概要
18世紀、江戸。商人の娘であるお若は、隣家の息子で幼なじみの松吉と仲良く遊んで育ってきた。しかし若旦那となった松吉は火事見物の趣味が過ぎて勘当、家を出て町の火消しとして働き始める。
想いを寄せていた男に会えなくなったお若へ、さらに追い討ちをかけてくる、望まない縁談。情念に押しつぶされた娘はとうとう、火事による騒動を利用して松吉に再会するという強硬手段を思いつくのだった。
登場人物・キャラクター
お若 (おわか)
江戸の裕福な商家に生まれた娘。幼なじみの松吉への恋心と、親に決められた縁談への憂鬱に追いつめられる。偶然に小火を起こしたさい、松吉を呼び寄せるためにあえて炎上させ、近隣を火の海に巻き込んでしまう。 育ちはいいが、親にはまだ世間知らずと言われた。
火消し (ひけし)
「火要鎮」に登場する職業。現在でいう消防士だが、当時の技術的事情から、火のゆく手にある建築物を打ち壊して延焼を絶ちきる手段を主とした。松吉が所属する町火消しは、町人が自分達の居住区のため自治的に組織したもので、町奉行が管轄した。
松吉 (まつきち)
お若の隣にある店の息子。幼いころからお若と遊んでいた。大人になるにつれて火事見物に興じる不良になり、腕背中に刺青まで彫ったことで親を怒らせ、勘当される。以後は町火消しの一員として働く。 火事が起きた理由を知らぬまま消火活動へかり出され、火の渦の中でお若と再会する。
場所
江戸 (えど)
劇中の18世紀、江戸時代中期は木造建築物がひしめき、いったん火災が起きると延焼しやすかった。そのさい活躍する火消したちの姿も含め、派手なありさまを見物して楽しむ者たちがいた。