疲れを洗い流しましょう！銭湯漫画オススメ５選39 Pt.

本作の舞台となる「おくら湯」は、「黒湯」を売りにした銭湯だ。黒湯とは、植物由来の有機物を多く含み、黒または茶褐色に濁った温泉のこと。黒湯は日本各地で汲み出されており、東京でも大田区を中心に「黒湯温泉」が点在する。湯量が豊富で泉質も優れた「おくら湯」の黒湯は、主人公・小倉絹の父・護の自慢の湯である。絹が幼い頃は、家族団欒の場所でもあった。黒湯と家族が何よりも大切だと常々語っていた父が、客足の減少に、銭湯の廃業を余儀なくされる。絹が添乗員になった理由の1つは、寂れる一方の商店街に外国人観光客を呼び、「おくら湯」に活気を取り戻すことだった。そこで絹は、何とか銭湯の廃業を食い止めようと、孤軍奮闘する。数々の困難にもめげず、愚直に前を向く絹の姿勢は、いつしかギクシャクしていた家族の関係をも変えていく。

本作の舞台となるのは、いわゆる昔ながらの下町の銭湯。外観は純和風で、中には番台があり、昭和の風情が漂うレトロな佇まいの銭湯である。もっとも、主人公・星野涼の父が、スケベ心丸出しで番台に座るせいで、女性客は激減。母に逃げられて以来、銭湯の経営は傾くばかりだ。ところが、思わぬ怪我の功名で、カナタたちが居候するようになってから、銭湯の経営は徐々に改善していく。その一方で、カナタの命を狙う宇宙人たちが次々と襲来。その度にカナタたちは、高度な科学力と、トルマン王家と共生関係にある意志を持つ超兵器・星龍刀を用いて、大立ち回りを演じていく。地球人相手のケンカでは無敵の涼も、宇宙人が相手では勝手が違う。さらに、カナタたちが宇宙人であることを隠さねばならないため、涼の気苦労は増すばかりだ。

各家庭に風呂が普及したことによって激減してしまったものの、都内で営業を続けている銭湯は意外とある。主人公の小学校教師・月岡恵の楽しみは、銭湯でのんびり湯船に浸かることだ。驚くことに、彼女が暮らす銀座にも、銭湯は未だに存在する。その名も銀座湯。宝町・京橋近くにある銭湯だ。女湯の壁面に、隅田川の花火が描かれているのが特徴的で、仕事帰りのサラリーマンや、買い物客の憩いの場となっている。本作は、この銀座湯を皮切りに、都内に実在する銭湯を実名で紹介していく。「わ」1文字が書かれた看板で、「わ板」即ち「湯が沸いた（＝営業中）」を示す、江戸の粋が漂う金春湯。表参道駅近くという立地に相応しく、お洒落で贅沢な造りの南青山・清水湯。それぞれが、独特の魅力を持つ銭湯ばかりだ。湯船で癒される恵の表情を見れば、足を運びたくなる人も多いだろう。

都内には、温泉を利用した銭湯が意外と多い。その主流は、モール泉とも称される「黒湯温泉」だ。本作の銭湯「ハワイ」も、黒湯温泉である。黒湯は美肌効果に優れ、肌がツルツルになることから、女性の注目度も高い。本作の主人公・熊王かすみも、銭湯「ハワイ」に通うようになってから、肌が綺麗になったと同僚の間で評判を呼ぶ。また、かすみは番台に座る女子高校生・湯浅清と、彼女の母・真澄との交流で積極性も付き、性格も前向きに変化。仕事でも好結果に繋がり、まさに良いことずくめ。ところが、好事魔多しとはよく言った物で、絶好調のかすみの前に、思わぬトラブルが忍び寄る。温泉と可愛い女子が大好きな作者・かずといずみが、趣味全開で描いた作品だ。作者は本作を描くに当たって、温泉ソムリエの資格を取得するほどの熱の入れようである。

主人公のアラサー女性・大原忠実が暮らす「すずめ湯」は、昔ながらの銭湯だ。建物の外観は瓦屋根の純和風。タイル張りの浴槽の背後に、岩壁がしつらえられており、ちょっとした温泉気分を味わえる銭湯だ。営業時間は朝6時から夜8時だが、常連客は開店前から訪れる。下町ならではの情緒が溢れる銭湯である。忠実の片想いの相手・赤井総太も、子どもの頃からの常連客。番台に座る忠実に遠慮なく裸を晒すくらい、2人の関係は兄妹さながら。総太の娘・優は「再婚相手はまめちゃんが良い」というほど忠実に懐いているが、総太にとって忠実は妹同然だ。そんな忠実の心をざわつかせるのは、8つ歳上の姉・由芽の存在だ。実は彼女は、総太の初恋の相手。ブラジルで研究生活を送っていた由芽が、数年ぶりに帰国したことで、物語は大きく動いていくことになる。