仲間たちと冒険！ファンタジー漫画50 Pt.

1937年9月21日は、ファンタジー小説『ホビットの冒険』が刊行された日。後のロールプレイングゲームや、ファンタジー作品などに大きな影響を与えた名作『指輪物語』の前日譚である。それにちなんで、ファンタジー世界で仲間達と冒険する漫画を集めた。

物語の舞台はまさにファンタジー世界だが、そこに現代のようなアイドルがいるという設定は、なかなかに新しい。コーニャのアイドル活動の目的は、国教であるシジャサ教の布教。主人公・ウッドは、彼女に傭兵としての稼ぎのほとんどを注ぎ込むガチオタク（熱狂的なオタク）である。ライブではキレキレの”オタ芸”で盛り上げ役に徹し、「神オタ四天王」に数えられるほど。そんな彼は、四天王と共に勇者・コーニャの用心棒採用試験に勝ち残り、彼女と魔王討伐の旅に出る。しかし、傭兵としての実績があるウッドはともかく、他の四天王メンバーは単なるアイドルオタク。そんなオタクたちの特技が、冒険でどう活かされるのかに注目だ。

剣と魔法のファンタジーワールドをパーティで冒険する代表的な漫画といえる。黒のマスターを討伐するためにチームを組んだ3人は、広大なゴンドワナ大陸の各地を放浪し、大陸中のギルドを束ねるギルドマスター・ヨナなど、大陸の重鎮たちと知己を得る。やがて3人は、大地の成り立ちの秘密を知り、星の命運をも左右する壮大な冒険に巻きこまれていくこととなる。コミカルな演出を随所に交えながらも、しっかりとした軸を持って進むストーリーは読み応え充分。オーソドックスな中世ヨーロッパ風のファンタジーものとは異なり、独自の世界観を構築しているのも本作の魅力のひとつだ。

剣と魔法のファンタジー世界での冒険というと、危険と隣り合わせとはいえ、そこにはワクワクするような興奮があるもの。しかし、本作の主人公・ハルヒロたちの置かれた立場は、もっと切実だ。彼らは選ばれし勇者でもなければ、特別な力を持つわけでもない。異世界に来る以前の記憶すらなく、今日を生きる糧を得るため、仕方なく義勇兵となり、魔物と戦うことになるのだ。義勇兵になることで、選択した職業に応じた能力は与えられたが、それも微々たるもの。寄せ集めのメンバーだけに、仲間との連携もおぼつかない。最弱のモンスター・ゴブリン相手でも、文字通りの死闘を覚悟する必要があるのだ。等身大の冒険者パーティによる、リアルで過酷なサバイバルを描いた作品だ。

ファリン救出に向うパーティメンバーは、主人公のライオスと、エルフで魔法使いのマルシル、そしてハーフフットで鍵師のチルチャックの3人。実はライオスは大の魔物マニアで、前々から魔物を食べてみたいと機会を伺っていた変わり者だ。一方のマルシルは、ゲテモノ食いなど真っ平ゴメンというタイプ。とはいえ手持ちの食料が尽きている状況では、背に腹は替えられない。一行は、さっそく仕留めた「歩き茸」と「大サソリ」の調理を試みる。そこに現れたのは、魔物食を10年研究しているというドワーフのセンシ。彼は手際よく、美味しい水炊きを完成させる。戦いよりも、食材調達と調理をメインに描く、ユニークな冒険ファンタジー漫画だ。

本作は、勇者の婚活を中心に、ファンタジー世界を冒険したパーティのその後を描いた物語だ。ユーリは、物心付いた時から、世界を救うための訓練に明け暮れてきた勇者である。そのため世間一般の常識にはかなり疎い。底抜けに優しく生真面目ではあるものの、不器用で空気が読めない上に話し下手。ファッションセンスもかなり独特で、テーブルマナーもろくに身についていない。そんな彼にとって、ありのままの自分と結婚してくれる相手を探すというのは、魔王を倒すよりも困難な道。しかし、かつてのパーティの仲間たちは、ユーリの良さを充分にわかっている。そんな仲間たちがユーリに抱く心情が見どころのひとつだ。