを扱えることがわかり、異端審問所に捕えられる。そこに現れたピオドンに助けられ、以来数年間を共に過ごし、兄と名乗る彼を慕うようになる。だが次第にピオドンに支配され始めているのではないかと、疑念を抱くようになっていく。そんなある日、自分と同じ角があり、素手でファンタジアを扱える少年のトリトンと知り合う。そこで自分やピオドン、トリトンは感染者の子供を産める魔法使いを親とする、生まれつきの感染者の兄弟なのではないかという仮説に至る。さらに、ほかにも兄弟がいることを把握するが、ピオドンに裏切られて異端審問所に捕まり、拷問を受けた。その後はなんとか逃げ出し、現在は「世捨て人の信者」と呼ばれる集団に身を寄せ、スペクトルを発生させる仕事をしていた。そんなある日、セトと出会って自分の持っている情報を伝える。

その他キーワード

ネメシス

空から落ちてくる謎の怪物。「ラディアン」と呼ばれる巣から現れると推測されている。姿はさまざまだが、動物や昆虫のような姿をしていることが多い。その力は圧倒的で、人間はネメシスに触れただけで即死する可能性が高い。生き残った人間は「感染者」と呼ばれるようになり、感染した証の「呪い」を受けたあとはネメシスと接触しても平気になる。また「ファンタジア」という対抗手段を得て、ネメシスと戦えるようになる。しかしこれは素手で使用してはならないため、魔法の手袋や武器を通して使用する必要がある。「感染者」として生き残る確率は0.01%程度とされているが「カスラーン・マーリン」に住む人々の1/8は感染者である。ネメシスの中には「エコー・ネメシス」と呼ばれる偵察係を伴って現れるものもおり、エコー・ネメシスは人間が触れても死亡せず、感染もしない。

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