アルパカと、白い粉を取り扱う極道が織り成すハートフルコメディ漫画。木島組若頭・桜井十助(さくらいじゅうすけ)は、幸せになれる白い粉を求めて遥々メキシコまで取引にやってきた。桜井は取引を終え日本に帰国するのだが、白い粉を積んだコンテナを見てみると、中には白い粉と共に白いアルパカの姿が。実はこのアルパカはただのアルパカではなく、アステカ神話に伝わる破壊神・トラウィスカルパンテクトリだった。その日から、桜井とアルパカの奇妙な交流が始まることになる。
取引を終え、メキシコから帰国した桜井。彼は組用に仕入れた白い粉とは別に、自分用の白い粉も仕入れていたため、それだけ回収して帰宅しようとコンテナを開ける。するとそこには、白い粉の袋をくわえた真っ白なアルパカがいた。実はこのアルパカは、取引先のカルテルが自分たちのボスに渡そうとしていたもの。それを誤って、桜井たちのコンテナに積み込んでしまったらしい。アルパカが食べたせいで仕入れた粉が予定より少なくなったとバレれば、自分の責任になる。そう考えた桜井は、とりあえずアルパカを自宅に連れ帰った。するとこのアルパカ、人間の言葉を喋るわ、自分をアステカの破壊神だと名乗るわ、明らかに普通ではない。可愛い破壊神と極道のハチャメチャなやり取りが楽しめる作品だ。
最愛の妻を奪われた男が、特殊能力を持つ暗殺者としての道を歩み始めるバトルアクション漫画。文明研究のため、メキシコにあるテオティワカン遺跡を目指し、バスに揺られていた考古学者の江島陽介(えじまようすけ)・恵子夫妻。突如、2人の乗ったバスがギャングたちに急襲され、陽介は全身に火傷を負い瀕死状態に。恵子はギャングたちに連れ去られてしまう。陽介はアステカ文明の神官の皮膚を移植されたことで何とか一命を取り留めるのだが、その皮膚には不思議な能力が秘められていた。
アステカ文明は太陽神を崇拝し、神に生贄の心臓を捧げるという儀式を繰り返してきた。生贄の心臓を取り出す神官は神に選ばれた存在であり、ほとんど痛みや傷を残さずに身体から心臓を取り出すことができたという。ギャングの襲撃で全身に重度の火傷を負い、命を繋ぎ止めるためには早急に皮膚の移植が必要だった陽介は、襲撃現場近くに倒れていた死体の皮膚を移植されることになる。この死体こそ、神に選ばれ特別な力を与えられたアステカ文明の神官だった。皮膚と共に「他人の心臓を手掴みで抜き取る」という力を手に入れた陽介は、妻を取り戻すために能力を使って暗殺者として生きていくことを決める。迫力満点のバイオレンスな描写に、読者は息を呑むだろう。
考古学者が復活した古代神を守るために奮闘するアドベンチャー漫画。時は1935年。脇坂伊織(わきさかいおり)は、発掘調査のためにメキシコにやってきた日本人考古学者だ。彼は調査中に神殿遺跡を発見し、遺跡に封印されていた古代神ククルカンの封印を解いてしまう。復活したククルカンは、一見褐色の肌を持つ人形の少女なのだが、その身に秘めた力は強大。その力を手に入れるべく、ナチスドイツや日本軍が動き出す。こうして脇坂は、ククルカンを巡る騒動に巻き込まれるのだった。
日本軍から依頼を受け、「ククルカンの神殿」の調査にやってきた帝大考古学室調査隊。しかし、ナチスドイツ軍の急襲によって調査隊のメンバーたちは殺害され、脇坂の命も危うくなる。その時、突如姿を現し脇坂の命を救ったのは、現地の神父イリヤ・シュタインホフだった。イリヤの話によると、ナチスドイツは来るべき大戦に備えて人智を超える力、アステカ神ククルカンを手に入れようとしているらしい。イリヤは脇坂に、ククルカンを見つけ出して封印するか、もしくは破壊して欲しいと依頼する。ところが脇坂は、ククルカンを発見したものの、うっかりその封印を解いてしまった。脇坂は目覚めたククルカンが悪用されないよう、ナチスドイツや日本軍から守るべく奮闘することになる。
古代インカへと誘われた少女の冒険を描いた幻想ロマン漫画。ある日、日本人の少女・和子のもとに、遠いペルーから荷物が届いた。送り主の名は、ホセ・ガブリエル・コンドルカンキ。この荷物を受け取ったことをきっかけに、少女は古代インカの秘密都市へ旅立つことになる。表題作である「インカ幻帝国」の他、「幻のビルカバンバ」「遠い丘のセラファータ」「風と海とモアイ」「セーアカトルの日」「炎のマダムペレ」が収録されたオムニバス作品。
マチュピチュやナスカの地上絵が登場する不思議な夢を見ていた和子は、家族の呼ぶ声で目を覚ました。どうやら和子にペルーから荷物が届いたらしく、あまりのタイミングの良さに和子は驚く。荷物の送り主の名前は、ホセ・ガブリエル・コンドルカンキ。それは200年前、スペインの圧政と闘って銃殺された、インカ皇帝の末裔の名前だった。またの名を、トパック・アマルーという。ペルーと和子にどんな関係があるのか。ホセ・ガブリエル・コンドルカンキを名乗る人物は何者なのか。本作は短編が集まったオムニバス形式の漫画だが、表題作の「インカ幻帝国」と「幻のビルカバンバ」は繋がっている。和子を待ち受ける謎に満ちた運命を、作品を読んで見届けよう。
滅びゆくインカ帝國の真実に迫る、壮大な歴史漫画。インカ帝國がスペインに征服され、インカの民が奴隷として虐げられていた時代。インカ帝國第15代カパック帝の庶子である少年、ティトゥ・クシは、正妻の子である弟、アマルゥの安全を第一に考えて生きていた。やがてティトゥは、滅びゆくインカ帝國で支配者であるエスパーニャに反逆する戦士となり、最期の輝きを放つ。史実に基づいて解釈され描かれた、インカ帝國落日の物語だ。
多くの人が常識だと思っている歴史が、必ずしも真実であるとは限らない。歴史とは、勝者が自分たちの都合の良いように書いてきた物語でもあるからだ。インカ帝國についてもそうだ。その帝國の名は多くの人に知られているが、現在伝えられているのは征服者であったスペイン側の記録。インカ帝國には文字という文化がなく、そのためインカ側から見て書かれた歴史書というものは存在しない。唯一残されているインカ側の文献は、滅亡する帝國で最期まで抵抗を続けた戦士、ティトゥ・クシの、スペイン国王への陳述書のみ。本作は、この陳述書を資料に、インカ帝國側から見た国の滅亡を描いた作品だ。1つの国がいかにして滅びたのか。新たな視点で描かれた物語に注目しよう。